第11夜 江戸狂乱
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第11夜 江戸狂乱
「界蟲『一幻』!!」
「ひゃっ!先輩もう少しこっちのことも気遣ってください!」
「この状況でできるか!」
アメリカ大陸を出発して早10日。
最初のうちは船旅も悪くないなどと話していたが、変わらない景色に段々と飽きてくるのもまた必然。
あと1日あれば日本に着けるという船長の言葉に希望を抱いたものの、一行はすぐにアクマの襲撃に遭ってしまった。
おなまーえがパワーアップした
おなまーえもそれを援護するように矢を射っていた。
「日本ってあれですよね!先輩の故郷って設定の場所ですよね!どんなとこなんですかー!」
「知らん!オレに聞くな!」
戦闘しながら言葉を交わす2人に、マリとティエドールと、それからクロスに送り込まれた改造アクマはほっこりとした。
「2人の仲が戻って何よりだ」
「あいつらって付き合ってんだな」
「おなまーえちゃんももっと優しいひとにすればいいのに、なんでユーくん選んだんだろ」
「いや、その、恋人同士ではないかと…」
「え、そーなの?」
まだ出会ったばかりの改造アクマだけでなく、ティエドールさえ恋人と見間違える始末。
おなまーえがフられたことをティエドールは知らない。
だがそれをマリの口から言うわけにもいかず、彼は複雑な心境であった。
サボっている2人におなまーえと神田がカッと目を見開いて指を指す。
「そこ!見てないで手伝って!」
「そこ!見てないで手伝え!」
綺麗に被って叫ぶ2人に、マリは苦笑するとともに少し安心した。
どうやら少しのいざこざでは、2人の仲はそうそう変わらないようである。
「もー、本当に仲良いんだから」
「私も出ます」
「頼んだよ。改造アクマちゃんはもっと船を押して。」
「人使い荒ぇなー、もー」
この改造アクマは先日ティエドール部隊に送り込まれた、クロスからの使者である。
クロス・マリアンは伯爵以外で唯一アクマを改造できる人物で、今アレンやリナリーやラビが追っている元帥でもある。
我々ティエドール部隊の目的は適合者を探すことにあったが、イノセンスの赴くままに来たところ、極東の孤島である日本国に辿り着いてしまった。
そして案の定、この先に行くとどうやらクロス部隊が待ち構えているようで、アレンと顔を合わせたくない神田は激しく舌打ちをしていた。
「にしても多くないか?この数」
マリが弦で破壊しながら呟いた。
倒しても倒しても一向に数が減らない。
おなまーえと神田にも疲労の色が見えてきた。
「この程度でへばってていいのかー?江戸はおいら達アクマの巣窟だぞ?」
「ほんっとこの時代に何百年も鎖国って、伯爵に襲ってくださいと言ってるようなもんよね」
日本国に生きている人間はもういないだろう。
改造アクマ曰く、アクマが増えすぎて共食い現象さえ起きていると言うのだから、生き残っているアクマもかなりの強者だと推測できる。
「オ!ちょっとお前ら!」
「なんだ、アクマ」
改造アクマが声をあげた。
するとこちらに攻撃をしてきていたアクマ達もピタリと動きを止める。
「え?」
異様な現象に一同は戸惑いを隠せない。
先程まで容赦なく襲ってきたというのに、一体どうしたのだろうか。
「こいつらすぐに飛んでくぜ。相手しなくていいぞ。」
言い終えるや否や、彼の言葉通りに襲撃してきていたアクマは一斉に陸地に向かって飛び出した。
嵐のように去っていったその後ろ姿に、ぽかんとあいた口が塞がらない。
「何があった?」
「伯爵様からの招集だ。世界各地のアクマがこの日本に集まってくるぜ。」
「急いだ方がいいね」
江戸で何が起きているのかはわからないが、嫌な予感がする。
改造アクマに更にスピードを出すように要求して、一同は陸地に向かった。