リリア・ヴァンルージュ
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オンボロ寮の監督生はリリアの後輩であり、恋人だ。
真面目で真っ直ぐ、やると決めたらやり抜く根性と芯の強さを感じる子だが少し頑張りすぎるきらいがある。
まあ頑張るのはいいことじゃが、全部自分1人で抱え込んでしまうからな。
もう少しわしを頼ってくれてもいいんじゃが…。
弱みを見せたくないのかあまりリリアを頼ってくれないのがここ最近、悩みの種である。
一度冗談めかして「もうちょっと頼ってもいいんじゃよ?」と言ってみたことはあるが「いいえ、リリア先輩の手を煩わせるわけにはいかないので!」と言ってキッパリ断られてしまった。
わしに頼ってこない理由は生来の性格もあるだろうが、どうやらそれだけではないらしい。
歳の差。
どう抗っても一生覆すことのできないこの事実を監督生が気にしているのは明らかだった。
だからこそ、その差を少しでも埋めようと目一杯背伸びしている。
自信を持ってリリアの隣に立つために。
そんな風に自分のために頑張る恋人というのはなんとも健気で可愛らしいが、少しでも頼ったり迷惑をかけたりしたらわしに捨てられるとでも思っておるのじゃろうか。
頼られなさすぎもそれはそれで寂しいものよ。
こうと決めたら一直線に突っ走り柔軟に対応を変えるなんて考えてもいない実直さは時にリリアをもどかしくさせる。
そんなこんなで今日も課題があるとかなんとかで夜の逢瀬を断られてしまった。
「この課題が終わったらいつでも会えるので!!!それまで待っててください!!!」
なんて屈託のない笑顔で言われてしまえばダメなんて言えるわけがない。
課題なんてわしがチョチョイと手伝ったら一発じゃなのにな。
そしたら2人の時間も課題なんかに邪魔されずたっぷり取れるのに。
とはいえ想い人が頑張ると決めたのであれば応援するのが筋というもの。
逢瀬は断れてしまったが顔を見に行くくらいはいいじゃろう。
そうしてリリアは夜も深まったこの時間にこっそりとオンボロ寮に向かうのだ。
***
はて、どうしたのかの。
オンボロ寮に着くといつもなら暗いはずの監督生の部屋に明かりが灯っている。
窓に近づき中を覗くと机に向かって課題をこなす監督生の姿が見えた。
「こんな時間までやっておるのか…」
正直、身体は大丈夫なのか?と心配になる時間だ。
恋人の意思は尊重したいが無理をしているなら話は変わる。
だが直接「無理してないか?」と聞いても「大丈夫です!」としか返ってこなさそうな恋人を想うと、少々苦笑いをするしかないが。
グリムはとっくに眠っているらしく部屋には監督生1人だ。
ふぅとため息をつきそっと窓から部屋の中に入る。
よほど集中しているらしく、わしに気づく気配はない。
そんな監督生を見るとついイタズラ心がむくむくと湧いてくる。
せっかくなら恋人らしいイタズラをと静かに監督生に近づきそっと後ろから抱きしめる。
「頑張るのはいいことじゃがこんな時間までとはあまり感心せんな」
「わっっっ!リリア先輩!」
「くふふ、相変わらずいい反応をするのう」
「びっくりしました!一体どこから…?」
「あそこじゃ」
窓を指差すと「鍵かけてたのに…」なんて言葉が聞こえる。
鍵なんて簡単に開けられるに決まっておろうに、まあ内緒じゃが。
「して、こんな時間まで課題か?」
「そうなんです、なかなか終わらなくて…。」
苦笑いする監督生の顔にはうっすらと隈が浮かんでいる。
この様子だと夜更かしをして課題をこなしていたのは今日だけではないらしい。
いつもは化粧で誤魔化していたのだろうが、いきなりの来訪に対応する術はあいにく持ち合わせていなかったようだ。
隠させてしまった事実と今日まで気づけなかった自分に怒りが湧くがそれは一旦置いておこう。
「疲れた顔をしておるの。少し無理をしているのではないか?」
隈をそっと撫で優しく尋ねる。
「大丈夫です!休むときは休んでいるので、ちょっと隈は出ちゃってるかもですが。」
大丈夫です、か。予想通りの言葉に苦笑するしかない。
誤魔化すように笑っておるが今日ばかりは騙されたフリはしてやれんな。
「1人で頑張るのも大いに結構。じゃが、もう少し頼ってくれると嬉しいのう。」
わしとお主は恋人じゃろう?
そう伝えると何かに耐えるようにきゅっと口を結んでしまった。
やれやれ、強情じゃな。
「これこれそう噛むと切れてしまうぞ。」
頬を手のひらで包みそっと口付けをする。
ふみふみと唇を啄み後頭部をやわやわ揉むと緊張がほぐれたのか身体の力が抜けていく。
されるがままになっている監督生の額におでこをコツンと当て尋ねる。
「そんなにわしは頼りないか?」
そんなことないとぶんぶん首を振る監督生。
「ならば頼ってくれてもよかろう。」
「でも、ダメなんです。これは私が自分でやらなきゃ。
…リリア先輩に頼めばなんでも手伝ってくれるんだろうなって思います。
だけど一度でもそれに甘えてしまったら、私はきっと、最後はリリア先輩に頼めばいいって思うようになっちゃうと思って。
もしそのままズルズル頼ることしかできない自分になってしまったら、私が私でなくなってしまう。それが怖いんです。」
監督生の小さくも凛とした意思のある言葉は時にリリアの想像を超える。
そういうところが愛いのよのう。
「お主のその強さは長所でもあるが、短所でもあるな。もっと柔軟に考えればよい。
自分でできるところはもちろん自分でやれば良い。
じゃがな、明らかに無理をしているとわかるところまで、すべてを1人で抱え込む必要はない。
聡いお主じゃ、流石に今回は無理があったと自覚しておろう?
時には人を頼ることも大切じゃ。わしとか、わしとか、わしとかな。」
そう言ってウィンクしてやると監督生はぷっと吹き出し笑った。
そうじゃお主はそうやって明るく笑っている方が良い。
「わかったか?」
「はい、ご心配おかけしてすみませんでした。」
そう言ってはにかむ姿はなんとも可愛らしくつい目を細めてしまう。
「さて、そしたら寝るかの。
課題とやらはちとズルじゃがわしが後で作っておいてやろう。恋人の特権じゃ。」
ほれほれ寝るぞと監督生の制服を魔法でパジャマに変え、ベッドへ向かう。
いきなりであわあわしている監督生の手を引き寝かせると自分もその横にスルッと入り込む。
「今日は朝まで隣にいよう。ゆっくり休むとよい。」
安心したのかぎゅっと抱きついてきた監督生の額に口付けを落とす。
すぐにすぅすぅと安らかな寝息が聞こてきたのを確かめリリアもゆっくりと眠りについたのであった。
真面目で真っ直ぐ、やると決めたらやり抜く根性と芯の強さを感じる子だが少し頑張りすぎるきらいがある。
まあ頑張るのはいいことじゃが、全部自分1人で抱え込んでしまうからな。
もう少しわしを頼ってくれてもいいんじゃが…。
弱みを見せたくないのかあまりリリアを頼ってくれないのがここ最近、悩みの種である。
一度冗談めかして「もうちょっと頼ってもいいんじゃよ?」と言ってみたことはあるが「いいえ、リリア先輩の手を煩わせるわけにはいかないので!」と言ってキッパリ断られてしまった。
わしに頼ってこない理由は生来の性格もあるだろうが、どうやらそれだけではないらしい。
歳の差。
どう抗っても一生覆すことのできないこの事実を監督生が気にしているのは明らかだった。
だからこそ、その差を少しでも埋めようと目一杯背伸びしている。
自信を持ってリリアの隣に立つために。
そんな風に自分のために頑張る恋人というのはなんとも健気で可愛らしいが、少しでも頼ったり迷惑をかけたりしたらわしに捨てられるとでも思っておるのじゃろうか。
頼られなさすぎもそれはそれで寂しいものよ。
こうと決めたら一直線に突っ走り柔軟に対応を変えるなんて考えてもいない実直さは時にリリアをもどかしくさせる。
そんなこんなで今日も課題があるとかなんとかで夜の逢瀬を断られてしまった。
「この課題が終わったらいつでも会えるので!!!それまで待っててください!!!」
なんて屈託のない笑顔で言われてしまえばダメなんて言えるわけがない。
課題なんてわしがチョチョイと手伝ったら一発じゃなのにな。
そしたら2人の時間も課題なんかに邪魔されずたっぷり取れるのに。
とはいえ想い人が頑張ると決めたのであれば応援するのが筋というもの。
逢瀬は断れてしまったが顔を見に行くくらいはいいじゃろう。
そうしてリリアは夜も深まったこの時間にこっそりとオンボロ寮に向かうのだ。
***
はて、どうしたのかの。
オンボロ寮に着くといつもなら暗いはずの監督生の部屋に明かりが灯っている。
窓に近づき中を覗くと机に向かって課題をこなす監督生の姿が見えた。
「こんな時間までやっておるのか…」
正直、身体は大丈夫なのか?と心配になる時間だ。
恋人の意思は尊重したいが無理をしているなら話は変わる。
だが直接「無理してないか?」と聞いても「大丈夫です!」としか返ってこなさそうな恋人を想うと、少々苦笑いをするしかないが。
グリムはとっくに眠っているらしく部屋には監督生1人だ。
ふぅとため息をつきそっと窓から部屋の中に入る。
よほど集中しているらしく、わしに気づく気配はない。
そんな監督生を見るとついイタズラ心がむくむくと湧いてくる。
せっかくなら恋人らしいイタズラをと静かに監督生に近づきそっと後ろから抱きしめる。
「頑張るのはいいことじゃがこんな時間までとはあまり感心せんな」
「わっっっ!リリア先輩!」
「くふふ、相変わらずいい反応をするのう」
「びっくりしました!一体どこから…?」
「あそこじゃ」
窓を指差すと「鍵かけてたのに…」なんて言葉が聞こえる。
鍵なんて簡単に開けられるに決まっておろうに、まあ内緒じゃが。
「して、こんな時間まで課題か?」
「そうなんです、なかなか終わらなくて…。」
苦笑いする監督生の顔にはうっすらと隈が浮かんでいる。
この様子だと夜更かしをして課題をこなしていたのは今日だけではないらしい。
いつもは化粧で誤魔化していたのだろうが、いきなりの来訪に対応する術はあいにく持ち合わせていなかったようだ。
隠させてしまった事実と今日まで気づけなかった自分に怒りが湧くがそれは一旦置いておこう。
「疲れた顔をしておるの。少し無理をしているのではないか?」
隈をそっと撫で優しく尋ねる。
「大丈夫です!休むときは休んでいるので、ちょっと隈は出ちゃってるかもですが。」
大丈夫です、か。予想通りの言葉に苦笑するしかない。
誤魔化すように笑っておるが今日ばかりは騙されたフリはしてやれんな。
「1人で頑張るのも大いに結構。じゃが、もう少し頼ってくれると嬉しいのう。」
わしとお主は恋人じゃろう?
そう伝えると何かに耐えるようにきゅっと口を結んでしまった。
やれやれ、強情じゃな。
「これこれそう噛むと切れてしまうぞ。」
頬を手のひらで包みそっと口付けをする。
ふみふみと唇を啄み後頭部をやわやわ揉むと緊張がほぐれたのか身体の力が抜けていく。
されるがままになっている監督生の額におでこをコツンと当て尋ねる。
「そんなにわしは頼りないか?」
そんなことないとぶんぶん首を振る監督生。
「ならば頼ってくれてもよかろう。」
「でも、ダメなんです。これは私が自分でやらなきゃ。
…リリア先輩に頼めばなんでも手伝ってくれるんだろうなって思います。
だけど一度でもそれに甘えてしまったら、私はきっと、最後はリリア先輩に頼めばいいって思うようになっちゃうと思って。
もしそのままズルズル頼ることしかできない自分になってしまったら、私が私でなくなってしまう。それが怖いんです。」
監督生の小さくも凛とした意思のある言葉は時にリリアの想像を超える。
そういうところが愛いのよのう。
「お主のその強さは長所でもあるが、短所でもあるな。もっと柔軟に考えればよい。
自分でできるところはもちろん自分でやれば良い。
じゃがな、明らかに無理をしているとわかるところまで、すべてを1人で抱え込む必要はない。
聡いお主じゃ、流石に今回は無理があったと自覚しておろう?
時には人を頼ることも大切じゃ。わしとか、わしとか、わしとかな。」
そう言ってウィンクしてやると監督生はぷっと吹き出し笑った。
そうじゃお主はそうやって明るく笑っている方が良い。
「わかったか?」
「はい、ご心配おかけしてすみませんでした。」
そう言ってはにかむ姿はなんとも可愛らしくつい目を細めてしまう。
「さて、そしたら寝るかの。
課題とやらはちとズルじゃがわしが後で作っておいてやろう。恋人の特権じゃ。」
ほれほれ寝るぞと監督生の制服を魔法でパジャマに変え、ベッドへ向かう。
いきなりであわあわしている監督生の手を引き寝かせると自分もその横にスルッと入り込む。
「今日は朝まで隣にいよう。ゆっくり休むとよい。」
安心したのかぎゅっと抱きついてきた監督生の額に口付けを落とす。
すぐにすぅすぅと安らかな寝息が聞こてきたのを確かめリリアもゆっくりと眠りについたのであった。
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