DMC3
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日本から飛行機に乗って遠路はるばるこの異国の地にやって来た。
気軽な1人旅。
最初は普通に観光地を回っていたが、元々やましい理由から海外旅行を決めた私は今、よく分からない路地に迷い込んでいた。
海外の路地は危ないところも多いと聞く。
ここも人の気配があまりなく、どことなく街の雰囲気がどんよりしている。
絶対やばいよな〜と感じながらもまぁ道も分からないのでとぼとぼ歩いていると、前方から素肌に真っ赤なコートをまとった男性が歩いて来る。
なんで裸!?と思いつつ、少し距離があるにも関わらず彼はなんだかオーラを出していて目が離せない。
段々近づいて顔が見えるようになってくると、そのイケメンぶりがはっきり分かって来た。
鼻筋が通っているのは勿論のこと、地毛かファッションか外人さんにも珍しい銀髪と清流のように澄んだブルーの瞳。
そして、バキバキの鍛え上げらた腹筋…。
これぞ何時間ものフライトを耐えた、私が求めたイケメン!!
おっと、あんまりじろじろ見るのもダメだ。
相手に悟られてしまう。
すれ違い様なんとか誤魔化そうと視線を外したが、すでに遅く。
「お姉さん、どこ見てんだよ?」
「えっ」
「欲求不満か?ヘンタイ」
向こうに認知されてしまって、その綺麗な瞳に私の姿を写してくれた。
彼は私に注意しようとしている割には口角を上げて、どこか楽しげに見える。
そして自身の腹筋をアピールするかのごとく、右手で腰回りのラインをなぞった。
「し、失礼しました!!」
内心「ラッキー!」と思いながら、相手に不快に思われないように申し訳なさそうな顔を作る。
日本でするのと同じく深々とお辞儀も添えて。
「てか、否定しねぇのか」
カラカラと笑うのがかっこいい。
多分何やってもかっこいいけど。
否定?ってなんだろうと遅れて思い返せば、私をヘンタイって言ったことについてだ。
見惚れていたのは間違いないので、否定する気は微塵もなかった。
「あんた、観光客だろ?ならこんなとこにいちゃいけねぇ。俺が安全なとこまで連れてってやるよ」
彼は理解力も寛大さも持ち合わせているらしい。
私の答えを聞く前に、右腕をぎゅっと握って少し身体を引き寄せて来た。
大きくて角張った手が、すでに高まっている私には刺激的で、顔がかっと熱くなる。
美しい顔面との距離も近くなってちょっと慌ててしまう。
「わ、わっ…!」
歩き出そうとしていた彼が私の反応を見て、銀色の眉をむっと寄せた。
その表情が幼く見えて、また心臓が脈打つ。
「腕触っただけで赤くなるか、フツー」
「すみません」
「謝らなくていいぜ別に」
再び安全な場所に誘導してくれようと足を踏み出す彼に、一方で相変わらず私はアホなことを考える。
こんなイケメンに出逢う為にわざわざ海外に来た。
でも、そんな簡単にナンパとかされる訳でもないことを悟った。
今、絶対チャンスでは!?
「…え、えっと!」
「ん?」
綺麗な水色に私の姿が映る。
勇気を出せ、私!
これを逃したら自分好みのイケメンと接触する機会はもうないかもしれない。
両手に力を入れて握り締め、覚悟を決める。
「私、あなたみたいなカッコイイ男性に出逢いたくて旅行に来たんです」
よく言ったと自分を褒めたのと違い、彼の方は目をぱちくりさせた。
やっぱりめちゃくちゃ引かれてるだろうな。
ちょっと素直に言い過ぎた。
もう少しオブラートに包んで言えば良かった。
もしかして軽蔑されているかも知れない、少し細められた瞳さえ素敵だ。
「あー、つまり…ヘンタイってことだよな?」
そうですね、仰る通りです。
勇気出したって願いが叶う訳じゃない。
ダメかー。
私が目蓋を閉じて項垂れた瞬間、今度は腰をぐいっと引き寄せられた。
びっくりして目を見開けば、イケメンのドアップが広がっている。
「いいぜ?なら楽しむか」
彼は右の口角を上げて、何故か私の頭に顔を寄せてきた。
思考が追いつくより先に、左耳を何かで軽く挟まれる。
これはなんだ…!?まさか唇!?
「ひゃあ…っ!」
驚きのあまり辺りに響き渡るほどに叫ぶと、私の反応を楽しむように彼はまた喉を鳴らして笑った。
「すげぇ敏感」
「ちょ、ちょっと待ってください」
「ヘンタイなのに待ったかよ?」
まぁそうなんだけど。
こんな路地でいきなりひとの耳を齧ってくるこの人もどうかと思う。
すっごく嬉しいが、そうじゃない。
そうじゃないんだ。
「せ、せめてホテルとか」
「ヤル気満々じゃねぇか」
「満々ですけど…!」
「やっぱ満々かよ」
相変わらず彼は私の様子を見て笑っている。
段々分かってきたぞ。
彼にその気なんて全くないんだ。
ただ私を揶揄っているだけだ。
私も私でいわゆるロマンス…イケメンとの自然な恋愛を求めてやって来たのは、今間違いだって分かった。
うん、若気の至りってやつだろう。
「すみません。私、本当にふざけてましたね。忘れてください、親切なお兄さん」
現実が悲しくなって来て、今度こそ真面目に謝罪をする。
目に見えてしゅんとしたからか、彼は黙って私を誘導し始めた。
ちょっとだけでも、こうしてイケメンのといい思い出ができたじゃないか。
遠路はるばるやって来て良かった。
この顔、一生忘れないでおこう。
キラキラした銀髪を後ろから見ながら思っていれば、いきなり彼が振り返ってまた私の姿をその青い瞳に映してくれた。
「…あんたの泊まってるホテル、どこだ?滞在中だけなら本気で遊んでやってもいーけど」
マジですか。
喜びつつ、私は彼の言う遊びとやらでヤケドする未来しか見えない。
もしかしたら彼を求めてメンヘラになるかも。
「是非お願いしたいです」
結局口先はストッパーがかからず、気づいたら軽く頭を下げていた。
銀髪の彼は口角を上げにやにやと笑っている。
ああ、神様…
きっと世界一軽いこの契約に未来はありますか?
なんて、悪魔と取引したみたいに天に祈った。
end.
気軽な1人旅。
最初は普通に観光地を回っていたが、元々やましい理由から海外旅行を決めた私は今、よく分からない路地に迷い込んでいた。
海外の路地は危ないところも多いと聞く。
ここも人の気配があまりなく、どことなく街の雰囲気がどんよりしている。
絶対やばいよな〜と感じながらもまぁ道も分からないのでとぼとぼ歩いていると、前方から素肌に真っ赤なコートをまとった男性が歩いて来る。
なんで裸!?と思いつつ、少し距離があるにも関わらず彼はなんだかオーラを出していて目が離せない。
段々近づいて顔が見えるようになってくると、そのイケメンぶりがはっきり分かって来た。
鼻筋が通っているのは勿論のこと、地毛かファッションか外人さんにも珍しい銀髪と清流のように澄んだブルーの瞳。
そして、バキバキの鍛え上げらた腹筋…。
これぞ何時間ものフライトを耐えた、私が求めたイケメン!!
おっと、あんまりじろじろ見るのもダメだ。
相手に悟られてしまう。
すれ違い様なんとか誤魔化そうと視線を外したが、すでに遅く。
「お姉さん、どこ見てんだよ?」
「えっ」
「欲求不満か?ヘンタイ」
向こうに認知されてしまって、その綺麗な瞳に私の姿を写してくれた。
彼は私に注意しようとしている割には口角を上げて、どこか楽しげに見える。
そして自身の腹筋をアピールするかのごとく、右手で腰回りのラインをなぞった。
「し、失礼しました!!」
内心「ラッキー!」と思いながら、相手に不快に思われないように申し訳なさそうな顔を作る。
日本でするのと同じく深々とお辞儀も添えて。
「てか、否定しねぇのか」
カラカラと笑うのがかっこいい。
多分何やってもかっこいいけど。
否定?ってなんだろうと遅れて思い返せば、私をヘンタイって言ったことについてだ。
見惚れていたのは間違いないので、否定する気は微塵もなかった。
「あんた、観光客だろ?ならこんなとこにいちゃいけねぇ。俺が安全なとこまで連れてってやるよ」
彼は理解力も寛大さも持ち合わせているらしい。
私の答えを聞く前に、右腕をぎゅっと握って少し身体を引き寄せて来た。
大きくて角張った手が、すでに高まっている私には刺激的で、顔がかっと熱くなる。
美しい顔面との距離も近くなってちょっと慌ててしまう。
「わ、わっ…!」
歩き出そうとしていた彼が私の反応を見て、銀色の眉をむっと寄せた。
その表情が幼く見えて、また心臓が脈打つ。
「腕触っただけで赤くなるか、フツー」
「すみません」
「謝らなくていいぜ別に」
再び安全な場所に誘導してくれようと足を踏み出す彼に、一方で相変わらず私はアホなことを考える。
こんなイケメンに出逢う為にわざわざ海外に来た。
でも、そんな簡単にナンパとかされる訳でもないことを悟った。
今、絶対チャンスでは!?
「…え、えっと!」
「ん?」
綺麗な水色に私の姿が映る。
勇気を出せ、私!
これを逃したら自分好みのイケメンと接触する機会はもうないかもしれない。
両手に力を入れて握り締め、覚悟を決める。
「私、あなたみたいなカッコイイ男性に出逢いたくて旅行に来たんです」
よく言ったと自分を褒めたのと違い、彼の方は目をぱちくりさせた。
やっぱりめちゃくちゃ引かれてるだろうな。
ちょっと素直に言い過ぎた。
もう少しオブラートに包んで言えば良かった。
もしかして軽蔑されているかも知れない、少し細められた瞳さえ素敵だ。
「あー、つまり…ヘンタイってことだよな?」
そうですね、仰る通りです。
勇気出したって願いが叶う訳じゃない。
ダメかー。
私が目蓋を閉じて項垂れた瞬間、今度は腰をぐいっと引き寄せられた。
びっくりして目を見開けば、イケメンのドアップが広がっている。
「いいぜ?なら楽しむか」
彼は右の口角を上げて、何故か私の頭に顔を寄せてきた。
思考が追いつくより先に、左耳を何かで軽く挟まれる。
これはなんだ…!?まさか唇!?
「ひゃあ…っ!」
驚きのあまり辺りに響き渡るほどに叫ぶと、私の反応を楽しむように彼はまた喉を鳴らして笑った。
「すげぇ敏感」
「ちょ、ちょっと待ってください」
「ヘンタイなのに待ったかよ?」
まぁそうなんだけど。
こんな路地でいきなりひとの耳を齧ってくるこの人もどうかと思う。
すっごく嬉しいが、そうじゃない。
そうじゃないんだ。
「せ、せめてホテルとか」
「ヤル気満々じゃねぇか」
「満々ですけど…!」
「やっぱ満々かよ」
相変わらず彼は私の様子を見て笑っている。
段々分かってきたぞ。
彼にその気なんて全くないんだ。
ただ私を揶揄っているだけだ。
私も私でいわゆるロマンス…イケメンとの自然な恋愛を求めてやって来たのは、今間違いだって分かった。
うん、若気の至りってやつだろう。
「すみません。私、本当にふざけてましたね。忘れてください、親切なお兄さん」
現実が悲しくなって来て、今度こそ真面目に謝罪をする。
目に見えてしゅんとしたからか、彼は黙って私を誘導し始めた。
ちょっとだけでも、こうしてイケメンのといい思い出ができたじゃないか。
遠路はるばるやって来て良かった。
この顔、一生忘れないでおこう。
キラキラした銀髪を後ろから見ながら思っていれば、いきなり彼が振り返ってまた私の姿をその青い瞳に映してくれた。
「…あんたの泊まってるホテル、どこだ?滞在中だけなら本気で遊んでやってもいーけど」
マジですか。
喜びつつ、私は彼の言う遊びとやらでヤケドする未来しか見えない。
もしかしたら彼を求めてメンヘラになるかも。
「是非お願いしたいです」
結局口先はストッパーがかからず、気づいたら軽く頭を下げていた。
銀髪の彼は口角を上げにやにやと笑っている。
ああ、神様…
きっと世界一軽いこの契約に未来はありますか?
なんて、悪魔と取引したみたいに天に祈った。
end.
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