Charlotte
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俺に、妹ができた。
今までずっと弟だったから、変な気持ちだ。
俺たちとは違って、黒髪で黒い瞳の小さな女の子。
バージルは本ばっかりで俺に構ってくれないこともあったから、遊び相手がひとり増えて、嬉しくもあった。
女の子だから、剣の稽古とかはできない。
ちょっと物足りないのもあったけど、一緒に花を摘んだりして遊ぶようになった。
今日も、バージルはひとり残して外で遊んでいた。
「ダンテ!見て見て、よつば!」
そう言って駆け寄ってくる妹は、母さんとはまた違って、なんだか俺の胸の奥をあったかくする。
「おー!すげぇな!俺も負けないからな!」
「じゃあダンテ!競争しよ!」
「わかった!見てろよ!」
競争するっていうのは今までバージルとよくやっていて、同じような気持ちで夢中で地面を這って探し始める。
自分のことばっかりで、足音でなんとなく俺から離れていったのはわかっていた。
だけど突然、どてっと大きな音がしてやっと頭を上げてそっちを見ると、盛大に転んでいる。
「あーあ、走り回るからだぞ」
遠目に見たままでそう言えば、起き上がることもなくそのままぴーぴー泣き出した。
バージルとは喧嘩したってバージルが泣くことなんてなくて、同じような感覚でいた。
仕方ないなと思いながら近づいて、そっと起こしてやる。
「ダンテ…!痛い…っ…!」
縋り付いてくるのを見ると両方の膝を擦りむいて、血が出てる上に土も付いていた。
「大丈夫だって…これくらいすぐ治るから」
俺は泣いている妹の手を引いて、家のわきの蛇口をひねって、水で流し始める。
傷口が染みるのか益々大声で泣き出して、だけど、傷はどれだけ経っても塞がらなくて。
やっと。
やっと妹が人間だって、俺たちとは違って傷が塞がらないんだって、気づく。
そっか…。
もっと、俺が気を付けてれば良かったんだ。
そしたら、こんな風に怪我させなかったのに。
蛇口の水を止めて、泣き喚く妹の頭にできるだけそっと、手を乗せた。
「ごめんな…ちょっと、待ってろ。今母さん呼んでくるから」
「ヤダ!!ダンテ、行っちゃダメ!」
「そう言っても…」
じゃあどうすればいいのか、全然わからない。
バージルがいつだか言ってたみたいに、魔法とか使えたらいいのに。
そしたら、一瞬で足の傷なんて治してやる。
「それなら…一緒に歩けるか?足、大丈夫?」
ちょっと考えて、出した答えはこれだった。
俺が行くのが嫌なら、一緒に母さんのところに行くしかない。
「…うん…っ…一緒に、行く…」
「よし。いい子だな」
大粒の涙を流して何度も頷く妹を、なんだか、すごく頑張ってるなと感心する。
もともと転んだのはこいつのせいなんだけど、小さいから、そんなこと言ったってどうしようもない。
頭をぽんぽんして、寄り添いながら2人して母さんのところまで歩く。
俺もちゃんと、「お兄ちゃん」できるかな。
これからは、俺も「お兄ちゃん」なんだからな…。
ちょっと背筋をぴんとして、握った手に力を入れた。
end.
今までずっと弟だったから、変な気持ちだ。
俺たちとは違って、黒髪で黒い瞳の小さな女の子。
バージルは本ばっかりで俺に構ってくれないこともあったから、遊び相手がひとり増えて、嬉しくもあった。
女の子だから、剣の稽古とかはできない。
ちょっと物足りないのもあったけど、一緒に花を摘んだりして遊ぶようになった。
今日も、バージルはひとり残して外で遊んでいた。
「ダンテ!見て見て、よつば!」
そう言って駆け寄ってくる妹は、母さんとはまた違って、なんだか俺の胸の奥をあったかくする。
「おー!すげぇな!俺も負けないからな!」
「じゃあダンテ!競争しよ!」
「わかった!見てろよ!」
競争するっていうのは今までバージルとよくやっていて、同じような気持ちで夢中で地面を這って探し始める。
自分のことばっかりで、足音でなんとなく俺から離れていったのはわかっていた。
だけど突然、どてっと大きな音がしてやっと頭を上げてそっちを見ると、盛大に転んでいる。
「あーあ、走り回るからだぞ」
遠目に見たままでそう言えば、起き上がることもなくそのままぴーぴー泣き出した。
バージルとは喧嘩したってバージルが泣くことなんてなくて、同じような感覚でいた。
仕方ないなと思いながら近づいて、そっと起こしてやる。
「ダンテ…!痛い…っ…!」
縋り付いてくるのを見ると両方の膝を擦りむいて、血が出てる上に土も付いていた。
「大丈夫だって…これくらいすぐ治るから」
俺は泣いている妹の手を引いて、家のわきの蛇口をひねって、水で流し始める。
傷口が染みるのか益々大声で泣き出して、だけど、傷はどれだけ経っても塞がらなくて。
やっと。
やっと妹が人間だって、俺たちとは違って傷が塞がらないんだって、気づく。
そっか…。
もっと、俺が気を付けてれば良かったんだ。
そしたら、こんな風に怪我させなかったのに。
蛇口の水を止めて、泣き喚く妹の頭にできるだけそっと、手を乗せた。
「ごめんな…ちょっと、待ってろ。今母さん呼んでくるから」
「ヤダ!!ダンテ、行っちゃダメ!」
「そう言っても…」
じゃあどうすればいいのか、全然わからない。
バージルがいつだか言ってたみたいに、魔法とか使えたらいいのに。
そしたら、一瞬で足の傷なんて治してやる。
「それなら…一緒に歩けるか?足、大丈夫?」
ちょっと考えて、出した答えはこれだった。
俺が行くのが嫌なら、一緒に母さんのところに行くしかない。
「…うん…っ…一緒に、行く…」
「よし。いい子だな」
大粒の涙を流して何度も頷く妹を、なんだか、すごく頑張ってるなと感心する。
もともと転んだのはこいつのせいなんだけど、小さいから、そんなこと言ったってどうしようもない。
頭をぽんぽんして、寄り添いながら2人して母さんのところまで歩く。
俺もちゃんと、「お兄ちゃん」できるかな。
これからは、俺も「お兄ちゃん」なんだからな…。
ちょっと背筋をぴんとして、握った手に力を入れた。
end.