Charlotte
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瓜2つの双子の兄弟に、小さな妹ができた。
髪は漆黒で、瞳も同じようにきれいな黒だった。
対して双子の髪色は、銀。
彼らと妹は、血が繋がっていなかった。
彼女は、彼らの父親が日本で引き取ってきたのだ。
初め、怯えた瞳で何も言えずに震えている彼女を見て、双子の弟が言った。
「バージルが睨むから怯えてる」
「俺は睨んでなんていない」
兄はむっとしながら弟をぎろりと見つめる。
否定されたもののその様は文字通り睨んでいたので、弟はにやにやと笑ってしまった。
2人はいつもこんな、仲がいいのか悪いのかよくわからないやりとりをしていた。
そっくりなお互いの姿が少し疎ましい気持ちが、見えないどこかにあったのかもしれない。
いつもなら喧嘩に発展しかねない雰囲気を壊したのは、先程紹介されたばかりの「妹」だった。
彼女の瞳は相変わらずに戸惑いの色をしていて、兄がとうとうそれを見兼ねたのだ。
「…ダンテ。本屋で、ABCの本を買ってこい」
「は?なんで?今更ABCなんて、頭おかしくなったのか?」
「俺じゃない。こいつだ」
こいつ、と言うのは幼い妹のこと。
ここは、英語圏の国。
日本からやって来た彼女が言葉を理解できずに不安なのは、兄には想像ができた。
「…俺だけじゃイヤだから、皆で行こうぜ。こいつに選ばせればいいし」
面倒くさがりの弟。
でも、「皆で行こう」と言ったのはきっと彼なりの優しさだから、兄は口元を釣り上げた。
「ほら、一緒に行こう」
2人がしゃがみこんで手を伸ばせば、妹は微かに笑う。
「こいつ、笑うと可愛いな。ほら、バージル!俺たちも笑えばきっと満面の笑顔だぜ!?」
「そ、そうか…」
普段からよく笑う弟のそれと、あまり笑わない兄の引きつったそれ。
それでも、彼女は花のような笑顔を見せてくれた。
「…おにいちゃん」
日本語で言ったそれが、双子に伝わったかはわからない。
だけど妹の微笑みだけで、心が暖かくなるような気がしていた。
彼らは妹の左右の手をそれぞれ握り、本屋へと出掛けた。
end.
髪は漆黒で、瞳も同じようにきれいな黒だった。
対して双子の髪色は、銀。
彼らと妹は、血が繋がっていなかった。
彼女は、彼らの父親が日本で引き取ってきたのだ。
初め、怯えた瞳で何も言えずに震えている彼女を見て、双子の弟が言った。
「バージルが睨むから怯えてる」
「俺は睨んでなんていない」
兄はむっとしながら弟をぎろりと見つめる。
否定されたもののその様は文字通り睨んでいたので、弟はにやにやと笑ってしまった。
2人はいつもこんな、仲がいいのか悪いのかよくわからないやりとりをしていた。
そっくりなお互いの姿が少し疎ましい気持ちが、見えないどこかにあったのかもしれない。
いつもなら喧嘩に発展しかねない雰囲気を壊したのは、先程紹介されたばかりの「妹」だった。
彼女の瞳は相変わらずに戸惑いの色をしていて、兄がとうとうそれを見兼ねたのだ。
「…ダンテ。本屋で、ABCの本を買ってこい」
「は?なんで?今更ABCなんて、頭おかしくなったのか?」
「俺じゃない。こいつだ」
こいつ、と言うのは幼い妹のこと。
ここは、英語圏の国。
日本からやって来た彼女が言葉を理解できずに不安なのは、兄には想像ができた。
「…俺だけじゃイヤだから、皆で行こうぜ。こいつに選ばせればいいし」
面倒くさがりの弟。
でも、「皆で行こう」と言ったのはきっと彼なりの優しさだから、兄は口元を釣り上げた。
「ほら、一緒に行こう」
2人がしゃがみこんで手を伸ばせば、妹は微かに笑う。
「こいつ、笑うと可愛いな。ほら、バージル!俺たちも笑えばきっと満面の笑顔だぜ!?」
「そ、そうか…」
普段からよく笑う弟のそれと、あまり笑わない兄の引きつったそれ。
それでも、彼女は花のような笑顔を見せてくれた。
「…おにいちゃん」
日本語で言ったそれが、双子に伝わったかはわからない。
だけど妹の微笑みだけで、心が暖かくなるような気がしていた。
彼らは妹の左右の手をそれぞれ握り、本屋へと出掛けた。
end.
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