【第3章】皆で叩く現実の扉
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Vとシャドウはともかく、あのグリフォンも空気を読んでか、じっとしたまま私に心の整理をする時間をくれた。
すっかり夜になって、激しい雨もようやく止んだようで音もしなくなった。
「アリア」
とうとう痺れを切らしたのか、Vが私の顔を覗き込んで来る。
少し眉を寄せていて、そこで自分がした態度を反省し始めた。
本当のことを話すのに色々悩んだりもあっただろうし、私がずっとだんまりだったのはVを不安にさせるには十分だったはずだから。
「…やはり、ショックか」
思った通りの発言に、頭をゆっくり左右に振った。
「ショックというか…皆、ひとりから生まれた存在だってことだよね」
この街に悪魔が現れてから、人ならざるものの存在を否が応でも感じることになった。
スパーダの伝説が本当で、閻魔刀が不思議な力を持っていて…。
「私、最初皆の存在が何なのか気になってたし、今全部わかって納得した…みたいにはなってる」
私の前にいるこの人は、つまりスパーダの息子で、でもその中の一部。
悪魔と人間の、人間の部分。
また「ひとり」に戻ったらVとしての記憶や意識は、どうなるのか全くわからない。
だから今まで、Vは自分のことを曖昧な表現で話していたんだ。
もし「その時」私を忘れていて、たとえばもう2度と会うことがなかったとしても…。
というか最初の頃はそうだと思っていたけれど。
私はずっと、今を覚えている。
皆に以前誓ったように。
黒髪と緑色の瞳を改めて目に焼き付ければ、Vが薄く微笑む。
「V…って、呼んでいいのかな」
「ああ…勿論。俺の今の名だ」
スパーダの息子としての、きちんとした名前がきっとあるだろう。
でも、今では自分の存在を「V」としても認めているみたいにも見える。
私たちは1ヶ月で終わらないと、最近Vも言ってくれるようになった。
この先の結果がどうあれ、そんな気持ちの変化自体が、今後の私にとって何よりの生きる糧になるのを感じている。
「Vが私に…全ての秘密を話してくれたのが…すごく嬉しい」
にっこり微笑んだら、今まで黙って様子を見ていたグリフォンが、ようやく口を開いた。
「そーだなァ!こいつは今も昔も必要じゃねェことはしない主義だ!アリアは胸を張っていい!」
シャドウも座ったままの私の足に身体を擦り付け、Vがまた穏やかな口調で囁く。
「ここまで来て、俺はお前に全てを話したいと思った。この俺という存在がなんなのかを」
「V…ありがとう」
「礼はいらない…アリアにただ伝えたかった。損得勘定抜きにそう思った」
心の中の深いところに私を置いてくれた気がして、もっと欲が出てしまう。
ここまで来てもただの1度も出なかった「それ」を、知りたい。
「V」が好きで、やっぱり知っておきたい。
「今…改めて聞いてもいい?あなたの、本当の名前は何…?」
「俺の、名前は…」
少しだけ震える唇で問えば、Vは視線を落としてからしっかりと答えてくれる。
「バージル」
【VERGIL】
初めて聞いた本当の名前を、私はすぐに繰り返してみた。
そうか。バージルって言うんだ。
私たちがもしこの先再会できたら、「彼」をなんて呼ぼう。
なんて呼ばれるのが嬉しいのかな。
未来をちょっと想像した時、グリフォンが大声で笑った。
「アリアよォ!それで偽名考える時にVって安直過ぎると思わねェ!?」
「うるさい、相変わらず口が減らないな」
すかさず睨み付けるVに、私も思わずくすくす笑ってしまう。
でもVの機嫌を損ねたくないし、すぐに我慢する。
今のVに出逢えて、本当に良かった。
Vが生まれなければ、きっと私はバージルさんには一生出逢えていない。
Vが信じてくれているように、未来にもこの縁が繋がっていてほしい。
end.
すっかり夜になって、激しい雨もようやく止んだようで音もしなくなった。
「アリア」
とうとう痺れを切らしたのか、Vが私の顔を覗き込んで来る。
少し眉を寄せていて、そこで自分がした態度を反省し始めた。
本当のことを話すのに色々悩んだりもあっただろうし、私がずっとだんまりだったのはVを不安にさせるには十分だったはずだから。
「…やはり、ショックか」
思った通りの発言に、頭をゆっくり左右に振った。
「ショックというか…皆、ひとりから生まれた存在だってことだよね」
この街に悪魔が現れてから、人ならざるものの存在を否が応でも感じることになった。
スパーダの伝説が本当で、閻魔刀が不思議な力を持っていて…。
「私、最初皆の存在が何なのか気になってたし、今全部わかって納得した…みたいにはなってる」
私の前にいるこの人は、つまりスパーダの息子で、でもその中の一部。
悪魔と人間の、人間の部分。
また「ひとり」に戻ったらVとしての記憶や意識は、どうなるのか全くわからない。
だから今まで、Vは自分のことを曖昧な表現で話していたんだ。
もし「その時」私を忘れていて、たとえばもう2度と会うことがなかったとしても…。
というか最初の頃はそうだと思っていたけれど。
私はずっと、今を覚えている。
皆に以前誓ったように。
黒髪と緑色の瞳を改めて目に焼き付ければ、Vが薄く微笑む。
「V…って、呼んでいいのかな」
「ああ…勿論。俺の今の名だ」
スパーダの息子としての、きちんとした名前がきっとあるだろう。
でも、今では自分の存在を「V」としても認めているみたいにも見える。
私たちは1ヶ月で終わらないと、最近Vも言ってくれるようになった。
この先の結果がどうあれ、そんな気持ちの変化自体が、今後の私にとって何よりの生きる糧になるのを感じている。
「Vが私に…全ての秘密を話してくれたのが…すごく嬉しい」
にっこり微笑んだら、今まで黙って様子を見ていたグリフォンが、ようやく口を開いた。
「そーだなァ!こいつは今も昔も必要じゃねェことはしない主義だ!アリアは胸を張っていい!」
シャドウも座ったままの私の足に身体を擦り付け、Vがまた穏やかな口調で囁く。
「ここまで来て、俺はお前に全てを話したいと思った。この俺という存在がなんなのかを」
「V…ありがとう」
「礼はいらない…アリアにただ伝えたかった。損得勘定抜きにそう思った」
心の中の深いところに私を置いてくれた気がして、もっと欲が出てしまう。
ここまで来てもただの1度も出なかった「それ」を、知りたい。
「V」が好きで、やっぱり知っておきたい。
「今…改めて聞いてもいい?あなたの、本当の名前は何…?」
「俺の、名前は…」
少しだけ震える唇で問えば、Vは視線を落としてからしっかりと答えてくれる。
「バージル」
【VERGIL】
初めて聞いた本当の名前を、私はすぐに繰り返してみた。
そうか。バージルって言うんだ。
私たちがもしこの先再会できたら、「彼」をなんて呼ぼう。
なんて呼ばれるのが嬉しいのかな。
未来をちょっと想像した時、グリフォンが大声で笑った。
「アリアよォ!それで偽名考える時にVって安直過ぎると思わねェ!?」
「うるさい、相変わらず口が減らないな」
すかさず睨み付けるVに、私も思わずくすくす笑ってしまう。
でもVの機嫌を損ねたくないし、すぐに我慢する。
今のVに出逢えて、本当に良かった。
Vが生まれなければ、きっと私はバージルさんには一生出逢えていない。
Vが信じてくれているように、未来にもこの縁が繋がっていてほしい。
end.