DMC4
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森の中の小さな家。
お昼になると優しく木洩れ日が差し込む。
まるでおとぎ話に出て来そうな可愛らしい住まいが私の家だということが、いまだに少し慣れなかった。
「ネロー!」
ネロというのは、私の息子。
銀髪で透き通るブルーの瞳を持つ彼はまるで天使みたいな容姿で、本当に私から生まれたのか信じられないことが偶にある。
ネロには兄弟がいないから、ひとりで遊んでいることがほとんどで、知らないうちに色々なところに行ってしまう。
今日も、私はネロを探し回っていた。
家の中にはいなくて、外に出てみる。
「ネロ…もう、どこ?」
ドアを開けたところで、ネロはひょっこり顔を出し私の身体にすがった。
「母さん」
「ネロ!」
薔薇色の頬で微笑む彼は、頭に草花で編んだ冠を被っている。
「作ったの?」
「うん」
「器用ね」
誰に似たのかネロは小さいのにとても器用で、驚かされることがよくあった。
私はネロにできるだけ優しく微笑んで、彼の頭を撫でた。
「作り方教えてくれる?」
「いいよ」
ネロは私の手を引いて、森の中に少し入っていく。
案内された場所には日の光が木の隙間からきらきらと差し込んで、色とりどりの花が咲き誇っている。
天使みたいな子は現実から離れた幻想的な場所を見つけるのも得意なんだなと、ぼんやり思った。
「すごく綺麗なところね、ネロ。こんな場所があるなんて知らなかった」
「僕のお気に入りの場所なんだ!」
そう言って笑う彼は、やっぱり背中に羽根が生えているようにも見えて。
私はネロと一緒に花畑の中にしゃがみこみ、ネロは私のために花を数本摘んだ。
「よく見てて」
彼の幼いながら丁寧な説明に、どうにも不器用な私は、頭が混乱してしまう。
母さんの番だよと渡された作り始めの花冠を、壊さないように気を遣うだけでいっぱいいっぱいだ。
「父さん…!」
私の手元を見つめていたネロは、突然そう叫んで立ち上がり、走り出した。
彼の行った方向に視線をやると、彼と同じように銀髪で透き通るブルーの瞳の、私の夫が立っている。
「ここにいたのか」
「…バージル」
ネロは彼の身体に抱き付いて、彼は大きな手でネロの頭をひと撫でした。
その表情は優しい仕草とは逆に、私がよく知っている眉ひとつ動かさないものだ。
こうして夫婦になった今でも、私は彼の瞳に見られると緊張してしまう瞬間がある。
「ただいま」
「…お帰りなさい」
バージルが少しだけ目を細めて帰宅を告げるものだから、どきどきしながら返事をした。
「父さん、母さんと冠作ってたんだよ」
ネロは説明し、私の側に戻ってさっきひとりで編み上げた花冠を両手に持った。
彼はバージルのことを父親としてとても尊敬しているから、褒められたくて堪らないみたいだ。
バージルは静かに私たちに歩み寄り、しゃがみ込んでネロの花冠をその手に納めた。
「とても器用だな、ネロは」
そう言って息子の頭をゆっくり撫でる彼の瞳は、慈しみに満ちていて、まさに父親そのものだ。
私の心臓は勝手にどきりと高鳴った。
「…お前はやっぱり作れないのか、ノア」
「え?」
突然私の方に話題を振られ、持っていた作りかけの花冠を見たバージルがくすっと笑う。
私が不器用なのはもう家族の中でわかりきったことだけど、少し恥ずかしくなってくる。
「貸してみろ」
「あ…」
バージルは私の花冠を奪うと、続きをゆっくりと編み上げてみせた。
まさかバージルができるなんて思っていなかった私は目を見開いて、ネロは感嘆の声を上げる。
「なんか、意外」
「馬鹿にしてるのか?」
そう言うも、表情は私の知っているそれより優しくて、私はまたどきどきしてきた。
一応夫なのにまだ緊張するのは、バージルが以前より穏やかになってきたから。
愛されている実感のようなものが湧いてきて、少し照れくさい。
「ほら、できたぞ」
「わぁ、お姫様みたい!」
バージルは私の頭に完成した花冠を乗せ、ネロが薔薇色の頬で褒めてくれる。
私は自然と笑顔になった。胸がとても温かい。
「お揃いだね、母さん」
「そうね、ネロ」
ネロも自分が作った花冠を被って微笑む。
こんな綺麗な場所で、バージルと、天使みたいな息子と、ささやかな時間を過ごしている。
信じれないほどの、現実に起こっている時間。
私たちは、3人揃って小さな家に戻った。
リビングに向かって紅茶を入れる準備を始めると、バージルがソファに座っていて側にネロが駆け寄ってくる。
「父さん」
「ああ…ここに座れ、ネロ」
バージルはネロを膝に乗せ、絵本を開く。
読み聞かせしてあげるんだ。あのバージルが。
前の彼を知っている分、私はまた優しい彼の一面に触れて、ときめいてしまった。
紅茶を入れて2人のところに行けば、ネロは疲れたのかバージルの膝の上で寝息を立てていた。
「ネロ、寝ちゃったのね…」
私の囁きに、バージルはネロの髪をさらりと撫で口角を吊り上げる。
自分の息子が可愛くて仕方ないと言った風だ。
「ノア」
不意に名前を呼ばれ、バージルと目線は合わないのにどきりとする。
「今お前は幸せか?」
「多分、とても」
「そうか、良かった」
自然と、幸せだと。
素直に思うことができて。
2人でネロの寝顔をしばらく見つめていた。
end.
お昼になると優しく木洩れ日が差し込む。
まるでおとぎ話に出て来そうな可愛らしい住まいが私の家だということが、いまだに少し慣れなかった。
「ネロー!」
ネロというのは、私の息子。
銀髪で透き通るブルーの瞳を持つ彼はまるで天使みたいな容姿で、本当に私から生まれたのか信じられないことが偶にある。
ネロには兄弟がいないから、ひとりで遊んでいることがほとんどで、知らないうちに色々なところに行ってしまう。
今日も、私はネロを探し回っていた。
家の中にはいなくて、外に出てみる。
「ネロ…もう、どこ?」
ドアを開けたところで、ネロはひょっこり顔を出し私の身体にすがった。
「母さん」
「ネロ!」
薔薇色の頬で微笑む彼は、頭に草花で編んだ冠を被っている。
「作ったの?」
「うん」
「器用ね」
誰に似たのかネロは小さいのにとても器用で、驚かされることがよくあった。
私はネロにできるだけ優しく微笑んで、彼の頭を撫でた。
「作り方教えてくれる?」
「いいよ」
ネロは私の手を引いて、森の中に少し入っていく。
案内された場所には日の光が木の隙間からきらきらと差し込んで、色とりどりの花が咲き誇っている。
天使みたいな子は現実から離れた幻想的な場所を見つけるのも得意なんだなと、ぼんやり思った。
「すごく綺麗なところね、ネロ。こんな場所があるなんて知らなかった」
「僕のお気に入りの場所なんだ!」
そう言って笑う彼は、やっぱり背中に羽根が生えているようにも見えて。
私はネロと一緒に花畑の中にしゃがみこみ、ネロは私のために花を数本摘んだ。
「よく見てて」
彼の幼いながら丁寧な説明に、どうにも不器用な私は、頭が混乱してしまう。
母さんの番だよと渡された作り始めの花冠を、壊さないように気を遣うだけでいっぱいいっぱいだ。
「父さん…!」
私の手元を見つめていたネロは、突然そう叫んで立ち上がり、走り出した。
彼の行った方向に視線をやると、彼と同じように銀髪で透き通るブルーの瞳の、私の夫が立っている。
「ここにいたのか」
「…バージル」
ネロは彼の身体に抱き付いて、彼は大きな手でネロの頭をひと撫でした。
その表情は優しい仕草とは逆に、私がよく知っている眉ひとつ動かさないものだ。
こうして夫婦になった今でも、私は彼の瞳に見られると緊張してしまう瞬間がある。
「ただいま」
「…お帰りなさい」
バージルが少しだけ目を細めて帰宅を告げるものだから、どきどきしながら返事をした。
「父さん、母さんと冠作ってたんだよ」
ネロは説明し、私の側に戻ってさっきひとりで編み上げた花冠を両手に持った。
彼はバージルのことを父親としてとても尊敬しているから、褒められたくて堪らないみたいだ。
バージルは静かに私たちに歩み寄り、しゃがみ込んでネロの花冠をその手に納めた。
「とても器用だな、ネロは」
そう言って息子の頭をゆっくり撫でる彼の瞳は、慈しみに満ちていて、まさに父親そのものだ。
私の心臓は勝手にどきりと高鳴った。
「…お前はやっぱり作れないのか、ノア」
「え?」
突然私の方に話題を振られ、持っていた作りかけの花冠を見たバージルがくすっと笑う。
私が不器用なのはもう家族の中でわかりきったことだけど、少し恥ずかしくなってくる。
「貸してみろ」
「あ…」
バージルは私の花冠を奪うと、続きをゆっくりと編み上げてみせた。
まさかバージルができるなんて思っていなかった私は目を見開いて、ネロは感嘆の声を上げる。
「なんか、意外」
「馬鹿にしてるのか?」
そう言うも、表情は私の知っているそれより優しくて、私はまたどきどきしてきた。
一応夫なのにまだ緊張するのは、バージルが以前より穏やかになってきたから。
愛されている実感のようなものが湧いてきて、少し照れくさい。
「ほら、できたぞ」
「わぁ、お姫様みたい!」
バージルは私の頭に完成した花冠を乗せ、ネロが薔薇色の頬で褒めてくれる。
私は自然と笑顔になった。胸がとても温かい。
「お揃いだね、母さん」
「そうね、ネロ」
ネロも自分が作った花冠を被って微笑む。
こんな綺麗な場所で、バージルと、天使みたいな息子と、ささやかな時間を過ごしている。
信じれないほどの、現実に起こっている時間。
私たちは、3人揃って小さな家に戻った。
リビングに向かって紅茶を入れる準備を始めると、バージルがソファに座っていて側にネロが駆け寄ってくる。
「父さん」
「ああ…ここに座れ、ネロ」
バージルはネロを膝に乗せ、絵本を開く。
読み聞かせしてあげるんだ。あのバージルが。
前の彼を知っている分、私はまた優しい彼の一面に触れて、ときめいてしまった。
紅茶を入れて2人のところに行けば、ネロは疲れたのかバージルの膝の上で寝息を立てていた。
「ネロ、寝ちゃったのね…」
私の囁きに、バージルはネロの髪をさらりと撫で口角を吊り上げる。
自分の息子が可愛くて仕方ないと言った風だ。
「ノア」
不意に名前を呼ばれ、バージルと目線は合わないのにどきりとする。
「今お前は幸せか?」
「多分、とても」
「そうか、良かった」
自然と、幸せだと。
素直に思うことができて。
2人でネロの寝顔をしばらく見つめていた。
end.
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