Dark Chocolate
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ねぇ、ダンテ。
あなたが私に会うのを避けてるって、さすがの私も気づいてるの。
もう子どもじゃないし、何度も同じような台詞で断られたら誰でもきっとわかっちゃうよ?
血の繋がらない私の兄ダンテは、昔はとても私に優しくしてくれた。
それこそ、ダンテは私の「ヒーロー」だった。
だけどいつからか、ダンテが私に向ける表情は、どこか曇っていた。
いつからだろう。
ああ、多分、私が学校を卒業してから…。
どうしてなの?
私は、ダンテがずっと心の支えだった。
私に向けてくれる笑顔は自惚れかもしれないけど、永遠に私のものだと思ってた。
私がめげずにダンテに電話するのは、その自惚れがいまだに嘘だと思いたくないから。
10月。
ニュースで連日流れていた大樹と悪魔の話は、もうほとんどなくなった。
多分、あそこにダンテはいたんだと思う。
消滅したという知らせを聞いて、私は真っ先にダンテの事務所に電話したけれど、誰も出なかったのを思い出す。
ダンテ…無事だといいな。
私はいつも着ていた赤を頭に浮かべて、引っ越し用のダンボールと再び向き合った。
今日からまた、新しい生活の始まりなんだからちゃんと切り替えなきゃ。
それにもしダンテと会えたら、また私の人生は変わるかもしれない。
やる気を出したところで、引き裂くように電話が鳴る。
ちゃんと新居に繋がるようにしておいたけれど、早々に誰だろう?
受話器を取ると、ずっと聞きたかった声に、自分の心臓が勝手にどくんと脈打った。
「エリ…?」
「久しぶり…ダンテ」
最初に、生きていたんだと思った。
その後、ダンテから電話をかけてくれるのは、いつ以来だろうと考えた。
「私、また電話したんだよ。お仕事大変だったみたいだね」
ダンテが話す気配がないから、私はそのまま続ける。
「あの、大きな木が関係あるんでしょう?生きててくれて、良かった…」
「エリ…心配かけたみたいだな」
それはそうだよ。
あんなに連日ニュースでやっていた事件なんだから。
さすがのダンテも、しかも電話も繋がらないし、だめかと思っちゃった。
「なぁ…久しぶりに、会わないか?」
「え…?」
会わないか、なんて。
ダンテから言ってくれるの、いつぶり?
だから、自然と声が出てしまう。
「実はサプライズも用意してるんだ」
サプライズ?
そんなもの用意しなくても、ダンテがこうして私に会ってくれることが、何よりもサプライズだ。
「うん…行く」
「良かった…今からすげぇ楽しみだぜ」
「私も…」
ダンテの声が、私の返事を受けて色を帯びる。
それが嬉しくて、昔よく一緒にカフェでストロベリーサンデーを食べた記憶が、蘇ってきた。
「…ねぇ、ダンテ。私たち、どれくらい会ってないか知ってる?」
「え…」
「10年だよ、10年。早く会いたいな、ダンテに」
私はダンテとの電話で、久しぶりに心から微笑んだ。
私の「ヒーロー」に、時を越えて会える。
それは私を、まるで少女みたいにときめかせた。
end.
あなたが私に会うのを避けてるって、さすがの私も気づいてるの。
もう子どもじゃないし、何度も同じような台詞で断られたら誰でもきっとわかっちゃうよ?
血の繋がらない私の兄ダンテは、昔はとても私に優しくしてくれた。
それこそ、ダンテは私の「ヒーロー」だった。
だけどいつからか、ダンテが私に向ける表情は、どこか曇っていた。
いつからだろう。
ああ、多分、私が学校を卒業してから…。
どうしてなの?
私は、ダンテがずっと心の支えだった。
私に向けてくれる笑顔は自惚れかもしれないけど、永遠に私のものだと思ってた。
私がめげずにダンテに電話するのは、その自惚れがいまだに嘘だと思いたくないから。
10月。
ニュースで連日流れていた大樹と悪魔の話は、もうほとんどなくなった。
多分、あそこにダンテはいたんだと思う。
消滅したという知らせを聞いて、私は真っ先にダンテの事務所に電話したけれど、誰も出なかったのを思い出す。
ダンテ…無事だといいな。
私はいつも着ていた赤を頭に浮かべて、引っ越し用のダンボールと再び向き合った。
今日からまた、新しい生活の始まりなんだからちゃんと切り替えなきゃ。
それにもしダンテと会えたら、また私の人生は変わるかもしれない。
やる気を出したところで、引き裂くように電話が鳴る。
ちゃんと新居に繋がるようにしておいたけれど、早々に誰だろう?
受話器を取ると、ずっと聞きたかった声に、自分の心臓が勝手にどくんと脈打った。
「エリ…?」
「久しぶり…ダンテ」
最初に、生きていたんだと思った。
その後、ダンテから電話をかけてくれるのは、いつ以来だろうと考えた。
「私、また電話したんだよ。お仕事大変だったみたいだね」
ダンテが話す気配がないから、私はそのまま続ける。
「あの、大きな木が関係あるんでしょう?生きててくれて、良かった…」
「エリ…心配かけたみたいだな」
それはそうだよ。
あんなに連日ニュースでやっていた事件なんだから。
さすがのダンテも、しかも電話も繋がらないし、だめかと思っちゃった。
「なぁ…久しぶりに、会わないか?」
「え…?」
会わないか、なんて。
ダンテから言ってくれるの、いつぶり?
だから、自然と声が出てしまう。
「実はサプライズも用意してるんだ」
サプライズ?
そんなもの用意しなくても、ダンテがこうして私に会ってくれることが、何よりもサプライズだ。
「うん…行く」
「良かった…今からすげぇ楽しみだぜ」
「私も…」
ダンテの声が、私の返事を受けて色を帯びる。
それが嬉しくて、昔よく一緒にカフェでストロベリーサンデーを食べた記憶が、蘇ってきた。
「…ねぇ、ダンテ。私たち、どれくらい会ってないか知ってる?」
「え…」
「10年だよ、10年。早く会いたいな、ダンテに」
私はダンテとの電話で、久しぶりに心から微笑んだ。
私の「ヒーロー」に、時を越えて会える。
それは私を、まるで少女みたいにときめかせた。
end.