【第3章】皆で叩く現実の扉
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今日の昼下がりも空は明るくならず、窓の外の様子をしばらく観察してから、グリフォンは私の方へ振り返る。
「今日も雨かよ。辛気臭くてヤダねぇ!」
「そうだね。今までずっと天気良かったし」
昨日Vに言ったものと同じ台詞を、今度はグリフォンに言ってしまった。
こんな惨状になってから、雨は初めてだった気がする。
幸いここは雨漏りもしていないけど、あんまり続くようなら危ないかもしれない。
そんな不安を少し感じながらも、今日も私は色々なレコードに手をつけていた。
売り物用は勿論、父のプライベートのものまで。
Vはソファーに座っていつもの本に目を通していたのを、不意にこっちに視線をやる。
「アリア、またたくさん探しているんだな」
穏やかな視線に包まれるような愛情を感じ、私はにっこり微笑んで返す。
「うん!ちゃんと私の曲を見つけたいし、これからは私が主導でお店を経営しないとね!」
今まで父から譲られたまま、そのままにお店をやっているだけだった。
また街が平和を取り戻したら、正式なこのお店のオーナーとして胸を張っていきたい。
前向きな発言が自然と出て、でも何故かVから何のアクションもなく、ただじっと見つめられて数分。
頭が疑問でいっぱいで耐えきれなくなって来た時、Vはようやく口を開く。
「アリア」
「ん?」
「スパーダの伝説を知っているか」
真剣な眼差しで唐突な話題を切り出され、更に疑問が大きくなった。
何故、今、そんな話をするのか。
わざわざ口に出して言わないといけない理由があるのか。
たくさん思うところもあったけれど、素直に答える。
「父から聞いて知ってる…突然どうしたの?」
「聞かせたい物語がある。こんな長い雨の日に」
「わかった、V」
向かい合わせに私もソファーに座って姿勢を正し深く頷いてから、その瞳をじっと見つめた。
このスパーダの伝説に関しての話が、Vと何かしらの関係があることはもう明白だった。
私はVに、その話をしてもらえるまでになった。
「しっかり聞くね」
「さァ、初めてくれ。Vちゃん」
心の準備ができたところで、グリフォンも私の方のアームレストに留まって、シャドウは横にお座りする。
Vはそれぞれの様子を見て、薄く笑った。
「お前たちも聞くのか…もう知っているくせに」
「当たり前だろ、相棒!」
声を張り上げVを相棒と呼ぶグリフォンに、私は2人の関係に直接影響を与えている訳じゃないのに、微笑んでしまう。
そして、私たち3人がVと向かい合った時、静かに口を開いた。
「始まりは伝説のその後… スパーダの息子たちの話だ」
今まで神格化されているようにも思えたスパーダは、実際に生きていて、その血を今に繋いでいる。
街が悪魔に襲われて、Vやグリフォン、シャドウたちの存在を知ったから、それを現実のこととして受け止められそうな自分がいた。
「V…皆に出逢えて改めて思った。スパーダの伝説は本当の話なんだね」
「ああ。そうして…実はこの街が悪魔に襲われるのは初めてではない」
「そうだったんだ…私、全く知らなかった」
「人は潜在的に魔を恐れる。記憶や記録が段々と埋もれていったんだろう」
平和が続いていけば、恐怖の経験には触れたくないものかもしれない。
今起こっていることも、何年か何十年か経ったら、風化していくのかな。
Vや皆のことだけは、私は忘れたくない。
また以前と同じようなことを思いながら、私はVの話に耳を傾ける。
end.
「今日も雨かよ。辛気臭くてヤダねぇ!」
「そうだね。今までずっと天気良かったし」
昨日Vに言ったものと同じ台詞を、今度はグリフォンに言ってしまった。
こんな惨状になってから、雨は初めてだった気がする。
幸いここは雨漏りもしていないけど、あんまり続くようなら危ないかもしれない。
そんな不安を少し感じながらも、今日も私は色々なレコードに手をつけていた。
売り物用は勿論、父のプライベートのものまで。
Vはソファーに座っていつもの本に目を通していたのを、不意にこっちに視線をやる。
「アリア、またたくさん探しているんだな」
穏やかな視線に包まれるような愛情を感じ、私はにっこり微笑んで返す。
「うん!ちゃんと私の曲を見つけたいし、これからは私が主導でお店を経営しないとね!」
今まで父から譲られたまま、そのままにお店をやっているだけだった。
また街が平和を取り戻したら、正式なこのお店のオーナーとして胸を張っていきたい。
前向きな発言が自然と出て、でも何故かVから何のアクションもなく、ただじっと見つめられて数分。
頭が疑問でいっぱいで耐えきれなくなって来た時、Vはようやく口を開く。
「アリア」
「ん?」
「スパーダの伝説を知っているか」
真剣な眼差しで唐突な話題を切り出され、更に疑問が大きくなった。
何故、今、そんな話をするのか。
わざわざ口に出して言わないといけない理由があるのか。
たくさん思うところもあったけれど、素直に答える。
「父から聞いて知ってる…突然どうしたの?」
「聞かせたい物語がある。こんな長い雨の日に」
「わかった、V」
向かい合わせに私もソファーに座って姿勢を正し深く頷いてから、その瞳をじっと見つめた。
このスパーダの伝説に関しての話が、Vと何かしらの関係があることはもう明白だった。
私はVに、その話をしてもらえるまでになった。
「しっかり聞くね」
「さァ、初めてくれ。Vちゃん」
心の準備ができたところで、グリフォンも私の方のアームレストに留まって、シャドウは横にお座りする。
Vはそれぞれの様子を見て、薄く笑った。
「お前たちも聞くのか…もう知っているくせに」
「当たり前だろ、相棒!」
声を張り上げVを相棒と呼ぶグリフォンに、私は2人の関係に直接影響を与えている訳じゃないのに、微笑んでしまう。
そして、私たち3人がVと向かい合った時、静かに口を開いた。
「始まりは伝説のその後… スパーダの息子たちの話だ」
今まで神格化されているようにも思えたスパーダは、実際に生きていて、その血を今に繋いでいる。
街が悪魔に襲われて、Vやグリフォン、シャドウたちの存在を知ったから、それを現実のこととして受け止められそうな自分がいた。
「V…皆に出逢えて改めて思った。スパーダの伝説は本当の話なんだね」
「ああ。そうして…実はこの街が悪魔に襲われるのは初めてではない」
「そうだったんだ…私、全く知らなかった」
「人は潜在的に魔を恐れる。記憶や記録が段々と埋もれていったんだろう」
平和が続いていけば、恐怖の経験には触れたくないものかもしれない。
今起こっていることも、何年か何十年か経ったら、風化していくのかな。
Vや皆のことだけは、私は忘れたくない。
また以前と同じようなことを思いながら、私はVの話に耳を傾ける。
end.