Charlotte
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エリは精神的にやられている。
他ならぬ自分たち兄2人のことで。
本来なら守ってやらなければいけない存在なのに、今は苦しめている。
お互いに歩んできた道や考え方は違えど、それだけは察することができた。
とりあえず、いつものようにエリが作ってくれた少し遅い昼食はしっかり腹に入れる。
こんな時でもエリの料理は味が変わったりはしなかったが、その無理矢理の笑顔に胸を痛める。
使った食器を片付けすぐに部屋に籠もってしまったエリの後を、ダンテもバージルもほぼ同時に追おうとしたため、必然的に事務所1階の階段下に並んだ。
「ダンテ、貴様は大人しくここで待っていろ…!」
「はぁ!?なんでだよ!だいたいな、あんたの何十倍もエリは俺を信頼してるんだよ!わからねぇのか!」
その主張にバージルは激昂しそうになったが、あまりお互いに声を荒げてエリを再び刺激するのは良くないと思い、無視して足を進めた。
すぐにダンテが後ろを追ってくるのをなんとか妨害し、エリの部屋の前に2人して辿り着いて初めて一旦休戦となる。
「エリ」
バージルがドアをノックし、声を掛ける。
返事はない。
少し戸惑ってからゆっくりノブを回すと、エリはベッドに突っ伏していた。
「…話がある。来い」
なるべく穏やかな口調で促し、渋々身を起こす。
長い黒髪が顔を隠していて表情はわからないが、気を落としているのは明らかすぎた。
「やだ…行かない…」
囁くような小さな声で首を左右に振る。
バージルが静止する腕を払い除け、ダンテが傍に寄って肩に触れればエリは顔を上げたが、瞳から涙を流し始めた。
「うわ!な、泣くなよ!」
「…やはりこいつに何かされたのか?」
「はぁ?あんたもだろうが…!」
掴み掛かろうとするダンテを無視し、バージルも傍にやってきてエリの顔を覗き込む。
妹は子どもの頃のように大粒の涙をぽろぽろ流して、ただただ首を左右に振る。
「やだ…ごめんなさい…私…」
「エリ…何故泣く?」
何に対する謝罪なのかわからず、バージルはなだめるように聞いた。
エリは視線を落とし深く呼吸してから、覚悟を決めて口を開く。
「私…2人のうちどっちかなんて選べないの。ダンテもバージルも大好きだから」
やはり自分たち2人どちらかを選ばなければいけないことに、ものすごく悩んでいたらしい。
大粒の涙を流して気持ちを伝えてくる妹。
少し子どもっぽいが、大好きの言葉は嬉しい。
「だから、時間が欲しい…私が2人を兄として以上に好きなのか、決められるまで」
妹の女性としての宣言に、ダンテもバージルも戦いが延長戦になったことを実感した。
エリはつい最近まで兄を兄として見てきて、やっとそこから脱却したようなものだ。
いつ決着がつくか現時点ではわからないが、悪くない解答だった。
「…エリ。俺は、ずっと前からお前が好きだった」
すぐさま行動に出たのはダンテで、エリの隣に腰掛けると秘めていた想いを再び告げる。
その「ずっと」という単語にバージルは自身が確かに苛立つのを感じ、ダンテとは反対側のベッドの端を陣取ってエリの右手を強めに握り締めた。
「エリ。ずっとずっとお前に会いたかった。心の奥深くで、お前を忘れたことはない…」
とても素直なバージルの言葉。
「会いたかった」気持ちは同じで、握られた手に応えて力を込める。
2人の青い瞳に、エリはそれぞれ胸が熱くなるのを感じる。
でも、それが家族としてのものなのか恋愛感情としてのものなのか、今はやはりわからない。
何も口に出来ずに最後に想いを伝えてくれたバージルと見つめ合ったままでいたら、ダンテが後ろから両腕で包んで来た。
「エリ、選ぶなら勿論俺だよな。今まで一緒に支え合ってきたじゃねぇか」
「ダンテ…!?」
「貴様、その腕を今すぐ離せ…!」
驚いて視線をやるが、バージルの眉間に深いしわが刻まれていくのもわかってしまい、ときめきではなく心臓が暴れ出す。
こんな状況でも、2人に喧嘩はしてほしくないという気持ちだけは変わらない。
「ダンテ、バージル!お願い…!私、まだ子どもみたい…まだ3人でいたいの、お願い」
必死の叫びは2人に伝わるだろうか。
あの悪夢からずっと、また家族で過ごすことを夢見てきた。
何年も経ってやっと兄妹3人揃って、夢のように嬉しかった。
だから、決められるまでは家族でいたい。
そんなエリの主張に、ダンテもバージルも今日はこれ以上刺激することはできずに、ただエリを見つめた。
温かくて純粋な、変わらない彼女だから好きになった。
愛した。
いつかエリが自ら選ぶのは自分だと、2人は同時に考える。
「わかった…エリ」
「とりあえず、今は…いつもみたいに笑ってくれよ」
ダンテがせがんで来て、エリは素直に微笑んだ。
「ごめんね。ありがとう…2人とも」
ダンテとバージル、両方の腕をぎゅっと抱き締める。
やっぱりどちらが欠けてもこの先、生きていく自信がない。
2人とも、何者にも代えがたい大切な家族だから。
end.
他ならぬ自分たち兄2人のことで。
本来なら守ってやらなければいけない存在なのに、今は苦しめている。
お互いに歩んできた道や考え方は違えど、それだけは察することができた。
とりあえず、いつものようにエリが作ってくれた少し遅い昼食はしっかり腹に入れる。
こんな時でもエリの料理は味が変わったりはしなかったが、その無理矢理の笑顔に胸を痛める。
使った食器を片付けすぐに部屋に籠もってしまったエリの後を、ダンテもバージルもほぼ同時に追おうとしたため、必然的に事務所1階の階段下に並んだ。
「ダンテ、貴様は大人しくここで待っていろ…!」
「はぁ!?なんでだよ!だいたいな、あんたの何十倍もエリは俺を信頼してるんだよ!わからねぇのか!」
その主張にバージルは激昂しそうになったが、あまりお互いに声を荒げてエリを再び刺激するのは良くないと思い、無視して足を進めた。
すぐにダンテが後ろを追ってくるのをなんとか妨害し、エリの部屋の前に2人して辿り着いて初めて一旦休戦となる。
「エリ」
バージルがドアをノックし、声を掛ける。
返事はない。
少し戸惑ってからゆっくりノブを回すと、エリはベッドに突っ伏していた。
「…話がある。来い」
なるべく穏やかな口調で促し、渋々身を起こす。
長い黒髪が顔を隠していて表情はわからないが、気を落としているのは明らかすぎた。
「やだ…行かない…」
囁くような小さな声で首を左右に振る。
バージルが静止する腕を払い除け、ダンテが傍に寄って肩に触れればエリは顔を上げたが、瞳から涙を流し始めた。
「うわ!な、泣くなよ!」
「…やはりこいつに何かされたのか?」
「はぁ?あんたもだろうが…!」
掴み掛かろうとするダンテを無視し、バージルも傍にやってきてエリの顔を覗き込む。
妹は子どもの頃のように大粒の涙をぽろぽろ流して、ただただ首を左右に振る。
「やだ…ごめんなさい…私…」
「エリ…何故泣く?」
何に対する謝罪なのかわからず、バージルはなだめるように聞いた。
エリは視線を落とし深く呼吸してから、覚悟を決めて口を開く。
「私…2人のうちどっちかなんて選べないの。ダンテもバージルも大好きだから」
やはり自分たち2人どちらかを選ばなければいけないことに、ものすごく悩んでいたらしい。
大粒の涙を流して気持ちを伝えてくる妹。
少し子どもっぽいが、大好きの言葉は嬉しい。
「だから、時間が欲しい…私が2人を兄として以上に好きなのか、決められるまで」
妹の女性としての宣言に、ダンテもバージルも戦いが延長戦になったことを実感した。
エリはつい最近まで兄を兄として見てきて、やっとそこから脱却したようなものだ。
いつ決着がつくか現時点ではわからないが、悪くない解答だった。
「…エリ。俺は、ずっと前からお前が好きだった」
すぐさま行動に出たのはダンテで、エリの隣に腰掛けると秘めていた想いを再び告げる。
その「ずっと」という単語にバージルは自身が確かに苛立つのを感じ、ダンテとは反対側のベッドの端を陣取ってエリの右手を強めに握り締めた。
「エリ。ずっとずっとお前に会いたかった。心の奥深くで、お前を忘れたことはない…」
とても素直なバージルの言葉。
「会いたかった」気持ちは同じで、握られた手に応えて力を込める。
2人の青い瞳に、エリはそれぞれ胸が熱くなるのを感じる。
でも、それが家族としてのものなのか恋愛感情としてのものなのか、今はやはりわからない。
何も口に出来ずに最後に想いを伝えてくれたバージルと見つめ合ったままでいたら、ダンテが後ろから両腕で包んで来た。
「エリ、選ぶなら勿論俺だよな。今まで一緒に支え合ってきたじゃねぇか」
「ダンテ…!?」
「貴様、その腕を今すぐ離せ…!」
驚いて視線をやるが、バージルの眉間に深いしわが刻まれていくのもわかってしまい、ときめきではなく心臓が暴れ出す。
こんな状況でも、2人に喧嘩はしてほしくないという気持ちだけは変わらない。
「ダンテ、バージル!お願い…!私、まだ子どもみたい…まだ3人でいたいの、お願い」
必死の叫びは2人に伝わるだろうか。
あの悪夢からずっと、また家族で過ごすことを夢見てきた。
何年も経ってやっと兄妹3人揃って、夢のように嬉しかった。
だから、決められるまでは家族でいたい。
そんなエリの主張に、ダンテもバージルも今日はこれ以上刺激することはできずに、ただエリを見つめた。
温かくて純粋な、変わらない彼女だから好きになった。
愛した。
いつかエリが自ら選ぶのは自分だと、2人は同時に考える。
「わかった…エリ」
「とりあえず、今は…いつもみたいに笑ってくれよ」
ダンテがせがんで来て、エリは素直に微笑んだ。
「ごめんね。ありがとう…2人とも」
ダンテとバージル、両方の腕をぎゅっと抱き締める。
やっぱりどちらが欠けてもこの先、生きていく自信がない。
2人とも、何者にも代えがたい大切な家族だから。
end.