【第2章】目に見えないもの
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好きなひとと、直接触れ合う。
そんな、物語か夢で見たような光景が、私の身に起きるなんて。
再びの夜、私はやっぱりまたVと2人きり。
お昼過ぎの遅めの起床で、グリフォンたちと顔を合わすのはなんとなく恥ずかしかった。
何事もなく接してくれたのは、やっぱり私に気を遣ってくれたからなのかな。
昨日と同じように並んで座って、Vは私の肩にそっと腕を回す。
それにしなだれかかって、自然と笑みが溢れた。
覗き込む緑色の瞳が、今はすごく安心感をくれる。
私の、たったひとりの大切なひと。
「アリア、もう身体は大丈夫か?」
「…うん、いっぱい眠らせてもらったし」
他のひとがどうかわからないけれど、下腹部に確かに違和感があった。
目がしっかり覚めてから、Vはずっと私の傍にいて労ってくれ、すごくすごく愛情を感じた。
だけどその分、今日という日全部をまた私だけにくれたから、心配にもなってくる。
Vが「やるべきこと」を成し遂げるまで、もうあまり時間がない。
「V、今日は良かったの?いつもみたいに外に出て行かなくて」
「そうだな…」
口にすれば勝手に眉が下がって、Vはそれを受けて、私から1度視線を逸らす。
「俺の体力も、僅かばかりだからな。その日を、しっかり考えていきたいと思う」
その時、Vはどうなるんだろう。
ずっとこの1ヶ月を日記に書き続けているけれど、この一瞬一瞬全てを瓶に詰めておきたいくらいだ。
どこか切なげな横顔を見ていたら、そんなことを思って、不意にVがまた私を見たので心臓が脈打った。
「…それと、できるだけアリアの傍にいたいからな」
「うん、私も…」
優しげに口角を上げて微笑んでくれて、私はゆっくり、でも大きく頷く。
それを合図にVが回した腕に少し力を入れたので、首を傾げると不意にキスをされた。
瞳を閉じれば、唇にVの舌が味見でもするようにちろりと触れる。
「アリア」
「…っ…」
私を呼ぶ甘い声に、もしかしてもしかしなくても今日もそうなるのかなと、勝手に妄想が広がっていく。
瞼をぎゅっと閉じた時、口はしっかり解放された。
「ああ…大丈夫だ。昨日の今日で、手を出したりしない」
頭を柔らかく撫でてくれたVに、ひとりで動揺していたのが恥ずかしくなってくる。
でも本当に今またしたらどうなるのか、全く想像できない。
連日はものすごく痛いかも…。
とにかくまた気遣ってくれのが、嬉しい。
Vと離れ離れになる前に、もう1度そうなりたいな。
いや、1度なんて言わず、気持ち的にはできるだけたくさんそうなりたい。
昨晩Vが私に覆い被って来たところを思い出し、頬が熱くなる。
それからふと、今は洋服で少し隠れている、黒いタトゥーが気になった。
「どうした?」
思うままにVの胸元に指先で触れれば、今度はVが首を傾げる。
指で模様をなぞっていくと、身体を僅かに震わせる。
「くすぐったい…」
今までそんなに気にしていなかったけれど、これはグリフォンたちと契約したことが関係している気がする。
ナイトメアが出て来た時は黒髪は銀髪に変わっていたし、今まで教えてもらったVの趣味からはどことなく、今の見た目のセンスが一致しない。
偏見かもしれないから、Vを見つめながらゆっくり口を開いた。
「Vの身体のタトゥーって、グリフォンたちが関係してるよね…」
「…そうだな」
やや間がありながら、肯定してくれた。
私は「全てが終わる時」に、グリフォンたちの宿主になると約束している。
勿論影響は出るだろうけど、とりあえず肉体的に何かしら出てくるみたいだ。
「契約した印、か…」
あんまりタトゥーばかり見るのでVも考えたらしく、触れていた手の、手首を強めの力で掴まれてしまった。
「アリア、まさか」
Vの表情は、明らかに愕然としている。
特に秘密にしている訳でもないため、私は相変わらず微笑んで返した。
「…Vも、察しがいいんだね」
「馬鹿な真似はよせ…!その時、お前の身体に何があるかわからない!」
とうとう両肩を掴まれて、すごい剣幕で私を諭そうとする。
Vの言うことは、わかっているつもりだ。
私はやっぱり、Vたちと離れることにどこかで恐怖していて、離れない方法を考えていた。
それが、宿主になることだっただけだ。
「そんなにする程にお前にとって、グリフォンたちも必要なのか…!?」
Vの口調は益々強くなって、でも私はそれに臆することはなかった。
今回の質問の答えは、簡単だったからだ。
「必要だよ。グリフォンにも色々聞いたけど…私にとって、皆は悪夢なんかじゃない。だから、大丈夫だと思えるんだ」
私もグリフォンたちも、「受け入れる」覚悟をしている。
唇を噛むVに、あくまでも優しく微笑むことができた。
end.
そんな、物語か夢で見たような光景が、私の身に起きるなんて。
再びの夜、私はやっぱりまたVと2人きり。
お昼過ぎの遅めの起床で、グリフォンたちと顔を合わすのはなんとなく恥ずかしかった。
何事もなく接してくれたのは、やっぱり私に気を遣ってくれたからなのかな。
昨日と同じように並んで座って、Vは私の肩にそっと腕を回す。
それにしなだれかかって、自然と笑みが溢れた。
覗き込む緑色の瞳が、今はすごく安心感をくれる。
私の、たったひとりの大切なひと。
「アリア、もう身体は大丈夫か?」
「…うん、いっぱい眠らせてもらったし」
他のひとがどうかわからないけれど、下腹部に確かに違和感があった。
目がしっかり覚めてから、Vはずっと私の傍にいて労ってくれ、すごくすごく愛情を感じた。
だけどその分、今日という日全部をまた私だけにくれたから、心配にもなってくる。
Vが「やるべきこと」を成し遂げるまで、もうあまり時間がない。
「V、今日は良かったの?いつもみたいに外に出て行かなくて」
「そうだな…」
口にすれば勝手に眉が下がって、Vはそれを受けて、私から1度視線を逸らす。
「俺の体力も、僅かばかりだからな。その日を、しっかり考えていきたいと思う」
その時、Vはどうなるんだろう。
ずっとこの1ヶ月を日記に書き続けているけれど、この一瞬一瞬全てを瓶に詰めておきたいくらいだ。
どこか切なげな横顔を見ていたら、そんなことを思って、不意にVがまた私を見たので心臓が脈打った。
「…それと、できるだけアリアの傍にいたいからな」
「うん、私も…」
優しげに口角を上げて微笑んでくれて、私はゆっくり、でも大きく頷く。
それを合図にVが回した腕に少し力を入れたので、首を傾げると不意にキスをされた。
瞳を閉じれば、唇にVの舌が味見でもするようにちろりと触れる。
「アリア」
「…っ…」
私を呼ぶ甘い声に、もしかしてもしかしなくても今日もそうなるのかなと、勝手に妄想が広がっていく。
瞼をぎゅっと閉じた時、口はしっかり解放された。
「ああ…大丈夫だ。昨日の今日で、手を出したりしない」
頭を柔らかく撫でてくれたVに、ひとりで動揺していたのが恥ずかしくなってくる。
でも本当に今またしたらどうなるのか、全く想像できない。
連日はものすごく痛いかも…。
とにかくまた気遣ってくれのが、嬉しい。
Vと離れ離れになる前に、もう1度そうなりたいな。
いや、1度なんて言わず、気持ち的にはできるだけたくさんそうなりたい。
昨晩Vが私に覆い被って来たところを思い出し、頬が熱くなる。
それからふと、今は洋服で少し隠れている、黒いタトゥーが気になった。
「どうした?」
思うままにVの胸元に指先で触れれば、今度はVが首を傾げる。
指で模様をなぞっていくと、身体を僅かに震わせる。
「くすぐったい…」
今までそんなに気にしていなかったけれど、これはグリフォンたちと契約したことが関係している気がする。
ナイトメアが出て来た時は黒髪は銀髪に変わっていたし、今まで教えてもらったVの趣味からはどことなく、今の見た目のセンスが一致しない。
偏見かもしれないから、Vを見つめながらゆっくり口を開いた。
「Vの身体のタトゥーって、グリフォンたちが関係してるよね…」
「…そうだな」
やや間がありながら、肯定してくれた。
私は「全てが終わる時」に、グリフォンたちの宿主になると約束している。
勿論影響は出るだろうけど、とりあえず肉体的に何かしら出てくるみたいだ。
「契約した印、か…」
あんまりタトゥーばかり見るのでVも考えたらしく、触れていた手の、手首を強めの力で掴まれてしまった。
「アリア、まさか」
Vの表情は、明らかに愕然としている。
特に秘密にしている訳でもないため、私は相変わらず微笑んで返した。
「…Vも、察しがいいんだね」
「馬鹿な真似はよせ…!その時、お前の身体に何があるかわからない!」
とうとう両肩を掴まれて、すごい剣幕で私を諭そうとする。
Vの言うことは、わかっているつもりだ。
私はやっぱり、Vたちと離れることにどこかで恐怖していて、離れない方法を考えていた。
それが、宿主になることだっただけだ。
「そんなにする程にお前にとって、グリフォンたちも必要なのか…!?」
Vの口調は益々強くなって、でも私はそれに臆することはなかった。
今回の質問の答えは、簡単だったからだ。
「必要だよ。グリフォンにも色々聞いたけど…私にとって、皆は悪夢なんかじゃない。だから、大丈夫だと思えるんだ」
私もグリフォンたちも、「受け入れる」覚悟をしている。
唇を噛むVに、あくまでも優しく微笑むことができた。
end.