Charlotte
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息苦しい。
唇に何か柔らかいものが押し当てられている。
それに、口の中にもぬるっとした何かが這い回っている。
舌に絡まってきて、身体の奥からぞわぞわした感覚が広がっていった。
何?
不思議に思って、重い目蓋をやっと開いていく。
きらきらした銀髪と、長い睫毛で縁取られたそれ。
キス、されてる。
一瞬バージルかと思ったけれど、違う。
これは…。
「…っ…ダンテ…!?」
頭を振って唇を離すと、お互いの間に銀色の糸が伸びて消える。
「や……」
初めてのキス。
まさかのこんな形でと思ったら、自然と目元が熱くなった。
ダンテは熱を帯びた瞳で、息が掛かりそうなくらいの至近距離で見つめてくる。
どうして?
自然と疑問が浮かぶ。
どうして、こんなことするの?
「エリ…悪ぃ…俺がどうかしてた」
ダンテは眉をひそめると、エリから視線を外した。
「…泣かせるつもりなんてなかったのにな」
言われて初めて、自分が泣いていることに気づいた。
なんで泣いてるんだろう。
初めてのキスがこんな風で終わったから?
ダンテがいきなりキスしてきたから?
頭が混乱する。
どうして?どうして私にキスするの?
「ごめん…エリ」
ダンテは声を振り絞ってそれだけ言うと、ふらりと立ち上がって背を向ける。
その姿がドアに近づく度、エリの胸は張り裂けそうにずきりと痛んだ。
このまま別れたら、この先ずっと妙な溝を持ったまま生活することになる。
そんなのは絶対に我慢できない。
「待って…!」
ダンテをとても傷付けてしまった気がして、エリは涙を零しながら必死に叫んだ。
「行かないで…ダンテ…ごめん…ごめんなさい…」
「…エリ」
ダンテは振り向いて再びベッドの傍に寄る。
「なんで謝るんだよ…ここは勝手にキスした俺が謝るべきだろ」
エリが目元を擦って涙を拭きながら起き上がり、座る。
ずっと、ダンテを兄として信頼していた。
同時に、男のひととしてどきどきすることもあった。
だけど、いきなりこんなのは、心が付いていかない。
ダンテもバージルも、自分の知らない顔を見せてくる。
「どうして、キスしたの…?」
聞くのは野暮だとは思っていた。
バージルに告白された今、ダンテの行動の理由がわかってしまう。
ダンテは泣きながら聞いてくるエリの隣に、ためらいがちに腰掛けて、真剣な眼差しで見つめた。
「エリが、好きだから。言えなかったがずっと、好きだった」
知らなかった兄の気持ち。
ずっとって、いつからだろう。
ダンテとは頻繁に会ってきたけれど、ずっと気づかなかった。
いつも妹として、兄として、接してきた。
でも、ダンテは違った。
「違う」というより、兄妹の愛情と異性の愛情両方くれていたんだ。
「ずっと、キスしたいと思ってた…我慢できなくなっちまった」
傷付けたと思って辛いのか、眉を寄せるダンテが、震える手で涙を拭ってくれる。
そんな顔させたい訳じゃない。
いきなりキスされたのはショックだったけれど、やっぱりダンテのことが大切だから、そんな切ない顔は見たくない。
「ダンテの気持ち、すごく嬉しい…これは本当だよ」
ダンテも、たくさんの中から自分を選んでくれた。
それに、ずっと好きだという気持ちを隠しながら兄として支えてくれた。
深い愛情に、改めて気づかされる。
ダンテもバージルも、私のことを…。
嬉しいけれど、どうしよう。
これからずっと、また3人で暮らせると思ってた。
だけど、ひとりの女性としてどちらかを選ばなきゃいけないんだ。
そう思うと、悩んでまた胸が苦しくなる。
とにかく、ダンテにもすぐに返事はできない。
わがままかもしれないけれど…。
「少し、時間がほしいの…」
声を振り絞った。
落ち着いて、まっすぐダンテを見つめる。
「ごめん…」
ずっと好きでいてくれたのに、また待たせてごめんなさい。
「安心しろ。いつまでも待つから」
ダンテはにっと笑って頭を撫でてくれる。
こんな状況でも、どこまでも優しい。
「愛してる、エリ」
大きな手が離れ、ダンテの温もりが残る。
エリは閉められたドアをずっと見ていた。
end.
唇に何か柔らかいものが押し当てられている。
それに、口の中にもぬるっとした何かが這い回っている。
舌に絡まってきて、身体の奥からぞわぞわした感覚が広がっていった。
何?
不思議に思って、重い目蓋をやっと開いていく。
きらきらした銀髪と、長い睫毛で縁取られたそれ。
キス、されてる。
一瞬バージルかと思ったけれど、違う。
これは…。
「…っ…ダンテ…!?」
頭を振って唇を離すと、お互いの間に銀色の糸が伸びて消える。
「や……」
初めてのキス。
まさかのこんな形でと思ったら、自然と目元が熱くなった。
ダンテは熱を帯びた瞳で、息が掛かりそうなくらいの至近距離で見つめてくる。
どうして?
自然と疑問が浮かぶ。
どうして、こんなことするの?
「エリ…悪ぃ…俺がどうかしてた」
ダンテは眉をひそめると、エリから視線を外した。
「…泣かせるつもりなんてなかったのにな」
言われて初めて、自分が泣いていることに気づいた。
なんで泣いてるんだろう。
初めてのキスがこんな風で終わったから?
ダンテがいきなりキスしてきたから?
頭が混乱する。
どうして?どうして私にキスするの?
「ごめん…エリ」
ダンテは声を振り絞ってそれだけ言うと、ふらりと立ち上がって背を向ける。
その姿がドアに近づく度、エリの胸は張り裂けそうにずきりと痛んだ。
このまま別れたら、この先ずっと妙な溝を持ったまま生活することになる。
そんなのは絶対に我慢できない。
「待って…!」
ダンテをとても傷付けてしまった気がして、エリは涙を零しながら必死に叫んだ。
「行かないで…ダンテ…ごめん…ごめんなさい…」
「…エリ」
ダンテは振り向いて再びベッドの傍に寄る。
「なんで謝るんだよ…ここは勝手にキスした俺が謝るべきだろ」
エリが目元を擦って涙を拭きながら起き上がり、座る。
ずっと、ダンテを兄として信頼していた。
同時に、男のひととしてどきどきすることもあった。
だけど、いきなりこんなのは、心が付いていかない。
ダンテもバージルも、自分の知らない顔を見せてくる。
「どうして、キスしたの…?」
聞くのは野暮だとは思っていた。
バージルに告白された今、ダンテの行動の理由がわかってしまう。
ダンテは泣きながら聞いてくるエリの隣に、ためらいがちに腰掛けて、真剣な眼差しで見つめた。
「エリが、好きだから。言えなかったがずっと、好きだった」
知らなかった兄の気持ち。
ずっとって、いつからだろう。
ダンテとは頻繁に会ってきたけれど、ずっと気づかなかった。
いつも妹として、兄として、接してきた。
でも、ダンテは違った。
「違う」というより、兄妹の愛情と異性の愛情両方くれていたんだ。
「ずっと、キスしたいと思ってた…我慢できなくなっちまった」
傷付けたと思って辛いのか、眉を寄せるダンテが、震える手で涙を拭ってくれる。
そんな顔させたい訳じゃない。
いきなりキスされたのはショックだったけれど、やっぱりダンテのことが大切だから、そんな切ない顔は見たくない。
「ダンテの気持ち、すごく嬉しい…これは本当だよ」
ダンテも、たくさんの中から自分を選んでくれた。
それに、ずっと好きだという気持ちを隠しながら兄として支えてくれた。
深い愛情に、改めて気づかされる。
ダンテもバージルも、私のことを…。
嬉しいけれど、どうしよう。
これからずっと、また3人で暮らせると思ってた。
だけど、ひとりの女性としてどちらかを選ばなきゃいけないんだ。
そう思うと、悩んでまた胸が苦しくなる。
とにかく、ダンテにもすぐに返事はできない。
わがままかもしれないけれど…。
「少し、時間がほしいの…」
声を振り絞った。
落ち着いて、まっすぐダンテを見つめる。
「ごめん…」
ずっと好きでいてくれたのに、また待たせてごめんなさい。
「安心しろ。いつまでも待つから」
ダンテはにっと笑って頭を撫でてくれる。
こんな状況でも、どこまでも優しい。
「愛してる、エリ」
大きな手が離れ、ダンテの温もりが残る。
エリは閉められたドアをずっと見ていた。
end.