【第2章】目に見えないもの
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃあなーごゆっくり」
「…うん。おやすみ、グリフォン、シャドウ」
今日はVと出逢って、15日目だ。
グリフォンに言われた通り、今晩からVと2人っきりで眠ることになった。
私たちは今まで通りに書斎、グリフォンたちはお店の方で休みながら、何かあれば知らせてくれる形だ。
Vと一緒にいつもと同じようにブランケットをかけて並んで座ったら、そこで初めて妙に意識してしまって、顔を合わすことができない。
何も言えずにしばらく沈黙が続いて、それを破ったのはやっぱりVの方だった。
「アリア」
自分でもびくっと身体が反応したのがわかって、やっと首を動かせば、Vはまっすぐに私を見ている。
「…そんなに意識するな」
くすりと笑うその表情はいつも通りに優しい。
少しだけ肩の力が抜けて、私も口角を上げる。
あの月の下のキスから覚悟みたいなものもしたし、今晩からVとこうするのを決めたのも、私。
嬉しいんだけど、実際自分がその状況に置かれたら、固まってしまっている。
「…好きなひとと、本当に2人だけの夜って…初めて、だから」
「安心しろ、それは同じだ」
「…うん」
私ってこんなに口数が少なかったっけと、ぼんやり思う。
無意識のうちにVに触れられないように膝に置いていた両手を崩して床に置いたら、すぐにVの手が上に重なってきて、また身体が勝手にびくっとする。
「…面白いな」
Vは今度こそ喉を鳴らして笑い、あろうことか身を乗り出して、私の前に覆うように床に両手をついた。
反射的に目をぎゅっと閉じて口を開く。
「V…!待って、待って待って…!」
「…俺は何もしてない」
声色から「心外だ」というニュアンスを感じ、片目をゆっくり開ける。
でもVの表情はどこか楽しげで、もしかしたらVって結構サディシズムがあるのかもと思った。
「Vって…実は意地悪なところもある?」
そのままずばり聞くのもどうかなぁと遠回しに聞いたら、頭に左手が置かれる。
「アリアの反応が面白いから、俺もまた調子に乗ったのかもな…」
それを多分サディストっていうんじゃないかな!
そうつっこむことはできず、Vの顔が近づいてきたから、また目を瞑る。
てっきりキスされると考えていたのに、キスには変わらないけど、おでこに唇を押し当てられる。
思い過ごしだったとまた目を開けば、Vは子どもみたいににっこりと笑っていた。
「期待したか…?ほら、望み通りにしてやろう」
「V…っ…」
至近距離のままだから、勿論回避することはできずに唇を塞がれる。
伏せられたVの長い睫毛を見ていたら、ちょっとくらくらしてくる。
「アリア…瞳は閉じてほしい」
少しだけ唇が離れ、注意されて言われたまま従うと、またキスが降ってきた。
何度も何度もゆっくり繰り返し続くそれに、今晩は何故かどうしても身体が熱くなってくる。
「…っ…」
やっと1度止んで、呼吸は勝手に乱れて綺麗な緑色の瞳に私が映っているのがぼんやりわかった。
「アリア…すまない、俺はもう…止まれそうにない」
Vの切なげな囁きが、私を欲していることを伝えてくる。
それだけでも、のぼせてしまいそう…。
頷くだけで返事して、心だけでなく身体も、Vと通わせることを受け入れた。
end.