Charlotte
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
遠方まで依頼に行くダンテを見送り、初めてエリとバージル2人だけの時間が訪れた。
昼食の時間、いつもと変わらずエリは台所に立つが、久しぶりに2人分の料理だ。
しかもバージルと2人だけで時間を過ごすのは、以前洋服を買いに行った以来。
ダンテは今のところいつ帰って来るかわからないため、しばらくこの調子だろう。
バージルとはだいぶ打ち解けたと思っている。
再会した時のように冷たくされることもないし、最近はむしろ逆だ。
微笑んでくれるし、頭だって撫でてくれる。
まるで昔に戻ったみたい。
いや、もしかしたらそれ以上に優しい。
「おやすみ、エリ」
不意にこの間のバージルのキスを思い出す。
身体が熱くなって、頭をぶんぶん振って忘れようとした。
おでこと頬と、2回もキスされてしまった。
しかも唇の温かさが伝わるくらい、ちゃんとしたキス。
家族のものにしては、ちょっと度が過ぎてるかもしれない。
でも、そんなのはきっと思い込みだ。
バージルは家族としてのスキンシップをしたまで。
こんな気持ちになるのがおかしい。
エリは気を取り直して食事の支度を終え、バージルを呼びに行った。
いつも3人で使っているテーブルに、今日は向かい合って座る。
「バージルと2人っきりでご飯って初めてだね!」
「そうだな」
エリが笑いかければ、普段厳しい表情の兄はにこりと微笑む。
優しい、とっても。
ダンテがいる時より3割り増しくらい優しい。
若干不思議に思ったが、もう完全に心を許してくれたようで嬉しい。
普段は割とダンテとばかり話している気がしたし、この機会にバージルとたくさん触れ合っておきたくなった。
食事に使った皿を片付け、早速バージルの部屋のドアをノックする。
「エリ」
「今いいかな?」
「ああ、入れ」
バージルに促され、中に入って後ろ手でドアを閉めた。
看病している時には何度か入ったが、久しぶりに改めて入ると少し緊張する。
2人でベッドの上に座って、エリが切り出した。
「ねぇ、バージル」
「どうした?」
「昔みたいに、本読んでほしいな」
幼い頃はよく3人揃って図書館に行き、本を借りたものだ。
絵本を手に、バージルにねだって読んで聞かせてもらうのが大好きだった。
子どもっぽいお願いに、バージルは馬鹿にせずに目を細める。
「懐かしいな」
「でしょ!」
「では明日は図書館に行こう」
「うん、行こ!とっても楽しみ!」
エリは受け入れてくれたのが嬉しく、思わずバージルの腕に抱き付く。
昔の癖が蘇ってしまう。
ダンテとは同じように年を重ねてきたが、バージルとはずっと離れ離れだったのであの頃の延長のようになってしまう。
「バージルって今も本が好きなの?」
「…まぁな」
「どんな本読んでるの?」
「最近は専門書か…」
「え、すごい!」
昔と変わらず優しい兄。
幸せを噛み締める。
あの日失ったと思った当たり前の光景が今ここにある。
もうすっかりバージルの温もりが移った部屋の中で、たくさんの話をした。
バージルが聞いてきたから、これまでの学校でのことや友だちのこと、主にエリのことを話した。
自分に興味を持ってくれるのは嬉しかったが、バージル自身のことは聞かないでおいた。
それはやっぱり、どこまで踏み込んでいいかわからなかったからだ。
この優しい兄が、いつか自分から話してくれればいいと思った。
2人の時間はすぐに過ぎ、あっという間に日は暮れてしまう。
明日は久しぶりにバージルと図書館に行ける。
エリはシャワーを浴びて髪を乾かし、上機嫌でソファに座っていた。
「エリ、まだいたのか」
風呂場から出たバージルが声を掛け、立ち上がる。
もともとバージルにおやすみを言ったら部屋に行こうと思っていた。
「うん、もうすぐ寝るところ」
「待て」
「え?」
まさか引き止められると思っていなかったので、エリは首を傾げた。
もう1度ソファに座れば、バージルが隣にやって来る。
心なしか距離が近く、ほとんど密着している。
「バージル?」
「…もう少しここに」
「うん…また明日も一緒なのに、おかしなバージル」
今は一緒に暮らしているんだから、時間を惜しまなくてもいつでも顔を合わせることができるのに。
1秒でも惜しむようなバージルの真剣な瞳に、エリはくすくす笑った。
「…ダンテが帰って来たら、うるさいからな」
バージルの口からは、また意外な言葉が飛び出す。
ダンテを邪魔者のように言うので、エリは再び不安な気持ちになってしまった。
「…バージル、ダンテのこと嫌いなの?」
「何故そう思う」
「だって、最近ダンテを遠ざけてるし…前からすっごく仲良しって訳じゃなかったけど」
エリはバージルから視線を外し、俯く。
なんだかんだ言っても、2人は兄弟で双子なのに。
「俺が嫉妬でダンテを遠ざけていたらどうする?」
少しの間下を向いていると、バージルはぽつりと呟いた。
何気なくだが、なんだかすごいことを言われた気がする。
嫉妬?
なかなか頭がついて行かず、バージルは続ける。
「ダンテがお前を独り占めするから、俺はいつも嫉妬している」
バージルが、なんだかよくわからないこと言ってる。
嫉妬?
嫉妬ってヤキモチ?
バージルが、ダンテにヤキモチ?
しかも私を巡って?
「…え!?」
驚いて顔を上げれば、あくまで真剣なバージルと目が合う。
バージルが冗談を言う訳ないと思ってたけど、冗談ではないらしい。
エリは頭まで一気に血がのぼるのがわかった。
「エリ」
バージルの声にはっとする。
私たちは兄妹だけど、血は繋がってない。
でも兄妹だし、家族として誰より大切に思ってる。
時々2人を男のひととして意識してどきどきすることも、正直に言えばある。
でも、そういう関係になることは、家族が崩壊してしまう気がする。
どんな理由であれ、もうばらばらになるのは絶対に嫌だ。
「そ、そんなの困るよ…!」
エリは目を泳がせながら、叫ぶ。
「何が困るんだ?」
「とにかく!困るの!」
「エリ」
バージルはエリの右手を取って、唇を押し付ける。
何度かリップ音を立て滑らかなそれにキスして、犯していった。
「バ…バージル…っ」
身体が勝手にびくびく反応する。
熱っぽいブルーの瞳に、自分が映っている。
それは、自分が知らない表情だった。
「今は俺しかいない。俺のことだけ考えてほしい」
「そ、それってどういうこと…?」
本当は聞かなくてもわかっている。
ただ、あまりに突然過ぎて理解が追い付かない。
「…そういうことだ。賢いお前ならわかるだろう?」
言うことがわからないほど、子どもでもなくなってしまった。
バージルに触れられているところが、すごく熱い。
困るくらい、熱を持っている。
「もう寝る…」
「そうか」
ふらりと立ち上がると、素直に手を離してくれた。
今自分はどんな顔しているんだろう。
よくわからないけれど、なんだかショックだ。
「明日は図書館だな」
「…うん」
「楽しみだ」
そうだった。
明日はバージルと図書館に行く約束をしていた。
「おやすみ、エリ」
「おやすみ…」
バージルは少し眉をひそめた。
違うの。
そんな顔してほしくない。
バージルのこと、好き。大好き。
だけど私たちは兄妹だし家族だし、こんなどきどきしておかしいって、やっぱり思っちゃう。
それに、それはバージルにだけじゃない。
私はダンテにもどきどきしてる。
どうしよう…。どうしよう。
もう、私たちは普通の家族として暮らせないのかな。
end.
昼食の時間、いつもと変わらずエリは台所に立つが、久しぶりに2人分の料理だ。
しかもバージルと2人だけで時間を過ごすのは、以前洋服を買いに行った以来。
ダンテは今のところいつ帰って来るかわからないため、しばらくこの調子だろう。
バージルとはだいぶ打ち解けたと思っている。
再会した時のように冷たくされることもないし、最近はむしろ逆だ。
微笑んでくれるし、頭だって撫でてくれる。
まるで昔に戻ったみたい。
いや、もしかしたらそれ以上に優しい。
「おやすみ、エリ」
不意にこの間のバージルのキスを思い出す。
身体が熱くなって、頭をぶんぶん振って忘れようとした。
おでこと頬と、2回もキスされてしまった。
しかも唇の温かさが伝わるくらい、ちゃんとしたキス。
家族のものにしては、ちょっと度が過ぎてるかもしれない。
でも、そんなのはきっと思い込みだ。
バージルは家族としてのスキンシップをしたまで。
こんな気持ちになるのがおかしい。
エリは気を取り直して食事の支度を終え、バージルを呼びに行った。
いつも3人で使っているテーブルに、今日は向かい合って座る。
「バージルと2人っきりでご飯って初めてだね!」
「そうだな」
エリが笑いかければ、普段厳しい表情の兄はにこりと微笑む。
優しい、とっても。
ダンテがいる時より3割り増しくらい優しい。
若干不思議に思ったが、もう完全に心を許してくれたようで嬉しい。
普段は割とダンテとばかり話している気がしたし、この機会にバージルとたくさん触れ合っておきたくなった。
食事に使った皿を片付け、早速バージルの部屋のドアをノックする。
「エリ」
「今いいかな?」
「ああ、入れ」
バージルに促され、中に入って後ろ手でドアを閉めた。
看病している時には何度か入ったが、久しぶりに改めて入ると少し緊張する。
2人でベッドの上に座って、エリが切り出した。
「ねぇ、バージル」
「どうした?」
「昔みたいに、本読んでほしいな」
幼い頃はよく3人揃って図書館に行き、本を借りたものだ。
絵本を手に、バージルにねだって読んで聞かせてもらうのが大好きだった。
子どもっぽいお願いに、バージルは馬鹿にせずに目を細める。
「懐かしいな」
「でしょ!」
「では明日は図書館に行こう」
「うん、行こ!とっても楽しみ!」
エリは受け入れてくれたのが嬉しく、思わずバージルの腕に抱き付く。
昔の癖が蘇ってしまう。
ダンテとは同じように年を重ねてきたが、バージルとはずっと離れ離れだったのであの頃の延長のようになってしまう。
「バージルって今も本が好きなの?」
「…まぁな」
「どんな本読んでるの?」
「最近は専門書か…」
「え、すごい!」
昔と変わらず優しい兄。
幸せを噛み締める。
あの日失ったと思った当たり前の光景が今ここにある。
もうすっかりバージルの温もりが移った部屋の中で、たくさんの話をした。
バージルが聞いてきたから、これまでの学校でのことや友だちのこと、主にエリのことを話した。
自分に興味を持ってくれるのは嬉しかったが、バージル自身のことは聞かないでおいた。
それはやっぱり、どこまで踏み込んでいいかわからなかったからだ。
この優しい兄が、いつか自分から話してくれればいいと思った。
2人の時間はすぐに過ぎ、あっという間に日は暮れてしまう。
明日は久しぶりにバージルと図書館に行ける。
エリはシャワーを浴びて髪を乾かし、上機嫌でソファに座っていた。
「エリ、まだいたのか」
風呂場から出たバージルが声を掛け、立ち上がる。
もともとバージルにおやすみを言ったら部屋に行こうと思っていた。
「うん、もうすぐ寝るところ」
「待て」
「え?」
まさか引き止められると思っていなかったので、エリは首を傾げた。
もう1度ソファに座れば、バージルが隣にやって来る。
心なしか距離が近く、ほとんど密着している。
「バージル?」
「…もう少しここに」
「うん…また明日も一緒なのに、おかしなバージル」
今は一緒に暮らしているんだから、時間を惜しまなくてもいつでも顔を合わせることができるのに。
1秒でも惜しむようなバージルの真剣な瞳に、エリはくすくす笑った。
「…ダンテが帰って来たら、うるさいからな」
バージルの口からは、また意外な言葉が飛び出す。
ダンテを邪魔者のように言うので、エリは再び不安な気持ちになってしまった。
「…バージル、ダンテのこと嫌いなの?」
「何故そう思う」
「だって、最近ダンテを遠ざけてるし…前からすっごく仲良しって訳じゃなかったけど」
エリはバージルから視線を外し、俯く。
なんだかんだ言っても、2人は兄弟で双子なのに。
「俺が嫉妬でダンテを遠ざけていたらどうする?」
少しの間下を向いていると、バージルはぽつりと呟いた。
何気なくだが、なんだかすごいことを言われた気がする。
嫉妬?
なかなか頭がついて行かず、バージルは続ける。
「ダンテがお前を独り占めするから、俺はいつも嫉妬している」
バージルが、なんだかよくわからないこと言ってる。
嫉妬?
嫉妬ってヤキモチ?
バージルが、ダンテにヤキモチ?
しかも私を巡って?
「…え!?」
驚いて顔を上げれば、あくまで真剣なバージルと目が合う。
バージルが冗談を言う訳ないと思ってたけど、冗談ではないらしい。
エリは頭まで一気に血がのぼるのがわかった。
「エリ」
バージルの声にはっとする。
私たちは兄妹だけど、血は繋がってない。
でも兄妹だし、家族として誰より大切に思ってる。
時々2人を男のひととして意識してどきどきすることも、正直に言えばある。
でも、そういう関係になることは、家族が崩壊してしまう気がする。
どんな理由であれ、もうばらばらになるのは絶対に嫌だ。
「そ、そんなの困るよ…!」
エリは目を泳がせながら、叫ぶ。
「何が困るんだ?」
「とにかく!困るの!」
「エリ」
バージルはエリの右手を取って、唇を押し付ける。
何度かリップ音を立て滑らかなそれにキスして、犯していった。
「バ…バージル…っ」
身体が勝手にびくびく反応する。
熱っぽいブルーの瞳に、自分が映っている。
それは、自分が知らない表情だった。
「今は俺しかいない。俺のことだけ考えてほしい」
「そ、それってどういうこと…?」
本当は聞かなくてもわかっている。
ただ、あまりに突然過ぎて理解が追い付かない。
「…そういうことだ。賢いお前ならわかるだろう?」
言うことがわからないほど、子どもでもなくなってしまった。
バージルに触れられているところが、すごく熱い。
困るくらい、熱を持っている。
「もう寝る…」
「そうか」
ふらりと立ち上がると、素直に手を離してくれた。
今自分はどんな顔しているんだろう。
よくわからないけれど、なんだかショックだ。
「明日は図書館だな」
「…うん」
「楽しみだ」
そうだった。
明日はバージルと図書館に行く約束をしていた。
「おやすみ、エリ」
「おやすみ…」
バージルは少し眉をひそめた。
違うの。
そんな顔してほしくない。
バージルのこと、好き。大好き。
だけど私たちは兄妹だし家族だし、こんなどきどきしておかしいって、やっぱり思っちゃう。
それに、それはバージルにだけじゃない。
私はダンテにもどきどきしてる。
どうしよう…。どうしよう。
もう、私たちは普通の家族として暮らせないのかな。
end.