【第2章】目に見えないもの
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素敵な月明かりの下でのキスは、最初はふわふわと夢の中のように、私を酔わせていた。
唇が離れたら、深みのある緑色の瞳に再びしっかりと私の姿が映っているのがわかって、今度こそ両腕でVに抱き締められる形になる。
「V…?」
名前を呼んで、そうしたらまたVの顔が近づいて、慌ててぎゅっと目を閉じた。
さっきよりもずっとずっと、Vの柔らかい唇の感触を感じ、どうしようもなく胸がどきどきしてくる。
Vは私のそれを味わうように、短く何度も口付けて来る。
どうしたらいいかわからなくて、半分以上はパニックになってただされるまま。
だけど、とうとう舌が少しだけくちびるに触れたところで、Vの胸を両手で控えめに押した。
「うん…と、ま、待って…」
いくら私たちに限られた時間しかないからって、展開が早すぎるよ、V!
ていうかこんなことされたら、Vが男性だって、改めて考えちゃう…!
完全に頭から湯気が出そうになっている私が、細い声で精一杯伝えたのに、Vは心底不思議そうに首を傾げる。
「?」
「え、えっと、どこから説明したらいいのかな…っ」
周りに寝てるにしてもグリフォンやシャドウがいることも勿論だし、私が「初めて」なのもそうだし、色々言いたいことはあった。
「愛し合うものがひとつになりたいと思うのは…道理だろう」
「うー…それはそうなんだけど」
私がうまく言い返せずに丸まってるグリフォンの方に視線をやったら、Vは気持ちを1個は察したらしい。
「ああ…気が散るなら追い出すか」
グリフォンたちを起こして今この場から出そうと一旦私の身体を解放したので、慌ててVの二の腕を掴んだ。
「V…!それもあるけど、まだ私の心の準備ができてない…っ」
「準備…?アリア。もう俺のことを、何も恐れる必要はない…」
別にVのことを恐れてる訳じゃない。
やっぱり心底わからないといったようなVは、愛を現す行動なら、それが何でもためらいはない様子だ。
でもVをそんな風にしたのは、私のせいでもある。
私がVの葛藤とか全部喜んで受け入れたから、こうなってるんだ。
今度は自分からVの身体に両腕を回すと、なるべく難しい乙女心が伝わるように、言葉を選び始める。
「今日は…ただぎゅっと抱き締めてほしいな。Vとそうなりたいけど、ゆっくりがいい…」
「…アリア」
Vも、私の背中にそっと両手を回してくれる。
「…お前が俺を果てしなく受け入れてくれるから…少し先走ったな」
「ううん、V。私も、その気持ちは嬉しい…」
Vの胸に擦り寄って、体温の低い身体に耳を押し当てる形になる。
初めて、こんなにもたくさんVの存在に近づく。
大好きな人のぬくもり。
幸せだなぁって思いながら、私は気づいてしまう。
何故かVの鼓動が、ものすごく小さいことに。
そこでふとVが言っていた「俺という概念」という言葉が思い出されて、Vと一緒にいられる時間の期限を感じて、また少し怖くなった。
「アリア…どうした?」
Vがタイミングよく顔を覗き込んで聞いて来たので、私は何度か首を横に振る。
「なんでもない…」
「ごまかすな。お前は察しがいい…」
そう言ってVは、にっこり微笑んだ。
こんなところはVも察しが良くて、困る。
「…アリア、お前の心臓の音を聞かせてくれないか?」
まさかのお願いに、でも簡単なことだからしっかりと頷く。
私の鼓動なんて何度でも聞かせてあげたい。
Vは私の了承を得て、ゆっくりと丁寧に胸に左耳を押し当てた。
何も言わずにただずっと鼓動を感じているVに、切なさと愛しさが募る。
「V……」
なんだかしんみりしていたのに、またVの顔が近づいて唇を押し当てられる。
目を閉じるのも追いつかず、唇を離してからVは私に口角を上げてみせた。
「わかっただろう、アリア。だからこそ、俺は少し焦っている」
「後がない」から、早くそうなりたいって意味なんだろうか。
でも、やっぱり今日の今日すぐにそうなれる訳じゃない。
Vの行動に翻弄されて、私はただただ頬を赤くするしかなかった。
end.
唇が離れたら、深みのある緑色の瞳に再びしっかりと私の姿が映っているのがわかって、今度こそ両腕でVに抱き締められる形になる。
「V…?」
名前を呼んで、そうしたらまたVの顔が近づいて、慌ててぎゅっと目を閉じた。
さっきよりもずっとずっと、Vの柔らかい唇の感触を感じ、どうしようもなく胸がどきどきしてくる。
Vは私のそれを味わうように、短く何度も口付けて来る。
どうしたらいいかわからなくて、半分以上はパニックになってただされるまま。
だけど、とうとう舌が少しだけくちびるに触れたところで、Vの胸を両手で控えめに押した。
「うん…と、ま、待って…」
いくら私たちに限られた時間しかないからって、展開が早すぎるよ、V!
ていうかこんなことされたら、Vが男性だって、改めて考えちゃう…!
完全に頭から湯気が出そうになっている私が、細い声で精一杯伝えたのに、Vは心底不思議そうに首を傾げる。
「?」
「え、えっと、どこから説明したらいいのかな…っ」
周りに寝てるにしてもグリフォンやシャドウがいることも勿論だし、私が「初めて」なのもそうだし、色々言いたいことはあった。
「愛し合うものがひとつになりたいと思うのは…道理だろう」
「うー…それはそうなんだけど」
私がうまく言い返せずに丸まってるグリフォンの方に視線をやったら、Vは気持ちを1個は察したらしい。
「ああ…気が散るなら追い出すか」
グリフォンたちを起こして今この場から出そうと一旦私の身体を解放したので、慌ててVの二の腕を掴んだ。
「V…!それもあるけど、まだ私の心の準備ができてない…っ」
「準備…?アリア。もう俺のことを、何も恐れる必要はない…」
別にVのことを恐れてる訳じゃない。
やっぱり心底わからないといったようなVは、愛を現す行動なら、それが何でもためらいはない様子だ。
でもVをそんな風にしたのは、私のせいでもある。
私がVの葛藤とか全部喜んで受け入れたから、こうなってるんだ。
今度は自分からVの身体に両腕を回すと、なるべく難しい乙女心が伝わるように、言葉を選び始める。
「今日は…ただぎゅっと抱き締めてほしいな。Vとそうなりたいけど、ゆっくりがいい…」
「…アリア」
Vも、私の背中にそっと両手を回してくれる。
「…お前が俺を果てしなく受け入れてくれるから…少し先走ったな」
「ううん、V。私も、その気持ちは嬉しい…」
Vの胸に擦り寄って、体温の低い身体に耳を押し当てる形になる。
初めて、こんなにもたくさんVの存在に近づく。
大好きな人のぬくもり。
幸せだなぁって思いながら、私は気づいてしまう。
何故かVの鼓動が、ものすごく小さいことに。
そこでふとVが言っていた「俺という概念」という言葉が思い出されて、Vと一緒にいられる時間の期限を感じて、また少し怖くなった。
「アリア…どうした?」
Vがタイミングよく顔を覗き込んで聞いて来たので、私は何度か首を横に振る。
「なんでもない…」
「ごまかすな。お前は察しがいい…」
そう言ってVは、にっこり微笑んだ。
こんなところはVも察しが良くて、困る。
「…アリア、お前の心臓の音を聞かせてくれないか?」
まさかのお願いに、でも簡単なことだからしっかりと頷く。
私の鼓動なんて何度でも聞かせてあげたい。
Vは私の了承を得て、ゆっくりと丁寧に胸に左耳を押し当てた。
何も言わずにただずっと鼓動を感じているVに、切なさと愛しさが募る。
「V……」
なんだかしんみりしていたのに、またVの顔が近づいて唇を押し当てられる。
目を閉じるのも追いつかず、唇を離してからVは私に口角を上げてみせた。
「わかっただろう、アリア。だからこそ、俺は少し焦っている」
「後がない」から、早くそうなりたいって意味なんだろうか。
でも、やっぱり今日の今日すぐにそうなれる訳じゃない。
Vの行動に翻弄されて、私はただただ頬を赤くするしかなかった。
end.