Charlotte
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すべての材料を集め、レジに並ぶ。
前に並んでいる客は皆かごいっぱいに商品が入っていて、会計が終わるまで時間が掛かりそうだ。
2人で大人しく待っていると、何故かエリが売り場の方に駆け出した。
「ダンテ、ごめん。買い忘れがあったから取ってくるね」
「ああ」
軽く返事を返し姿を目で追っていけば、エリの向かいから深く帽子を被った男がやって来るのがわかった。
ちょっとした違和感。
ダンテの視線の先で、妹はその男に腕を取られる。
「きゃ!?」
「エリ!」
身構えたが叫ぶより先に、男は隠し持っていた銃をエリに向けていた。
人質、それも妹を盾に取られたらそう簡単には動けない。
ダンテは唇を噛んだ。
「ダンテ…!」
エリの悲痛な声に身体が反応する。
早く助けてやりたい。
「おっと。動いたらこの女を殺す」
「てめぇ…卑怯だぞ!」
男はエリに銃を向けたまま、レジの方まで近づいて来る。
周りの客も異変に気づき、叫び声を上げ始めた。
「卑怯でも何でもいい!てめぇら全員床に伏せろ!」
エリは男に拘束され震えている。
銃口はエリの頭に向けられているため、もし動くものならすぐ撃たれてしまうだろう。
「おい、そこのお前!この袋の中に有り金全部詰めろ!」
男は店員のひとりに布袋を投げつけ、店員は急いでレジの金を入れ始める。
その間も、ダンテはエリから視線を逸らさなかった。
何か。
何か、妹を助ける方法があるはずだ。
エリが人質にされていなかったら、あんなやつすぐに倒せるのに。
一瞬でいい。
何か隙を作れれば…。
だんだん焦ってくるダンテの視線の先で、エリは握り締めていた鞄に手をやっていた。
そう言えば、以前護身用の銃を携帯していると言っていた。
男は周囲を気にしてばかりで、エリの動きには注意を払っていない。
エリが撃ってくれれば、隙をついて男の近くまで行ける。
少し危険な賭けになるが…。
そうこうしているうちにレジの金が集まり、男のもとへと渡る。
男は袋を手にエリの腕を引っ張った。
「よし、てめぇは一緒に来い!」
「エリ!撃て!」
連れて行かれたら本格的にやばいと、とっさに叫んだ。
「ちっ」
男は舌打ちし、反射的にダンテに銃を向けて引き金を引く。
「ダンテ!!」
銃弾では死なないとわかっているが、エリは心拍数が上がる。
命中はしないものの、ダンテの首筋から血が流れ出した。
どうしよう。
このままじゃダンテまで…。
鞄に隠した護身用の銃を再び握り締める。
今犯人の銃は自分から逸れている。
やるなら、今しかない。
だけど、いざこういう状況になったら撃つのがすごく怖くなった。
生身の人間なんて、撃ったことは勿論ない。
迷っている間にも、男はダンテに狙いを定め撃つ。
迷ってる場合じゃないのに。
エリは様々な恐怖から結局何もできないまま、ダンテを見つめる。
強い瞳が何かを伝えようとしていた。
「エリ、そいつは悪魔だ!俺を信じて撃て!」
このひとが人間なら、撃つのは怖い。
だけど悪魔なら。
私たち家族をめちゃくちゃにした悪魔なら、撃てる。
エリは目を閉じて男目掛けて一気に引き金を引いた。
緊張感や恐怖心でいっぱいになっていた身体は反動で倒れそうになり、次に目蓋を開いた時にはダンテに支えられていた。
必死過ぎてよくわからなかったが、どうやら男の拘束からは解放されたようだ。
「エリ」
「ダンテ…私…」
「よくやったな。あとは俺に任せろ」
ダンテはにっと笑うと、エリの身を床に下ろし、男と向き合う。
「悪魔の分際で強盗なんて洒落た趣味してんな」
「てめぇ邪魔しやがって…!」
「ここからは俺が相手だ」
人間の姿から皮膚を破り、黒光りする身体が現れた。
大きな牙と鋭い爪。
ダンテの言った通り、本当に悪魔だったんだ。
まさか人間に混じっているなんて。
エリは呆然としたまま、ダンテの背中を眺めていた。
「エリ」
あれからどれくらい経ったのか、ダンテの声を聞いて意識が戻る。
「…ダンテ」
ダンテが頬を撫でてくれ、少しずつ起こったことを冷静に理解し始めた。
「大丈夫か?怖かっただろ」
「良かった…ダンテ」
ダンテに抱き付くと、温かくて自然と涙が出てしまう。
「ありがとう…」
「震えてるじゃねぇか」
「ダンテ…っ」
緊張感からやっと解き放たれて、ダンテの胸でわんわん泣いてしまう。
ダンテはエリの頭を撫でて横抱きにする。
悪魔の強盗が消滅した一方、スーパーの駐車場には警察やら報道やら集まって来ている。
言い逃れできないくらい目立ってしまったが、混乱している今、早く出て行きたい。
「エリ、今のうちに出よう」
「…うん」
エリはダンテにすがりついて身を任せる。
ああ、また助けられちゃった。
やっぱりダンテは私のヒーローだ。
「ただいま」
事務所に着き、エリを抱き締めたダンテがドアを開けば、バージルが走り寄って来る。
「エリ!大丈夫か!?」
エリは頷いて、微笑んでみせた。
もう、だいぶ落ち着いて震えも止まった。
ダンテはエリの身をゆっくり下ろす。
「バージルなんで知ってんだよ」
「つい先程のニュースでな。お前が犯人を撃ち抜くところまでばっちりだ」
「ぎぇ…まじかよ」
下手に目立ちたくなかったから急いで帰って来たのに、スーパーの監視カメラの映像が早速ニュースで流れたらしい。
ダンテは報道の仕事の速さにうんざりした。
「とにかくエリに怪我がなくて良かった」
いつもより白い顔をした妹の頬をバージルが撫で、ソファまで誘導する。
2人が出掛ける前、ダンテがエリと一緒にいることが不快だったが、ダンテがいてくれて良かったと思わざるを得なかった。
end.
前に並んでいる客は皆かごいっぱいに商品が入っていて、会計が終わるまで時間が掛かりそうだ。
2人で大人しく待っていると、何故かエリが売り場の方に駆け出した。
「ダンテ、ごめん。買い忘れがあったから取ってくるね」
「ああ」
軽く返事を返し姿を目で追っていけば、エリの向かいから深く帽子を被った男がやって来るのがわかった。
ちょっとした違和感。
ダンテの視線の先で、妹はその男に腕を取られる。
「きゃ!?」
「エリ!」
身構えたが叫ぶより先に、男は隠し持っていた銃をエリに向けていた。
人質、それも妹を盾に取られたらそう簡単には動けない。
ダンテは唇を噛んだ。
「ダンテ…!」
エリの悲痛な声に身体が反応する。
早く助けてやりたい。
「おっと。動いたらこの女を殺す」
「てめぇ…卑怯だぞ!」
男はエリに銃を向けたまま、レジの方まで近づいて来る。
周りの客も異変に気づき、叫び声を上げ始めた。
「卑怯でも何でもいい!てめぇら全員床に伏せろ!」
エリは男に拘束され震えている。
銃口はエリの頭に向けられているため、もし動くものならすぐ撃たれてしまうだろう。
「おい、そこのお前!この袋の中に有り金全部詰めろ!」
男は店員のひとりに布袋を投げつけ、店員は急いでレジの金を入れ始める。
その間も、ダンテはエリから視線を逸らさなかった。
何か。
何か、妹を助ける方法があるはずだ。
エリが人質にされていなかったら、あんなやつすぐに倒せるのに。
一瞬でいい。
何か隙を作れれば…。
だんだん焦ってくるダンテの視線の先で、エリは握り締めていた鞄に手をやっていた。
そう言えば、以前護身用の銃を携帯していると言っていた。
男は周囲を気にしてばかりで、エリの動きには注意を払っていない。
エリが撃ってくれれば、隙をついて男の近くまで行ける。
少し危険な賭けになるが…。
そうこうしているうちにレジの金が集まり、男のもとへと渡る。
男は袋を手にエリの腕を引っ張った。
「よし、てめぇは一緒に来い!」
「エリ!撃て!」
連れて行かれたら本格的にやばいと、とっさに叫んだ。
「ちっ」
男は舌打ちし、反射的にダンテに銃を向けて引き金を引く。
「ダンテ!!」
銃弾では死なないとわかっているが、エリは心拍数が上がる。
命中はしないものの、ダンテの首筋から血が流れ出した。
どうしよう。
このままじゃダンテまで…。
鞄に隠した護身用の銃を再び握り締める。
今犯人の銃は自分から逸れている。
やるなら、今しかない。
だけど、いざこういう状況になったら撃つのがすごく怖くなった。
生身の人間なんて、撃ったことは勿論ない。
迷っている間にも、男はダンテに狙いを定め撃つ。
迷ってる場合じゃないのに。
エリは様々な恐怖から結局何もできないまま、ダンテを見つめる。
強い瞳が何かを伝えようとしていた。
「エリ、そいつは悪魔だ!俺を信じて撃て!」
このひとが人間なら、撃つのは怖い。
だけど悪魔なら。
私たち家族をめちゃくちゃにした悪魔なら、撃てる。
エリは目を閉じて男目掛けて一気に引き金を引いた。
緊張感や恐怖心でいっぱいになっていた身体は反動で倒れそうになり、次に目蓋を開いた時にはダンテに支えられていた。
必死過ぎてよくわからなかったが、どうやら男の拘束からは解放されたようだ。
「エリ」
「ダンテ…私…」
「よくやったな。あとは俺に任せろ」
ダンテはにっと笑うと、エリの身を床に下ろし、男と向き合う。
「悪魔の分際で強盗なんて洒落た趣味してんな」
「てめぇ邪魔しやがって…!」
「ここからは俺が相手だ」
人間の姿から皮膚を破り、黒光りする身体が現れた。
大きな牙と鋭い爪。
ダンテの言った通り、本当に悪魔だったんだ。
まさか人間に混じっているなんて。
エリは呆然としたまま、ダンテの背中を眺めていた。
「エリ」
あれからどれくらい経ったのか、ダンテの声を聞いて意識が戻る。
「…ダンテ」
ダンテが頬を撫でてくれ、少しずつ起こったことを冷静に理解し始めた。
「大丈夫か?怖かっただろ」
「良かった…ダンテ」
ダンテに抱き付くと、温かくて自然と涙が出てしまう。
「ありがとう…」
「震えてるじゃねぇか」
「ダンテ…っ」
緊張感からやっと解き放たれて、ダンテの胸でわんわん泣いてしまう。
ダンテはエリの頭を撫でて横抱きにする。
悪魔の強盗が消滅した一方、スーパーの駐車場には警察やら報道やら集まって来ている。
言い逃れできないくらい目立ってしまったが、混乱している今、早く出て行きたい。
「エリ、今のうちに出よう」
「…うん」
エリはダンテにすがりついて身を任せる。
ああ、また助けられちゃった。
やっぱりダンテは私のヒーローだ。
「ただいま」
事務所に着き、エリを抱き締めたダンテがドアを開けば、バージルが走り寄って来る。
「エリ!大丈夫か!?」
エリは頷いて、微笑んでみせた。
もう、だいぶ落ち着いて震えも止まった。
ダンテはエリの身をゆっくり下ろす。
「バージルなんで知ってんだよ」
「つい先程のニュースでな。お前が犯人を撃ち抜くところまでばっちりだ」
「ぎぇ…まじかよ」
下手に目立ちたくなかったから急いで帰って来たのに、スーパーの監視カメラの映像が早速ニュースで流れたらしい。
ダンテは報道の仕事の速さにうんざりした。
「とにかくエリに怪我がなくて良かった」
いつもより白い顔をした妹の頬をバージルが撫で、ソファまで誘導する。
2人が出掛ける前、ダンテがエリと一緒にいることが不快だったが、ダンテがいてくれて良かったと思わざるを得なかった。
end.