【第2章】目に見えないもの
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「ごめん。グリフォン、シャドウ、少しVと2人にさせて」
「アー、わかったぜアリア!ごゆっくり。でも、まだまだ日は高いからなァ!」
「どういう意味!?グリフォン!」
「そういう意味!」
12日目。
いつものようにVたちがお店に帰宅した時、私はグリフォンとシャドウに手を合わせた。
昨日初めて、Vと手を繋いだ。
それだけですごくすごく嬉しくて、初めての両想いっていうのに心が躍るみたい。
直球な言葉はないけど、Vは確かに、私を受け入れて大切にしてくれている。
父が残したデイリリーも、新しく特別な優しい思い出になった。
だけど、1個だけどうしても気になってしまうことというか、欲みたいなものが胸の中にある。
グリフォンもシャドウもレコードの置いてある店内からは出て行って、Vと2人だけの空間が訪れた。
本当の意味で2人っきりって、今までもあまりなくて、改めてVと向き合ってちょっと緊張してくる。
「…ねぇ、V。私、あれから考えてたんだけど」
「ああ、なんだ」
しっかり私の瞳を見つめて、私の言葉を待つV。
それだけで、こんなにも胸がいっぱいになる。
でも私は、Vから直接聞きたい言葉があった。
心臓を落ち着けるように右手を当てて、ゆっくり口を開く。
「Vは私のこと、好き…なんだよね?」
意を決してそういうと、澄んだ緑色は確かに見開かれる。
その仕草が色々な意味を想像させて、私を嬉しくも悲しくもさせた。
「えっと…ごめん」
ただあなたに、好きなひとに、「好き」って言って欲しい。
そんな単純な欲求が、抑えられない。
同時に私自身が気持ちを隠すことももうできない。
緊張するけど、言わない方がもったいない気がして、Vに私の心を知って欲しくてしょうがない。
「私はVのこと、好き…」
「アリア…」
「あのね…理由は…わからない。だけどVといると、私の今までを全部認められるような感覚になる」
今まで私にあった出来事が、Vといると何故か全部肯定できる。
それが目を背けたい、辛い思い出や悲しい思い出であったとしても。
そんなひと、出逢ったことなんて勿論なくて、舞い上がった台詞だけど「運命のひと」じゃないかって、思ってしまう。
心からの言葉を伝えればVが私に近づいて、それこそすぐに抱き締められる距離で、微笑んでくれる。
「…そうか。俺も、お前と同じだ」
私も自然と笑みが溢れて、Vに抱き着きたい衝動に駆られた。
なんとかそれを抑えていたら、Vは一言一言噛み締めて私に告げる。
「俺は、今だからアリアに出逢えて、そうしてこれで良かったんだと思える」
Vの今までは、やっぱりはっきりと知らないのに、同じような感情を抱ける。
それって、ものすごい奇跡。
現実で見る夢みたいだ。
「生まれた境遇やら全部違うのに、不思議なものだな…」
Vが昨日のように私の頬を左手で撫でて、そこが段々熱くなっていくのがわかる。
ただ触れ合ってるだけなのに、変だ。
こんなの、初めて。
ドキドキするけど、Vの綺麗な瞳から目を反らせない。
このまま、吸い込まれそう。
「V…えっと」
言葉が見つからずにいる私に、Vは再び口を開いた。
「俺はお前を、きっと愛するだろう」
「きっと…?」
愛情を伝える台詞なのに、まるで謎掛けみたいで、少しだけ現実に戻される。
首を傾げたら、Vは今度こそ私の欲しがっていた言葉を囁いた。
「アリア…好きだ。そうしてもっと、好きになる」
「…これから、ね」
まだ私たちの時間は、ある。
その間にたくさんの思い出と、言葉も、与えたいし与えられたい。
頬にやっていない方のVの手がそっと私の背に回って、ぴったりと密着した。
伝わってくる体温は少しだけ冷たくて、でも、それに反して私は熱くなる。
「…覚えておいてくれ。俺の心は、お前のものだ」
お願いしなくても、勿論ずっとずっと覚えてる。
近づいてくるVの顔に、くらくらしそうになりながらそっと瞼を閉じる。
だけど、夢に見たファーストキスの感覚はやって来ず、代わりにばたんっと物音がこだました。
同時に、Vの腕も私の視界も開かれて、Vはグリフォンとシャドウが去っていった廊下とお店が繋がる扉まで進み、ゆっくりと開く。
「押すなよ!猫ちゃん…!見えねェじゃねぇか!」
「…グリフォン」
「ギャー!!Vちゃん!?ごめんネ…」
「覗きとはいい趣味だな…」
「ごめんって!!イイぜ、続けて!」
「地獄に落ちろ」
私の方からはVの背中で2人の姿が見えないけど、いつからかずっとそこで見られていたみたい。
やっぱり恥ずかしいのに、Vが好きなのはどうしようもない事実だから、いいかって気持ちにもなってきた。
私も皆が言い合ってるところに近づいて、Vの肩を叩く。
「ねぇ、V」
「どうした、アリア…っ…」
私にちゃんと振り向いてくれたVのくちびるに、精一杯背伸びして、自分のを押し付けた。
勇気を出してだから、ほんの一瞬のこと。
瞳を開くと、Vはまた目を見開いていた。
ごめんね、V。
さっきお預けだったから、もやもやしていて…。
「アリア大胆!やられたなァ、V」
グリフォンの声がこだまして、改めて自分のしたことを理解して頭が沸騰しそうになった。
「ファーストキス、頑張っちゃった…」
「アリア…」
少しでも隠そうと、両手で真っ赤な顔を包む。
今度こそ、Vのことまともに見れないや…。
「お前の初めて、光栄に思う」
「…私も、Vが初めてで…良かった」
Vがどんな表情でどこを見ているかわからないけど、そう言ってもらって、胸がきゅんとした。
次は本当に、Vからキスしてもらいたいな。
完璧に恋する乙女な私は、心地いい胸の鼓動に酔っている。
end.
「アー、わかったぜアリア!ごゆっくり。でも、まだまだ日は高いからなァ!」
「どういう意味!?グリフォン!」
「そういう意味!」
12日目。
いつものようにVたちがお店に帰宅した時、私はグリフォンとシャドウに手を合わせた。
昨日初めて、Vと手を繋いだ。
それだけですごくすごく嬉しくて、初めての両想いっていうのに心が躍るみたい。
直球な言葉はないけど、Vは確かに、私を受け入れて大切にしてくれている。
父が残したデイリリーも、新しく特別な優しい思い出になった。
だけど、1個だけどうしても気になってしまうことというか、欲みたいなものが胸の中にある。
グリフォンもシャドウもレコードの置いてある店内からは出て行って、Vと2人だけの空間が訪れた。
本当の意味で2人っきりって、今までもあまりなくて、改めてVと向き合ってちょっと緊張してくる。
「…ねぇ、V。私、あれから考えてたんだけど」
「ああ、なんだ」
しっかり私の瞳を見つめて、私の言葉を待つV。
それだけで、こんなにも胸がいっぱいになる。
でも私は、Vから直接聞きたい言葉があった。
心臓を落ち着けるように右手を当てて、ゆっくり口を開く。
「Vは私のこと、好き…なんだよね?」
意を決してそういうと、澄んだ緑色は確かに見開かれる。
その仕草が色々な意味を想像させて、私を嬉しくも悲しくもさせた。
「えっと…ごめん」
ただあなたに、好きなひとに、「好き」って言って欲しい。
そんな単純な欲求が、抑えられない。
同時に私自身が気持ちを隠すことももうできない。
緊張するけど、言わない方がもったいない気がして、Vに私の心を知って欲しくてしょうがない。
「私はVのこと、好き…」
「アリア…」
「あのね…理由は…わからない。だけどVといると、私の今までを全部認められるような感覚になる」
今まで私にあった出来事が、Vといると何故か全部肯定できる。
それが目を背けたい、辛い思い出や悲しい思い出であったとしても。
そんなひと、出逢ったことなんて勿論なくて、舞い上がった台詞だけど「運命のひと」じゃないかって、思ってしまう。
心からの言葉を伝えればVが私に近づいて、それこそすぐに抱き締められる距離で、微笑んでくれる。
「…そうか。俺も、お前と同じだ」
私も自然と笑みが溢れて、Vに抱き着きたい衝動に駆られた。
なんとかそれを抑えていたら、Vは一言一言噛み締めて私に告げる。
「俺は、今だからアリアに出逢えて、そうしてこれで良かったんだと思える」
Vの今までは、やっぱりはっきりと知らないのに、同じような感情を抱ける。
それって、ものすごい奇跡。
現実で見る夢みたいだ。
「生まれた境遇やら全部違うのに、不思議なものだな…」
Vが昨日のように私の頬を左手で撫でて、そこが段々熱くなっていくのがわかる。
ただ触れ合ってるだけなのに、変だ。
こんなの、初めて。
ドキドキするけど、Vの綺麗な瞳から目を反らせない。
このまま、吸い込まれそう。
「V…えっと」
言葉が見つからずにいる私に、Vは再び口を開いた。
「俺はお前を、きっと愛するだろう」
「きっと…?」
愛情を伝える台詞なのに、まるで謎掛けみたいで、少しだけ現実に戻される。
首を傾げたら、Vは今度こそ私の欲しがっていた言葉を囁いた。
「アリア…好きだ。そうしてもっと、好きになる」
「…これから、ね」
まだ私たちの時間は、ある。
その間にたくさんの思い出と、言葉も、与えたいし与えられたい。
頬にやっていない方のVの手がそっと私の背に回って、ぴったりと密着した。
伝わってくる体温は少しだけ冷たくて、でも、それに反して私は熱くなる。
「…覚えておいてくれ。俺の心は、お前のものだ」
お願いしなくても、勿論ずっとずっと覚えてる。
近づいてくるVの顔に、くらくらしそうになりながらそっと瞼を閉じる。
だけど、夢に見たファーストキスの感覚はやって来ず、代わりにばたんっと物音がこだました。
同時に、Vの腕も私の視界も開かれて、Vはグリフォンとシャドウが去っていった廊下とお店が繋がる扉まで進み、ゆっくりと開く。
「押すなよ!猫ちゃん…!見えねェじゃねぇか!」
「…グリフォン」
「ギャー!!Vちゃん!?ごめんネ…」
「覗きとはいい趣味だな…」
「ごめんって!!イイぜ、続けて!」
「地獄に落ちろ」
私の方からはVの背中で2人の姿が見えないけど、いつからかずっとそこで見られていたみたい。
やっぱり恥ずかしいのに、Vが好きなのはどうしようもない事実だから、いいかって気持ちにもなってきた。
私も皆が言い合ってるところに近づいて、Vの肩を叩く。
「ねぇ、V」
「どうした、アリア…っ…」
私にちゃんと振り向いてくれたVのくちびるに、精一杯背伸びして、自分のを押し付けた。
勇気を出してだから、ほんの一瞬のこと。
瞳を開くと、Vはまた目を見開いていた。
ごめんね、V。
さっきお預けだったから、もやもやしていて…。
「アリア大胆!やられたなァ、V」
グリフォンの声がこだまして、改めて自分のしたことを理解して頭が沸騰しそうになった。
「ファーストキス、頑張っちゃった…」
「アリア…」
少しでも隠そうと、両手で真っ赤な顔を包む。
今度こそ、Vのことまともに見れないや…。
「お前の初めて、光栄に思う」
「…私も、Vが初めてで…良かった」
Vがどんな表情でどこを見ているかわからないけど、そう言ってもらって、胸がきゅんとした。
次は本当に、Vからキスしてもらいたいな。
完璧に恋する乙女な私は、心地いい胸の鼓動に酔っている。
end.