Charlotte
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2人は現場に着くまで無言だった。
少し距離を取って隣を歩いていたバージルが、何故一緒に来るかダンテにはまだ疑問だった。
だが、素直に聞く気は毛頭なかった。
俺のように体力が有り余っていてただ単に暴れたいだけかもしれない。
俺を殺す気は、とりあえず以前聞いた限りだとないみたいだし。
ダンテがちらりとバージルを見る。
2人の魔力に引き寄せられたのか、地面から数体のアビスが現れじりじりと詰め寄った。
「あんたとまた共闘するなんてな」
ダンテが鼻で笑うと、ヘル=プライド、ヘル=スロース、様々な悪魔が次々と姿を現す。
「別にどちらか一方でも片付けられるだろう、これくらい」
「確かに」
背中合わせでそれぞれ武器を構える。
「返り血浴びるなよ」
「言われなくとも」
ダンテの忠告にバージルは面倒くさそうに返す。
下手な状態で帰宅すれば、エリを驚かせることになることはわかりきっている。
鋭い鎌が2人に襲いかかり、それが合図となった。
ダンテはリベリオンを構え一振りで眼前の悪魔を薙ぎ払い、バージルは低い姿勢のまま抜刀して一掃する。
地から這い出る雑魚を愛用の2丁拳銃で片付け、楽しそうに口角を上げるダンテ。
それを横目に見て、バージルは弟のこの行為に何の意味があるのか、疑問に思う。
ひたすらに父である魔剣士スパーダの力を追い求めた自分とは違い、事務所を構えて悪魔を倒すことをその身に課した弟。
「あの日」幸せだった家庭を壊したのは他でもない悪魔という存在であり、「あの日」の経験がダンテとバージル2人の運命を変えた。
「八つ当たりか」
「何が?」
「悪魔退治だ」
「別に。ストレス発散かな」
ただ数が集まっただけの下級悪魔を倒すのは、2人で会話していても何ともない。
「ストレス発散」という解答はいかにもダンテらしいと思う反面、やはりバージルには母親を殺した悪魔に対しての「八つ当たり」にも見えた。
「終わったな。つまらねぇ」
「まぁ2人で来たからな。だが、本番はここからだ」
「え、何?本番?」
悪魔は全て片付けたのにまだやる気満々のバージルを見て、ダンテは首を傾げる。
バージルがダンテに聞きたかったのは悪魔狩りをする理由だけではない。
わざわざこうして付いて来たのは、妹抜きで話したいことがあったからだ。
一方その頃ダンテの事務所では看板の業者がやって来て、取り付け作業が始まっていた。
引き留められたエンツォは紅茶を啜りながら、エリと隣り合わせでソファに座っていた。
ダンテと違い、小柄で花のある女の子と話をするのは悪い気はしない。
「エンツォさん、いつも兄がお世話になってます。これからも宜しくお願いしますね!」
輝く笑顔と柔らかい手で握手されて、自然と頬が緩む。
エリはダンテに聞かされて1度は会ってみたいと思っていた仲介屋を前にして、少し興奮していた。
「いやいや、こちらこそ。エリちゃんしっかりしてるんだな」
ダンテに妹、それも血の繋がらない妹がいるなんて初めて聞いたが、まさかこんなに素直でいい子だとは。
人遣いが荒くて乱暴なダンテからは本当に想像できない。
エンツォは優しい彼女に、頬をうっすら染めて頭を掻く。
「あ、せっかくだからお礼させてください」
「いいよいいよ、お礼なんて」
「遠慮しないでください」
エリは目を細めて微笑んで、ソファから立ち上がった。
今日来るとわかっていたらもっと立派なお礼もできたが、あいにく家にあるものは限られている。
短時間でできそうなお礼はひとつだった。
エリとエンツォが交流を深めている間、ダンテの前にはバージルが腕を組んで仁王立ちしていた。
その背後からは、心なしか黒く冷たいものが立ちこめているように見える。
バージルは威厳たっぷりに口を開き、それはどこか父親に似てるなと、この状況に少し混乱している頭でぼんやり思う。
「ダンテ。貴様はエリのなんだ」
「え?えーっと、兄貴?」
「よくわかってるじゃないか」
「それがどうした?」
いきなり何を言い出すかと思えば。
わかりきってうんざりしているくらい、簡単な問題だ。
「ではエリに抱き付いたりするな」
この間バージルに見せつけるようにした、エリとのハグを思い出す。
まだ根に持っていたのかと吹き出しそうになった。
こんな涼しい顔をしておきながら、やっぱりバージルも子どもの頃と同じようにエリが気になって仕方ないんだと理解する。
再会してすぐはエリに冷たいことを言って泣かせたくせに、結局エリが大切らしい。
それが家族のそれか異性のそれかはわからないが。
「あれは家族のスキンシップだろ?悔しいならあんたもすればいいだろうが」
ダンテはとりあえず自分の気持ちを隠し、最もらしいことを言ってみる。
家族とはいえ、実際バージルがエリを抱き締めているところを想像すると、やっぱりあまり気持ちいいものではなかった。
ダンテの発言を聞いたバージルの眉間には、確実なしわが刻まれる。
これは相当怒っている。
やばいと、ダンテは半歩後ろに下がった。
「…貴様の触り方はいやらしい!」
「うお!」
至近距離の抜刀をすれすれで避け、高く宙に舞う。
バージルの言った「本番」というのはこのことだったのだ。
事務所では、エリがキッチンに立っていた。
あり合わせの材料で作ったのはビスケットでマシュマロを挟んで温めたもの。
皿にそれらしく盛り付け、差し出す。
「はい、エンツォさん。簡易的なお菓子ですけど、せめてものお礼です」
エンツォは促されるままにひとつ摘んで口に放り込んだ。
「うまっ!」
「ありがとうございます」
「マシュマロ懐かしいなー昔行ったキャンプ思い出すよ」
「キャンプの焼きマシュマロ最高ですよね!」
エンツォとエリはそれぞれ思い出を少し振り返り、自然と笑顔になる。
エリのお菓子にはその辺の店にない至極一般的な家庭の味があり、それが独り身のエンツォは羨ましくなってしまった。
「いいなぁダンテは。毎日エリちゃんの手料理か」
誰かが待っている家は温かい。
皿の上のマシュマロを全て完食し、呟く。
それを受けたエリは、また優しく微笑んだ。
「エンツォさんも偶に食べにくればいいですよ。ご馳走します」
「マジ!?」
ダンテひとりの事務所に入るのはちょっと気が引けたが、エリがこうして柔らかく迎え入れてくれるなら、ぜひまたお邪魔したい。
不意に女神が降臨したと、エンツォは喜んだ。
一方その頃。
双子による妹をめぐる争いはまだ続いていた。
バージルの怒りが頂点に達してから全力で喧嘩していたため、洋服は汚れや擦り切れでボロボロになり、半魔といえどもお互いに息切れしていた。
つい先程エリを心配させないために無傷で帰ろうと会話したはずなのに、なんでこんなことになってるのかと、ダンテは笑うしかなかった。
バージルの主張は最もなことを言っているように聞こえるが、ダンテに言わせれば単なる「嫉妬」だ。
自覚しているかいないのか、バージルにとってもエリは「特別な女」らしい。
それは否定はしないが、バージルがいない間もエリを守って、ずっとエリと2人で支え合って生きてきたダンテは段々とむかついてきた。
家族としても女としても、エリが好きだ。
今更あんたに色々言われる筋合いなんかねぇよ。
今までエリ本人にも言わず、らしくもなく胸に秘めていた想いを、バージルにぶちまけることに決めた。
「俺はエリが好きなんだよ!」
「は?好き、だと!?」
「そうだよ、ずっと前からな!」
ダンテの叫びに、案の定バージルの動きが止まる。
その顔はいつもの厳しい表情からは想像できないくらい、間抜けに目を見開いていた。
まるで鳩が豆鉄砲食らったみたいだ。
「…バージル?」
一時休戦。
固まってしまった双子の兄の目の前まで近づき、手を振ってみる。
まばたきしたのでとりあえず大丈夫そうだ。
「…俺たちは血は繋がっていないが兄妹だぞ」
「ああ、わかってるさ」
「エリは妹だ」
「でも血は繋がってないんだぜ?」
何回も繰り返し考えたことなので、今更冷静に言われようが動揺なんてしない。
「これでも俺だって悩んだんだ。でも、どうしようもないくらい好きなんだから仕方ねぇだろうが」
「貴様は何をぬけぬけと…!」
バージルの眉間には再びしわが刻まれる。
その姿を見て、やっぱりこいつは俺と違って限りなく真面目だなと溜め息をついてしまった。
エンツォが事務所を出て、看板の取り付け作業が終わった頃には、すっかり日が暮れていた。
エリはひとりで明かりを灯さないDevil May Cryの文字を見て微笑むと、夕食の準備を始めた。
ダンテもバージルもお腹を空かせて帰って来るだろう。
そう考えていれば、ちょうど玄関から足音が聞こえ火元を確認して見に行った。
「2人ともお帰りなさい!遅かったね」
「ただいま」
2人同時に返事してくれる。
致命傷はないが何故か疲労困憊な2人に、エリは驚き駆け寄った。
「すごいボロボロ…!大丈夫?怪我とかない?」
「ああ、大事ない。エリ」
バージルはその健気な姿に僅かに微笑んで返す。
「エリー!」
ダンテがエリに抱き付こうとすると、バージルが耳を引っ張る。
「貴様、汚い手でエリに触れるな」
「痛っやめろよ」
エリはその様子が仲良さげに見えて、2人が消耗した理由も知らず、思わず笑ってしまった。
end.
少し距離を取って隣を歩いていたバージルが、何故一緒に来るかダンテにはまだ疑問だった。
だが、素直に聞く気は毛頭なかった。
俺のように体力が有り余っていてただ単に暴れたいだけかもしれない。
俺を殺す気は、とりあえず以前聞いた限りだとないみたいだし。
ダンテがちらりとバージルを見る。
2人の魔力に引き寄せられたのか、地面から数体のアビスが現れじりじりと詰め寄った。
「あんたとまた共闘するなんてな」
ダンテが鼻で笑うと、ヘル=プライド、ヘル=スロース、様々な悪魔が次々と姿を現す。
「別にどちらか一方でも片付けられるだろう、これくらい」
「確かに」
背中合わせでそれぞれ武器を構える。
「返り血浴びるなよ」
「言われなくとも」
ダンテの忠告にバージルは面倒くさそうに返す。
下手な状態で帰宅すれば、エリを驚かせることになることはわかりきっている。
鋭い鎌が2人に襲いかかり、それが合図となった。
ダンテはリベリオンを構え一振りで眼前の悪魔を薙ぎ払い、バージルは低い姿勢のまま抜刀して一掃する。
地から這い出る雑魚を愛用の2丁拳銃で片付け、楽しそうに口角を上げるダンテ。
それを横目に見て、バージルは弟のこの行為に何の意味があるのか、疑問に思う。
ひたすらに父である魔剣士スパーダの力を追い求めた自分とは違い、事務所を構えて悪魔を倒すことをその身に課した弟。
「あの日」幸せだった家庭を壊したのは他でもない悪魔という存在であり、「あの日」の経験がダンテとバージル2人の運命を変えた。
「八つ当たりか」
「何が?」
「悪魔退治だ」
「別に。ストレス発散かな」
ただ数が集まっただけの下級悪魔を倒すのは、2人で会話していても何ともない。
「ストレス発散」という解答はいかにもダンテらしいと思う反面、やはりバージルには母親を殺した悪魔に対しての「八つ当たり」にも見えた。
「終わったな。つまらねぇ」
「まぁ2人で来たからな。だが、本番はここからだ」
「え、何?本番?」
悪魔は全て片付けたのにまだやる気満々のバージルを見て、ダンテは首を傾げる。
バージルがダンテに聞きたかったのは悪魔狩りをする理由だけではない。
わざわざこうして付いて来たのは、妹抜きで話したいことがあったからだ。
一方その頃ダンテの事務所では看板の業者がやって来て、取り付け作業が始まっていた。
引き留められたエンツォは紅茶を啜りながら、エリと隣り合わせでソファに座っていた。
ダンテと違い、小柄で花のある女の子と話をするのは悪い気はしない。
「エンツォさん、いつも兄がお世話になってます。これからも宜しくお願いしますね!」
輝く笑顔と柔らかい手で握手されて、自然と頬が緩む。
エリはダンテに聞かされて1度は会ってみたいと思っていた仲介屋を前にして、少し興奮していた。
「いやいや、こちらこそ。エリちゃんしっかりしてるんだな」
ダンテに妹、それも血の繋がらない妹がいるなんて初めて聞いたが、まさかこんなに素直でいい子だとは。
人遣いが荒くて乱暴なダンテからは本当に想像できない。
エンツォは優しい彼女に、頬をうっすら染めて頭を掻く。
「あ、せっかくだからお礼させてください」
「いいよいいよ、お礼なんて」
「遠慮しないでください」
エリは目を細めて微笑んで、ソファから立ち上がった。
今日来るとわかっていたらもっと立派なお礼もできたが、あいにく家にあるものは限られている。
短時間でできそうなお礼はひとつだった。
エリとエンツォが交流を深めている間、ダンテの前にはバージルが腕を組んで仁王立ちしていた。
その背後からは、心なしか黒く冷たいものが立ちこめているように見える。
バージルは威厳たっぷりに口を開き、それはどこか父親に似てるなと、この状況に少し混乱している頭でぼんやり思う。
「ダンテ。貴様はエリのなんだ」
「え?えーっと、兄貴?」
「よくわかってるじゃないか」
「それがどうした?」
いきなり何を言い出すかと思えば。
わかりきってうんざりしているくらい、簡単な問題だ。
「ではエリに抱き付いたりするな」
この間バージルに見せつけるようにした、エリとのハグを思い出す。
まだ根に持っていたのかと吹き出しそうになった。
こんな涼しい顔をしておきながら、やっぱりバージルも子どもの頃と同じようにエリが気になって仕方ないんだと理解する。
再会してすぐはエリに冷たいことを言って泣かせたくせに、結局エリが大切らしい。
それが家族のそれか異性のそれかはわからないが。
「あれは家族のスキンシップだろ?悔しいならあんたもすればいいだろうが」
ダンテはとりあえず自分の気持ちを隠し、最もらしいことを言ってみる。
家族とはいえ、実際バージルがエリを抱き締めているところを想像すると、やっぱりあまり気持ちいいものではなかった。
ダンテの発言を聞いたバージルの眉間には、確実なしわが刻まれる。
これは相当怒っている。
やばいと、ダンテは半歩後ろに下がった。
「…貴様の触り方はいやらしい!」
「うお!」
至近距離の抜刀をすれすれで避け、高く宙に舞う。
バージルの言った「本番」というのはこのことだったのだ。
事務所では、エリがキッチンに立っていた。
あり合わせの材料で作ったのはビスケットでマシュマロを挟んで温めたもの。
皿にそれらしく盛り付け、差し出す。
「はい、エンツォさん。簡易的なお菓子ですけど、せめてものお礼です」
エンツォは促されるままにひとつ摘んで口に放り込んだ。
「うまっ!」
「ありがとうございます」
「マシュマロ懐かしいなー昔行ったキャンプ思い出すよ」
「キャンプの焼きマシュマロ最高ですよね!」
エンツォとエリはそれぞれ思い出を少し振り返り、自然と笑顔になる。
エリのお菓子にはその辺の店にない至極一般的な家庭の味があり、それが独り身のエンツォは羨ましくなってしまった。
「いいなぁダンテは。毎日エリちゃんの手料理か」
誰かが待っている家は温かい。
皿の上のマシュマロを全て完食し、呟く。
それを受けたエリは、また優しく微笑んだ。
「エンツォさんも偶に食べにくればいいですよ。ご馳走します」
「マジ!?」
ダンテひとりの事務所に入るのはちょっと気が引けたが、エリがこうして柔らかく迎え入れてくれるなら、ぜひまたお邪魔したい。
不意に女神が降臨したと、エンツォは喜んだ。
一方その頃。
双子による妹をめぐる争いはまだ続いていた。
バージルの怒りが頂点に達してから全力で喧嘩していたため、洋服は汚れや擦り切れでボロボロになり、半魔といえどもお互いに息切れしていた。
つい先程エリを心配させないために無傷で帰ろうと会話したはずなのに、なんでこんなことになってるのかと、ダンテは笑うしかなかった。
バージルの主張は最もなことを言っているように聞こえるが、ダンテに言わせれば単なる「嫉妬」だ。
自覚しているかいないのか、バージルにとってもエリは「特別な女」らしい。
それは否定はしないが、バージルがいない間もエリを守って、ずっとエリと2人で支え合って生きてきたダンテは段々とむかついてきた。
家族としても女としても、エリが好きだ。
今更あんたに色々言われる筋合いなんかねぇよ。
今までエリ本人にも言わず、らしくもなく胸に秘めていた想いを、バージルにぶちまけることに決めた。
「俺はエリが好きなんだよ!」
「は?好き、だと!?」
「そうだよ、ずっと前からな!」
ダンテの叫びに、案の定バージルの動きが止まる。
その顔はいつもの厳しい表情からは想像できないくらい、間抜けに目を見開いていた。
まるで鳩が豆鉄砲食らったみたいだ。
「…バージル?」
一時休戦。
固まってしまった双子の兄の目の前まで近づき、手を振ってみる。
まばたきしたのでとりあえず大丈夫そうだ。
「…俺たちは血は繋がっていないが兄妹だぞ」
「ああ、わかってるさ」
「エリは妹だ」
「でも血は繋がってないんだぜ?」
何回も繰り返し考えたことなので、今更冷静に言われようが動揺なんてしない。
「これでも俺だって悩んだんだ。でも、どうしようもないくらい好きなんだから仕方ねぇだろうが」
「貴様は何をぬけぬけと…!」
バージルの眉間には再びしわが刻まれる。
その姿を見て、やっぱりこいつは俺と違って限りなく真面目だなと溜め息をついてしまった。
エンツォが事務所を出て、看板の取り付け作業が終わった頃には、すっかり日が暮れていた。
エリはひとりで明かりを灯さないDevil May Cryの文字を見て微笑むと、夕食の準備を始めた。
ダンテもバージルもお腹を空かせて帰って来るだろう。
そう考えていれば、ちょうど玄関から足音が聞こえ火元を確認して見に行った。
「2人ともお帰りなさい!遅かったね」
「ただいま」
2人同時に返事してくれる。
致命傷はないが何故か疲労困憊な2人に、エリは驚き駆け寄った。
「すごいボロボロ…!大丈夫?怪我とかない?」
「ああ、大事ない。エリ」
バージルはその健気な姿に僅かに微笑んで返す。
「エリー!」
ダンテがエリに抱き付こうとすると、バージルが耳を引っ張る。
「貴様、汚い手でエリに触れるな」
「痛っやめろよ」
エリはその様子が仲良さげに見えて、2人が消耗した理由も知らず、思わず笑ってしまった。
end.