Charlotte
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朝食後ダンテとバージルが2人してソファに座っているのを見て、エリはそれに参加せず、少し距離をおいて見守っていた。
何があっても双子だし、案外すぐに打ち解けるかもしれない。
そう思っていると、2人は何故か睨み合っていた。
バージルがダンテに詰め寄って何か言っているようだ。
「俺の閻魔刀を返せ」
「嫌だと言ったら?」
「殺すぞ」
忘れていたが、ダンテはここにバージルを運んだ時武器を取り上げていたようだった。
部屋の中には見当たらないし、ダンテが完全に管理しているのだろう。
「ちょっと2人とも…!喧嘩はやめて!」
見かねたエリが仲裁に入ると、2人は同時に彼女を見る。
こういう反応とかそっくりなのに。
バージルがダンテを指差した。
「エリ、こいつに言ってくれ」
「ダンテ、バージルの武器くらい返してあげればいいじゃない」
エリは、元々バージルのものだからと何も考えずバージルの肩を持つ。
「おいおい、それは反則だろ…」
「ね、お願いダンテ」
「わかった…エリ」
エリに頼まれたら断る訳にいかず、ダンテは簡単に折れた。
ソファから立ち上がり、武器が保存されている部屋に向かう。
バージルは短い間にエリの扱いも信頼も得てしまったようだ。
というか、エリがお人好しなんだろう。
閻魔刀を取って戻ると、エリはバージルの隣に座って何か楽しそうに話している。
少し前までその場所は俺のポジションだったのにと、もやもやした気持ちになる。
ダンテは2人の雰囲気をぶち壊すように、バージルの目の前に閻魔刀を突き出した。
「ほらよ」
「閻魔刀久しぶり。バージルもお父さんの刀大事にしてるんだね」
「…ああ」
バージルが閻魔刀を手に取って少し鞘を抜き、刃の様子を見る。
エリはそれを覗き込んで微笑んだ。
そんなにバージルの隣がいいかよ。
ダンテは口には出さず愚痴る。
「あ、いけない!私洗濯しなきゃ」
やがてエリが手をひとつ叩き、ソファから飛び出すように去って行った。
また2人だけになった双子の間には沈黙が流れたが、ダンテがそれを破った。
「…何考えてる?」
「何が」
テメンニグルではあんなにがむしゃらに力を求めていて、最初こそエリに酷いことを言ったが、今は猫のように大人しい。
ダンテには正直気持ち悪いくらいだった。
裏でよくないことを考えてるんじゃないか。
なまじ今まで何をしていたか知っているだけに、まだバージルのことを信じきれない。
「俺もエリも殺して、ここから出てこうとか…」
「ふん、そう見えるか」
「まぁ…半ば無理矢理連れてきたしな」
エリにどんな状況であれバージルを連れて帰ると約束はしたが、一応勝手に連れてきたことに責任は感じていた。
「お前はエリとは大違いだな。出て行く時はエリも一緒に攫うか」
「な…!」
バージルは鼻で笑い、とんでもないことを言う。
こいつやっぱり変わってない。
ダンテがあからさまに顔に怒りを表せば、また鼻で笑った。
「冗談だ」
「じょ!?くそ…ムカつく!」
ダンテの苛立ちを無視してバージルはソファから立ち上がる。
去る直前に、彼は視線だけダンテにやりながら、独り言のように零す。
「…俺はお前に1度殺された。それは紛れもない事実だ」
兄のその発言の意図は掴めない。
ただ、弟に敗れたという事実は兄にとって大きな意味を持っているようだ。
自分ひとりだけになり、ダンテは沈黙に包まれた。
「エリ」
「バージル」
エリが洗濯していると、バージルが後を追って呼び掛けてきた。
普通に自分を頼ってくれるのが嬉しくて、エリは自然と頬が緩む。
なくした時間を取り戻すように、もっとバージルのことが知りたい。
「この辺りの地理は詳しいか」
「うん、まあまあかな」
「服がほしい。いつまでもあいつのおさがりは嫌だからな」
バージルが意識不明でここに来て、勿論服はなかったので、代わりにダンテのものを着てもらっていた。
「そっか、ごめんね。気がつかなくて。じゃあ一緒に買いに行こうか」
「そうしてくれると助かる」
目が覚めた時とは違って、随分前向きな発言。
バージルはちゃんと、ここで一緒に生きていこうとしてくれている。
エリは家事を一通りしてから、出掛ける準備を整えた。
バージルと外出なんて、子どもの時以来でわくわくする。
2人合流してダンテに詳細を伝えると、あからさまに眉を歪ませた。
「は?買い物?」
「そういうことだ。留守は頼む」
「すぐ戻ってくるね、ダンテ」
バージルは心なしか見下して笑っているように見え、エリは満面の笑みで手を振る。
最悪だ。
絶対わざとだ、バージルのやつ。
「出て行く時はエリも一緒に攫うか」
さっきのバージルの台詞が頭にフラッシュバックする。
このまま帰って来なかったらどうしよう。
俺のエリが危ない。
かと言って追い掛けるのもプライドが許さない。
大丈夫。
エリは誰より俺を信頼しているはずだ。
ひょっこり出て来た兄貴より、昔から一緒にいた俺の方がずっと勝ってる。
ダンテは一喜一憂しながら2人の帰宅を待った。
end.
何があっても双子だし、案外すぐに打ち解けるかもしれない。
そう思っていると、2人は何故か睨み合っていた。
バージルがダンテに詰め寄って何か言っているようだ。
「俺の閻魔刀を返せ」
「嫌だと言ったら?」
「殺すぞ」
忘れていたが、ダンテはここにバージルを運んだ時武器を取り上げていたようだった。
部屋の中には見当たらないし、ダンテが完全に管理しているのだろう。
「ちょっと2人とも…!喧嘩はやめて!」
見かねたエリが仲裁に入ると、2人は同時に彼女を見る。
こういう反応とかそっくりなのに。
バージルがダンテを指差した。
「エリ、こいつに言ってくれ」
「ダンテ、バージルの武器くらい返してあげればいいじゃない」
エリは、元々バージルのものだからと何も考えずバージルの肩を持つ。
「おいおい、それは反則だろ…」
「ね、お願いダンテ」
「わかった…エリ」
エリに頼まれたら断る訳にいかず、ダンテは簡単に折れた。
ソファから立ち上がり、武器が保存されている部屋に向かう。
バージルは短い間にエリの扱いも信頼も得てしまったようだ。
というか、エリがお人好しなんだろう。
閻魔刀を取って戻ると、エリはバージルの隣に座って何か楽しそうに話している。
少し前までその場所は俺のポジションだったのにと、もやもやした気持ちになる。
ダンテは2人の雰囲気をぶち壊すように、バージルの目の前に閻魔刀を突き出した。
「ほらよ」
「閻魔刀久しぶり。バージルもお父さんの刀大事にしてるんだね」
「…ああ」
バージルが閻魔刀を手に取って少し鞘を抜き、刃の様子を見る。
エリはそれを覗き込んで微笑んだ。
そんなにバージルの隣がいいかよ。
ダンテは口には出さず愚痴る。
「あ、いけない!私洗濯しなきゃ」
やがてエリが手をひとつ叩き、ソファから飛び出すように去って行った。
また2人だけになった双子の間には沈黙が流れたが、ダンテがそれを破った。
「…何考えてる?」
「何が」
テメンニグルではあんなにがむしゃらに力を求めていて、最初こそエリに酷いことを言ったが、今は猫のように大人しい。
ダンテには正直気持ち悪いくらいだった。
裏でよくないことを考えてるんじゃないか。
なまじ今まで何をしていたか知っているだけに、まだバージルのことを信じきれない。
「俺もエリも殺して、ここから出てこうとか…」
「ふん、そう見えるか」
「まぁ…半ば無理矢理連れてきたしな」
エリにどんな状況であれバージルを連れて帰ると約束はしたが、一応勝手に連れてきたことに責任は感じていた。
「お前はエリとは大違いだな。出て行く時はエリも一緒に攫うか」
「な…!」
バージルは鼻で笑い、とんでもないことを言う。
こいつやっぱり変わってない。
ダンテがあからさまに顔に怒りを表せば、また鼻で笑った。
「冗談だ」
「じょ!?くそ…ムカつく!」
ダンテの苛立ちを無視してバージルはソファから立ち上がる。
去る直前に、彼は視線だけダンテにやりながら、独り言のように零す。
「…俺はお前に1度殺された。それは紛れもない事実だ」
兄のその発言の意図は掴めない。
ただ、弟に敗れたという事実は兄にとって大きな意味を持っているようだ。
自分ひとりだけになり、ダンテは沈黙に包まれた。
「エリ」
「バージル」
エリが洗濯していると、バージルが後を追って呼び掛けてきた。
普通に自分を頼ってくれるのが嬉しくて、エリは自然と頬が緩む。
なくした時間を取り戻すように、もっとバージルのことが知りたい。
「この辺りの地理は詳しいか」
「うん、まあまあかな」
「服がほしい。いつまでもあいつのおさがりは嫌だからな」
バージルが意識不明でここに来て、勿論服はなかったので、代わりにダンテのものを着てもらっていた。
「そっか、ごめんね。気がつかなくて。じゃあ一緒に買いに行こうか」
「そうしてくれると助かる」
目が覚めた時とは違って、随分前向きな発言。
バージルはちゃんと、ここで一緒に生きていこうとしてくれている。
エリは家事を一通りしてから、出掛ける準備を整えた。
バージルと外出なんて、子どもの時以来でわくわくする。
2人合流してダンテに詳細を伝えると、あからさまに眉を歪ませた。
「は?買い物?」
「そういうことだ。留守は頼む」
「すぐ戻ってくるね、ダンテ」
バージルは心なしか見下して笑っているように見え、エリは満面の笑みで手を振る。
最悪だ。
絶対わざとだ、バージルのやつ。
「出て行く時はエリも一緒に攫うか」
さっきのバージルの台詞が頭にフラッシュバックする。
このまま帰って来なかったらどうしよう。
俺のエリが危ない。
かと言って追い掛けるのもプライドが許さない。
大丈夫。
エリは誰より俺を信頼しているはずだ。
ひょっこり出て来た兄貴より、昔から一緒にいた俺の方がずっと勝ってる。
ダンテは一喜一憂しながら2人の帰宅を待った。
end.