「なにそれ？　どういうことよっ！」

あたしが思わずちゃぶ台を叩いた。

勢いがよすぎたらしく、そばで朝ごはんを食べていた幽助くんのお茶碗がふっとびそうになった。

朝、幻海おばあちゃんが言い放ったこと。


『かえで、今日からしばらくあたしは幽助の特訓に専念する。あんたは邪魔だから、よそで修業してきな」

これが、驚かず、そして怒らずにいられようか。

「なんで、いきなりそういうことになるの？だいたい、幽助くんの世話や手当をするのにあたしがいたほうがいいでしょ？　おばあちゃんのことだから、どうせ鬼のようにスパルタで鍛えるに決まって…』

「がたがた文句言うんじゃない」

くってかかるあたしを、おばあちゃんは制した。

「いいか、こいつを後継者にすると決めたからには、これから、あたしがもっているものをすべて
f叩き込まないといけない。その真剣勝負のそばで、あんたにちょろちょろされたら迷惑なだけだよ」

そういうおばあちゃんの目を見て、あたしはだまるしかなかった。

長年一緒に暮らしてるから、わかる。おばあちゃんの目は本気だった。あの目をしているときは、あたしがどんなに抗議しても聞き入れることはない。

「でも…よそで修行するって、どこに行けばいいのよ」

「あんたの修行先は、すでに話をつけてある。」

おばあちゃんは、一枚のメモを投げてよこした。

「今日、学校が終わったら、そこに書いているとこに行きな。そこに行けば、あんたの修行相手たちが待ってるはずだ』