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あたしは、蔵馬と一緒に湿地へやってきた。幽助くんと乱童が戦ったあの場所だ。
『これはまた一段とすごいな…』
歩きながら、蔵馬がつぶやいた。
この辺りは、山の中でも特に霊的な力が強い場所だ。
霊気が高い場所では、妖力のエネルギーも敏感にそれに呼応する。
この間は、幽助くんたちの戦いで戦場とかしたけれど、ここは普段は静かに霊的エネルギーを感じられる場所。
あたしも歩きながら、自分の妖怪的な力が、高まるのを感じていた…
✳︎
「かえで、髪が…」
蔵馬の声で、あたしははっと我に返った。
気が付くと、湿地の中を歩いて、その奥にある森の近くまで来ていた。目の前に大きな樹木がいくつかそびえている。
あたしは、自分の髪の毛をつかんでみた。薄い緑色になっていた。
ああ、やってしまったか。霊的な力が強い場所でつい自分を解放しすぎてしまった。
「驚いた?これがもう一つのあたし』
あたしは蔵馬の方にむきなおった。
「あたしのお父さんは、樹木の妖怪のドライアド。その血が混じっているので、共鳴する樹木のそばに行くと、こんなふうになっちゃうの』
『妖気が高まって妖怪の姿になってしまう、と』
蔵馬が言葉を続けた。
『そう。いつもは正体を人前で明かさないように必死で隠すんだけど、今日は見てるのは、あなただけだし』
自分で話しながら、あたしは気がついた。
そう、蔵馬だから、気を許していた。
同じ妖怪同士だし、すでに正体もばれているのだからというのもあるにはあった。
でも、それだけじゃない。たとえば、今ここにいるのが飛影やコエンマだとしたら、もう少し警戒してここまで自分をさらすことはなかったらだろう。
そばにいたのが蔵馬だったから。そう、気を許して好意をもっている彼だったからだ、
これまで、一緒にいる時間が増えていく中で、蔵馬といると、不思議と楽だった。
半分妖怪で半分人間という、ある意味境遇が似ている彼。そして、いつも物腰柔らかでさりげなく優しくしてくれる彼に気がついたらあたしはずいぶんと心を許して、そして…彼のことが好きになっていた。
だから、むしろ知ってほしかったのかもしれない。本当のあたしを。
蔵馬が好きだという自分の気持ちに、突然気がついたあたしは妙に恥ずかしくなって、うつむく。
『少し…羨ましいな』
蔵馬が口を開いた。
『何で?』
『いや、俺は人間に転生したとき、南野秀一と深く融合してしまった。だから、妖狐だったときの姿には今だに戻ることができないんだ』
『そうなんだ。昔の自分に戻り…たい?』
あたしの問いかけに蔵馬は『さあね。自分でもわからない』と寂しそうに笑った。
蔵馬の妖怪としての本来の姿。いつかあたしは見ることがあるんだろうか。
『これはまた一段とすごいな…』
歩きながら、蔵馬がつぶやいた。
この辺りは、山の中でも特に霊的な力が強い場所だ。
霊気が高い場所では、妖力のエネルギーも敏感にそれに呼応する。
この間は、幽助くんたちの戦いで戦場とかしたけれど、ここは普段は静かに霊的エネルギーを感じられる場所。
あたしも歩きながら、自分の妖怪的な力が、高まるのを感じていた…
✳︎
「かえで、髪が…」
蔵馬の声で、あたしははっと我に返った。
気が付くと、湿地の中を歩いて、その奥にある森の近くまで来ていた。目の前に大きな樹木がいくつかそびえている。
あたしは、自分の髪の毛をつかんでみた。薄い緑色になっていた。
ああ、やってしまったか。霊的な力が強い場所でつい自分を解放しすぎてしまった。
「驚いた?これがもう一つのあたし』
あたしは蔵馬の方にむきなおった。
「あたしのお父さんは、樹木の妖怪のドライアド。その血が混じっているので、共鳴する樹木のそばに行くと、こんなふうになっちゃうの』
『妖気が高まって妖怪の姿になってしまう、と』
蔵馬が言葉を続けた。
『そう。いつもは正体を人前で明かさないように必死で隠すんだけど、今日は見てるのは、あなただけだし』
自分で話しながら、あたしは気がついた。
そう、蔵馬だから、気を許していた。
同じ妖怪同士だし、すでに正体もばれているのだからというのもあるにはあった。
でも、それだけじゃない。たとえば、今ここにいるのが飛影やコエンマだとしたら、もう少し警戒してここまで自分をさらすことはなかったらだろう。
そばにいたのが蔵馬だったから。そう、気を許して好意をもっている彼だったからだ、
これまで、一緒にいる時間が増えていく中で、蔵馬といると、不思議と楽だった。
半分妖怪で半分人間という、ある意味境遇が似ている彼。そして、いつも物腰柔らかでさりげなく優しくしてくれる彼に気がついたらあたしはずいぶんと心を許して、そして…彼のことが好きになっていた。
だから、むしろ知ってほしかったのかもしれない。本当のあたしを。
蔵馬が好きだという自分の気持ちに、突然気がついたあたしは妙に恥ずかしくなって、うつむく。
『少し…羨ましいな』
蔵馬が口を開いた。
『何で?』
『いや、俺は人間に転生したとき、南野秀一と深く融合してしまった。だから、妖狐だったときの姿には今だに戻ることができないんだ』
『そうなんだ。昔の自分に戻り…たい?』
あたしの問いかけに蔵馬は『さあね。自分でもわからない』と寂しそうに笑った。
蔵馬の妖怪としての本来の姿。いつかあたしは見ることがあるんだろうか。