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それから、1週間。
学校が終わると、毎日のように森へ行き、訓練をした。
訓練は森の中を走り回ったり、格闘の稽古。
走りこみでは、飛影についていけるようになることが課題になった。
飛影はこれまで会った誰よりもすごいスピードの持ち主で、最初はまったくついていけなくて、泣きそうになった。
けれど、泣いたところで飛影が手加減してくれるわけでもなく、泣く泣くあたしは走り続けるしかなかった。
手加減しないという点については、格闘の稽古をつける蔵馬も、変わらなかった。
彼の場合は、危害を加えるなというコエンマの言葉を守って、あたしに余計な傷を負わせないようにしてくれているのだけど、一方とにかくスキがなく、あたしの攻撃を、ほぼほぼかわしきる。
相変わらず物腰はやわらかで優しいんだけど、にっこり笑って『そんなことじゃ、妖怪に会ったら一瞬で消されますね』と涼しい声で言う彼が、ときおり飛影よりはるかに怖く思えるときもあった。
✳︎
『よし、じゃあ今日はここまでにしよう』
その日もくたくたになって、修行は終わった。
飛影はあれからもずっと無愛想なままで、修行が終わると、ほとんど挨拶もなく去ってしまう。
ただ、あれからもなんやかんやで傷が絶えない彼をみかねて、治癒の術をあたしが申し出ると、拒否することはなかった。
蔵馬は、初めて会った日の次の日からも、修行が終わると必ずあたしをマンションまで送ってくれる。
この日も、もはや当たり前のように、飛影と別れたあと、あたしが帰り支度をするのを待ってくれた。
帰り道では、いつも他愛ない話をして彼と歩く。
妖怪云々の話をしたのは、結局は初日だけ。
彼の妖怪としての素性は気にはなったけれど、あれこれ聞くのはなんだか悪い気がして、それ以上話すことはなかった。
帰り道で話すのは、お互いの学校のことや幽助くんのこと。蔵馬と飛影が霊界の宝を盗んだのを霊界探偵の幽助くんが取り返したことを聞いたときは驚いた。
『幽助の修行は順調なんだろうか』
『んー、たぶんね。おばあちゃんから、もう1、2週間はかかるから帰ってくるなって連絡が来たから、まだ、修行の途中だとは思うけど』
おばあちゃんは、ああ見えてわりとシビアだ。これまでも、弟子入り志願者が来たことはあったけど、見込みがない相手は、基本何も教えないで帰らせていた。
幽助くんへの指導が続いているということは、彼が見どころがあり、なんとかついてきているのだと思う。
『一応、今度の日曜日に一度お寺に帰ってみようと思ってるの。着替えをとってこないといけないし、おばあちゃんと幽助くんの様子も気になるから、その日は修業お休みにしてもらえる?」
『そうなんだ』
『たぶん、二人とも修行にかまけてろくなもの食べてないだろうから、買い物して、ごはんも作ってあげたいし』
『俺も行ってもいいかな』
「へ?」
予想もしていなかった蔵馬の言葉に、あたしは思わず声を上げてしまった。
「幻海師範には一度会ってみたかったんだ。幽助の修行の具合も気になるしね。よかったら、つれていってください。あ、買い物手伝いますよ」
にっこり笑う蔵馬。「つれていってください」と言いつつも、すでに行くと心を決めてしまっていて、断れない空気になったまま、気が付けばマンションの入り口まで、あたしたちは来てしまっていた。
「日曜日、ここまで迎えに来ますから」
そう言い残して、蔵馬は去って行ってしまった。
あたしは、言葉を失ったまま彼の後姿を見送っていた。
日曜日、蔵馬も一緒に寺に戻ることになってしまったらしい。
ここまで迎えに来てくれて、一緒に買い物をしてって…
「もしかして、ちょっと、デート…みたい?」
学校が終わると、毎日のように森へ行き、訓練をした。
訓練は森の中を走り回ったり、格闘の稽古。
走りこみでは、飛影についていけるようになることが課題になった。
飛影はこれまで会った誰よりもすごいスピードの持ち主で、最初はまったくついていけなくて、泣きそうになった。
けれど、泣いたところで飛影が手加減してくれるわけでもなく、泣く泣くあたしは走り続けるしかなかった。
手加減しないという点については、格闘の稽古をつける蔵馬も、変わらなかった。
彼の場合は、危害を加えるなというコエンマの言葉を守って、あたしに余計な傷を負わせないようにしてくれているのだけど、一方とにかくスキがなく、あたしの攻撃を、ほぼほぼかわしきる。
相変わらず物腰はやわらかで優しいんだけど、にっこり笑って『そんなことじゃ、妖怪に会ったら一瞬で消されますね』と涼しい声で言う彼が、ときおり飛影よりはるかに怖く思えるときもあった。
✳︎
『よし、じゃあ今日はここまでにしよう』
その日もくたくたになって、修行は終わった。
飛影はあれからもずっと無愛想なままで、修行が終わると、ほとんど挨拶もなく去ってしまう。
ただ、あれからもなんやかんやで傷が絶えない彼をみかねて、治癒の術をあたしが申し出ると、拒否することはなかった。
蔵馬は、初めて会った日の次の日からも、修行が終わると必ずあたしをマンションまで送ってくれる。
この日も、もはや当たり前のように、飛影と別れたあと、あたしが帰り支度をするのを待ってくれた。
帰り道では、いつも他愛ない話をして彼と歩く。
妖怪云々の話をしたのは、結局は初日だけ。
彼の妖怪としての素性は気にはなったけれど、あれこれ聞くのはなんだか悪い気がして、それ以上話すことはなかった。
帰り道で話すのは、お互いの学校のことや幽助くんのこと。蔵馬と飛影が霊界の宝を盗んだのを霊界探偵の幽助くんが取り返したことを聞いたときは驚いた。
『幽助の修行は順調なんだろうか』
『んー、たぶんね。おばあちゃんから、もう1、2週間はかかるから帰ってくるなって連絡が来たから、まだ、修行の途中だとは思うけど』
おばあちゃんは、ああ見えてわりとシビアだ。これまでも、弟子入り志願者が来たことはあったけど、見込みがない相手は、基本何も教えないで帰らせていた。
幽助くんへの指導が続いているということは、彼が見どころがあり、なんとかついてきているのだと思う。
『一応、今度の日曜日に一度お寺に帰ってみようと思ってるの。着替えをとってこないといけないし、おばあちゃんと幽助くんの様子も気になるから、その日は修業お休みにしてもらえる?」
『そうなんだ』
『たぶん、二人とも修行にかまけてろくなもの食べてないだろうから、買い物して、ごはんも作ってあげたいし』
『俺も行ってもいいかな』
「へ?」
予想もしていなかった蔵馬の言葉に、あたしは思わず声を上げてしまった。
「幻海師範には一度会ってみたかったんだ。幽助の修行の具合も気になるしね。よかったら、つれていってください。あ、買い物手伝いますよ」
にっこり笑う蔵馬。「つれていってください」と言いつつも、すでに行くと心を決めてしまっていて、断れない空気になったまま、気が付けばマンションの入り口まで、あたしたちは来てしまっていた。
「日曜日、ここまで迎えに来ますから」
そう言い残して、蔵馬は去って行ってしまった。
あたしは、言葉を失ったまま彼の後姿を見送っていた。
日曜日、蔵馬も一緒に寺に戻ることになってしまったらしい。
ここまで迎えに来てくれて、一緒に買い物をしてって…
「もしかして、ちょっと、デート…みたい?」