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朝、目が覚めていつものように身支度を整え主様のために朝食の用意をするために台所へ向かう。
すると調理台の上に一枚の紙切れが置いてあるのに気付いた。
"昨日は遅くまでお手伝いありがとうございました。
今日は朝早くから雷舞の練習があるので朝食は大丈夫です。
お伝えするのを忘れてしまい、申し訳ありません。
今日は早めに帰ります。 桂小五郎"
どうやら主様は、私の気付かぬうちに出かけてしまっていたようだ。簡潔だがとても丁寧に書かれた言伝にほっとする。
お手伝い、という単語で、昨日突然膝枕をすることになったことを思い出して一人で赤面してしまう。
触れた指先、いつもより少し意地悪な瞳に低い声色…
全てがフラッシュバックしそうになり、ぶんぶんと頭を振る。
今日はいつもより早く帰ってくるって書いてあるし、私も昨日は嫌な思いさせてしまったから、いつも以上に頑張って夕食を用意しよう。余計なことはなるべく考えないように家事にとりかかった。
お屋敷の掃除、洗濯、明日の夕食分の買い物。やらないといけないことをすべて済ませ、今日の夕食の献立を考える。
桂様が発明をした冷蔵庫という、生ものを保存しておくことに長けた棚の中をのぞきこむ。
ひやっと冷たい風が頬を撫でた。これから冬が訪れる時期にこの冷風に長時間当たっているのはちょっと厳しいが、なぜかこの時は気持ちいいな、と思いながら一旦扉を閉める。
熱でもあるのかな、と思い軽くおでこに手を当てたその時、目の前がぐるっと歪み立っていられなくなる。
おかしいな、さっきまでは全然平気だったのに…。
座り込んだら最後、息をするのもつらくなり床に手をついた。
今日の夕食の準備をしないといけないのに…。
そんなことを考えているうちに私の意識は遠のいていった。
「ただいま」
今日は早く練習がはじまったので、早く帰ることができた。
昨日の今日だ、きちんと謝って気持ちを伝えないと。
その一心で帰ってきたせいか、そうとう早足になっていたらしい。その証拠にまだ日が沈んでいない。
「?」
いつもなら声をかけると律義に玄関まで挨拶にくる彼女が今日はいつになってもくる気配がない。
履物は置いてあるから買い物に出ているわけではないだろう。家事に疲れて休んでいる間に眠ってしまったのだろうか。
そんなことを考えながら屋敷にあがり彼女を探して回る。
「かえりましたよ」
声をかけるが一向に返事が返ってくることはない。
夕食の準備をしていて聞こえていないのかも、と思い台所へ向かう。
「ゆめさん?」
そこにも人の姿はなく、別の部屋を探そうと踵をかえそうとした時、視界の端に倒れている彼女を見つけた。
「ゆめさん!こんなところで・・・どうしたんですか?!」
彼女を抱き起し声をかけるが返事がない。ただ、その身体は冷えた台所に横たわっていたにもかかわらず異常な熱をもっている。とっさにおでこに手を当てて確認すると、やはり相当熱があるようだった。よく見ると苦しそうに呼吸をしているのがわかった。
「こんなになるまで無茶をして…!もっと早く帰ってくるべきでしたね…」
急いで彼女を抱きかかえ、自室の布団へと運ぶ。
もしかして、と昨日のことを思い出す。
あの時はずっと顔が赤いのは照れているだけかと思っていたが、まさかあの時から調子がよくなかったのではないか?
彼女は私の行動に困惑していたようだったから、そんなことにも気付けなかったのかもしれないし・・・
私が付いていながら、倒れるまで無茶をさせてしまうなんて…
とりあえず、彼女が起きるまで看病をしなければ。そして彼女が起きたら、その時はしっかり伝えなければ…
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