クリスマス
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~サンタはいるよ!~
「ニア、サンタさんにお願い事出した?」
「サンタなんていませんよ。」
「い、いるよ!?」
「確かにサンタの資格を取ることは可能ですが、あれはあくまでサンタという人物像の真似事です。」
ニアはお気に入りのパズルを埋める手を止めずに淡々と語る。
「しかし孤児院の行事で大人たちがサンタとなってプレゼントを配っているのは知っています。私が希望を出さないから用意が出来なくて困っているということでしょう。」
まったくその通りであるために言葉に詰まる。
あのメロだってチョコが欲しいと要望を出しているのにニアだけがまだなのだ。
しかしここで同意してしまうとサンタがいないということを認めてしまうことになる。それでいいのだろうか?
子供であるニアはまだサンタに夢を見ていてもいいのでは?何より大人として…!
「サンタはいるよ。」
「だから…」
「これは秘密にしておきたかったんだけど実は私…サンタの弟子なんだ。」
「は…?」
「ニアはいい子だけどサンタは信じてる人の元にしか行かない決まりなの。だからサンタを信じられないならサンタの弟子の私を信じて。」
手にパズルのピースを持った状態で固まっているニアに困惑した表情で見つめられる。
目を見るだけでも伝わってくる。
ニアはきっとこう考えている、「この人は何を考えているんだ」と。
「どうする?」
「そうですね…では信じましょう。しかし欲しいものは言いません。だってサンタが本当ならば私の欲しいものも分かるんですよね?」
「もちろん。あ、でも弟子だっていう話皆には内緒ね?」
ニアは小さく鼻で笑うとパズルを埋める作業に戻る。
私はそんな彼を横目に部屋を出て、すぐさま外に情報収集に向かった。
あの場でもちろん、なんて即答してしまったがニアの欲しいものなんて分からない…
大体、欲しいものを聞きに行ったのに何も解決していないどころかなぜか状況が悪化してる。
とりあえずニアと関わりがある子供達から話を聞こう。
ーーーーー
「ニアが欲しそうなもの?知るかよ。」
「そこをなんとか〜!チョコあげるから!」
「は?僕をチョコで餌付けしようとしてるのか?」
「いらないんだ?」
「いらないとは言ってないだろ…」
「欲しい?」
「欲しくない訳じゃない。」
「じゃあ知ってること教えて?」
「チッ…」
舌打ちされながらも笑顔でチョコをメロに見せつける。
「はぁ…あいつは別にものにあまり執着がないと思う。だから物じゃなくていいんじゃないのか?」
「それってどういう…あっ!」
メロの言葉の意味を考えていたらいつの間にかチョコが私の手から離れていた。
「バーカ。自分で考えろ。」
パキッといい音を鳴らしながらチョコを片手にメロが去っていく。
他の子供たちからはおもちゃやぬいぐるみなどの声があったが、一番ニアのことを知っているメロがああ言うのならそうなんだろう。
物でないものをプレゼントする…
それはサンタとして可能なのだろうか?
ーーーーー
「うーん…」
結局何も思い付かずにクリスマス当日を迎えてしまった。
ツリーの周りには大量のプレゼントの箱が置いてあるがその中にニア宛のものはない。
子供達に回収されて空っぽになった空間をニアはただジッと見つめる。
やっぱり何かしら物を用意するべきだったか…
「に、ニア。今日何かしたいことである?付き合うよ?」
何か言われる前にとりあえず話しかけるとニアが一瞬目を丸くする。
「そうですね…では一緒に読書しましょう。」
ニアに手を引かれ、私の部屋まで連れて行かれる。
すると棚からファイルを取り出す。
それは私がLくんのために研究していた効率の良い糖分摂取を可能にさせる飴の研究ファイルだった。
「読書ってこれ…?」
「最近忙しくてでこれに手をつけられていないんでしょう?」
「そうだけどこれは趣味みたいなものだから今じゃなくても…」
「…じゃあ1人で勝手に読んでます。」
ニアは唇を尖らせ、ファイルを持って部屋の隅っこに座った。
気を遣ってくれたのか…
だけどすぐ拗ねるところはまだまだ子供だね。
「分かったよ。ありがとね?」
未だに拗ねてるニアを抱え上げ、ベッドの上に座り直させる。
するとニアはうつ伏せに寝転び、枕元にファイルを広げる。
私もその隣で同じような姿勢で頬杖をつく。
どうやらニアはこの資料を軽く読んだことあるようで自分の意見を言いながら読み進めていく。
私はメモを取りながら話しあっていたらあっという間に時間が過ぎていった。
途中で休憩という名のお昼寝をしてしまったことが大きいかもしれないが…
夜にはクリスマスパーティーが開かれ、孤児院の子供たちは大はしゃぎで料理を食べたりもらったプレゼントでひたすら遊ぶ子もいた。
そんな中ニアは私の膝の上でご飯をちびちびと食べていた。
パーティーの準備やイベントを手伝ったためずっと休憩なしで動き回って、やっと座れたと思ったら何処からか現れたニアが膝の上に座ってきてたのだ。
用意した食事も目の前でニアにつまみ食いされている。
「食べたいですか?」
「食べたいよー。だから降りて?」
「では、あーん。」
いつもなら話聞いてた?なんて言い返したかもしれないが、疲れからかほぼ何も考えずに、ニアが口元に差し出したフォークにパクリと噛みつく。
「美味しいですか?」
「うん…」
「もっと欲しいですか?」
「うん、欲しいな。」
「ふふ、いいですよ…」
それからまた一口とニアは上機嫌でフォークを口元に運んでくる。
「私もえり姉さんにあーんしたい…」
不意に少女が横から声をかけて、私の袖を引っ張ってくる。
彼女はメリィ、私に懐いてくれている子供達の1人だ。
「今日はだめです。」
「なんで?」
「クリスマスだからです。」
「よく分からない…」
「あなたは分からなくていいです。明日ならいいのでは納得してください。」
「…?分かった。じゃあえり姉さん明日ね!」
去り際に小さくニコッと笑う彼女の笑顔を見て心が温かくなる。
クリスマスはやっぱり皆笑顔でいて欲しい。
「そういえばさっきの話は何だったの?今日はダメって?」
「気付いてないで1日を過ごしていたんですか…?いや、しかしそれもまたえり姉らしいですね。」
ニアが私の膝から降りて左側に座ると、私の左手を握った。
「えり姉と一緒にいられるという時間。これが私が欲しかったものです。」
「でもいつも一緒にいるでしょ?」
「…そうですね。それでもクリスマスだってことを意識して一緒にいるというのがいいんです。」
「家族と一緒過ごすクリスマスっていいもんね。そうだ!メロも呼んでこようか!うん、それがいい!」
「なんでそうなるんですか…全く…」
「ん?何か言った?」
「いえ、ただ中々手強いな、と。」
「確かにメロをここに引きずってくるのは手強いかも…マットに協力してもらおう!」
私は席から立ち上がり、マットを探しに行こうとしたが、ニアが繋いだままの手を離してくれなかった。
ニアは小さなため息を吐いてから私の目を見つめて口を開いた。
「私も行きます。一緒に。」
(クリスマスはまだ終わってませんよ?)
ーーーーーーーーーーー
fin.
Merry Christmas!
「ニア、サンタさんにお願い事出した?」
「サンタなんていませんよ。」
「い、いるよ!?」
「確かにサンタの資格を取ることは可能ですが、あれはあくまでサンタという人物像の真似事です。」
ニアはお気に入りのパズルを埋める手を止めずに淡々と語る。
「しかし孤児院の行事で大人たちがサンタとなってプレゼントを配っているのは知っています。私が希望を出さないから用意が出来なくて困っているということでしょう。」
まったくその通りであるために言葉に詰まる。
あのメロだってチョコが欲しいと要望を出しているのにニアだけがまだなのだ。
しかしここで同意してしまうとサンタがいないということを認めてしまうことになる。それでいいのだろうか?
子供であるニアはまだサンタに夢を見ていてもいいのでは?何より大人として…!
「サンタはいるよ。」
「だから…」
「これは秘密にしておきたかったんだけど実は私…サンタの弟子なんだ。」
「は…?」
「ニアはいい子だけどサンタは信じてる人の元にしか行かない決まりなの。だからサンタを信じられないならサンタの弟子の私を信じて。」
手にパズルのピースを持った状態で固まっているニアに困惑した表情で見つめられる。
目を見るだけでも伝わってくる。
ニアはきっとこう考えている、「この人は何を考えているんだ」と。
「どうする?」
「そうですね…では信じましょう。しかし欲しいものは言いません。だってサンタが本当ならば私の欲しいものも分かるんですよね?」
「もちろん。あ、でも弟子だっていう話皆には内緒ね?」
ニアは小さく鼻で笑うとパズルを埋める作業に戻る。
私はそんな彼を横目に部屋を出て、すぐさま外に情報収集に向かった。
あの場でもちろん、なんて即答してしまったがニアの欲しいものなんて分からない…
大体、欲しいものを聞きに行ったのに何も解決していないどころかなぜか状況が悪化してる。
とりあえずニアと関わりがある子供達から話を聞こう。
ーーーーー
「ニアが欲しそうなもの?知るかよ。」
「そこをなんとか〜!チョコあげるから!」
「は?僕をチョコで餌付けしようとしてるのか?」
「いらないんだ?」
「いらないとは言ってないだろ…」
「欲しい?」
「欲しくない訳じゃない。」
「じゃあ知ってること教えて?」
「チッ…」
舌打ちされながらも笑顔でチョコをメロに見せつける。
「はぁ…あいつは別にものにあまり執着がないと思う。だから物じゃなくていいんじゃないのか?」
「それってどういう…あっ!」
メロの言葉の意味を考えていたらいつの間にかチョコが私の手から離れていた。
「バーカ。自分で考えろ。」
パキッといい音を鳴らしながらチョコを片手にメロが去っていく。
他の子供たちからはおもちゃやぬいぐるみなどの声があったが、一番ニアのことを知っているメロがああ言うのならそうなんだろう。
物でないものをプレゼントする…
それはサンタとして可能なのだろうか?
ーーーーー
「うーん…」
結局何も思い付かずにクリスマス当日を迎えてしまった。
ツリーの周りには大量のプレゼントの箱が置いてあるがその中にニア宛のものはない。
子供達に回収されて空っぽになった空間をニアはただジッと見つめる。
やっぱり何かしら物を用意するべきだったか…
「に、ニア。今日何かしたいことである?付き合うよ?」
何か言われる前にとりあえず話しかけるとニアが一瞬目を丸くする。
「そうですね…では一緒に読書しましょう。」
ニアに手を引かれ、私の部屋まで連れて行かれる。
すると棚からファイルを取り出す。
それは私がLくんのために研究していた効率の良い糖分摂取を可能にさせる飴の研究ファイルだった。
「読書ってこれ…?」
「最近忙しくてでこれに手をつけられていないんでしょう?」
「そうだけどこれは趣味みたいなものだから今じゃなくても…」
「…じゃあ1人で勝手に読んでます。」
ニアは唇を尖らせ、ファイルを持って部屋の隅っこに座った。
気を遣ってくれたのか…
だけどすぐ拗ねるところはまだまだ子供だね。
「分かったよ。ありがとね?」
未だに拗ねてるニアを抱え上げ、ベッドの上に座り直させる。
するとニアはうつ伏せに寝転び、枕元にファイルを広げる。
私もその隣で同じような姿勢で頬杖をつく。
どうやらニアはこの資料を軽く読んだことあるようで自分の意見を言いながら読み進めていく。
私はメモを取りながら話しあっていたらあっという間に時間が過ぎていった。
途中で休憩という名のお昼寝をしてしまったことが大きいかもしれないが…
夜にはクリスマスパーティーが開かれ、孤児院の子供たちは大はしゃぎで料理を食べたりもらったプレゼントでひたすら遊ぶ子もいた。
そんな中ニアは私の膝の上でご飯をちびちびと食べていた。
パーティーの準備やイベントを手伝ったためずっと休憩なしで動き回って、やっと座れたと思ったら何処からか現れたニアが膝の上に座ってきてたのだ。
用意した食事も目の前でニアにつまみ食いされている。
「食べたいですか?」
「食べたいよー。だから降りて?」
「では、あーん。」
いつもなら話聞いてた?なんて言い返したかもしれないが、疲れからかほぼ何も考えずに、ニアが口元に差し出したフォークにパクリと噛みつく。
「美味しいですか?」
「うん…」
「もっと欲しいですか?」
「うん、欲しいな。」
「ふふ、いいですよ…」
それからまた一口とニアは上機嫌でフォークを口元に運んでくる。
「私もえり姉さんにあーんしたい…」
不意に少女が横から声をかけて、私の袖を引っ張ってくる。
彼女はメリィ、私に懐いてくれている子供達の1人だ。
「今日はだめです。」
「なんで?」
「クリスマスだからです。」
「よく分からない…」
「あなたは分からなくていいです。明日ならいいのでは納得してください。」
「…?分かった。じゃあえり姉さん明日ね!」
去り際に小さくニコッと笑う彼女の笑顔を見て心が温かくなる。
クリスマスはやっぱり皆笑顔でいて欲しい。
「そういえばさっきの話は何だったの?今日はダメって?」
「気付いてないで1日を過ごしていたんですか…?いや、しかしそれもまたえり姉らしいですね。」
ニアが私の膝から降りて左側に座ると、私の左手を握った。
「えり姉と一緒にいられるという時間。これが私が欲しかったものです。」
「でもいつも一緒にいるでしょ?」
「…そうですね。それでもクリスマスだってことを意識して一緒にいるというのがいいんです。」
「家族と一緒過ごすクリスマスっていいもんね。そうだ!メロも呼んでこようか!うん、それがいい!」
「なんでそうなるんですか…全く…」
「ん?何か言った?」
「いえ、ただ中々手強いな、と。」
「確かにメロをここに引きずってくるのは手強いかも…マットに協力してもらおう!」
私は席から立ち上がり、マットを探しに行こうとしたが、ニアが繋いだままの手を離してくれなかった。
ニアは小さなため息を吐いてから私の目を見つめて口を開いた。
「私も行きます。一緒に。」
(クリスマスはまだ終わってませんよ?)
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fin.
Merry Christmas!
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