記憶喪失ネタ
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~消した記憶から作る未来~
目を覚ますと見慣れない白い天井に鼻を微かに刺激する消毒液の臭い。シーツの擦れる音と同時に起き上がり、近くの点滴が目に入る。
ここが病院なのは明らかだがここに来るまでの記憶がない。
とりあえず連絡をーーー…誰に?
記憶がない。それも最近のことだけではなく、て自分のことすら覚えてない。とりあえず情報が欲しい。
ベッドのそばの机から携帯を見つけることに成功したがパスワードのロックがかかっている。簡単な4桁のパスワードなのに記憶がないからヒントがなさすぎる。壁紙には見覚えの無い建物の写真が映っている。そこから何かヒントを得られないかと画面と睨めっこしていると、ガラガラとこの部屋のドアが開かれる音が聞こえてきた。
「えり姉!よかったです。やっと起きたんですね。」
白い癖っ毛のパジャマのようなブカブカの白いシャツとズボンを着た青年が私のいるベッドまで駆け寄ってくる。その腕には大量のおもちゃが抱えられており、私の元までくる途中に大半を落としてしまっていた。だが、そんなことどうでもいいかのように私の腰に抱き、頭を擦り付けてくる。その青年からふわりと漂う柔軟剤のいい香りに不思議と心が安らぎ、気が付いたら彼の頭を優しく撫でていた。
ーーえり姉…私の名前はえり?そして私はこの子の姉なのだろうか?
自分の顔に垂れている前髪を目の前に引っ張ってまじまじと見るが黒い色だ。
染めた?いや、この子の髪の毛は傷んでなく、地毛に見える。血は繋がっていないのだろうか…
しばらく青年の髪の毛をくるくると弄りながら無言で考え込んでいると、彼は起き上がり、私に覆い被さるように押し倒してきた。
その時にやっとしっかり顔が見えたが、花や口の造形はまるでギリシャの彫刻のように整っており、光が入り込む隙のないような深い暗闇が住む瞳が私を捕らえていた。その瞳から目を離せずにいると、彼の綺麗な顔が少しずつ私の顔に近づいてきていることに気付く。
えっちょっとまって、姉弟じゃないの!?もしかしてそういう関係…!?
頭の中がパニックになり、逃げるように目をキュッと閉じる。彼の呼吸を肌に感じられるくらいの距離まで近付いた途端、ドアがノックされる音が部屋に響く。小さなため息をこぼした後に彼は目の前からどき、床に落ちたおもちゃを一つ拾いあげてからベッドに再び腰掛けた。
「どうぞ」
「失礼します。えりさん、起きたようですが体調の方は大丈夫でしょうか?」
「あ、はい…体調は大丈夫です。しかし…」
身体を起こして入ってきた先生らしき人に身体を向ける。
「もしかして記憶の方が曖昧なのでしょうか?」
「…!はい。やはり検査でそのような結果が出ていたのでしょうか?」
「起きて確かめるまで確証はなかったのですが、脳の記憶を保存する箇所に少し損傷があったのでその可能性はNにも伝えておりました。」
先生はそう言うと青年の方に顔をやるが、青年は無言でおもちゃを弄って遊んでいるだけだった。
「では私は仕事に戻りますので何かあればまたご連絡ください。お大事に。」
ぺこりとお辞儀をしてから静かにドアを閉め、残された2人の部屋に再び静寂が訪れる。
冷静に考えるとこのNって子は記憶がないと分かった上で私を襲おうとしてたってことになる。やっぱり姉弟の線は怪しくなってきたな…
「さて、本当に記憶がないみたいですが、私はあなたに構っていられる時間はあまりありません。なのであなたにはこのまま捜査に戻ってもらいます。」
「捜査…?」
「はい、我々はSPKというキラを逮捕するための特殊機関です。聞き覚えはありませんか?」
「キラ…うッ…」
その言葉を口にした途端頭がズキりと痛み、耳鳴りが聞こえはじめた。頭を抱えて膝に顔を埋めるように縮こまる。
「落ち着いてください。深呼吸をして…そうです…」
さっきまで上から目線に喋っていたNが今は心配そうに私の顔を覗き込みながら背中をさすって安心させようとしてくれた。
「ありがとう…」
「いえ、私にはこれくらしか…
正直言って今でも悩んでいるんです。えり姉は真実に向き合えるのだろうかと…」
「?」
「あなたが知ろうとしている記憶は今よりももっと苦しいものです。そのため、あなたは一度その記憶を封じ込めました。それでも尚知りたいと思いますか?」
「今のこの記憶喪失は私が一度自分に負けたということ?」
「はい。ちなみに答えがNoでしたらここで私とはお別れです。私と行動を共にすればいずれたどり着いてしまうので…」
「…私は自殺未遂でもしたってことなのかな。よっぽど辛い記憶なんだね。」
「…」
「でも、なんでだろうな…君を1人にさせたくないっていう気持ちがあるんだ。Nくんと私がどんな関係なのかすら忘れたまんまなんて私は嫌だな。」
「N…くん…ではなくニアと呼んでください。」
ニアが辛そうな表情でそう呟いた。何か地雷を踏んでしまったのだろうか。
「分かった。じゃあニア、着いていくよ。」
「…では着いてきてください」
目を覚ますと見慣れない白い天井に鼻を微かに刺激する消毒液の臭い。シーツの擦れる音と同時に起き上がり、近くの点滴が目に入る。
ここが病院なのは明らかだがここに来るまでの記憶がない。
とりあえず連絡をーーー…誰に?
記憶がない。それも最近のことだけではなく、て自分のことすら覚えてない。とりあえず情報が欲しい。
ベッドのそばの机から携帯を見つけることに成功したがパスワードのロックがかかっている。簡単な4桁のパスワードなのに記憶がないからヒントがなさすぎる。壁紙には見覚えの無い建物の写真が映っている。そこから何かヒントを得られないかと画面と睨めっこしていると、ガラガラとこの部屋のドアが開かれる音が聞こえてきた。
「えり姉!よかったです。やっと起きたんですね。」
白い癖っ毛のパジャマのようなブカブカの白いシャツとズボンを着た青年が私のいるベッドまで駆け寄ってくる。その腕には大量のおもちゃが抱えられており、私の元までくる途中に大半を落としてしまっていた。だが、そんなことどうでもいいかのように私の腰に抱き、頭を擦り付けてくる。その青年からふわりと漂う柔軟剤のいい香りに不思議と心が安らぎ、気が付いたら彼の頭を優しく撫でていた。
ーーえり姉…私の名前はえり?そして私はこの子の姉なのだろうか?
自分の顔に垂れている前髪を目の前に引っ張ってまじまじと見るが黒い色だ。
染めた?いや、この子の髪の毛は傷んでなく、地毛に見える。血は繋がっていないのだろうか…
しばらく青年の髪の毛をくるくると弄りながら無言で考え込んでいると、彼は起き上がり、私に覆い被さるように押し倒してきた。
その時にやっとしっかり顔が見えたが、花や口の造形はまるでギリシャの彫刻のように整っており、光が入り込む隙のないような深い暗闇が住む瞳が私を捕らえていた。その瞳から目を離せずにいると、彼の綺麗な顔が少しずつ私の顔に近づいてきていることに気付く。
えっちょっとまって、姉弟じゃないの!?もしかしてそういう関係…!?
頭の中がパニックになり、逃げるように目をキュッと閉じる。彼の呼吸を肌に感じられるくらいの距離まで近付いた途端、ドアがノックされる音が部屋に響く。小さなため息をこぼした後に彼は目の前からどき、床に落ちたおもちゃを一つ拾いあげてからベッドに再び腰掛けた。
「どうぞ」
「失礼します。えりさん、起きたようですが体調の方は大丈夫でしょうか?」
「あ、はい…体調は大丈夫です。しかし…」
身体を起こして入ってきた先生らしき人に身体を向ける。
「もしかして記憶の方が曖昧なのでしょうか?」
「…!はい。やはり検査でそのような結果が出ていたのでしょうか?」
「起きて確かめるまで確証はなかったのですが、脳の記憶を保存する箇所に少し損傷があったのでその可能性はNにも伝えておりました。」
先生はそう言うと青年の方に顔をやるが、青年は無言でおもちゃを弄って遊んでいるだけだった。
「では私は仕事に戻りますので何かあればまたご連絡ください。お大事に。」
ぺこりとお辞儀をしてから静かにドアを閉め、残された2人の部屋に再び静寂が訪れる。
冷静に考えるとこのNって子は記憶がないと分かった上で私を襲おうとしてたってことになる。やっぱり姉弟の線は怪しくなってきたな…
「さて、本当に記憶がないみたいですが、私はあなたに構っていられる時間はあまりありません。なのであなたにはこのまま捜査に戻ってもらいます。」
「捜査…?」
「はい、我々はSPKというキラを逮捕するための特殊機関です。聞き覚えはありませんか?」
「キラ…うッ…」
その言葉を口にした途端頭がズキりと痛み、耳鳴りが聞こえはじめた。頭を抱えて膝に顔を埋めるように縮こまる。
「落ち着いてください。深呼吸をして…そうです…」
さっきまで上から目線に喋っていたNが今は心配そうに私の顔を覗き込みながら背中をさすって安心させようとしてくれた。
「ありがとう…」
「いえ、私にはこれくらしか…
正直言って今でも悩んでいるんです。えり姉は真実に向き合えるのだろうかと…」
「?」
「あなたが知ろうとしている記憶は今よりももっと苦しいものです。そのため、あなたは一度その記憶を封じ込めました。それでも尚知りたいと思いますか?」
「今のこの記憶喪失は私が一度自分に負けたということ?」
「はい。ちなみに答えがNoでしたらここで私とはお別れです。私と行動を共にすればいずれたどり着いてしまうので…」
「…私は自殺未遂でもしたってことなのかな。よっぽど辛い記憶なんだね。」
「…」
「でも、なんでだろうな…君を1人にさせたくないっていう気持ちがあるんだ。Nくんと私がどんな関係なのかすら忘れたまんまなんて私は嫌だな。」
「N…くん…ではなくニアと呼んでください。」
ニアが辛そうな表情でそう呟いた。何か地雷を踏んでしまったのだろうか。
「分かった。じゃあニア、着いていくよ。」
「…では着いてきてください」
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