水中(ニア夢)
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水中
~私を見てください~
「本当に貸切りなんだ。」
「私が嘘付くと思いましたか?」
「いや、そこまでしてプールに入りたいんだって思ってさ。でもそれにしては靴下脱いだだけで水着には着替えてないよね?」
「えり姉こそ水着じゃないですよね?…せっかくえり姉の水着姿見れると思ったのに。」
ニアは不貞腐れたように唇を尖らせながら言うと、立ったままプールの水面を軽く足で蹴ってパシャパシャと遊び出す。その危なっかしい遊び方が昔のLくんに似てて、気付いたらニアに思い出話を語っていた。
「そういえば昔Lくんと一緒に市民プールに行ったことがあってね、その時は…」
今はもうLくんはこの世にはいない。だけどこんな風に昔話をしていたらまだLくんが私の中で生きているような気がして嬉しかった。Lくんと過ごした時間は忘れちゃいけない。今の私を作ってくれたのはLくんだから。それにしてもやっぱりニアはLくんに似てるな…正当なLの後継者なのも納得、なんて考えにふけっていたら、突然バシャンと音がして顔に水飛沫がかかる。さっきまでそこに立っていたはずのニアの姿はなく、水面からは泡がぷくぷくと上がっていてその下にいる白い影を隠していた。
状況を理解してすぐに仕事着のままプールに飛び込む。ニアは水泳が上手とは言えないし、あのブカブカのシャツとズボンのままでは水を吸い込んで游ぎ辛いに決まっている。更にここのプールは競技の練習にも使われるため、水深は2m以上ある。余裕でニアの身長を越えている。
水難救助で服は絶対に脱いだ方がいいのは知ってる。頭では分かっていても身体がすぐに動いてしまったのだ。最悪水中で脱げばいいなんていい加減な考えを持っているからいつかそういう甘えが取り返しのつかないことになるだろうな、なんて考えを頭の隅に追いやる。
ニアは目を閉じながら少しずつ沈んでいた。全身真っ白なその身体にはプールの青い光が反射して、まるで1匹のくらげが広い海ににフワフワと漂っているような、孤独感を感じさせつつも神秘的な光景だった。この広いプールを2人で貸し切っているからではなく、別の理由で何だか寂しそうな雰囲気すら感じた。
重い身体をを加速させ、沈んでいくニアの背中に手を回す。するとニアはゆっくり目を開き、両手で私の顔を包んで見つめてきた。その顔は何かを訴えかけているようだったが、水中のため、会話ができない。水面に上がるという合図をしてからニアの胸に手を回して浮上する。クロスチェストキャリーという溺れた者の胸を抱えるように浮かせながら救助する方法だ。
幸い、壁の近くだったので水面に上がってすぐにニアをプールから上げることに成功した。私は少しでも身体を軽くするために壁を掴みながらベストを脱いで先に水中から引き上げる。ニアはプールサイドで少し咳き込んでいたが、意識がある状態で安定していたのを確認できて安心する。そのまま水中でシャツとズボンを脱ぎ、両方ともプールサイドに投げる。べチャリと大きい音を立てて落ちるががニアはそっちに見向きもしなかった。軽くなった身体に喜んで水の中でリラックスしていると、息を整えたニアが話しかけてくる。
「水難救助で服を脱ぐのは基本ですよ?」
「うーん痛いところついてくるね。それ水中で言おうとしてたこと?」
「いえ、それとは違います…」
「じゃあ何?」
「そんなことよりちゃんと水着を着ていたなら最初からその状態でプールに来てください。」
「だってあくまでニアの付き添いで来てたから私自身入るかどうか分からなくて…」
「恋人と一緒にプールですよ?なんで私だけ入るんですか」
恋人という言葉に反応して顔が少し熱くなる。確かに今回はデートだと言いながら私をプールに連れて来てくれた。でもニアが小さい頃、孤児院の他の子供たちと一緒にプールに連れて行ったことがあるからその時と同じ感じかと思っていた。急に恥ずかしくなって何も言えずにいるとニアが濡れた服のまま私の近くのプールの壁に腰をかけて座り込む。
「濡れた服のままだと風邪ひくよ?」
「脱いで欲しいんですか?えり姉って結構大胆ですね。」
「なっ…!」
「冗談ですよ。えりは可愛いですね。」
ニアは私以外には見せない少し柔らかい表情で微笑む。名前だってえり姉だったりえりだったり、2人だけの時に何かの基準で使い分けて呼んでくる。
でもニアは言われた通りに、不器用そうだが、服を脱ぎ始める。タオルをかけてあげようと重い、プールから出ようとするとニアに
「もう出るんですか?」
と声をかけられる。その言い方はまだ出て欲しくないと言う風に聞こえて困惑する。でもまだプールに入る予定があるならタオルは確かにいらないからニアの目的を探るためにとりあえずプールの中にとどまることにした。服がやっと脱げて水着姿になったニアは今度は座ったまま足で水面を蹴ってパシャパシャと遊んでいた。それを見ているとまたニアが昔のLくんの姿が重なる。そして、ふとニアと目が合うとさっきまで真顔だった彼の顔は少し不機嫌そうな表情に変わったいった。
「またですか。」
「何が?」
「えり姉は時々私を見てくれません。」
「見てるよ?」
「いえ、それは私ではなく、私の中の別の誰かを見ているのでしょう?」
「言っていることが…」
「分からなくはないはずです。私とデート中なのにえり姉は他の男のことを考えているんですから不機嫌にもなりますよ。」
「男…ってことはLくんのこと?」
確かにさっきまでニアとLくんを重ねていた。だけど口には出していないはず。
「はい…あなたは彼と私を重ねて見ていないですか?そういう時だけえり姉が私の知らない顔をします。」
「知らない顔ってどんなの?」
「すごく優しそうな顔です。」
「…私はいつでも優しいと思うけど?」
「それは、まぁ、そうですが。とにかくその目が私ではなく、私通して、Lのことを見ている気がします。」
「なるほどね…表情を変えてる自覚はなかったけど、確かにニアとLくんを重ねて見てることはあったよ。」
それを聞くとニアは少し残念そうに目線を切って下を向いた。
こんな風に明らかに沈んでいるニアを見ると昔に比べて感情が表に出てきやすくなってるなと思いつつ、手で水鉄砲のようにプールの水をニアの顔目掛けて容赦なく攻撃する。
「っ!何するんですかえり姉。」
眉間に皺を寄せていかにも困惑しているっていう顔だ。可愛い。私は微笑んだだけで何も言わずに、プールから上がって近くの椅子に置いてあった大きめのタオルを持ってニアの隣に座り込む。そして、ニアと自分の背中にタオルが被さるように広げて包み込む。ニアの身体が冷えないようにタオルと肌が接している面積を増やそうとニアに密着する。私の急な行動に理解できていない様子だったが、何も言わない私を見てしぶしぶタオルの端っこを掴んで弄り出した。そのまま少しの間沈黙が流れた。しかしその間ニアはずっとタオルの端の紐クズを弄っていて私の方を見てはくれなかった。
「ごめんね?」
我ながらとても子供っぽい謝り方だと思った。しかし、恋愛経験なんてゼロに等しい私にはこれが精一杯だった。それに応えるように、ニアはゆっくりと私の方を向いてくれた。
「私の方こそ少し感情的になってしまいました。気にしないでください。」
直接ごめんなさいと謝らないところがニアらしい。ニアの目はまだ泳いでいて、彼もまたこの状況をどうしようか考えているようだった。
「人間はすぐには変われない。だから私はまた、ニアとLくんを重ねるかもしれない。それでもニアは私を隣に置いてくれるの?」
「…Lには一生勝てないかもしれません。それだけえり姉にとって大事な人だということも理解しています。私も彼を尊敬する者の1人ですから。」
「…」
「でも隣に置くとか言わないでください。あなたは物ではないです。自分の意思で私の隣にいてくれているのではないんですか?」
「…!うん、そうだよ!」
不器用に、遠回しに言っているけどつまりは私を縛ることはしないから私の意思で隣にいて欲しいっていうことだ。ニアに認められていることが確認できたことが嬉しくてタオルごとニアを抱きしめる。今すごい顔がニヤけてるかも。
「1つだけ確認したいことが。」
胸の方からニアのこもった声が聞こえる。ニコニコしたままニアを離してどうしたの?と顔を合わせる。するとなんの前触れもなく、ちゅっとニアの唇が一瞬私の唇と重なる。
「よかったです。ちゃんと私のこと見てますね。」
またニヤついてるかと思いきや、ニアは真顔だった。でも頬が少し赤いような…キスをされたことにもびっくりしていたが、それよりもニアの表情が気になってそのままジッと見つめていた。自分の顔が見つめられていることに気付いたニアはフィッと顔を背けてから、ギリギリ私にもまだ掛かっていたタオルを全て引っ張って立ち上がった。
「そろそろお腹が空きました。なにか食べに行きましょう。」
そのままスタスタとプールの出口に向かって歩いていくものだから私は急いで濡れた服を軽く絞ってからビニール袋に突っ込んで後を追いかけた。照れ隠しってやつだろうか?ニアとLくんは確かに似てるけど、ニアはニアだ。Lくんが今の私を作ってくれた神だとすればニアは私を生かしてくれている天使だ。その天使に愛されている私はどれだけ幸せな人間なんだろう。こっちを振り返って唇を尖らせたニアが、早くしてくださいと急かしてくる。その子供っぽい仕草に自然と笑みが溢れる。
「今行くよ、ニア。」
~私を見てください~
「本当に貸切りなんだ。」
「私が嘘付くと思いましたか?」
「いや、そこまでしてプールに入りたいんだって思ってさ。でもそれにしては靴下脱いだだけで水着には着替えてないよね?」
「えり姉こそ水着じゃないですよね?…せっかくえり姉の水着姿見れると思ったのに。」
ニアは不貞腐れたように唇を尖らせながら言うと、立ったままプールの水面を軽く足で蹴ってパシャパシャと遊び出す。その危なっかしい遊び方が昔のLくんに似てて、気付いたらニアに思い出話を語っていた。
「そういえば昔Lくんと一緒に市民プールに行ったことがあってね、その時は…」
今はもうLくんはこの世にはいない。だけどこんな風に昔話をしていたらまだLくんが私の中で生きているような気がして嬉しかった。Lくんと過ごした時間は忘れちゃいけない。今の私を作ってくれたのはLくんだから。それにしてもやっぱりニアはLくんに似てるな…正当なLの後継者なのも納得、なんて考えにふけっていたら、突然バシャンと音がして顔に水飛沫がかかる。さっきまでそこに立っていたはずのニアの姿はなく、水面からは泡がぷくぷくと上がっていてその下にいる白い影を隠していた。
状況を理解してすぐに仕事着のままプールに飛び込む。ニアは水泳が上手とは言えないし、あのブカブカのシャツとズボンのままでは水を吸い込んで游ぎ辛いに決まっている。更にここのプールは競技の練習にも使われるため、水深は2m以上ある。余裕でニアの身長を越えている。
水難救助で服は絶対に脱いだ方がいいのは知ってる。頭では分かっていても身体がすぐに動いてしまったのだ。最悪水中で脱げばいいなんていい加減な考えを持っているからいつかそういう甘えが取り返しのつかないことになるだろうな、なんて考えを頭の隅に追いやる。
ニアは目を閉じながら少しずつ沈んでいた。全身真っ白なその身体にはプールの青い光が反射して、まるで1匹のくらげが広い海ににフワフワと漂っているような、孤独感を感じさせつつも神秘的な光景だった。この広いプールを2人で貸し切っているからではなく、別の理由で何だか寂しそうな雰囲気すら感じた。
重い身体をを加速させ、沈んでいくニアの背中に手を回す。するとニアはゆっくり目を開き、両手で私の顔を包んで見つめてきた。その顔は何かを訴えかけているようだったが、水中のため、会話ができない。水面に上がるという合図をしてからニアの胸に手を回して浮上する。クロスチェストキャリーという溺れた者の胸を抱えるように浮かせながら救助する方法だ。
幸い、壁の近くだったので水面に上がってすぐにニアをプールから上げることに成功した。私は少しでも身体を軽くするために壁を掴みながらベストを脱いで先に水中から引き上げる。ニアはプールサイドで少し咳き込んでいたが、意識がある状態で安定していたのを確認できて安心する。そのまま水中でシャツとズボンを脱ぎ、両方ともプールサイドに投げる。べチャリと大きい音を立てて落ちるががニアはそっちに見向きもしなかった。軽くなった身体に喜んで水の中でリラックスしていると、息を整えたニアが話しかけてくる。
「水難救助で服を脱ぐのは基本ですよ?」
「うーん痛いところついてくるね。それ水中で言おうとしてたこと?」
「いえ、それとは違います…」
「じゃあ何?」
「そんなことよりちゃんと水着を着ていたなら最初からその状態でプールに来てください。」
「だってあくまでニアの付き添いで来てたから私自身入るかどうか分からなくて…」
「恋人と一緒にプールですよ?なんで私だけ入るんですか」
恋人という言葉に反応して顔が少し熱くなる。確かに今回はデートだと言いながら私をプールに連れて来てくれた。でもニアが小さい頃、孤児院の他の子供たちと一緒にプールに連れて行ったことがあるからその時と同じ感じかと思っていた。急に恥ずかしくなって何も言えずにいるとニアが濡れた服のまま私の近くのプールの壁に腰をかけて座り込む。
「濡れた服のままだと風邪ひくよ?」
「脱いで欲しいんですか?えり姉って結構大胆ですね。」
「なっ…!」
「冗談ですよ。えりは可愛いですね。」
ニアは私以外には見せない少し柔らかい表情で微笑む。名前だってえり姉だったりえりだったり、2人だけの時に何かの基準で使い分けて呼んでくる。
でもニアは言われた通りに、不器用そうだが、服を脱ぎ始める。タオルをかけてあげようと重い、プールから出ようとするとニアに
「もう出るんですか?」
と声をかけられる。その言い方はまだ出て欲しくないと言う風に聞こえて困惑する。でもまだプールに入る予定があるならタオルは確かにいらないからニアの目的を探るためにとりあえずプールの中にとどまることにした。服がやっと脱げて水着姿になったニアは今度は座ったまま足で水面を蹴ってパシャパシャと遊んでいた。それを見ているとまたニアが昔のLくんの姿が重なる。そして、ふとニアと目が合うとさっきまで真顔だった彼の顔は少し不機嫌そうな表情に変わったいった。
「またですか。」
「何が?」
「えり姉は時々私を見てくれません。」
「見てるよ?」
「いえ、それは私ではなく、私の中の別の誰かを見ているのでしょう?」
「言っていることが…」
「分からなくはないはずです。私とデート中なのにえり姉は他の男のことを考えているんですから不機嫌にもなりますよ。」
「男…ってことはLくんのこと?」
確かにさっきまでニアとLくんを重ねていた。だけど口には出していないはず。
「はい…あなたは彼と私を重ねて見ていないですか?そういう時だけえり姉が私の知らない顔をします。」
「知らない顔ってどんなの?」
「すごく優しそうな顔です。」
「…私はいつでも優しいと思うけど?」
「それは、まぁ、そうですが。とにかくその目が私ではなく、私通して、Lのことを見ている気がします。」
「なるほどね…表情を変えてる自覚はなかったけど、確かにニアとLくんを重ねて見てることはあったよ。」
それを聞くとニアは少し残念そうに目線を切って下を向いた。
こんな風に明らかに沈んでいるニアを見ると昔に比べて感情が表に出てきやすくなってるなと思いつつ、手で水鉄砲のようにプールの水をニアの顔目掛けて容赦なく攻撃する。
「っ!何するんですかえり姉。」
眉間に皺を寄せていかにも困惑しているっていう顔だ。可愛い。私は微笑んだだけで何も言わずに、プールから上がって近くの椅子に置いてあった大きめのタオルを持ってニアの隣に座り込む。そして、ニアと自分の背中にタオルが被さるように広げて包み込む。ニアの身体が冷えないようにタオルと肌が接している面積を増やそうとニアに密着する。私の急な行動に理解できていない様子だったが、何も言わない私を見てしぶしぶタオルの端っこを掴んで弄り出した。そのまま少しの間沈黙が流れた。しかしその間ニアはずっとタオルの端の紐クズを弄っていて私の方を見てはくれなかった。
「ごめんね?」
我ながらとても子供っぽい謝り方だと思った。しかし、恋愛経験なんてゼロに等しい私にはこれが精一杯だった。それに応えるように、ニアはゆっくりと私の方を向いてくれた。
「私の方こそ少し感情的になってしまいました。気にしないでください。」
直接ごめんなさいと謝らないところがニアらしい。ニアの目はまだ泳いでいて、彼もまたこの状況をどうしようか考えているようだった。
「人間はすぐには変われない。だから私はまた、ニアとLくんを重ねるかもしれない。それでもニアは私を隣に置いてくれるの?」
「…Lには一生勝てないかもしれません。それだけえり姉にとって大事な人だということも理解しています。私も彼を尊敬する者の1人ですから。」
「…」
「でも隣に置くとか言わないでください。あなたは物ではないです。自分の意思で私の隣にいてくれているのではないんですか?」
「…!うん、そうだよ!」
不器用に、遠回しに言っているけどつまりは私を縛ることはしないから私の意思で隣にいて欲しいっていうことだ。ニアに認められていることが確認できたことが嬉しくてタオルごとニアを抱きしめる。今すごい顔がニヤけてるかも。
「1つだけ確認したいことが。」
胸の方からニアのこもった声が聞こえる。ニコニコしたままニアを離してどうしたの?と顔を合わせる。するとなんの前触れもなく、ちゅっとニアの唇が一瞬私の唇と重なる。
「よかったです。ちゃんと私のこと見てますね。」
またニヤついてるかと思いきや、ニアは真顔だった。でも頬が少し赤いような…キスをされたことにもびっくりしていたが、それよりもニアの表情が気になってそのままジッと見つめていた。自分の顔が見つめられていることに気付いたニアはフィッと顔を背けてから、ギリギリ私にもまだ掛かっていたタオルを全て引っ張って立ち上がった。
「そろそろお腹が空きました。なにか食べに行きましょう。」
そのままスタスタとプールの出口に向かって歩いていくものだから私は急いで濡れた服を軽く絞ってからビニール袋に突っ込んで後を追いかけた。照れ隠しってやつだろうか?ニアとLくんは確かに似てるけど、ニアはニアだ。Lくんが今の私を作ってくれた神だとすればニアは私を生かしてくれている天使だ。その天使に愛されている私はどれだけ幸せな人間なんだろう。こっちを振り返って唇を尖らせたニアが、早くしてくださいと急かしてくる。その子供っぽい仕草に自然と笑みが溢れる。
「今行くよ、ニア。」
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