夢主死ネタ(ニア夢)
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〜最高の勲章と最愛の証をあなたに〜
私は弱くない。むしろ強い方だと思ってる。だけど、
「この数はちょっと多いかな…」
隠れていた柱からバレない程度に顔を出して軽く見渡すが、数はざっと20人以上はいそうだ。こっちが拳銃に対して敵はアサルトライフル持ちが多い。どう考えても分が悪い。この状況でなぜ私が一人かと言うと、意外と簡単な話だったりする。私が弱かったからだ。弱かったからニアを先に逃すことしかできなかった。警備についてくれてた仲間たちの多くはやられ、今は近くの床に転がる死体に過ぎない。ニアにはハルちゃんとレスターさんを付けたから無事に逃げられているはずだ。後は私だけなんだけど…
ニアなら私のことを心配して増援を呼んで帰ってくるだろう。一応恋人だからね…未だに実感湧かないけど。それまで時間稼ぎでもしようかなんて考えてたところだった。気配を感知したときにはそのナイフは静かに私の首元に近づいてきていた。
ーーーーーーーーーー
「もっとスピード出せないんですか!」
「ニア、落ち着いてください!これでも急いでいるんです。」
リドナーも少しイラついているようでハンドルを強く握りしめながら声を荒げてきた。行き場のない苛立ちに私は柄にもなくチッと舌打ちする。
えり姉に逃してもらったまではいいとして、彼女と警備の何人かしか残っていないはずだ。いや、もう警備の人達は死んでいると考えていいだろう。そうなるとえり姉は一人だ。今回の敵は普通じゃない。恐らくバックに何処かの国が絡んでいる。いくら強いえり姉でも今回ばかりは勝てそうにない。そんなこと私でも分かっいたはずなのに。だけど誰かが残って囮になるしかなかったあの状況で、自分が残ると言い出したえり姉を私は止めれなかった。だからこうやって急いで援軍を呼んで戻ってきている。私にはそれくらいしかできないからだ。
やっと、一度脱出したビルを角に捉えたその時大きな爆発音と共にビルから煙が溢れ出し、崩れ始める。近くに停めてあったはずの敵の車は見えず、去った後だと予測できる。
「人命救助を最優先に!敵は発見次第無力化してください!」
通信機に命令を入れ、後ろから付いてきていた援軍を乗せた車から兵隊がゾロゾロと出て崩れかけのビルに入っていく。消防車と救急車も呼んでいたため、到達するまで何もなかったそのビルの周辺はいつの間にか人とサイレンの騒音で溢れかえっていた。
車から出て、私はただ立ち尽くすしかなかった。あそこに入っても戦えない私は足手まといになるだけだ。こういう時、人は神に祈るんだろう。自分が無力でどうしようもない時に救いが欲しいから。神なんて信じていなかったが、救いが欲しいがために曖昧なモノにさえ縋ってしまいたくなる感情が初めて理解出来た気がした。どうか、えりが、無事でありますように…と。
人が入ったことにより、更に崩壊が進んでいくビルからやっと人が出てきた。その人たちは何人かを担架で担いでいるようだった。急いで駆け寄り、顔を確認する。どれも知らない顔だ。つまり敵だろう。ギリギリ息のある者もいるから後で情報を引き出すことを考える。だけどそんなことは今はどうでもいい。
「えりはどこです…」
私の呟きが天に届いたのか、リドナーが私を呼ぶ声を聞いて駆け付けると、そこにはビルの近くの路地裏で壁を背に下を俯きながら座り込んでいるえり姉がいた。
「えり姉!」
その路地裏に入ろうと歩き出すとパシャとまるで水溜りを踏んだ音がした。嫌な予感がして下を見ると白いズボンと靴には赤い染みがじんわりと広がっていた。さらに足元には大きな赤い水溜りができており、それはえり姉の方から続いている血溜まりだということを察してしまった。
えり姉に近づくと彼女の顔には深いナイフの切り傷があり、身体中には弾痕が痛々しいくらいに咲いていた。リドナーがソッと脈を測ったが彼女は苦しそうに首を横に振った。
「嘘だと言ってくださいよ…だって、最近やっとえり姉に気持ちを伝えられたのに…あんまりじゃないですか。やっぱり神なんていないんですよ!私から何もかも奪って!死神しかいないなんて、一体この世界はどうなっているんですか…?」
胸も息も苦しくなってえり姉の前にしゃがみ込む。今目の前にいるえり姉がいつも私に笑いかけて元気を分けてくれる彼女そのものなのに、この状態のえり姉を見るとなんだか別人のように思えてしまう。現実を受け入れたくないがために脳が勝手にそう見せているのだろう。ギュッと彼女の身体を抱きしめる。自分のシャツが血を吸い上げて重くなるのを感じる。抱きしめた時にまだ少しだけ残る身体の熱を少しでも感じようと更に強く抱きしめる。そして耐えきれずに込み上げた涙がぽたぽたと溢れる。
「…今まで他人の前で泣き顔なんて見せたことはないですが、今回は特別にえり姉にだけ見せてあげます。」
一度溢れ出したその涙は止まることを知らず、まるで今まで溜めてた分の感情が崩壊したダムから一気に流れるように私の気持ちをぐちゃぐちゃにしていった。後ろで静かに見守っていたリドナーだったが、私の涙に感化されてか、いつの間にか彼女のすすり泣いていてる声が聞こえてきていた。その音に現実に引き戻され、えり姉のズボンの後ろポケットが膨らんでいることに気付く。そこにはヒビは入っていて血もついていたが、運良くまだ生きてるスマホがあった。彼女のパスコードは知っているので入力するとロック画面を解除することに成功した。すると出てきた画面は私とのチャット画面だ。そこには未送信の、入力しただけのメッセージが残っていた。それは、
『ねぇニア褒めt』
との途切れた一文だった。ビルから運び出された敵の数を見るに彼女は一人で多くの敵を葬ったのだろう。このメッセージを入力していた時には彼女はまだかろうじて生きていた。だがそこからの爆発は予期していなかったらしく、ビルの近くのこの路地裏まで吹っ飛ばされたみたいだ。この位置からはあのビルの窓が見え、えり姉の後ろの壁に大きな血痕があることがその証拠だ。
「褒めて、ですか…えり姉らしいですね…あなたはすごいです。本来1人で立ち向かうべきではない敵の数相手にあなたはよくやりました。よく…やりました…本当に……ただ、死んでは意味がないんですよ…」
再び込み上げてきた涙を今度はグッと堪えて立ち上がって敬礼をする。
「表彰しましょう。私の敬意を込めて。あなたに最高の勲章を。」
そしてえり姉をゆっくり抱き上げ、リドナーの方を向く。
「リドナー、早く行きますよ。さっさとこの事件を解決してえり姉の表彰式をするんですから。」
声が少し震えてしまったことを誤魔化すように私は足早に歩き出した。
ーーーーー
『To my one true love,
えり姉、あなたはずっと私のヒーローです。まだ渡すの先だと思っていましたが最高の勲章と共に私の最愛の証も贈りましょう。)
Always and forever, Near』
私は弱くない。むしろ強い方だと思ってる。だけど、
「この数はちょっと多いかな…」
隠れていた柱からバレない程度に顔を出して軽く見渡すが、数はざっと20人以上はいそうだ。こっちが拳銃に対して敵はアサルトライフル持ちが多い。どう考えても分が悪い。この状況でなぜ私が一人かと言うと、意外と簡単な話だったりする。私が弱かったからだ。弱かったからニアを先に逃すことしかできなかった。警備についてくれてた仲間たちの多くはやられ、今は近くの床に転がる死体に過ぎない。ニアにはハルちゃんとレスターさんを付けたから無事に逃げられているはずだ。後は私だけなんだけど…
ニアなら私のことを心配して増援を呼んで帰ってくるだろう。一応恋人だからね…未だに実感湧かないけど。それまで時間稼ぎでもしようかなんて考えてたところだった。気配を感知したときにはそのナイフは静かに私の首元に近づいてきていた。
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「もっとスピード出せないんですか!」
「ニア、落ち着いてください!これでも急いでいるんです。」
リドナーも少しイラついているようでハンドルを強く握りしめながら声を荒げてきた。行き場のない苛立ちに私は柄にもなくチッと舌打ちする。
えり姉に逃してもらったまではいいとして、彼女と警備の何人かしか残っていないはずだ。いや、もう警備の人達は死んでいると考えていいだろう。そうなるとえり姉は一人だ。今回の敵は普通じゃない。恐らくバックに何処かの国が絡んでいる。いくら強いえり姉でも今回ばかりは勝てそうにない。そんなこと私でも分かっいたはずなのに。だけど誰かが残って囮になるしかなかったあの状況で、自分が残ると言い出したえり姉を私は止めれなかった。だからこうやって急いで援軍を呼んで戻ってきている。私にはそれくらいしかできないからだ。
やっと、一度脱出したビルを角に捉えたその時大きな爆発音と共にビルから煙が溢れ出し、崩れ始める。近くに停めてあったはずの敵の車は見えず、去った後だと予測できる。
「人命救助を最優先に!敵は発見次第無力化してください!」
通信機に命令を入れ、後ろから付いてきていた援軍を乗せた車から兵隊がゾロゾロと出て崩れかけのビルに入っていく。消防車と救急車も呼んでいたため、到達するまで何もなかったそのビルの周辺はいつの間にか人とサイレンの騒音で溢れかえっていた。
車から出て、私はただ立ち尽くすしかなかった。あそこに入っても戦えない私は足手まといになるだけだ。こういう時、人は神に祈るんだろう。自分が無力でどうしようもない時に救いが欲しいから。神なんて信じていなかったが、救いが欲しいがために曖昧なモノにさえ縋ってしまいたくなる感情が初めて理解出来た気がした。どうか、えりが、無事でありますように…と。
人が入ったことにより、更に崩壊が進んでいくビルからやっと人が出てきた。その人たちは何人かを担架で担いでいるようだった。急いで駆け寄り、顔を確認する。どれも知らない顔だ。つまり敵だろう。ギリギリ息のある者もいるから後で情報を引き出すことを考える。だけどそんなことは今はどうでもいい。
「えりはどこです…」
私の呟きが天に届いたのか、リドナーが私を呼ぶ声を聞いて駆け付けると、そこにはビルの近くの路地裏で壁を背に下を俯きながら座り込んでいるえり姉がいた。
「えり姉!」
その路地裏に入ろうと歩き出すとパシャとまるで水溜りを踏んだ音がした。嫌な予感がして下を見ると白いズボンと靴には赤い染みがじんわりと広がっていた。さらに足元には大きな赤い水溜りができており、それはえり姉の方から続いている血溜まりだということを察してしまった。
えり姉に近づくと彼女の顔には深いナイフの切り傷があり、身体中には弾痕が痛々しいくらいに咲いていた。リドナーがソッと脈を測ったが彼女は苦しそうに首を横に振った。
「嘘だと言ってくださいよ…だって、最近やっとえり姉に気持ちを伝えられたのに…あんまりじゃないですか。やっぱり神なんていないんですよ!私から何もかも奪って!死神しかいないなんて、一体この世界はどうなっているんですか…?」
胸も息も苦しくなってえり姉の前にしゃがみ込む。今目の前にいるえり姉がいつも私に笑いかけて元気を分けてくれる彼女そのものなのに、この状態のえり姉を見るとなんだか別人のように思えてしまう。現実を受け入れたくないがために脳が勝手にそう見せているのだろう。ギュッと彼女の身体を抱きしめる。自分のシャツが血を吸い上げて重くなるのを感じる。抱きしめた時にまだ少しだけ残る身体の熱を少しでも感じようと更に強く抱きしめる。そして耐えきれずに込み上げた涙がぽたぽたと溢れる。
「…今まで他人の前で泣き顔なんて見せたことはないですが、今回は特別にえり姉にだけ見せてあげます。」
一度溢れ出したその涙は止まることを知らず、まるで今まで溜めてた分の感情が崩壊したダムから一気に流れるように私の気持ちをぐちゃぐちゃにしていった。後ろで静かに見守っていたリドナーだったが、私の涙に感化されてか、いつの間にか彼女のすすり泣いていてる声が聞こえてきていた。その音に現実に引き戻され、えり姉のズボンの後ろポケットが膨らんでいることに気付く。そこにはヒビは入っていて血もついていたが、運良くまだ生きてるスマホがあった。彼女のパスコードは知っているので入力するとロック画面を解除することに成功した。すると出てきた画面は私とのチャット画面だ。そこには未送信の、入力しただけのメッセージが残っていた。それは、
『ねぇニア褒めt』
との途切れた一文だった。ビルから運び出された敵の数を見るに彼女は一人で多くの敵を葬ったのだろう。このメッセージを入力していた時には彼女はまだかろうじて生きていた。だがそこからの爆発は予期していなかったらしく、ビルの近くのこの路地裏まで吹っ飛ばされたみたいだ。この位置からはあのビルの窓が見え、えり姉の後ろの壁に大きな血痕があることがその証拠だ。
「褒めて、ですか…えり姉らしいですね…あなたはすごいです。本来1人で立ち向かうべきではない敵の数相手にあなたはよくやりました。よく…やりました…本当に……ただ、死んでは意味がないんですよ…」
再び込み上げてきた涙を今度はグッと堪えて立ち上がって敬礼をする。
「表彰しましょう。私の敬意を込めて。あなたに最高の勲章を。」
そしてえり姉をゆっくり抱き上げ、リドナーの方を向く。
「リドナー、早く行きますよ。さっさとこの事件を解決してえり姉の表彰式をするんですから。」
声が少し震えてしまったことを誤魔化すように私は足早に歩き出した。
ーーーーー
『To my one true love,
えり姉、あなたはずっと私のヒーローです。まだ渡すの先だと思っていましたが最高の勲章と共に私の最愛の証も贈りましょう。)
Always and forever, Near』
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