01.もとはと言えば
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「———……さて、ユウさん。
大変残念なことですが……」
入学式が終わったらしい。
あんなに騒然としていた会場も、だんだんと人が減っていく。
しっかし、すんごい高そうな制服だなぁ。
肌触りがいつも着てた服と大違いだ!
そして何故かわたしもこの制服を着ている。
いつの間に着たんだろう。魔法、とやらのせいなのかな。
これを着ているせいで、さっきの青だぬきくんに叩き起こされたわけだけれど……
この高そうな制服や会場の煌びやかさを思うに、さしずめここは、
私学の、魔法使い……じゃなくって、ええと……「魔法士」学校なんだろう。
でも、目が覚める前までの世界に、魔法なんて便利で不思議なものは なかった。
あんまり現実的ではない考えかもしれないけれど、こうなると、
①わたしが異次元に連れて来られてしまった
②元居た世界に何かセカンドインパクト的な大災害などが起き、
わたしは数年~数十年間目覚めずにいて、世界が変容し、今さっき、たまたま目が覚めた
③そもそも全部夢だった
の3つが、いちばん可能性の高い「事実」なんだろう。
でも、黒い馬車にのって森の中を通ったことは覚えている……ような気もする。
……それはそうと、もう少しこの世界のことを知っておきたい。
もちろん、今すぐ元の世界に戻りたいけれど、ここが異世界なのなら かなり興味がある。
屋内だから正確なことは分からないけど、気候や服装的には、日本にいたときと変わりなさそう。
ということは秋から年度が始まるタイプの世界なんだな。
元の世界の英語圏、と思えばよさそう! 生徒の顔立ちも西洋っぽい感じする。
しっかし なんともまあ、不思議な体験だなあ。
ぐるぐるとあちこちを観察しているわたしに、学園長が毅然と言った。
「貴方には、この学園から出て行ってもらわねばなりません。」
!!!!!
わ、わたしだって こんなとこに長居したかないけど!!
「出ていけ」って、なんだその言い方!
だって、今日借りたばっかtのCDもまだ聴けてないし、抹茶ドーナツだって、中間テストだって、……中間テストはどうでもいいか。
とにかく、みんなに「また明日」って言ってきちゃったんだもん。
早く戻りたい。
色んな気持ちを感じたけど、黙ったまま学園長さんの話を聞く。
目上の人の話を遮るのは良くないよね!
「魔法の力を持たないものを
この学園へ入学させるわけにはいかない。
心配はいりません。
闇の鏡がすぐに故郷へ送り返してくれるでしょう。」
それを聞いて、ほっ とした。
よかった。 早く帰って、このこと、あの子たちに言いたいな。
信じてもらえないかもしれないけど、そんなことは関係ない。
帰ったらシャワー浴びて、すぐ二人に電話しよう!
「さあ、扉の中へ。
強く故郷のことを念じて……———」