02.どんぐりの秋、またたきの冬
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———……カリカリ。カリカリ。
明日の魔法史の小テストの最終確認に、羽根ペンを走らせる。
元の世界で 英語や古典が得意だったわたしは、古代呪文語や動物言語学が得意で、
元の世界で 歴史が苦手だったわたしは、魔法史はめちゃくちゃ苦手だ。
中でも古代呪文語は特に得意で、この間の中間テストでは学年3位を取った。
……この世界に来てたった2か月のわたしが、この学園でこの順位って、相当エグいのでは……?????
歓喜の舞を踊っていると、グリムとデュースに変な目で見られた。
ムカついたので「この紋所が目に入らぬか」と言いながら97点の答案用紙を見せると、
中間テストでは、他にも魔法薬学や占星術でかなりの好成績を収めた。
あれ以来、NRCの先生たちは わたしの認識を「異世界から拉致されてきた可哀想な学生」から「努力で結果を成した優等生」に改めたらしい。
魔法史は苦手だから良い点を取る自信はないけれど、せっかく先生から信頼を得られそうなのだ。
できるだけの努力はしておきたい。
カリカリ、カリカリカリ。
ふと、なにか……なんとなく、顔をあげ、窓の外を見る。
10月中旬。
夜が深まる時間。
木々が ざわざわと風に揺れる音がする。
遠く、学園の窓明りがぼんやりと見える。
きれいだなあ。
頬杖をついて眺めていると、その暗闇の中に、ライムグリーンのほたるがふわりと浮く。
あ。
彼が来た。
久々だなー。
羽根ペンを置き、ランタンの灯りを消して、ノートを閉じる。
椅子に掛けてあったカーディガンを羽織る。
まだ秋とはいえ、夜の屋外は冷える。
ぱたぱたと階段を降り、玄関のドアを開く。