01.もとはと言えば
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———……それから、学園に帰ってきて。
ひどいことに、学園長はわたしたちを舐めていたらしい。
粛々と退学手続きを取っていた、と飄々と言われる。
その図太さは、もはや好感が持てる域だなあ……。
しかし、わたしたちが魔法石をゲットする過程で、みんなで協力して怪物を倒した、ということを知るや否や、大声でおんおんと泣き始めた。
曰く、学園長に就任して以来初の「NRC生同士が協力して敵に立ち向かい、そして打ち勝った」という、記念すべき日になったらしい。
感動のまま、学園長はわたしの肩を掴んで、揺さぶりながら熱弁し始めた。
「今回の件で確信しました。
ユウくん。貴方には間違いなく猛獣使い的才能がある!!」
も、猛獣使い!?!?!?
猛獣って……エースとデュースはなぜ怒らないの……!!?
ていうかどんな才能だ!!!!!
優秀がために 高いプライドと強い我が邪魔をして、個人主義で自己中心的な考えを持つ生徒が多い、ナイトレイブンカレッジ。
その生徒たちを繋げることが出来るのは、魔法を使えないわたしに他ならない、と。
なんか全然褒められてる気分にならないけど、まあ……いいのかな……。
「ユウくん。
貴方は間違いなく この学園の未来に必要な人材となるでしょう。
トラッポラくん、スペードくん。二人の退学を免除すると共に———
———ユウくん。
貴方に、ナイトレイブンカレッジの生徒として 学園に通う資格を与えます!」
ええっ!??
ま、魔法が使えないのに、生徒として!?
驚いて目を白黒させていると、学園長はまたあの口癖を言った。
……うさんくさい……
「ですが、1つだけ条件があります。」
やっぱりうさんくさい!!!!
口約束を このひととしたら、絶対破られるよね。
……実際今日破られかけたよね。
学園長は、魔法が使えないのでは授業を受けることもままならないだろう と続けた。
確かに……どんな授業があるかわかんないけど、魔法士養成学校で、魔法を使わない授業なんて、むしろあるんだろうか……。
「そこで———グリムくん。
君は今日、魔法士として十分な才能を持っていることを私に証明しました。」
左側に立っているグリムがごくりと生唾を飲んだ。
もしかして。
もしかして……!!
「よって、ユウくんと2人で1人の生徒として、
ナイトレイブンカレッジの在籍を認めます。」
「オ……オレ様も、この学園に通えるのか……?」
目を少し充血させ、ほんのりと潤ませるグリムに、学園長は力強く頷き……
……そしてすぐに ただし! と付け加えた。
「昨日のような騒ぎは二度と起こさないように!」
いいですね、と念押しされる。
よかった……そう思ってグリムを見ると、嬉しそうに飛びついてきた。
これから一緒に頑張ろうね、グリム。
そうして、グリムは学園長から魔法石の首輪をもらい、わたしは「オンボロ寮の監督生」という肩書を受け取った。
エースとデュースに祝われ、にこにことしていると、学園長からゴーストカメラを手渡される。
被写体の魂の一部、通称『
撮影者と被写体が親しくなり、魂の結びつきが強まることで、
写真が動いたり、実態を持って抜け出したりするようになる、昔のカメラらしい。
なんかすごいなあ、ハリー・ポッターの写真みたいな感じなのかな。
そして、このカメラを使って 学園生活の記録を写真に残すよう言われた。
「私への報告書代わりにうってつけでしょう?」
そう言ってにやりと笑う。
わたしもつられて、にやりとした。