01.もとはと言えば
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「———……おぉ~、ドラゴン!」
全モンスターの憧れだゾ、と言って、茨の魔女の石像を見上げるグリム。
……ドラゴンは全モンスターの憧れなのか……。
モンスターが言うとほんとう感すごいなあ。
「クールだよな~。」
そう言いながら目線を石像からグリムに向けるエース。
……うん?
何かいじわるな顔をしている気が……?
「……どっかの狸と違って。」
「ふな"っ!?」
驚いてすごい声を上げたグリムをよそに、エースはお腹を抱えて笑い始めた。
え、え、え、ええ……!?
良い子そうだなって思ってたのに、
こ、こんな感じの子だったのか……!!!
「なあ、お前ら 昨日入学式で暴れてた奴らだろ?」
「ちょっと!!
グリムはともかく、わたしは暴れてないんですけど!!?」
「闇の鏡に呼ばれたのに魔法が使えない奴と、
お呼びじゃないのに乱入してきたモンスター。
やー。入学式では笑い堪えるの必死だったわ。」
「なぬ!? 失礼なヤツなんだゾ!」
「で、結局入学できずに2人して雑用係になったわけ?」
だっせー、って。
な、な、な、
なんなのこいつ!?!???!?
わたしは来たくてこの世界に来たんじゃないんですけど!!!!
そうじゃないとしても、わたしに非なんてあるわけないじゃん!!
こういうのは、呼ばれた側じゃなくて呼んだ側に問題があるの!!!
何の話!?!?!????!?!?!
そうじゃなくて、そうじゃなくて、も~~!!!
いい仕返しの言葉が出てこないー!!!
こぶしを握りしめ、グリムを見やると、顔を真っ赤にして震えていた。
グリム……!!
……感情的になってしまったとき、自分より感情的になっている人がいると、
すごい急に冷静になるの、人生あるあるだよね……。
サァー、と 頭の血が抜けていく。
しかし、それは 怒りの赤い炎が消えるイメージではなく。
より温度の高い、青い炎に代わっていく感じだった。
こンのやろう、どうしてやろうか……。
「しかも『グレート・セブン』も知らないなんてどんだけ世間知らずなんだよ。」
怒りに燃えるわたしたちをじろじろと見降ろし、鼻で笑う。
だから、この世界の常識をわたしが知ってるわけないのに!
ひどい差別だ!!
「ナイトレイブンカレッジに来る前に幼稚園からやり直すのをオススメするわ。」
ぷくく、と最後にもうひと笑い。
そこで ものすごい唸り声が右側から聞こえてくる。
アッ。
グリムってけっこう見栄っ張りで、認められたがりな節がある。
そういう子って大抵煽り耐性がないのだけれど、グリムの性格はというと、もちろん……。
このままじゃ大変なことになりかねない。
「ど、どうどう」
怒りに震えるグリムを宥めようと、少しかがむ。
背中に手を添えようとしたところで、エースのとどめの一言が飛んでくる。
「んじゃ、オレは君たちと違って授業あるんで。
せいぜい授業頑張ってね、おふたりさん♪」