ペンギン誕2025
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「ペンギン誕生日おめでと~」
潜水艇から出てデッキを見回すとトレードマークのペンギン帽子を被った男が立っていた。シノはゆっくり歩いて彼に近づくと、本日何度目かの祝いの言葉を伝えた。
「おう、サンキュー」
急に後ろから声をかけたにも関わらず、さらっと礼の言葉を返された。シノが近づいてくる気配を感じていたのかもしれない。
潜水艇の中では、ペンギンの誕生日会が催されている。皆、心の底から誕生日を祝っている反面、人の誕生日にかこつけて、酒を飲んでワイワイ騒ぎたいという海賊らしい一面もあり、主役がこうして一人外に出ていても、中ではどんちゃん騒ぎが続いている。
「こんなところで何してんの?」
「あー、喜びを噛みしめてる」
「あー……わからんでもない」
ハートの海賊団を結成して、何度目のお祝いだかわからないが、毎度クルー達全員が全力でお祝いしてくれるので、恥ずかしいやら嬉しいやら、少しくすぐったい気持ちになるのがお約束だ。ペンギンも今日一日お祝いされ続け、息抜きに外の風にあたりに来たのだろう。
「そういうシノはどうしたんだよ」
「お酒お預けくらったから酔い覚ましー」
「あーなるほど」
酒は好きなのだが、いかんせん強いわけでもないため、ある程度飲んだところでキャプテンという名の主治医からストップが出て、酒を取り上げられてしまった。一旦酔いを醒ませとの指示のもと、姿が見えないペンギンを探すついでに、風にあたりに外へ出たのだった。
「そうそう、本日の主役のペンギンくんにプレゼントをあげよう」
「なんだなんだ酔っ払い」
シノは急に思い出してポケットに手を突っ込んだ。がさがさとポケットをあさるシノを見て、けらけらと笑うペンギン。行動があまり唐突だったため、酔っ払いだと思われたようだ。実際否定はできないのだが、そんなことを気にも留めず、シノはひょいと棒付きキャンディを取り出した。
「はい、ペンギン飴」
「おぉ……また食いづらいものを」
「つづいて、シャチ飴」
「これ本当にシャチか?イルカじゃね?」
「そして、べポ飴」
「そこはシロクマだろ」
次々とポケットから取り出される棒付きキャンディたち。ペンギンは一々突っ込みながらも素直に受け取った。シャチ飴に納得がいかないらしく、棒をくるくると回しながらまじまじと眺めている。正直、シルエットだけでは、シャチとイルカの細かい差はわからない。が、一般的にモチーフとして作られる確率としてはイルカの方が多いだろう。
「まぁまぁ、もう一個、キャプテンモチーフも買ってきました」
「あれだろ、猫だろ」
「違う、ユキヒョウ!!」
「いや、それはもう絶対猫だろ」
最後の一つのキャンディをペンギンに押し付ける。確かに猫と言われれば猫かもしれないが、店ではこれが何かとは明記されていなかったので、シノがユキヒョウだと言い張ればそれはユキヒョウだ。
「まぁいいや、ありがとな」
「どういたしまして」
全て貰ってもらい満足したシノはその場に座り込み、ポケットからもう一つ余っていた棒付きキャンディを取り出し、自分の口に放り込んだ。
「それは?」
「犬!」
「誰でもないんかい」
そう言ってペンギンもペンギン飴を口に放り込み、シノの隣に座り込んだ。まだ中に戻る気はないようだ。
もう夜は更けており月が煌々とあたりを照らしている。これはミンク族であるべポは出てこられないだろう。
「ペンギン飴、食べづらいんじゃなかったの?」
「いやー他の奴らよりはまだ食べやすいだろ、気持ち的に」
「それもそうだね」
しばらく何も喋らず、飴をくわえて目を瞑った。船の甲板を抜けていく夜風が心地よい。このまましばらくここでぼんやりしていても良いかもしれない。
「おーい、こんな所で寝ると風邪引くぞー」
「うわっ」
突然、頭をぐしゃぐしゃと撫でられ、シノは目を開いた。完全に油断していたが、どうやらいつの間にかペンギンに寄りかかり、意識が飛んでいたようだ。
「あれ、ごめん、寝てた?」
「多分、5分くらい」
寝息が聞こえてきたので、本格的に眠りにつく前に起こしてくれたようだ。アルコールの力とはなんと恐ろしいことか。一瞬で落ちてしまったようで、全く気が付かなかった。
「眠いならもう部屋戻って寝ろよ」
「んー……でもまだペンギンの誕生日終わってないし」
「日付変わるまであと2時間あるんだが?」
正直、一度眠ってしまったせいか、完全に脳内が眠りの方向に傾いている。あと2時間起きていられるだろうかと考えている間にも意識がぼんやりしてくる。これはダメかもしれない。
「シノ、どーする?」
「……ダメかもしれない」
「ダメかー」
寝ぼけながら返事をするシノに律儀に付き合ってくれるペンギン。何やかんやで付き合いがよく、面倒見がよく、そして昔からシノに優しい。長い付き合いになるが本当に変わらず安心できる友人だ。
「もしかして、ペンギンの近くにいるから眠くなるのかー」
「飛んだな、何の話だ」
「ペンギンのそういうところ好きだなぁって話」
「酔っ払いなのか寝ぼけてるのかわからんが、全然話についていけねェんだけど」
シノの思考の中では繋がっているのだが、口に出してない部分が多いので当然伝わるはずもない。それでも楽しそうに話を聞いてくれる彼との会話は心地よいのだ。
「まぁ好きだと言われて悪い気はしないしな、俺もお前のそういう意味わかんないとこ含めて好きだぞー」
「それ褒めてる?」
「褒めてる、褒めてる」
「じゃあ、いっか、ありがとー」
あははと笑い素直に受け止めるシノ。ペンギンの言う通り好きだと言われて悪い気はしない。口の中のキャンディがいつの間にかほとんど無くなってきた。結構大きかったと思ったが、それだけ思いの外長い時間、外にいたのだろう。
「そろそろ中戻る?」
「そうだな、お前はもう寝ろよ」
「えー私ももうちょっとお酒……」
「絶対飲みながら落ちるからダメー」
「えー」
勝手に飲ませたらローに怒られるので致し方ない。シノもわかってはいるが、なんとなく納得がいかず、むぅと不服そうな表情を浮かべた。ペンギンなら許してくれると思ったのだが。
そうこうしているうちに、船内に続くドアがガチャリと開かれた。ひょっこりと頭をのぞかせるシャチとベポ。なかなか帰ってこないペンギンとシノを探しに来たようだ。
「お前らいつまで外いるんだー?」
「主役が長時間不在にしちゃダメだろー」
「悪ぃ、悪ぃ」
ペンギンがひょいと立ち上がりシャチの元へ歩いていく。シノもそれに続いて船内に入る。
「何食ってんだ?」
「え、ペンギン」
「はぁ??」
ベポの問いにサラリと答えるペンギン。まぁ間違ってはいないが、今来た二人には伝わらない。ドアから顔は覗かせなかったものの、ローも一緒に探しに来ていたらしい。廊下の壁に寄りかかりこちらを見ていた。
「遅ェぞ」
「ごめん、ごめん、キャプテン」
「キャプテン、二人がなかなか帰ってこないからずっとそわそわしてたんだよ」
「してねェよ」
ローを指差しケラケラと説明するシャチを睨むロー。仲間に対して心配性な彼のことだ、何かあったのかと心配していたのだろう。ペンギンとシノは顔を見合わせて思わず笑った。うちのキャプテンはなんて優しくて可愛いのか。
「キャプテン寂しい思いさせてごめーん!!」
「あと2時間、一緒に騒ごうなー!!」
「やめろ、引っ付くな!!」
二人で挟むようにローに引っ付く。ペンギンもなんやかんや酔っ払っているのかもしれない。満更でもないのか、ペンギンの誕生日だから目を瞑ったのか、なんやかんや言いつつ素直に引っ付かれたままのローに笑いながら、シノたちは皆揃って宴会場となっている食場へと戻った。
end.
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