癒しの実
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「ロビンさん、ちょっといいですか?」
王宮の戦いがどうなっているのかわからない中、ただただ王宮の方角を見つめ続けていた一同。すぐそこにいると分かっているのに何も出来ないことを皆もどかしく感じていたが、助太刀が出来るレベルの戦いではない。シノは戦いのことは一旦考えないことに、ロビンの手を引き、ひまわり畑の中へ入った。
「どうしたの?」
「背中、消毒くらいしときましょう」
「あ……」
何があったのかわからないが、背中にひどい傷を負っていた。長い黒髪で多少隠れてはいたが、かなり血が垂れている。レベッカに心配させまいと上手く隠していたようだが、そうであれば余計ある程度処置をした方が良い。最低限の道具しか持ってきていないが、消毒液とガーゼ、包帯くらいならある。ロビンも素直にシノの処置を受け入れた。
「ありがとう、シノ」
「どういたしましてー」
止血をし、出来る範囲で消毒をし包帯を巻く。傷なんて他人に見られたくないものだ。少しでも上手く隠し、極力綺麗に治してあげられれば良いが、シノには前者しか出来ない。
「……よし、これでOK。あとでローにちゃんと見てもらいましょうね」
「シノもね」
「あー私のは……」
そんな会話をしていた時だった。ボォォォ、と大きな音と共に大爆発が起きた。王宮からだ。慌ててひまわり畑から出て王宮を見上げる。今までも大きな音は上がっていたが、これほどの炎が上がったのは今回が初めてだ。何かが爆発したような大きな炎と煙が立ち上る。あの場に火気を使う能力者はいないと思っていたが、ドフラミンゴ・ロー・ルフィ以外にも誰かがいたようだ。
「何!?何の音!?」
「王宮から大きな炎が!!!」
「ルフィ!……ドフラミンゴ!!」
爆風からギリギリ飛び出したルフィとドフラミンゴらしき姿がかろうじて見える。ローもどこかにいるはずだ。この爆発が誰の所業かは分からないが、どちらにもあまり被害は無いように見える。
「大丈夫れしょうか!?何か僕らも加勢を!!」
「正直足手まといになるわ……!ドフラミンゴと同じ王下七武海の称号を持つトラファルガー・ローでさえあんな姿に…!」
ロビンの言葉に、一瞬呼吸が止まった。跳んでいるルフィに抱えられたボロボロのローが見えた。恐らく意識も無いだろう。シノは全身の血の気が引き、一気に冷えるのを感じた。震えて咄嗟に動けなかったシノの背中を優しく叩き、ロビンがいち早く動き出す。
「ルフィ、トラ男君をこっちへ!」
「ロビン、助かる頼む!!トラ男はもう充分ミンゴを追い込んだ!!」
ルフィが手を離し、ローの体が王宮から花畑へ落ちてくる。ロビンの腕がふわりと広がりネットとなった。そのネットが傷だらけのローの体を受け止める。
「うそ!!腕がっ!!」
「!?」
ローの体の後に、鬼哭とローの腕が降ってきた。その様が、スローモーションのようにあまりにゆっくりと感じた。
「ニコ・ロビン…!余計なまねをするな!そいつはまだ息がある!!退場じゃない!!」
「ドフラミンゴ!!!!」
「……ロビンさん、ローをお願い……」
「えぇ、もちろん」
先ほどまで震えていた手が嘘のようにぴたりと止まった。刀を抜き、上を飛んでいるドフラミンゴに応戦できる態勢に入る。これ以上、傷一つつけさせるわけにはいかない。死んでも守るのが、ローを追いかけてきたシノの責務だ。
「弾糸!!!」
「鷹鞭!!!」
「ルフィ君!!」
ドフラミンゴ自体はルフィが止めてくれたが、ロー目掛けて大量の糸の弾が飛んでくる。シノは、刀でその弾を弾き返し捌いていく。が、数が多い。するりと見逃してしまった弾に、くるりと振り返った。
「金の斧銀の斧!!」
白いコートがふぁさりとはためき、シノの前に現れた。白いコースの男は、シノが弾き返せなかった分の攻撃を処理した。キャベンディッシュだ。一人でひまわり畑まで登ってきたようだ。彼のおかげでドフラミンゴの攻撃を無事かわすことが出来た。ロビンとローに当たらなかった事を確認し、ホッと胸をなでおろす。改めて王宮の方を見上げると、ドフラミンゴがこちらを見下ろしていた。妙な形のサングラスのせいで目線はわからないが、確実にローを見ているのだろう。こちらへ何かしてくる素振りはない。
「みんなを頼んだ!!!」
ルフィがキャベンディッシュに向けて叫ぶ。あの戦火を潜り抜けてきた割にはほとんど傷もないキャベンディッシュ。対してキュロスもロビンもシノも既に負傷している。ドフラミンゴのことはルフィに任せ、キャベンディッシュに護衛を頼みながらこの場を離れたることが最善の選択だろう。
「移動してすぐローの治療をさせてください!!キャベンディッシュさん、運んでもらえますか!?」
「あぁ、下の段にバルトロメオがいるはずだ!奴の能力ですぐに下へ!!」
治療は時間との勝負だ。シノで何とか出来るレベルを超えているが動揺している暇はない。
「何とかなるのか!?レオ!」
「切り口がぐちゃぐちゃれす!うまく縫い合わせられれば……」
「そうすれば私のジョーロでチユできるのれすけれど!」
「!!二人とも、治療出来るの!?」
レオとマンシェリーの予想外の言葉に驚く。
「マンシェリー姫はチユチユの実の能力者なんだ。レオもぬいぬいの実の能力を持っている」
「チユチユ、の実……」
なんて偶然なのだろうか。シノは思わず息をのむ。いや、きっと偶然なんかではないのだろう。これがローの運命なのだ。ここで死ぬような運命ではない、そうに違いない。そんな根拠も何もない願望が頭をよぎった。
キャベンディッシュがローを抱え、崖の方へと走る。念のため王宮の方を警戒しながらロビンとシノで後ろを追いかけた。
「……待て!!」
「ロー、気が付いた!?」
死にそうな声を振り絞りながら、ローが左腕でキャベンディッシュの肩を掴んだ。
「……俺を、置いていけ……!!」
「え!?何言ってるんだ!!」
「そうだよ、まずは治療しなきゃ!!」
この状態で何を言っているのか。本当はこんな状態で声を出すこともやめて欲しい。これからトンタッタ族の二人に手術をしてもらうのに、無駄な体力を使わせるわけにはいかない。
「13年間……おれはドフラミンゴを討つ為だけに生きてきた……!やれる事は全てやった……。あとは麦わら屋に託すしかない。あいつが勝つのなら、ここで見届けたい。もし負けたなら……俺もここで共に殺されるべきだ……!」
血まみれで、自力では起き上がれない状態の人間が言うセリフとは到底思えない。喋るのもやっとだというのに。それでもずっと追っていた恩人の本懐というのを最後まで見届けたいのだろう。シノに止められるはずがない。キャベンディッシュがちらりとシノを見てきたが、首を横に振ることしか出来なかった。
「――説得できそうにないな」
ハァと大きなため息をつき、キャベンディッシュは草原の上にローを寝かせた。
「ニコ・ロビン……先に行け。自殺願望はきけない……僕も残る。それで妥協しろ。君が死ぬとしたらぼくの次だ」
「ということでロビンさん、私も残るね」
ローを放っていくわけにはいかないから、と苦笑する。これがローのけじめだというのであれば、シノも最後まで見守りたい。仲間たちとの約束もあるので、死ぬ気はない。ルフィなら何とかしてくれる、そんな気がするのだ。
「えぇ、わかったわ。また後でね」
「うん、ありがとう」
降りていくロビン達を見送り、一緒に残ってくれたトンタッタ族たちの治療を見守る。
「レオくん、マンシェリーちゃん、ありがとう」
「ローランドも国の恩人なので当然れす!」
レオが丁寧にローの右腕を縫合していく。体のサイズを考えると大変だろうに器用に針を操っている様を眺めるのは不思議なものだ。昔、ローがペンギンの腕を繋げた時のことを思い出した。あの時もこうして見守っているだけで、シノは何も出来なかった。ローの右腕はたくさんの人の命を救う大切な腕だ。絶対に治って貰わないと困る。
「キャベンディッシュさんも、一緒に残ってくれてありがとう」
「麦わらの一味は命の恩人だからな。麦わらのルフィに任されたからには放り出せないだけだ」
闘技場の大会の時にレベッカを庇うような発言をした時も思ったが、海賊とはいえ、誠実な人間なのだろう。自分が正しいと思うことをはっきりと言って行動できる人間。麦わらの一味もそうだが、やはり海賊にもいろいろな人間がいるのだ。
「よし縫合終わったれす!」
「次は私れすね!」
マンシェリー姫がどこからともなく取り出したジョウロの水をローの傷口にかけていく。
「これがチユチユの実の能力……凄い……」
一瞬で治るわけではなくとも、一度切られた腕がちゃんと繋がるというだけで相当凄いことだ。通常の手術であれば、完全にくっつくまで何日もかかるが、かなり短縮できるかもしれない。
「本当にありがとう。あとは大丈夫、二人も早く行きたい所とかあるでしょ」
「皆さん、お気をつけて」
ローとシノとキャベンディッシュを残し、レオとマンシェリーは旅立っていった。マンシェリーの能力を必要としている人はまだまだいるはずだ。自分たちの国の一大事なのだ。好きに動いてほしい。しかし、何かあった時にシノだけではローを抱えて逃げることは出来ないので、キャベンディッシュが残ってくれるのは本当にありがたい。シノはトンタッタの二人が治療してくれたローの腕に丁寧に包帯を巻いた。
「ちゃんと繋がると良いな、腕。血が流れ始めると回復するそうだ」
「わかるよ……おれは医者だぞ」
「地下の交易港をみて察しがついたよ……この戦い、ドフラミンゴを倒せたとしても、世界に大きな波紋を呼ぶぞ。君たちは、台風の目になる」
「ああ……そのつもりだ」
新世界で何年も海賊をしているだけあり、ロー達の海賊同盟が何をしようとしているか察しがついたようだ。シノはまだ実感がわいていないのだが、どうやらこれからもっと大変なことになっていくらしい。
「……ねぇ、キャベンディッシュさん、後でサインちょうだい」
「しょうがないな。ここから出た暁にはサインとツーショット写真を撮ってやろう」
「いや、そこまでは良いかな」
どや顔でこちらを見て来るキャベンディッシュに、写真については丁重にお断りした。シノの手配書コレクションのサインがまた増えることになりそうだ。
「……あとさ、ちょっとだけローと話したくて……少しだけ離れてて貰っても良い?すぐ終わるから」
「……あまり離れたら護衛の意味がないからな。小さい声で話せよ」
何かを察してくれたのか、恐らく彼の間合いのギリギリまで離れたところへ歩いて行った。座らないのは何かあった時にすぐに来てくれるつもりなのだろう。最近、年下のルフィ達と話す機会が多かったので、キャベンディッシュの大人な対応に少し感動する。
「さて……、どこから話そうかな」
「…………」
「ドフラミンゴ、強かった?よく考えたらさ、私の親の仇でもあるんだよね」
ドフラミンゴがいるであろう方角を眺めて笑った。少しだけドフラミンゴと会話したが、親の仇である事等ほぼ忘れていた。元々復讐をしたいとも思っていなかったので当然なのかもしれない。
「親のために復讐したいとは思わなかったけど、もしローがドフラミンゴに殺されたら私は復讐しようとしたんだろうなぁ」
「……バカ言え」
「さっきさ、ボロボロで降ってきた時は一瞬怖かったけど、生きて帰ってきてくれて少し安心した」
「まだ終わってねェよ」
「そうなんだよね」
シノが復讐等しようとしたら一瞬で殺されることだろう。ローが生きていてくれて本当に良かった。仲間達との約束も守れる。あとはここでルフィを信じて見守るだけであってくれればそれが良いのだが、どうにもそう簡単にことは進んでくれないようだ。
シノはローの左手を取り握った。
「昔さ、私に戦闘は向いてないって言ったの覚えてる?」
まだ北の海を航海していた頃、ローの強さは当時から飛びぬけており、べポもシャチもペンギンも筋が良かったのかどんどん強くなっていた。シノも今でこそそれなりに戦えるようになったが、それでも他のクルーに比べたら見劣りする部分もある。
「今でもそう思ってるが……よく見たらお前血だらけじゃねェか」
「あ、これほとんど返り血だから大丈夫……ってそうじゃなくて」
ドフラミンゴから受けた傷はとっくに応急処置をして血も拭き取っている。今ついているのは王宮から出る時の兵達の返り血だ。
「もっと真面目な話で。私もやっぱ戦闘向いてないなぁって思って、もっと役に立てる方法無いかなぁっていろいろ考えてて。それで、ようやく見つけたんだよ」
「……?何の話だ?」
「あー何というか…………海、泳げなくなっちゃった」
「はァ!?」
ずっと空の鳥かごの糸ばかりを見つめていたローの視線が、ようやくシノの方を向いた。手を振りほどいて起きあがろうとしたが、さすがにここまで弱り切ったローに負けるほどやわではない。手を握ったまま、体を押し返した。予想通りの驚きっぷりに少し笑ってしまった。
「最初はチユチユの実が欲しかったんだけどね、まさかここで持ち主に会うとは思わなかった」
シャチやペンギンと図鑑を眺めていて、本当はチユチユの実が欲しいと思った。が、シャチ達がシノのために見つけてくれた悪魔の実は、言ってしまえばその下位互換。あくまでも疲労や体力が回復するだけで、怪我や病気は治せない。だがこれこそがシノに必要な能力だと思った。
「まだ終わってないんでしょ。どうせ腕がある程度繋がったらまた動き回るんだろうし、体ズタボロなのは治せないけど、少しでも体力回復させた方が良いよね」
そう言って改めてローの腕を両手で包む。出来ることも多彩で強い分、体力消費の大きいローの能力。これを少しでもカバーできれば戦闘の幅ももっと広がる。この実を手に入れた時、本当に奇跡だと思った。協力してくれた仲間達にも感謝しきれない。
「燃費の悪いローの能力にぴったりでしょ」
「……あぁ、そうだな」
ぎゅっと、ローが手を握り返してきた。それがいつもより弱弱しく、当たり前だが弱り切った状態なことが伝わってくる。それでも、少しでも回復させることが出来れば、ローの為にも、この国のために一緒に戦ってくれているルフィ達の為にも役に立てるはずだ。そう信じて、シノはローの手をひたすら握っていた。
それからしばらく、キャベンディッシュも含めた3人でルフィとドフラミンゴの戦いを見守っていた。ルフィがいつもとは違う姿になりドフラミンゴを圧倒しながら戦ってはいるが、ロー曰く覇気の消費が大きいだろうとのことだった。そうなると、体力との戦いになってくるだろう。その間にも、鳥カゴの糸が少しずつ狭まっている。ドフラミンゴのいるこの王宮が中心となって少しずつ小さくなっていく鳥カゴ。国中は変わらず大騒ぎだ。
『みな、聞いてくれ。私は元ドレスローザ国王、リク・ドルド3世』
突然、リク王の声が国中に届いた。混乱している国中に、リク王の説明が、激励が広がる。この国で今起きていること、その原因、現在の状況、そしてルフィが今まさに元凶のドフラミンゴと戦ってくれている事。何もわからず逃げ惑い戦っていた国民達からしたら、まさにこの声は希望だろう。状況がわかるだけでも、終わりがあることを知ることが出来るだけでも人は希望を持てるものだ。
『希望はあるのだ!!どうか諦めないでくれ!!!』
シノたちは黙ってリク王の話を聞いた。これこそが本来あるべき国の王の姿だ。ドフラミンゴとはまるで違う。
いつの間にか王宮から降りて町中で戦っているドフラミンゴとルフィ。ドフラミンゴの糸が町中に広がっていく。が、その糸が町を壊す前に、ルフィの両腕によってドフラミンゴの体が吹き飛ばされていった。その体は王宮の山に大きな音を立ててぶつかった。シノ達のいる大地にも衝撃が走った。
「やったの、かな……!?」
「なんて破壊力だ!!これで生きてられるはずがない!!」
「空を見ろ……」
「え?」
ローの言葉に、空を見上げる。鳥カゴが、消えていない。つまりドフラミンゴはまだ息がある。気絶もしていない。ルフィもそれに気づいたのか追い打ちをかけようとドフラミンゴに殴りかかろうとした、が、急に体が縮んで倒れてしまった。
「ルフィくん!!!!」
「……覇気が切れたんだろう」
「このタイミングで!?」
確かにいつもと違う姿になってからかなり長い間全力で戦っていた。限界を迎えてもおかしくはない。しかし、ドフラミンゴもかなり追い詰められているに違いない。ここで諦められるわけが無い。
「ウィ~ハハハ!!!!」
「「!?」」
急に背後の王宮から声が聞こえ、振り返ると謎の男が王宮から降ってきた。そのまま山を飛び降りていく。
「麦わらの野郎が虫の息!待ってろ今殺して奪ってやる、ゴムゴムの実~~!!」
「ジーザス・バージェス!!なぜ王宮に!!」
「ジーザス・バージェス!?」
キャベンディッシュの言葉に驚く。バージェスと言えば、黒ひげ海賊団のクルーだ。何故こんな場所にいたのか。そしてルフィを狙っているようだ。普通であればこの王宮の丘から飛び降りて無事とは思えないが、どうやら無事のようだ。崖にめり込んでいたはずのドフラミンゴが動き出す。やはり生きていたようだ。町はまたしても混乱に陥った。
「おい、どうなってる……!?」
「かなり遠いし声は聞こえないからわからないけど、……誰かがルフィくん抱えて逃げてるっぽい。ドフラミンゴとバージェスから逃げる気じゃないかな……?」
目を細め、必死で町の方を見るが、詳細な状況まではわからない。ただ、ルフィと思われる人物をかついで走っていく集団が見える。シノはわかる範囲の状況を実況した。
「……分かった、シノ、動けるか」
「え、うん、もちろん……って待って、ローはまだ起き上がっちゃダメだって」
「自由には動かせねェが、腕は繋がった」
そうは言っても傷口からはだらだらと血が流れ続けている。ある意味、腕がつながった証拠なのだろうが、この状態では命にかかわる。それでも勝手に体を起こすロー。
「……お前のおかげで何回か能力が使えるまでは回復した、十分だ」
「あ~もうわかったよ!!どこまでもついていくよ!!」
シノがローに勝てるわけがない。言い出したら聞かないのはいつもの事だ。ここまで来て負けるわけにはいかないのも事実。そもそもこうなることが分かっていて少しでも回復させることを選んだのはシノ自身だ。ゆっくりと出来るだけいたわりながらローの体を起こす。
「おい、まさかあそこまで行くつもりか!?」
「うん、キャベンディッシュさん、本当にありがとう」
「シノ、あいつはどこだ……!?」
「えー……多分あの少し高い建物の横のところ」
山から遠ざかっている集団の先を指さす。ドフラミンゴもそちらの方面にゆっくり動いているようなので、恐らく間違いないだろう。
「行くぞ、ROOM」
かなり大きなROOMが展開され、シノが指さした建物の一角を鬼哭で斬る。遠く離れた場所でもROOMの中なら斬れるのだから便利な能力だ。
「じゃあ、またあとで」
シノはキャベンディッシュに挨拶をする。信じられないと言いたげな表情を浮かべるキャベンディッシュ。あとで文句を言われるかもしれないがしょうがない。
「シャンブルズ」
ローの言葉と同時にシノとローの姿が王宮のある大地から消えた。
――ルフィの復活まで、残り3分半。
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