幹部シュガー
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「なんか変な場所に降りちゃったなぁ……」
無事4段目まで上がっては来られたが、爆風に飛ばされ想定以上に上ってしまい、王宮の庭に辿り着いてしまったシノ。鍵はレベッカに渡してあるので、ロー達が来たらすぐに渡せるはずだが、ここは敵地だ。一般人であるレベッカに何かあっては困る。急いで戻った方が良いだろう。イエローカブ達には礼を言い、先に戻ってもらい、シノも改めてひまわり畑を目指すことにした。
「いたぞ!トラファルガーローの部下だ!!」
「なんでこんな所まで来てやがる!?」
「!!」
王宮の中からドンキホーテファミリーの兵が数人出てきた。どうせロー達はここを通ることになるのだ、少しでも邪魔な敵は排除しておくべきだろうと判断し、シノは刀を構えた。相手は幹部ではないので苦戦するような相手ではない。すぐに全員気絶させ、その場をおさめた時だった。
「た、助けて!!」
場違いな少女の声にシノは振り返る。まだドンキホーテファミリーの兵が残っていたようだ。男の先には赤いフードを被った少女の姿があった。先ほどレオ達が電伝虫で会話していたマンシェリー姫のように、ドンキホーテファミリーに捕らわれており逃げて来たのだろうか。
シノはすぐさま駆け寄り、今にも斬りかかろうとしていた男を蹴り飛ばした。
「大丈夫!?」
「う、うん……!!私、怖くて……」
俯いたまま呟く少女。10歳ぐらいだろうか。こんなところで襲われたのだ、相当怖かっただろう。場合によってはトラウマになりかねない。しかしこの子を連れてどこへ逃げれば良いのか。下に降りて行っても待ってるのは地獄のような戦場だ。であればいっそ安全になるまでこのフロアのどこかに隠しておくべきか。もしくは花畑のレベッカに預けるか。
「とにかく一旦ここを離れよう!」
「うん、おねーちゃん、手繋ごう」
「うん、…………?」
それはただの勘だった。何か違和感を感じた。なんとなく、思ってしまった。この子は本当に怖がっていただろうか。むしろ、先ほどこの子を攻撃しようとしていた男の手の方が震えていたのではないか。
差し伸べかけていた手を刀に掛け直し抜く。顔を上げた少女と目が合った瞬間、思わず刀を彼女の腹に刺した。完全に敵の目だった。
「気づいた?……でも、私の勝ち」
刀から手を離し、離れようとした時には、少女の手がシノの手を掴んだ。その瞬間、シノの体はパッチワークで出来たつぎはぎのぬいぐるみになっていた。驚く間もなく咄嗟の判断ですぐにその場を離れた。シノに刺された傷が思ったより深かったようで、少女が膝をついた隙に逃げることが出来た。刀も銃もないオモチャの状態では、どれほど戦えるか分からない。一旦隠れて落ち着くが最優先だ。
「王宮か!?便利な能力だな!!」
オモチャの小さな体を利用し、がれきの中に隠れた時だった。すぐ近くで物音と人の声がした。王宮の壊れた壁からちらりと顔を出し確認する。ルフィとローだ。手錠が外れているので無事レベッカと会えたのだろう。シノは二人の元へ飛び出そうとして、ふと考えた。キュロスやヴィオラの話だとオモチャにされた人間はそもそも存在を忘れられる。つまり、あの二人は今、シノを知らないのだ。
話しかけてもどうせ気づいてもらえない、ということよりも、仮に怪しいやつとして敵対視されたとしたら。そんな考えが脳裏をよぎる。当然あり得る展開だ。ローに冷たい態度を取られたら。果たして自分は耐えられるだろうか。想像して、背筋がぞっとする。
「何だあのコドモ」
「!!!!」
そんな想像で躊躇している間に、先ほどの少女が現れた。ルフィとローの元に歩いていく少女。恐らく最初からルフィとローをオモチャにするためここに来ていたようだ。そこを偶然にもシノがのこのこ通りかかってしまった為、こうして先にオモチャにされてしまった訳だが。
こうなってしまったら、躊躇している暇はない。優先するべきは二人の安全だ。シノはオモチャの短い脚で走った。
「ちょっと待った~~!!!!!」
「今度はなんだ~!?」
シノは少女の頭に飛び蹴りをして吹き飛ばした。オモチャとは言えど、意外と力はあるらしい。思いのほか吹き飛ばしてしまった。
「おぉ……意外と強い……じゃなくて、ロー達に近付くな!!」
「誰だお前?オモチャは全員戻ったんじゃなかったのか?」
「さっきでかい兵隊に襲われただろ」
「そういやそうだな、じゃあお前も敵か!?」
「敵じゃない!仲間、仲間!!」
無駄に両腕をぶんぶん振って敵意が無い事をアピールする。
「私はそう、えーと……ローの……ファン!!」
「ファン!?」
正直にローの部下だと伝えたところで、シノの存在を覚えていないローからしてみれば部下を語る怪しい奴にしか見えない。疑われるくらいならと思ったが、これはこれで変だったかもしれない。
「お前変なのにモテんなァ」
「こんなのの相手をしてる時間はねェ。さっさと行くぞ」
「そうだった、あの子は私に任せて二人はさっさとドフラミンゴの所に!」
解除条件はわからないが、遠い昔故郷で戦った海賊の能力は、能力者が気絶したら解除された。それに賭けるしかない。しかしシノがまだオモチャのままということはその条件は満たされていない。シノは、ローとルフィを庇うように、蹴り飛ばした先の瓦礫から立ち上がる少女の前に立った。
「よくわからんが頼んだぞ、うさぎ!!」
「うさぎ!?」
「お前、どう見てもうさぎだろ?」
「あ、私、うさぎだったんだ!!」
自分では首より下しか見えていなかったので全貌はわからなかった。どうやら長い耳がついているらしい。ルフィと話すとどうも力が抜けてしまう。ローはまだ警戒しているらしく、目つきの悪い瞳でこちらを睨んでいる。
「待って、……私、そのぬいぐるみに刺されたの」
「なっ!?」
スッと腕を伸ばしシノを指さす少女。王宮へ向かっていたルフィとローの視線がシノに向けられる。左の脇腹を抑える少女。そこからは確かに血が流れている。当然だ、シノが刀を刺したのだから。子供がそんなことを訴えるのはズルい。ぬいぐるみになっていなければ冷や汗が流れていたことだろう。
「本当か!?」
「それは、そう……だけど」
「じゃあやっぱり敵か!!」
「そうじゃなくて!!私はあいつにオモチャにされたの!!」
正直、真正面に聞いてくるルフィよりも、何も言わずにこちらを見ているローが怖い。弁解できる要素が無いこの状況で、シノを覚えていない二人に信用してもらうにはどうしたら良いのか。このまま先に行って欲しかったのだが、あの"一般人かもしれない少女"に危害を加える可能性がある状況で、ローならばともかく、ルフィが先に行ってくれるかは定かではない。
「……わかった。私の事、信用しなくて良いから。ロー。ROOM無しで私とあいつのこと斬って。どっちも信用できないならどっちも倒していけば安心でしょ」
「そんなこと言って、オモチャは気絶することも眠ることもないじゃない!」
「足斬って行動不能にされちゃえばあんたの事も襲えないし良いでしょ!」
だからROOMを使うなと言ったのだ。こちらとしては少女が気絶さえしてくれれば身の潔白は証明できるはず。オモチャの状態で斬られて人間に戻った場合の影響は気になるが、この際しょうがない。最優先事項は、ローがオモチャにされないことだ。あの少女を信用させることだけは避けなくてはいけない。
「どーすんだ、トラ男!?」
「……おい、うさぎ。良いんだな」
「うん、サクッとやって!!」
こくりと頷く。あいつが倒せればそれでよい。オモチャは痛みを感じないようなので、斬られた瞬間は痛くないはずだ。尤も、人間に戻った後どうなるかは未知数だが。即死さえ避けて人間の姿に戻ることが出来れば、ローが何とかしてくると信じている。真っ直ぐにローを見ると、目があった。
「ROOM」
「え?」
ふわりとその場にいた4人を包むようにROOMが現れる。
「タクト」
「きゃあああ!!!」
「ええ!?」
少女の後ろに転がっていた大きめの瓦礫が少女の上から降り注ぎ、叫び声と共に潰された。
と同時にぽんと音を立てて自分の姿が戻るのを感じた。身体に血が通う感覚と合わせて、どっと質量が戻ってきたため、体が重い。その重さに思わずシノはぺたんとその場に座り込んだ。
「シノ!?」
「戻った……」
まじまじと自分の手のひらを見る。間違いなく人間のモノだ。ルフィが驚いてシノの名前を叫ぶ。その声色と表情に、冗談ではなく本当に忘れていたのだなと改めて実感する。能力の解除方法が想像通りで良かった。ホッと胸をなでおろす。ローも口には出さないが、驚いて目を見開き、こちらを見ている。
「なんでわかったの……?」
「客観的に見てどう考えてもあいつの方が怪しかっただろ。そもそもオモチャのお前が最初俺達を庇った時点で、ドンキホーテファミリー側の人間じゃねェってわかるだろ」
「 「ああ、なるほど」 」
「ついでに、オモチャが気絶しないのを知ってるのは、オモチャにされたことがあるやつか、オモチャを利用している側の人間の発言だ」
「 「なるほど……?」 」
ルフィとシノの言葉がハモる。完全に動揺しており自分の怪しさしか考えられなかったが、客観的に見たらそう感じるものなのか。ローの冷静さに頭が下がる。と同時に、これからドフラミンゴと戦いに行くのに能力を使わせて煩わせてしまったことに申し訳なさを感じた。
「ありがと、ロー」
一気に緊張がとけてしまい、腰が抜けて立ち上がれないシノ。覚えていないのに信じてもらえたのが正直かなり嬉しいことだった。思わず心の底から礼を伝えた。
「シノ、」
「待った!今、私の心配してる暇はないからね!」
眉をひそめシノを見るローに、手を突き出し言葉を止めた。仲間思いな彼がシノを心配してくれるのはわかるが、今、彼が優先すべきことはシノではない。
「ローはこの日の為に生きてきたんでしょう。今は他のことなんて全部置いておいて、ローのやるべきことに集中して」
シノも正直、まだ手が震えている。もしあのまま誰にも思い出してもらえないままだったらと思うと、解決した今でも怖くて仕方がない。普段のシノなら、出来ることなら、もう少し一緒に居て欲しい。ローにもそれは伝わってしまっているだろう。だからこそ、シノがちゃんと送り出さなければならない。お人好しが過ぎるキャプテンの覚悟がぶれないように。
「全部終わらせてスッキリさせて、そしたら、少しずつでいいから、私のこと考えて」
真っ直ぐローの瞳を見てそう伝えた。オモチャの件を飛び越えて、どさくさに紛れて告白まがいのことをしてしまった気はするが、しょうがない。これは生きて未来をハートの海賊団と進んで貰う為に必要な事だ。決してシノの私情だけではない。恩人に多少なりとも嫉妬したから、……ではない。ちゃんと伝わったのか、ローは目を伏せてふぅと息をつくと、スッと立ち上がった。
「……そうだな。悪ィ、麦わら屋、待たせたな」
「もういいのか?」
「あァ、問題ない」
「おう、行くか!!あいつをぶっ飛ばしに!!」
先へ進んでいく二人の背中を見送る。ドフラミンゴのもとへついていっても役には立たない。むしろ狙われでもしたら足手まといだ。だからといってここでゆっくり座っている訳にもいかない。シノはゆっくりと立ち上がる。震えはするが、もう走れないことは無い。予定通り、シノはひまわり畑のレベッカのもとへと向かうことにした。
ひまわり畑へ行くには、王宮を経由し下っていく必要がある。敵の総本山だけあり、王宮内はドンキホーテファミリーが蔓延っている。一人一人は大したことは無いが、如何せん数が多い。ようやく王宮の下の外壁塔へ続く階段を見つけた。が、階段の下が騒がしい。シノ以外にも誰か敵対勢力が王宮に入り込んでいるのか。
「レオくん!?」
「シノランド!!」
「シノランド!?」
レオから初めて名前を呼ばれた為思わず突っ込んでしまった。ロビンのこともロビランドと呼んでいた。トンタッタ族達の独特な文化なのだろうか。しかし今はそんな話をしている場合ではないようだ。確か彼らはマンシェリー姫を王宮で探すと、イエローカブ達で飛んでいる時に話していた気がする。つまり、この先にいるのだろう。凄い勢いで階段を上ってくるレオとカブ。その後ろには大量の兵たちが追いかけてきている。
「OK、ここは任せて」
「シノランド!?」
「1階だったら少し片づけてあるから!!」
シノが辿ってきた道はちょうど兵たちを気絶させて突き進んできたので、今であれば手薄になっているはずだ。シノは姫の姿を知らない。王宮の道もわからない。であれば、一緒に動くより、ここで追ってきた兵たちを引き受けた方が良いだろう。シノは階段の上で刀を構える。レオ達も何も言わずにシノの横を通り過ぎて行った。
「こんな女放っておけ、小人を追え~!!!!」
「心外だな、一応あんた達のボスに1億の懸賞金付けてもらったんだけど」
突っ込んでくる兵たちを薙ぎ倒し、階段下へ叩き落した。
「この先は通せないかな、……ハートの海賊団が弱いと思われたら困るから」
****
上ってくる兵たちを粗方片付け、刀をしまう。文字通り転がった兵たちを蹴散らしながら、下る階段の道を開けていく。レオ達が戻ってきてから一緒に王宮を出れば、迷うことはないだろう。そうこうしているうちに、また1階の廊下が騒がしくなってきた。階段を上り、廊下を覗くと、レオとカブがこちらに向かってきていた。レオの背中には金色の髪が覗いている。あれがマンシェリー姫なのだろう。
「シノランド!!」
「グッドタイミングだね、道案内お願いしてもいい?」
「もちろん!行くれすよ!!」
レオの案内のもと外壁塔を駆け降りる。その間、外では大きな音が2回程聞こえてきた。何かが崩壊するような音と、爆発するような音。この王宮だけでない、ドレスローザ全体でいろいろな事が起こっているのだろう。レオのおかげで、すんなりとひまわり畑まで出てくることが出来た。背丈ほどの高さのひまわりをかき分けていくと、レベッカとロビンとキュロスの姿があった。
「レベッカ様~~!!ロビランド~~!!ご無事れすか~~!!」
「レベッカ、大丈夫だった!?」
すぐに戻るはずだったのに、合流までかなりの時間を要してしまった。シノは勢いでレベッカに抱き着いた。特に怪我はないようだが、キュロスとロビンが傷ついている。何者かにここで襲われたのだろう。
「ごめん、遅くなっちゃって」
「大丈夫、兵隊さんが……お父様が来てくれたから。それにロビンさんも」
「シノも無事で良かったわ」
「中でローやルフィ君にも会えたし、レオくん達とも合流出来て助かったよ」
シノがオモチャになっていた時のことを彼女たちが認識しているのかわからなかったので、そこには触れないことにした。
「え!?これがドレスローザ……!?」
マンシェリー姫が戦場となっているドレスローザを見渡し声をあげる。ずっと王宮に囚われていたのでこの事態を知らなかったのだろう。シノも改めて一望する。来た時にいたはずのピーカの巨大な石像がいない。先ほどの大きな音は、ピーカが崩れる音だったのだ。ゾロがやったに違いない。幹部級の強敵はほとんどいなくなっただろうに、国の騒ぎは収まらない。まだまだ戦いは続いている。
「この国をリク王の手に取り戻せるか、再び絶望の国へと転落するか……あの男がいる限り安心はできない……希望は今、ある海賊達の手に委ねられている」
「ルフィランド……ローランド……」
ドフラミンゴを倒さなければ、この戦いは終わらない。むしろ、シノ達も含め国民全員がこの鳥カゴによって亡き者にされるに違いない。全ては、あの王宮の屋上にいるルフィとローにかかっている。シノ達は炎と煙が上がり続けている王宮を黙って見上げた。
Tobe continued...
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