ロー奪還作戦
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「おい、シノ、大丈夫か!?」
頭の上から聞こえてきたゾロの声に我に返る。ドフラミンゴ達が消えていった空をシノはぼんやりと眺めていた。穴が開くほど眺めていたところで、彼らの姿はもう見えない。ここで眺めていたところで何も解決しないのだ。
「……うん、ごめん、大丈夫、海軍も来てるし一旦逃げようか」
「そうだな……であれば俺が運んだ方が速い。おい、ルフィ!早く出口探せ!俺達ァこの辺り逃げ回って待ってる!」
『ぎぃやぁあ~!!!!』
「今度はなんだ!?ブルックたちだ!!」
次から次へと問題が発生する。ゾロはシノを抱えたまま、闘技場の周りを走って海軍から逃げながら、サニー号組からの言葉を待つ。シノの脇腹からは絶えずぼたぼたと血が流れていく。ゾロの服にも赤いしみが出来ていることに申し訳なさを感じながら、シノは傷口を服越しに抑え込む。早めにどこかで止血をした方が良さそうだ。
『ビッグマムの海賊船だァ!!』
「ビッグマム!?」
「ビッグマム本人も乗ってんのか!?」
「こんな所までビッグマム本人は出てこないでしょ」
狙いはシーザーらしい。シーザーはあちらこちらで研究費を貰って接点を持っていたらしく、恐れ知らずにも、ビッグマムとの契約を放棄して逃げていた。パンクハザードに隠れてやり過ごしていたのを、偶然探しに来たビッグマム海賊団に見つかってしまったというわけだ。ビッグマム本人は当然いないにしろ、ビッグマムの海賊船までもがドレスローザへ来たとしたら、大混乱かつ大乱闘は避けられない。
『私たち戻らない方が良いと思う!ドフラミンゴと奪い合うカードは、シーザー・SMILE工場・モモの助。そのうち2つはこっちにあるトラ男がドフラミンゴと戦ってたのはこのカードを敵から遠ざけるための囮!そこまでしてトラ男が守ったカード、私たちが差し出しに行く様な真似したら、あいつ報われないじゃない!!』
「……そうだな、わかった!トラ男は俺たちが必ず奪い返す!お前ら先にゾウに向かってくれ!」
ナミの的確な判断にルフィが指示を出す。麦わらの一味は、また3チームに分かれることとなった。シーザーを連れてゾウを目指すサニー号チーム、工場破壊へ向かうトンタッタ族とフランキー達。そして、ローを救いドフラミンゴを倒すルフィ達。シノはもちろんルフィ達と同行することとなる。戦力は多少減ってしまうがやむを得ない。
「……ごめんゾロ君、どっかで適当に海兵撒ける? 少し時間くれれば自分で応急処置して動けるようにするから」
「わかった!!」
ルフィが出口を探して出てくるまで、とりあえず物陰に隠れて貰う。撃たれた箇所の止血と、肩の脱臼を無理やり治し、最低限動けるようにすれば十分だ。これから戦いは激化していく中、何も出来ない状態では話にならない。
「シノ殿、随分手際が良いでござるな」
「本職は看護師だからね、戦うのよりは得意だよ」
「そうでござったか……では看護師の服に、」
「やめぃ。なんかオモチャに紛れられそうな服に出来ない?」
今は隠れられているが、これだけの海軍の数が集まっている。よく地面を確認されれば、シノの血が垂れた後も続いており、場所が特定されるのは時間の問題だ。王宮まで移動するのに海軍を引き連れていくわけにもいかない。ルフィが来れば、それこそ人目を引くことだろう。変装して撒けるのであればそれがベストだ。
「意外と冷静だな」
「これでもゾロ君たちより実戦経験はあるからね。修羅場も慣れてるよ」
「いや、そうじゃなくて……まぁいいか」
シノはゾロよりも年上であり、海賊歴も長い。ここまで生き延びてきただけの実績もある。胸を張れる話ではないが、怪我も慣れている。だがゾロが言いたいのはそういうことではないだろう。シノは腹に巻いた包帯をきつく絞めながら、ゾロに笑みを見せた。
「大丈夫、ローは生きてるから。こっちはこっちで今出来ることやらないと」
「そうだな」
「それに私ひとりじゃないし、頼りにしてるよ!」
シノ一人であればもっと焦っていたことだろう。しかし幸いにも麦わらの一味や錦えもんがいるこの状況ならば、まだ取れる手立てが山ほどある。ドフラミンゴと戦うことを了承した時点で、ある程度の被害は想定していた。生きているならそれでいい。先ほどのドフラミンゴの話で、恐らくローがすぐに殺されることはないと確信した。時間は限られているが、その間に助け出せば良い。
「ああ、任せとけ」
ぽんと頭に手を乗せられ、思わず手を止めてきょとんとゾロを見てしまった。
「なんだ?」
「あ、いや、ちょっとうちの兄貴分思い出して」
「あァ?あのシロクマか!?」
「あれはどっちかというと弟分!!」
シノに対するペンギンを思い出すような、それでいてどことなくローにも似ている気がする。彼といると少し気が緩んでしまうようで危ない。今ここに幼馴染達は誰もいない。あくまで彼らは同盟相手、甘えられる立場ではない。シノはシノなりに役に立たなくては同盟の意味がない。シノは改めて気を引き締め直す。
「ルフィはすぐに来る……動けるか」
「いつでも行けるよ。錦さんは?」
「うむ、良い着替えを思いついたでござる!」
「じゃあルフィが来たら行動開始だ」
3人で目配せをして頷く。目指すは王宮、ローとドフラミンゴとカン十郎。それぞれのやることを胸に、3人はルフィの到着を待った。
*****
「出てきたと思ったら、お前なんで泣いてんだよ!!」
「うおぇ〜〜〜ん!!!!」
数分してルフィが闘技場から出てきた。すぐに合流し、また裏道に隠れ、錦えもんの能力で着ぐるみに着替えた一行は、早速王宮に向けて走り出した。出てきてすぐはそれどころではなく触れられなかったが、何故かルフィが号泣している。泣き続けるルフィの話では要領を得ない。
「まぁルフィ君のことはとりあえず落ち着くまで待つとして、錦さんなんかもっとこう……良い感じの着ぐるみ思いつかなかった?クマとかイヌとか」
「ん?ポピュラーでござろう、特にコイとか」
「コイって赤いの……??」
きょとんとする錦えもん。その表情をしたいのはシノ達の方だ。少なくともシノの知ってる鯉であるならば、茶色や黒のような色のイメージだったのだが。しかもポピュラーかと言われると少なくともオモチャのモチーフとしては絶対にポピュラーではない。しかし、海軍に錦えもんの能力がバレていない為、誰もシノ達を怪しみはしなかった。逆に怪しすぎて近付いてこない説もあるが。
「しかし拙者が行きたいのはオモチャの家……王宮に向かっていて良いのだろうか!?」
「大丈夫、王宮とオモチャの家は中で繋がってるのれす!」
「おぅ!?急に出てくんな!!」
ゾロの着ぐるみの中からひょっこり顔を出したトンタッタ族のウィッカ。ずっとゾロの服の中に隠れて様子を伺っており、王宮までの道案内を買って出てくれた。シノ達4人ではドレスローザの道を把握できていなかったので、強力な助っ人に感謝する。
「しかし、まだ信じ難し……この様に小さき人間……!」
「あ、そうだ!ウィッカちゃん!私のブレスレット!!」
「あ……そうれした、ごめんなさい、ウソランドの友達のものはちゃんと返すれす」
「そのウソランドって何なの……?」
シノの突っ込みはスルーし、ごそごそとウィッカの服の中から取り出されたブレスレット。ゾロがシノの紛失物の話をしておいてくれたらしく、持ってきてくれたようだ。返却されたブレスレットを走りながら握りしめる。彼がこれ以上傷ついていないことを祈りながら。
そうこうしているうちに、王宮へ続くリフトまで辿り着いた。しかし、王宮だけあり、リフトには通行証がないと乗ることができないらしい。無理やり押し切ることも出来るが、侵入が早々にバレると、ローへたどり着くまでの道のりが長くなることは必至だ。
「ん!?誰かいるぞ!?あれも敵か!?」
「あれはたしかサンジ君といた……」
「麦わらのルフィね、待ってたわ!王宮に入れてあげる!」
オモチャの馬に乗った女性。サンジの道案内後、街の方に戻ってきていた様だ。サンジが無事サニー号に到着していたということは、敵ではないのかもしれないが、先ほど、"うちのジョーラ"という言い方をしていたのが気になる。何かしらでドンキホーテファミリーと関わりがあることは間違いない。信じていいものかとシノとゾロがちらりと目を合わせる。
「ヴィオラ様は!!ドフラミンゴの部下のフリをしてるのれす!!ヴィオラ様はリク王様の娘……ドレスローザの王女様れす!!」
「ええ!?お前、王女!?」
「昔の話よ……」
またしてもすっぽりとゾロの着ぐるみの中から飛び出したウィッカ。今まさにドフラミンゴと戦おうとしている彼女の言葉に嘘はないだろう。出自や境遇から、ドフラミンゴ側に寝返っていることも考えにくい。ドフラミンゴの侵略後、向こう側についたと見せかけてずっと時期を待っていた。ドフラミンゴがドレスローザを落としたのは10年前。その間ずっと、一人で戦ってきたようだ。そんなヴィオラを疑う理由はない。実際、彼女のおかげで、すんなりと王宮の入り口まで辿り着けた。元々この王宮に住んでいただけあり、隠し通路を熟知している。
「このままいけば戦わずにローのところに辿り着けるかもね」
「ん?ルフィ殿は……」
「あの、アレ……」
隠し通路に向かっていたはずの一行の中にルフィがいない。ウィッカの声に指差す方を、恐る恐る見る。王宮の正面入り口、ドンキホーテファミリーの人間が山ほど警備にあたっている。当たり前のように、怪しい赤い鯉の着ぐるみの男がそちらへ向かっている。
「まさか……」
「ゴムゴムの〜〜ギガント銃!!」
「何やっとんじゃー!!!!」
盛大に暴れ、敵もろとも大きな扉を粉砕した。完全にドンキホーテファミリーに動向がバレたに違いない。せっかく順調に進んでいたのだが。意味が分からず目を瞬いているヴィオラと頭を抱えるシノ。
「開いたぞ!」
「開いたぞ、じゃねーよ!!」
「し、仕方ない、こうなったら正面からの方が早い!」
「ヴィオラさん、ごめーん!!」
せっかく隠密行動をしていたのだが、ルフィにそんなことが出来るはずもない。攻め込んでいることがバレているのであれば、隠れながら進むよりも、走って最短ルートを行った方が良い。ヴィオラも切り替えが早く、正面の壊れた扉の方へ向かう。この先は体力勝負となりそうだ。
「拙者はオモチャの家を目指すでござる」
「私もそっちに行くれす」
「わかったわ、道は大丈夫?」
「もちろん!」
錦えもんは同士カン十郎を探す為、オモチャの家へ。ウィッカも仲間達のいる工場へ向かうこととなった。シノ側にはヴィオラがいるので、ウィッカと分かれても王宮内の道は問題ない。また後でと軽く挨拶をし、各々の目指す場所へと向かう。
「ヴィオラさん、ウィッカちゃんと仲良いんですね」
「えぇ……昔よく王宮で一緒に遊んでたのよ」
ルフィとゾロがドンキホーテファミリーの兵達を倒し切り開かれた道を走りながら、ふふと笑うヴィオラ。遠い昔を懐かしんでいる様だ。10年という年月はあまりにも長い。どんな思いでドンキホーテファミリーに身を置き耐え忍んできたのか。
「……私も、ちょうど10年前海賊になったんですよ」
「そうなの?」
「今思えば、あの時、ドフラミンゴがこの国を奪ってニュースになったのがきっかけだったんだろうなぁ」
「え……?」
「あれ、じゃあ私たち、ドフラミンゴを倒すために海賊団結成したとも言えるかも?」
「どういうこと……??」
世界中にそのニュースが知れ渡った年、ローは海賊として海に出ることを決めた。正確にはスワロー島に海賊が攻めて来たことが決め手だったが、遅かれ早かれ、ローの目的は恩人のためにドフラミンゴを倒すことだったので、いずれ海賊になったことだろう。知らず知らずとは言え、特に深い目的もなくそれに乗っかって海賊となったシノも実質ドフラミンゴを倒すために動く運命だったのかもしれない。なんていうのはあまりにこじつけかもしれないが、無いとも言い切れない。
「まぁその話はまた今度、……今はそうも言ってられないみたいだし」
「ガラ空きだしまだ話しててもいーぞ」
「いや、さすがにおかしいでしょ、この状況」
細かい会話こそ聞いていないだろうが、後ろを走るヴィオラとシノのことも気にかけていたルフィがこちらへ振り返る。ルフィの気遣いはありがたいが、先ほどまで大量にいたはずのドンキホーテファミリー達が全くいない。敵の本拠地で敵が一人もいないのであれば、何かあることを疑うべきだ。と言っても、シノ達には突き進む以外の選択肢はないのだが。
「まさか……」
「ん?」
メキメキと周りの壁の石が軋み出す。直後、石の壁から、道を塞ぐほどの石の化け物が身を乗り出して来た。
「しまった、ピーカ!!気をつけて、ファミリーの最高幹部よ!イシイシの実の岩石同化人間!!」
「え……それって王宮内の道変えられちゃったりしない!?」
この王宮は、壁も床も天井も全て石で出来ている。イシイシの実の能力が石と同化出来るというのであれば、そこらも自由自在の可能性が高い。ヴィオラが警戒し慎重に乗り込んだ理由が頷ける。何はともあれ、目の前の石の化け物を抑えねば、2階にいるローの元には辿り着けない。
「おい、お前ら先行け」
「あぁ、わかった!!」
「そんな……相手は最高幹部よ!?」
「ゾロなら心配ねェ!」
「そういうこった」
目の前の石を切り裂き道を作るゾロ。その隙間を駆け抜けるルフィ。全員で足止めされるより、誰か一人が相手していた方が賢明だ。この中でその役回りができるのはゾロしかいない。
「ヴィオラさん、行きましょう!ゾロ君、あとで!」
「あぁ、早く行け!」
当たり前のように石を斬るゾロ。彼がピーカの相手をしている間に、横をすり抜け、3人で階段を目指す。目の前にいなくてもピーカ川は状況が把握出来るのか、石の壁がひたすら道を塞いでくるが、ルフィが片っ端から殴り壊していくため、問題なく先に進むことが出来た。
「あ、階段!!」
「あれ昇れば良いんだな」
「ええ!!あれを昇れば1階に出るわ。ドフラミンゴのいるスートの間は2階よ!」
見えてきた階段を駆け上る。ゾロが上手く相手をしてくれているのか、把握できる距離が決まっているのかはわからないが、ピーカによる妨害もなくなった。このまますんなり進めれば、と思ったが、どうもそうもいかないようだ。昇った先の1階でも既に戦いが繰り広げられている。ドンキホーテファミリーはわかるが、誰か既に麦わらの一味が入り込んでいるのだろうか。向かう方向で何者かが戦っている。ドンキホーテファミリーの一般兵に混ざり、二人ほど飛びぬけて強い者がいる。黒いメットを被った男と、オモチャの兵隊だ。
「あれ、やっていいのか!?」
「あの黒いメットの方が敵よ!」
「ゴムゴムの~~JETスタンプ!!」
ヴィオラの言葉に迷うことなく黒メットの男を殴ったルフィ。ルフィの攻撃に吹き飛んだメットの男。その男がが持っていたオモチャの兵隊もまた吹き飛ばされてきた。片足だけのオモチャの兵隊を、ルフィがキャッチする。
「兵隊!!フランキー達は!?一緒じゃねェのか!?」
「君は……」
「ルフィ君、とりあえず走りながらで!!」
「ヴィオラ様、なぜ貴女が……!!」
どうやらシノ以外は全員顔見知りのようだ。ルフィの言葉から察するに、フランキー達と一緒にいるリク王軍のオモチャの兵隊というのが、今ここにいる兵隊らしい。つまり、トンタッタ達のリーダーだ。ヴィオラのことを様付けで呼んだということは、昔のヴィオラを知る存在、元々リク王に仕えていたの可能性が高い。
「ヴァイオレット、俺は裏切り者を許さねェ!!」
「裏切って等いないわ!10年前のあの日から私はあなた達に心を許したことなど一度もない!!」
「若への侮辱に変わりあるまい!!」
走るヴィオラ達を後ろから追いかけてくるメットの男。ヴィオラ以外の幹部はドレスローザにくる前からのドフラミンゴの部下なのだろう。ドフラミンゴへの忠誠が厚い人間からすれば、ヴィオラが裏切り者なのは間違いない。実際には、最初から仲間ですらなかったので、裏切りではないのだが。
「メットパンク!!」
「きゃあ!!」
「ヴィオラさん!!!」
黒メットの男の銃弾のような攻撃にヴィオラが当たった。シノは倒れかけたヴィオラを慌てて支える。すぐには走れそうにない。悩んでいる暇は無い。シノはヴィオラを背負い走りだす。
「しまった!!悪ィ、おれがついてて!!」
「ルフィ君、急いで2階に行こう!」
「わかった、シノ、ちゃんと掴んどけよ!!」
「え、なに!?ヴィオラさん、しっかり捕まってて!」
掴んでおけというのはヴィオラのことだろう。訳が分からないが、ヴィオラが落ちないようにしっかり背負う。ヴィオラもわけもわからないまま、シノの首に腕を回した。それを確認したルフィの伸びた腕がぐるぐるとシノとヴィオラに巻き付く。まとめて運ぶつもりのようだ。
「麦わら、階段はそっちじゃ……!!」
ヴィオラがそう言った時には、窓を蹴破り外に飛び出していた。顔は見えないが、ヴィオラが絶句しているのを背中で感じ、シノは会って早々振り回されるヴィオラへ心の中でそっと謝罪した。
Tobe continued...
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