幕間 女子会
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「シノ、お風呂入らない?」
それはドレスローザに向かう道中のこと。明日の朝までは今後の方針も決まらず動きが定まらないため、麦わらの一味の船に一泊させてもらうことになったのだが、そんな中、ナミから風呂に誘われた。
「え、良いの!?」
正直、ずっと一人旅をしており、まともに風呂に入れる機会はほぼ無かった。しかもつい先程まで極寒のパンクハザードにいたのだ。今いる場所はそこまでの寒さじゃないが、せめて温かいシャワーを浴びたいと思っていた。
「えぇ、ロビンは後でモモちゃんと入るらしいし、一緒にどうかしら?」
「入りたーい!!」
シノは手を挙げて全力で賛成した。パンクハザードではほとんどナミと話す機会もなかったので、良い機会だ。シノはすぐにナミについていった。
サニー号の風呂場は、船にあるとは思えない程綺麗で広かった。こんな風呂を使って良いのかとしみじみ感動する。
「良いなぁ、船にこんなお風呂があるなんて……」
「そうでしょ〜♪」
横を通り過ぎてシャワーへ向かうナミ。パンクハザードでは厚着をしていたが、改めて見るとかなりスタイルが良い。女のシノでも見惚れるほどだ。
わいわいと話しながらもシャワーを浴び、スッキリしてから湯船に浸かる。久々の風呂はかなり心地良かった。全身の力が抜け、湯船のふちに両手をついて寄りかかる。あまりの心地よさにふぅと思わず声が漏れた。
「トラ男くんっておっかないけど子供には優しいのね」
「子供と言うか患者にはじゃないかな、医者だから」
患者に対しても"優しい"とは何か違う気もするが。ローにとって、嫌悪対象にあたる存在でなければ、比較的、身分に問わず誰でも彼でも何かしら理由をつけて治療をする。今回は海賊同盟の交渉材料として治療していたが、仮に麦わらの一味に頼まれていなかったとしても最低限の処置はしていただろう。今までの船旅でもいつもそうだった。
「ありがとう」
「あくまで薬抜いただけだし、あの子達が大変なのはこれからだから」
「そうじゃなくて、2年前、ルフィのことも治してくれたんでしょ」
真っ直ぐシノを見て礼を言うナミ。少しだけ、ナミの気持ちが分かる気がした。自分たちのいない手の届かない所でキャプテンが辛い思いをして死にかけて、仲間達が辛くないわけがない。しかも、その後2年間も離れて過ごし、確か先日再集結したばかりだ。2年間どんな想いで過ごしてきたのか。
「別に、気まぐれだってローは言ってたよ」
「トラ男くんらしいわね」
「まぁほら、根が医者だから。放っておけなかったんでしょ」
本当は少し思い当たる節があるのだが、不確かなので言う必要はない。"D"というのは一体何なのか。2年前ルフィを助けた時にローが呟いたこと以外、何も知らないが、きっとローがルフィを助けたのはそれも関係しているのだろう。ルフィの仲間のナミなら何か知っているかもしれないが、わざわざ聞くほどでもない。
「無茶するキャプテンを持つと大変だよねェ」
「本当よもう、こっちの身にもなって欲しいわ」
「ナミちゃんはなんでルフィくんの船に乗ったの?」
興味本位で聞いてみた。シノの所は幼馴染達で結成して気づけば随分人数が増えたものだが、他の海賊団はどういう経緯があるのか。
「よくある話よ。ルフィが航海士探してて、私は世界地図を描くために世界を旅したかったの」
「世界地図!?そりゃまた規模の大きな……」
各地域の海図、はよくあるが、世界全体の地図は聞いたことが無い。実際に描こうと思うと相当大変な偉業だ。実際に完成したらどれだけの価値があることだろうか。確かにそれをやり遂げるには、海賊王を目指す海賊の船に乗るのが一番手っ取り早いかもしれない。しかし、今でこそルフィはかなりの頭角を現し、最悪の世代として注目されているが、やはりナミが船に乗った頃からその片鱗があったのだろうか。
「……あと、私の村を救ってもらったの。ココヤシ村ってうんだけど」
「……そっか」
シャボンディ諸島で麦わらの一味と関わった後、東の海の出来事を新聞でいろいろと読み漁った。確か魚人アーロンに支配されていた村の名前がそんな名前だった。そして2年前にアーロンが倒され解放された。そんな記事があった。新聞でルフィの名前が載ったのはそれが初めてだった気がする。そこがナミの故郷だったのか。
「ね、よくある話でしょ」
「うん、そうだね。わかるわ」
シノにとってもローは命の恩人のようなものだ。シノだけじゃない、ハートの海賊団はほとんどがそうだ。
「それにあいつら最初、小舟で偉大なる航路に行こうとしてたのよ!?ありえなくない!?私と知り合わなかったらすぐ死んでたわよ、あいつら」
「わーそれはあんまり人のこと言えないや、私」
まさにパンクハザードに小舟でやってきたシノに、ナミの言葉が強く刺さった。あはは、と笑いながら、何となくナミという人間が少しだけ分かった気がした。
「確かにルフィ君は放っておけないよね」
「シノはどうして海賊やってんの?」
「うーん、ローが海賊になるって言いだしたから?」
ざっくりと話せる範囲で経緯を説明する。ロー達とは所謂幼馴染で、全員家族がいなかったので一緒に暮らし家族のように育ったこと。島が海賊に襲われて退治して、そのまま海賊として海に出たこと。もう10年も前の話だ。
「だからナミちゃんみたいにそんな夢とかなくて……あ、でもこの旅終えたらさ、どこかの島でゆっくり診療所やりたいなぁとか思ってたから、ルフィ君の件もだけど、ローの気まぐれでいろんな所で治療して回る海賊生活も悪くは無いかなって」
ルフィの時は命が助かるか正直怪しいレベルだったうえ、長時間手術だったため、かなりしんどかったが、無事こうして完全回復した姿で再会出来たのは嬉しかった。
「あんた達本当になんで海賊やってんの」
「そうは言っても、ちゃんと海賊らしいこともしてるけどね」
どこまでナミがハートの海賊団の情報を知っているかはわからないが、ローに医者とは思えない物騒な通り名がつくくらいのことはやってきている。10年もやっていれば噂が噂を呼んでいろんな尾ひれがついてはいるが、事情はどうあれ実際に海賊団を壊滅させたこともあるし、追ってきた海軍を返り討ちにしたこともある。一般人を攻撃するようなことはしないが、場合によっては多少食料や必要物資やお宝を拝借することもある。……たまたま偶然にも、結果的に人助けになってしまうことも、まぁある。
「ルフィが勝手に決めた海賊同盟だけど、まぁアリかもね」
「ちょっとは信用してもらえた?」
海賊同士の同盟なんて信用できるものではないし、信用するべきではないのだろうが、どうせやるなら良好な関係の方が良い。そう思って正直に話せる範囲で話したかいがあった。
「うん、トラ男くんもシノも今の所、私の嫌いな海賊じゃなさそうだってわかった」
そもそも2年前にルフィを助けた時点である程度は信用してもらえているだろうが、そういうのを抜きにしてシノやローという人間を少しでも知ってもらえたのであれば何よりだ。同盟が終わってからも、人脈は大切だ。麦わらの一味と友好的な関係を築いておいて悪いことは無い。
「そろそろ上がろうかな、ちょっとのぼせちゃった」
シノは湯船からゆっくり立ち上がる。久々だったので入りすぎてしまったかもしれない。ナミも同じように上がり、後ろをついてくる気配を感じた。
「ねぇ、シノって、トラ男くんのこと好きなの?」
「え!?」
あまりに急なナミの言葉に驚いて転びそうになったのをナミに支えられた。後ろを歩いていたはずのナミがいつの間にかすぐ横にいた。隠すつもりはなかったがそんなにわかりやすかっただろうか。
「うん、よくわかったね」
「あら、隠さないんだ」
「まぁ本人も仲間達も皆知ってるし」
本人含め周知の事実である以上、隠す必要もない。
「付き合ってんの?」
「とんでもない、ただの片思いだよ。多分」
ふと、パンクハザードに向かう前の出来事を思い出す。あれはあくまで女として見て貰えただけであって、シノに対する恋愛感情がどうとかの話ではないはず。正直少し期待するところもあるが、期待しすぎて違った時にむなしくなるので慎重に行かねばならない。
「というかもし仮に奇跡的にローが私の事好きになっても言わなさそう」
「あー何となくわかるかも」
「まぁどちらにしても、私が好きだから一緒にいるだけだし、今のままで十分幸せだから良いんだけど」
愛の形は違えど、愛されている自覚はあるので、それだけで十分だ。一緒に生きていきたいという目標自体は達成しているのにこれ以上何を望むことがあるのか。強いて言うのであれば、ローが幸せになれればもうそれだけで良い。そこでようやく今の状況を思い出して思考が現実に戻った。
「そんな事より、明日の事!ドレスローザの地図とかあるから明日に備えて再確認して準備しないと」
「そうね!女子部屋戻ってロビンも含めて女子会よ!!」
「話聞いてた!?」
常識人ではあるが、ナミも意外と自由な性格のようだ。女子部屋に招いてもらえる程信用してもらえたのはありがたいのだが、あまり仲良くなりすぎるとローに怒られる気もする。
「あのね、明日の事考えて今から不安になってもしょうがないでしょ。明日の事はまた明日不安になれば良いのよ」
「ポジティブなんだかネガティブなんだかわかんない発言……」
「これくらいじゃないとうちの船じゃやってけないのよ」
当たり前だがやはり船によって方針も考え方も違う。ルフィとローの性格の差もあるだろうが、事前準備や作戦会議をきっちりやるハートの海賊団とはだいぶ違うようだ。しかし、今は麦わらの一味の船に乗せてもらっている身。郷に入っては郷に従うべきだろう。それくらいの心持ちでもよいかもしれない。
ちょうどパンクハザードにあったタンカーからクスねてきた酒があるので、それを手土産に女子部屋に招かれようか。ついでにサンジにちょっとしたタパスをお願いしてみようか。久々のちょっとしたお楽しみに、シノは少し心を躍らせた。
end.
それはドレスローザに向かう道中のこと。明日の朝までは今後の方針も決まらず動きが定まらないため、麦わらの一味の船に一泊させてもらうことになったのだが、そんな中、ナミから風呂に誘われた。
「え、良いの!?」
正直、ずっと一人旅をしており、まともに風呂に入れる機会はほぼ無かった。しかもつい先程まで極寒のパンクハザードにいたのだ。今いる場所はそこまでの寒さじゃないが、せめて温かいシャワーを浴びたいと思っていた。
「えぇ、ロビンは後でモモちゃんと入るらしいし、一緒にどうかしら?」
「入りたーい!!」
シノは手を挙げて全力で賛成した。パンクハザードではほとんどナミと話す機会もなかったので、良い機会だ。シノはすぐにナミについていった。
サニー号の風呂場は、船にあるとは思えない程綺麗で広かった。こんな風呂を使って良いのかとしみじみ感動する。
「良いなぁ、船にこんなお風呂があるなんて……」
「そうでしょ〜♪」
横を通り過ぎてシャワーへ向かうナミ。パンクハザードでは厚着をしていたが、改めて見るとかなりスタイルが良い。女のシノでも見惚れるほどだ。
わいわいと話しながらもシャワーを浴び、スッキリしてから湯船に浸かる。久々の風呂はかなり心地良かった。全身の力が抜け、湯船のふちに両手をついて寄りかかる。あまりの心地よさにふぅと思わず声が漏れた。
「トラ男くんっておっかないけど子供には優しいのね」
「子供と言うか患者にはじゃないかな、医者だから」
患者に対しても"優しい"とは何か違う気もするが。ローにとって、嫌悪対象にあたる存在でなければ、比較的、身分に問わず誰でも彼でも何かしら理由をつけて治療をする。今回は海賊同盟の交渉材料として治療していたが、仮に麦わらの一味に頼まれていなかったとしても最低限の処置はしていただろう。今までの船旅でもいつもそうだった。
「ありがとう」
「あくまで薬抜いただけだし、あの子達が大変なのはこれからだから」
「そうじゃなくて、2年前、ルフィのことも治してくれたんでしょ」
真っ直ぐシノを見て礼を言うナミ。少しだけ、ナミの気持ちが分かる気がした。自分たちのいない手の届かない所でキャプテンが辛い思いをして死にかけて、仲間達が辛くないわけがない。しかも、その後2年間も離れて過ごし、確か先日再集結したばかりだ。2年間どんな想いで過ごしてきたのか。
「別に、気まぐれだってローは言ってたよ」
「トラ男くんらしいわね」
「まぁほら、根が医者だから。放っておけなかったんでしょ」
本当は少し思い当たる節があるのだが、不確かなので言う必要はない。"D"というのは一体何なのか。2年前ルフィを助けた時にローが呟いたこと以外、何も知らないが、きっとローがルフィを助けたのはそれも関係しているのだろう。ルフィの仲間のナミなら何か知っているかもしれないが、わざわざ聞くほどでもない。
「無茶するキャプテンを持つと大変だよねェ」
「本当よもう、こっちの身にもなって欲しいわ」
「ナミちゃんはなんでルフィくんの船に乗ったの?」
興味本位で聞いてみた。シノの所は幼馴染達で結成して気づけば随分人数が増えたものだが、他の海賊団はどういう経緯があるのか。
「よくある話よ。ルフィが航海士探してて、私は世界地図を描くために世界を旅したかったの」
「世界地図!?そりゃまた規模の大きな……」
各地域の海図、はよくあるが、世界全体の地図は聞いたことが無い。実際に描こうと思うと相当大変な偉業だ。実際に完成したらどれだけの価値があることだろうか。確かにそれをやり遂げるには、海賊王を目指す海賊の船に乗るのが一番手っ取り早いかもしれない。しかし、今でこそルフィはかなりの頭角を現し、最悪の世代として注目されているが、やはりナミが船に乗った頃からその片鱗があったのだろうか。
「……あと、私の村を救ってもらったの。ココヤシ村ってうんだけど」
「……そっか」
シャボンディ諸島で麦わらの一味と関わった後、東の海の出来事を新聞でいろいろと読み漁った。確か魚人アーロンに支配されていた村の名前がそんな名前だった。そして2年前にアーロンが倒され解放された。そんな記事があった。新聞でルフィの名前が載ったのはそれが初めてだった気がする。そこがナミの故郷だったのか。
「ね、よくある話でしょ」
「うん、そうだね。わかるわ」
シノにとってもローは命の恩人のようなものだ。シノだけじゃない、ハートの海賊団はほとんどがそうだ。
「それにあいつら最初、小舟で偉大なる航路に行こうとしてたのよ!?ありえなくない!?私と知り合わなかったらすぐ死んでたわよ、あいつら」
「わーそれはあんまり人のこと言えないや、私」
まさにパンクハザードに小舟でやってきたシノに、ナミの言葉が強く刺さった。あはは、と笑いながら、何となくナミという人間が少しだけ分かった気がした。
「確かにルフィ君は放っておけないよね」
「シノはどうして海賊やってんの?」
「うーん、ローが海賊になるって言いだしたから?」
ざっくりと話せる範囲で経緯を説明する。ロー達とは所謂幼馴染で、全員家族がいなかったので一緒に暮らし家族のように育ったこと。島が海賊に襲われて退治して、そのまま海賊として海に出たこと。もう10年も前の話だ。
「だからナミちゃんみたいにそんな夢とかなくて……あ、でもこの旅終えたらさ、どこかの島でゆっくり診療所やりたいなぁとか思ってたから、ルフィ君の件もだけど、ローの気まぐれでいろんな所で治療して回る海賊生活も悪くは無いかなって」
ルフィの時は命が助かるか正直怪しいレベルだったうえ、長時間手術だったため、かなりしんどかったが、無事こうして完全回復した姿で再会出来たのは嬉しかった。
「あんた達本当になんで海賊やってんの」
「そうは言っても、ちゃんと海賊らしいこともしてるけどね」
どこまでナミがハートの海賊団の情報を知っているかはわからないが、ローに医者とは思えない物騒な通り名がつくくらいのことはやってきている。10年もやっていれば噂が噂を呼んでいろんな尾ひれがついてはいるが、事情はどうあれ実際に海賊団を壊滅させたこともあるし、追ってきた海軍を返り討ちにしたこともある。一般人を攻撃するようなことはしないが、場合によっては多少食料や必要物資やお宝を拝借することもある。……たまたま偶然にも、結果的に人助けになってしまうことも、まぁある。
「ルフィが勝手に決めた海賊同盟だけど、まぁアリかもね」
「ちょっとは信用してもらえた?」
海賊同士の同盟なんて信用できるものではないし、信用するべきではないのだろうが、どうせやるなら良好な関係の方が良い。そう思って正直に話せる範囲で話したかいがあった。
「うん、トラ男くんもシノも今の所、私の嫌いな海賊じゃなさそうだってわかった」
そもそも2年前にルフィを助けた時点である程度は信用してもらえているだろうが、そういうのを抜きにしてシノやローという人間を少しでも知ってもらえたのであれば何よりだ。同盟が終わってからも、人脈は大切だ。麦わらの一味と友好的な関係を築いておいて悪いことは無い。
「そろそろ上がろうかな、ちょっとのぼせちゃった」
シノは湯船からゆっくり立ち上がる。久々だったので入りすぎてしまったかもしれない。ナミも同じように上がり、後ろをついてくる気配を感じた。
「ねぇ、シノって、トラ男くんのこと好きなの?」
「え!?」
あまりに急なナミの言葉に驚いて転びそうになったのをナミに支えられた。後ろを歩いていたはずのナミがいつの間にかすぐ横にいた。隠すつもりはなかったがそんなにわかりやすかっただろうか。
「うん、よくわかったね」
「あら、隠さないんだ」
「まぁ本人も仲間達も皆知ってるし」
本人含め周知の事実である以上、隠す必要もない。
「付き合ってんの?」
「とんでもない、ただの片思いだよ。多分」
ふと、パンクハザードに向かう前の出来事を思い出す。あれはあくまで女として見て貰えただけであって、シノに対する恋愛感情がどうとかの話ではないはず。正直少し期待するところもあるが、期待しすぎて違った時にむなしくなるので慎重に行かねばならない。
「というかもし仮に奇跡的にローが私の事好きになっても言わなさそう」
「あー何となくわかるかも」
「まぁどちらにしても、私が好きだから一緒にいるだけだし、今のままで十分幸せだから良いんだけど」
愛の形は違えど、愛されている自覚はあるので、それだけで十分だ。一緒に生きていきたいという目標自体は達成しているのにこれ以上何を望むことがあるのか。強いて言うのであれば、ローが幸せになれればもうそれだけで良い。そこでようやく今の状況を思い出して思考が現実に戻った。
「そんな事より、明日の事!ドレスローザの地図とかあるから明日に備えて再確認して準備しないと」
「そうね!女子部屋戻ってロビンも含めて女子会よ!!」
「話聞いてた!?」
常識人ではあるが、ナミも意外と自由な性格のようだ。女子部屋に招いてもらえる程信用してもらえたのはありがたいのだが、あまり仲良くなりすぎるとローに怒られる気もする。
「あのね、明日の事考えて今から不安になってもしょうがないでしょ。明日の事はまた明日不安になれば良いのよ」
「ポジティブなんだかネガティブなんだかわかんない発言……」
「これくらいじゃないとうちの船じゃやってけないのよ」
当たり前だがやはり船によって方針も考え方も違う。ルフィとローの性格の差もあるだろうが、事前準備や作戦会議をきっちりやるハートの海賊団とはだいぶ違うようだ。しかし、今は麦わらの一味の船に乗せてもらっている身。郷に入っては郷に従うべきだろう。それくらいの心持ちでもよいかもしれない。
ちょうどパンクハザードにあったタンカーからクスねてきた酒があるので、それを手土産に女子部屋に招かれようか。ついでにサンジにちょっとしたタパスをお願いしてみようか。久々のちょっとしたお楽しみに、シノは少し心を躍らせた。
end.
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