誤報
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妖精を追いかけるゾロを追いかけるシノ。サンジと錦えもんと一緒に走っていたはずなのだが、ゾロとサンジがあまりにも速くて逸れてしまった。こんなことならルフィ達といるべきだったか。後ろにいたはずの錦えもんもいつの間にかいない。町中を駆け抜けたため、人混みで彼も逸れてしまったのだろう。先ほどの店に戻るべきか。はたまたいっそ船に戻るべきか。とりあえず考えながら町中を歩き回ってみる。
賑やかで活気溢れる街。様々な店が並んでおり、行きかう人々やオモチャからも楽しそうな様子が伝わってくる。普段であればショッピング等を楽しみたいところだが、残念ながらそんな暇はない。ゾロとサンジが別件に走っている今、シノが工場の情報を少しでも手に入れ作戦を進めなければならない。観光客を装い国の話をいろいろ聞いて回るも、当然ながらなかなか目ぼしい情報は得られない。王宮付近の方にでも赴いてみるかと、町の人に道を聞こうとしていた時だった。近くから騒がしい声が聞こえてきた。
「何奴でござるっおぬしら!!」
この独特な喋り方は間違いなく錦えもんだ。こんなにすぐに再会出来るとは思っていなかった。近くにある階段の下を覗き込むと、錦えもんが複数の人間たちに囲まれ銃を突きつけられている。
「その帽子、チョンマゲだろう!お前は侍、狐火の錦えもんで間違いあるまい!!」
その発言から、恐らくパンクハザードの映像でこちらの面々は全て確認されており、ドレスローザに向かう事がバレていたようだ。つまり、相手はドンキホーテファミリーの人間だろう。これはシノも完全に姿がバレていると見た方が良さそうだ。堂々とドフラミンゴのアジトである王宮に近付くのは止めた方が良いかもしれない。
「大人しくしろ……目当てのカン十郎の命が惜しけりゃなァ!」
「!!」
カン十郎というのが、錦えもんの探しているもう一人の侍のようだ。錦えもんも十分強いと思うが、仲間の命を人質に取られては堂々と返り討ちにもしづらいだろう。目立ちたくはないが、見過ごすわけにもいかない。
シノは階段を飛び降り、その勢いで取り囲んでるやつの一人へ飛び蹴りをかました。
「ていっ!!」
他の取り囲んでいる輩も、一人だけ残してさくっと切り捨てた。ドンキホーテファミリーの中でも下っ端なのか、あまりにも弱い。気絶させただけなので、あとで物陰に隠して証拠隠滅することとする。
「一人相手に囲みすぎじゃない?」
「シノ殿!!」
「錦えもんさん、大丈夫ー?」
一人だけ残した男が尻餅をついて震えている。海賊になった時点でこういう状況が発生することは推測できただろうに、あまりにドフラミンゴが強すぎて、自分の身の危険を感じたこともないのだろうか。シノは男の首筋に刀を突きつけた。
「なんだっけ、そのカン……なんとかさんの居場所聞き出せば良いの?」
「カン十郎でござる!」
「だってさ、知ってる?」
喉に剣先を当てて尋ねる。男は殺されると思ったのかあっさりと喋った。所詮は忠誠心の薄い、末端の下っ端のようだ。あるいは、カン十郎という侍をさほど重要視していないのか。しかし、錦えもんの"狐火"という異名を認識していたということは、ドンキホーテファミリーは何らかの理由でワノ国の侍を狙っているとも考えれれる。彼らのことはまだまだ分からないことが多い。今考えても仕方ないかもしれないが、一応心に止めておいた方が良いだろう。
「オモチャの家にいる……」
「ありがと。錦えもんさん、オモチャの家探そう」
「お、おう。かたじけない」
追いかけて来ないようにちゃんと男を気絶させ、階段の裏にドンキー手ファミリーの兵たちを隠す。錦えもんも何も言わずに手伝ってくれた。粗方片付け終えて、錦えもんと歩き出す。オモチャの家がどこかまでは聞いていないが、適当にそこらのオモチャに聞けば場所くらいはわかるだろう。とりあえず今はここから離れて次の追っ手が来ないようにする方が良い。
「……おぬし、意外とおっかないおなごだな」
「え!?そりゃ一応私も海賊だし」
「いや、虫も殺せぬような顔をしておるから……失礼致した」
「私だって出来れば人を傷つけたくは無いけど、うちのキャプテンのためだったら命もかけるし人を傷つけるよ。錦えもんさんだって一緒でしょ?」
侍は義理堅いものだと聞いたことがある。自分の仕える相手に忠義を果たし、命もかけられるようなそんな人間だと。詳しい事情は聞いていないが、鎖国をしているワノ国から出てきて、必死で息子のモモの助やカン十郎とやらを探し回り、ゾウを目指すという彼は、何かしらの使命があるのだろう。今まさに何者かのために命懸けの冒険をしているというわけだ。
「確かに、一緒でござるな」
「私もちゃんとローを連れてゾウに行くのが仲間達との約束なんだ。だから錦えもんさんも、早くカン十郎さん探してゾウ行こうね」
「お主らもミンク族の知り合いがおるのか?」
「うん、シロクマのミンク族がうちのクルーにいるよ」
「ほぉ……して、シロクマとは」
「あ、そこから?」
ワノ国にはシロクマがいないようだ。それでも普通のクマはいるだろうに。わいわいと会話をしながらしばらく歩いていると、ニュースクーが飛んできた。新聞をばら撒いているということは何かしらの号外が出たのだろう。降ってきた新聞をひょいと取る錦えもん。
「錦えもんさん、背高いよねー。ローも十分大きいと思ってたけど」
「我が主君は拙者よりも大きかったぞ」
「へぇ、ワノ国の人たちって大きいんだぁ」
ローも2メートル近いが、錦えもんは3メートル近い気がする。会話していてもずっと上を見上げることになるので首が痛くなる。今の所、錦えもんとモモのすけしか会っていないが、錦えもんクラスの大きさの人がごろごろいる国だとしたら、少々恐ろしい。
「んな……!?」
「どうしたの?」
「ドフラミンゴの七武海脱退は、誤報だったとの記事がのっておる……!!」
「何それ!?」
錦えもんに手渡され、号外を見る。確かにそこには、誤報と明記されている。つまり七武海も王の座も降りていないということだ。新聞が出ているということは事実として受け入れざるを得ないとして、そんな世界中を振り回すようなことを何故ドフラミンゴが出来るのか。シーザーの取引に向かったローが危ない。だが、今シノが行ったところでどうにもならない。
「……急いで工場探さなきゃ」
「ぬ、あそこにおるのはサンジ殿ではないか」
「あ、本当だ」
綺麗な女性と並んで鼻を伸ばしている。どうやらゾロは一緒ではないようだ。女性はシノ達に気がつくと、サンジに別れを告げ走って行った。邪魔をしてしまっただろうか。シノと錦えもんは、サンジに駆け寄った。
「サンジくん!」
「シノちゃん、錦えもん!」
「サンジ殿!拙者と一緒にオモチャの家を目指して欲しいでござる!場所は知らぬが」
「私も早く工場壊さなきゃ!時間稼ぎをしてるローが危ない!!」
「まぁ待て、二人とも落ち着け」
サンジに制止され、とりあえず黙る二人。タバコに火をつけ、ふぅと煙を吐くサンジ。いろいろと情報を整理しているのだろう。確かに焦ったところでシノだけでは工場破壊等出来るわけがない。今は冷静になるべきだ。
「まず、二人の目的地だが同じ場所だ。さっきヴァイオレットちゃんに秘密の工場の地図を貰った。表向きはオモチャの家、と言われているらしい」
「さすがサンジ殿!!」
「だがその前に……あれを見ろ」
サンジが指を指した先にあったのは、映像電伝虫により映し出されたモニターだ。この国には闘技場と呼ばれる、人と人が闘うのを観覧する娯楽があると聞いたことがある。今まさにその大会が開催されているようだ。問題なのは、大きく映っているその人物が、ルフィであるということだ。髭をつけて兜を被り、一応変装しているのだろうが、見る人が見れば一瞬でわかる。ルーシーという偽名で登録しているようだ。
「ルフィくん……何やってんの?」
「さぁな。だが問題はここを取り囲んでいる海兵の数だ。どうやらこの大会、海賊や犯罪者達が平然と出場しているらしい。出てきたところを片っ端から捕まえようって算段だろう」
「そりゃ犯罪者は捕まって当然でござる」
「お前も海賊の船に乗ってること忘れんな!!」
こうなると現状まだ誰も工場へと辿り着いていないということだ。サンジはこの状況をルフィに伝えたいらしい。のこのこ出てきてやられるような人では無いと思うが、船長を心配するサンジの気持ちもよくわかる。とりあえずはルフィと連絡を取る術を探さなければならない。とはいえ、今はまさに戦っている最中なのでどうしようもない。3人はしばらくこっそりとモニターを覗くことになった。
「ローには電伝虫でドフラミンゴの誤報の件は伝えておいた。ちょうどドタバタしてそうだったが、あいつがそう簡単にやられるタマじゃないのはシノちゃんがよくわかってるだろ」
「うん、ありがとう、サンジ君」
連絡が取れている事に少しほっとする。向こうにはロビンとウソップも一緒にいるので心配はいらないだろう。何かあればきっと連絡が来るはずだ。
闘技場Cブロックの戦いは、ルーシーことルフィの勝利で幕を下ろした。続いてDブロックの選手たちが入場してくる。Cブロックは途中から見始めたため、誰がいたのかわからなかったが、Dブロックは選手紹介から見ることが出来そうだ。
『当コロシアムきっての美少女剣闘士、幻の王女!』
「美少女剣闘士だってよ、サンジ君」
入場してきた少女はルフィと同様に兜をかぶっていて見づらいが、いかつい男性の参加者が多い中、場違いな程の美少女だ。普通であればかなり人気のありそうなものだが、どうもそんな様子ではない。会場中からのブーイングの嵐が起こっている。
「うら若き娘になんたる仕打ち」
「これは酷いね……」
「…………」
放送から得られた情報によると、彼女の名前はレベッカ。国を滅ぼしかけた先代国王の孫ということでここまで嫌われているようだ。そもそもその先代国王の悪事も本当かどうか怪しい。全てはドフラミンゴによって仕組まれた可能性が高い。彼女も見世物として剣闘士をやらされているのだろう。彼女もこの状況に慣れてしまったのか、何も言わない。
『そこまでだ!行儀の悪い客だ目に余る、恥を知れェ!!』
「あれ、キャベンディッシュだ」
「シノちゃん、知ってんのか?」
まさか彼も出場していたとは。颯爽と白馬に乗って現れたキャベンディッシュに、会場中がまたしても沸きあがる。今回はブーイングではなく黄色い声だ。画面を見る限り、男女共に人気があるようだ。
「美しき海賊団船長、懸賞金はたしか2億8千万ベリーだったかな。元々どっかの国の王子だったらしいよ。私たちが偉大なる航路入る頃には既に新世界に入ってて、結構話題になってたから」
「へぇ、詳しいね」
「情報は大事だからね。それに趣味で手配書コレクションも集めてて……あ、サンジ君も後でサイン頂戴」
「サインと言わずキスマークも付けちゃうよ」
趣味も兼ねているせいで、我ながら海賊に関しては無駄に詳しい気がする。何故彼がこんな大会に出場しているのか。賞品の悪魔の実に興味があるのだろうか。
『命も懸けぬお前たちには罵声を浴びせる資格もない!そんなに殺したくば、武器を取りこのリングへ降りてこい!故あって出場したが、ぼくはこの大会が大嫌いだ!戦士の命は見世物じゃない!!』
キャベンディッシュの演説で会場が静まり返る。ど正論だ。それでも、それをこの場で叫び、会場中を味方につける大声援に変えられるのは、彼のカリスマ性というやつなのだろう。シノも思わず画面越しに拍手を送った。益々何故ここに参加しているのか甚だ疑問である。
「わーこれは人気なのも頷けるねー」
「ん?あいつ……」
サンジの言葉に画面から目を離すと、どこかに行っていたはずのゾロがちょうど走っているところだった。腰にはちゃんと刀が三本揃っている。妖精から無事取り返せたようだ。慌てて引き留め、4人で物陰に隠れる。
「ゾロ君……と……もしかして妖精さん?お名前は?」
「ウィッカれす!」
「可愛い~!!!!」
「気をつけろ、こいつら凄ェ怪力だから、お前一瞬でやられるぞ」
「え……」
にこにことシノへ笑顔で挨拶をするウィッカ。手のひらサイズだというのにどうやら力強いタイプらしい。彼女たちはトンタッタ族という小人族の一種で、ゾロもそのトンタッタ族の秘密基地に先ほどまで居たようだ。
「それで、何でそんな急いでたの?」
「そうだった、サニー号がドンキホーテファミリーに襲われてるらしい。俺はそっちに行ってくる」
「なにィ~!?ナミさんを助けに!?やっぱりやばかったのか!よし、俺も行く!」
「待てサンジ殿。ルフィ殿に状況を知らせる為にここにいるのであろう」
「それなら私ルフィ君と何とか話せないか張ってるから行ってきて良いよ」
サニー号組は、ナミ・チョッパー・ブルック・モモの助。決して弱くはないが、心配になるのもわかる。そもそもサンジも元はそちらの担当だったのに、何故かここにいるわけで、戦力が分散出来ていないのは、サンジのせいでもある。
「黒足……!」
建物の陰からこっそりと女性が顔を出した。先ほどサンジと合流した時に一緒にいた女性が戻ってきたようだ。サンジに用事があるようでこちらへ近づいてきた。
「あなた達の船がうちのジョーラに奪われてグリーンビットに向かってるわ」
「おい妖精、グリーンビットに変更だ!どっちだ!?」
「待て!俺の方が先にナミさんを心配してたし、ナミさんだってお前より俺に来てほしいに決まってる!だから俺が行く!!」
何故この女性が最新の状況を把握できているのか、うちのジョーラとはどういう意味か等気になる点はあるが、とりあえずサンジが信用しているのであればシノが口を出すことではない。ゾロとサンジの交渉により、サンジが女性と共にサニー号へ向かい、ゾロが妖精と共にここに残ることとなった。
「なんだろう、麦わらの一味といると、作戦なんて大筋さえあればいいのかもなぁって思うよね」
「何言ってんだお前」
当初の計画から大幅にズレていたが、結局サンジはサニー号へ向かい、シノ・ゾロ・錦えもんのもとには工場までの地図がある。フランキーはいないが、ルフィとさえ合流出来ればすぐに工場破壊へ向かえるだろう。ローの性格上、ハートの海賊団は比較的きっちり作戦を立てるタイプなのだが、無茶苦茶で自由な彼らでもなんやかんやでちゃんと事が進んでいるので、細かい作戦等なくても何とかなるものなのかもしれないと思えてきた。
「で、どうすりゃルフィに会える」
「わからんからここで立ち尽くしておるのでござる!」
大会が始まってからどこの入り口も完全に封鎖されており、入ることは出来ない。よく考えたら今Dブロックの戦いが繰り広げられている以上、A・B・Cブロックは全て終わっているはずだが、選手が誰一人として出てこない。観客に知らされていないだけで、歯医者復活戦でも用意されているのだろうか。どちらにしても勝者であるルフィが出てくることは無い。幸いにも窓はたくさんあるので、ちょうどルフィが通りがかってくれればよいのだが。
「ルフィ先輩に引き続き、ゾロ先輩にも会えるなんで……!!」
「?なんか今ゾロ君呼ばれてなかった?知り合い?」
「あぁ?知らねェ」
どこからかルフィとゾロの名前が聞こえ、きょろきょろしていると、二階の窓から泣きながらこちらを見ている男がいた。
「なぜ泣いておるのだ……!」
「お前何でルフィの正体と俺の名も知ってんだ!」
「お……おれずる……おっとパンでったら!!」
「何言ってんのこの人……?」
あまりに泣きじゃくっているので何を言っているのかさっぱりわからない。しかしルフィの事を知っている人間と接触できたのは大きい。よくわからないが、ルフィやゾロに敵対心があるわけではなさそうだ。
「シノ殿、こやつも海賊だったりせぬか?」
「え……あーそう言われると、なんだっけ、バルトロメオ……だったかな」
ここ1年以内に注目を浴びた海賊だった気がする。ローが王下七武海に入ってからは、新しい海賊チェックを怠っていたので、比較的最近出てきた海賊については、あまり詳しくはなかった。海賊なんてどこもそうだが、正直あまり良い噂は聞かない。政府や海軍の出す新聞はあてにならないので、実際に話してみないと分からないが。
「ルフィ先輩探してくっから、ほいたらサイン一枚くんろ?」
「……?探してくれるんだな!?頼む、急いでくれ!!」
「ほいたら待っとってくんろ!おれ命懸けで探してくっからよォ!」
「命懸けんでも……」
信用に足る人物なのかもよくわからないが、とりあえずルフィを探して呼んできてくれるらしい。これでようやくルフィと合流することが出来そうだ。
ローは無事だろうか。先ほどサンジが話せたと聞いてはいるが、シーザー受け渡しは中止になり、ドフラミンゴと戦闘になっていなければ良いのだが。何故だかひたすら最悪の方向へ向かっているような気がしてしまう。
「あいつなら適当に何とかやってんだろ」
「うん、まぁそうだと良いんだけど……」
そんなに顔に出ていただろうか。シノに声をかけるゾロに苦笑いで返す。普段のローであればそんなに心配はしないのだが、一番の目的であるドフラミンゴがもし目の前に現れたら。戦闘になっていたらと思うと気が気ではない。ローを信じていないわけではないが、今回ばかりは不安が勝る。
「ローだけじゃなくて、ナミちゃん達のことも心配だし」
「それこそクソコックが向かったから問題ねェだろ」
「うむ、サンジ殿がいればモモの助も無事であろう」
確かにサンジの強さはパンクハザードで十分認識した。無事上手い事ローとも合流しれくれれば有難いのだが。分からないことを考えていても仕方がない。今は先ほどの男が出来るだけ早くルフィを呼んできてくれることを祈るしかない。
「ルフィくん、まだかなぁ」
シノははやる気持ちを抑えながら、またモニターを眺めた。
Tobe continued...
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