海賊同盟と作戦会議
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「うわぁ~~これが船か~~!!!」
普段、潜水艇であるポーラータング号で旅をしているハートの海賊団。そのため、普通の船に乗り込むのはほぼ初めてだった。当たり前だがずっと海上を進むのだ。潜水艇の生活も好きだが、シノにとってはこれはこれで新鮮なものだった。
ローはサニー号に乗り込んで早々、電伝虫を持って何やら部屋にこもってしまったので、シノはとりあえずサニー号の甲板を散歩させてもらった。
「そんな楽しい?」
「うん、うちの船、潜水艇だから」
「へぇ……そりゃ珍しいな」
「でも貴女、一人でパンクハザードに来たのよね?その時は?」
「あー、小舟漕いで行った」
「あの海で!?!?」
どうやらやはりあそこにたどり着けたのは奇跡だったようだ。最低限の知識はべポに聞いたとはいえ、航海術を知らないシノが新世界の海を小舟で乗り切ったのはかなり強運だったのだろう。
「あはは、運はある方みたい」
「そういう問題か……?お前もたいがい無茶苦茶だな」
「あははは、おもしれぇなお前ら」
ウソップにつっこまれ、ルフィに笑われる。お前ら、にはローも含まれているのだろう。ローがどうやってあそこにたどり着いたかはわからないが、風評被害を与えてしまった。しかしシノとしてはそんなことよりも、この船の方が興味深い。船の上にミカン畑があるなんて、なんて斬新なのだろう。ついずっときょろきょろしてしまう。
「で、なんでお前らがこの船に乗ってるんだ?」
「うん、まぁそれはローに聞いてもらえたら」
シノとしても気づいたら決まっていた海賊同盟の説明は出来ない。どこまで話していいかもわからない。確実にローから説明した方が良いだろう。
ローが出てくるまで、各々船上で好きに過ごしていた。そこには麦わらの一味の他に、パンクハザードで拾ってきた侍たちも含まれている。子供の侍はモモの助というらしい。たしかSAD製造室の場所を教えてくれたドラゴンも、モモと呼ばれていた。しかも声も一緒なので、もしかしたら悪魔の実の能力者なのかもしれない。
船の散歩も終え、大分この空間にも慣れてきたころ、ようやくローが部屋から出てきた。一体部屋の中で何をやっていたのか。シノはとことことローに近付き、声をかけた。
「やること終わったの?」
「一旦な。これからドレスローザに向かう」
「ド、ドレスローザ!?」
ローの言葉に、何故か錦えもんが声をあげた。シノとしては、元々ペンギン達が調べていた資料に載っており、ローの目的地だと認識していたので、それほど驚くことではなかった。ドレスローザはドフラミンゴが治めている王国の名前だ。大分前の話だが、一度ローからドレスローザに関する新聞を見せて貰った。あの頃は、まさか自分がその国に行くことになるとは思いもしなかった。
「知ってんのか?」
「せ、拙者達……いや拙者が行きたい島というのはまさにそこでござる!おぬしらもそこに用が!?」
「うん、多分な!トラ男!さっき誰と喋ってたんだ?」
「ドフラミンゴだ」
さらりと名前を出すロー。パンクハザードを出る時、タンカーに乗っていた小船にドンキホーテファミリーの二人の首を縛り付けて電伝虫を置いていた。ファミリーの誰かが助けにくるのを見越していたのだろう。まさかドフラミンゴ本人が来るとは思っていなかったかもしれないが、何かしら会話ができたようだ。
「ドフラミンゴー!?七武海の一番やべぇってやつだろそれ!!」
「あー確か元々の懸賞金は一番高かったね」
「もう作戦は始まってる」
「そうだ作戦教えろ!!よしみんな集まれーっ!!」
思い出したかのように全員を招集するルフィ。シーザーを捕まえたら作戦の詳細を説明するという話だった。そんな曖昧な状態でよく同盟の話を受けたものだ。甲板の芝生に座る一同。ミカン畑やら芝生やら、ずっと外に出ている船は日当たりが良いからこんなことも出来るのかと感心する。
「同盟組んで四皇を倒す!?」
「四皇か!いいなそれ」
「よくねェよ!!」
シノは元々四皇が目的だと知っていたからすんなり納得していたが、先ほどパンクハザードでローとルフィの口から海賊同盟の話が出た時、四皇の話は一切出ていなかった。ウソップ達が驚くのも当然だ。ウソップと同じく動揺しそうなナミは驚いていないので、ルフィとローがフランキー姿のナミを助けた時点で、彼女は聞いていたのかもしれない。
「というわけで、うちとトラ男の海賊団で同盟を組んだぞ!仲良くやろう!!ししし!」
そういってローと肩を組むルフィ。とてつもなく雑な説明だ。そんな流れも麦わらの一味は慣れているのだろう。若干の諦めの空気も感じる。呆れながらサンジがローに近づいた。
「忠告しとくがお前の思う同盟とルフィの考える同盟はたぶん少しズレてるぞ気ィつけろ」
「……」
そんなことはもうすでに嫌というほどわかっている。それでもローが解除しないということはメリットの方が大きいと判断したのだろう。
「パンクハザードでお前らに頼んだのはシーザーの誘拐。おれはSADという薬品を作る装置を壊した。俺たちが狙うのは、四皇カイドウの首だ。つまり、こいつの戦力をいかに減らす事ができるかが鍵。今カイドウはドフラミンゴから大量の果実を買い込んでいる、人造の動物系悪魔の実、SMILEだ」
ドフラミンゴは、SADを使って人造悪魔の実SMILEを作り、四皇百獣のカイドウと取引をしていた。リスクはあるがそれを使って500人を超える能力者を生み出し、カイドウ海賊団は組織されている。やはり四皇ともなると規模が違う。
「ドレスローザのどこかにSMILEの製造工場がある」
「それを見つけて潰せばいいのか」
「その通り、敵は取引のプロだ……油断はしない」
SADは破壊し、シーザーはこちらの手の中、そしてSMILE工場さえ押さえれば、これ以上カイドウの戦力は増えない。増えないと言っても、元々500人以上の能力者がいる時点で相当なのだが。
「……で、ドフラミンゴとは何を話してたの?」
「取引だ。シーザーを返す代わりに、王下七武海を辞めるよう言った。明日の朝刊にドフラミンゴの七武海脱退が報じられていればまた連絡することになってる」
「四皇と戦うか、七武海を辞めるかって事か……」
元々聞いていたローの作戦はそんな話だったなとぼんやり思い出した。シーザーを取り返さないとSMILEはこれ以上作れない。カイドウとの取引が成り立たなくなり、カイドウはドフラミンゴに怒りを向けるだろう。王下七武海を辞めるとなっても今まで自由に取引していたドフラミンゴのビジネスに支障をきたす。どちらに転がったとしても、強敵であるドフラミンゴとカイドウが勝手にぶつかり合い戦力を削り合うはずだ、というのがローの作戦らしい。
とりあえずどちらも選ばすにドフラミンゴの追手が来る可能性もあるため、夜更けまでみんなで警戒態勢に当たっていた。が、結局追手は来なかった。どちらにしろ、明日の朝刊が出るまで今後の動きは決められない。シノは風呂を借りたり、服を借りたり自由に過ごさせてもらった。ありがたいことに、一味の皆は優しくて、大分居心地が良い。しまいには一緒に女子部屋のベッドで寝ようと誘われたが、申し訳ないが断り、シノは船の外へ出た。
外へ出ると良い風が吹いていた。気持ちいい夜風を浴びながら、あたりを見渡すと、ウソップとチョッパーはまだ警戒しているようで、震えながら海を見ていた。船番担当はフランキーのようだ。彼はあまり気にしていないのか、あくびをしながら見守っている。
「ロー?」
甲板の端で座ったまま寝ているローに近付き、勝手に横に座った。
「……明日に備えてちゃんと寝ろ」
「あ、やっぱり起きてた」
ほいと借りてきた毛布を渡し、一緒に入る。夜は少し冷える。風邪をひいたら大変だ。というのは口実で、ローにくっつきたかっただけなのだが。このタイミングを逃せば、またドタバタとしてしまう気がした。多少ゆっくり話せるのは今しかないだろう。面倒くさいのか拒否はされなかったので良しとする。意外にも、先に口を開いたのはローの方だった。
「ヴェルゴから、何言われたんだ」
「捕まってる時にもちょっと話したけど、あの人両親が死んだ時に伝えに来てくれた海軍の人なんだけどさ、私のこと覚えてたみたい」
ヴェルゴと対峙した時に言われた話を伝えた。両親を殺したのは、ドフラミンゴ本人だったこと、そしてそれがローのせいだと言われたこと。
「……私さ、あの人のこと名前すら知らなかったけど、それでもあの日からずっと感謝してたし、あの人みたいな海軍になりたいってちょっと思ってたんだよね」
まだ子供だったシノ相手に、真摯に対応してくれた、深々と頭を下げて両親を助けられなかったことを謝罪してくれた彼の姿を忘れたことはなかった。話を聞いた瞬間はほとんど頭が真っ白になっており、一方的に話を聞くばかりで、あまり会話らしい会話は出来なかったのだが、その後ロー達と出会い落ち着いてからは、また会えたら話をしたいとずっと思っていた。
「まぁ結局、私、海賊になっちゃったし、ある意味あの人と同じ道辿ることになっちゃったけどさ」
「あんなクズと俺たちは一緒じゃねェだろ」
「あはは、そうかも」
まさか大人になってからあんな形で再会するとは思ってもみなかった。世の中広いと思っていたが、意外と狭いのかもしれない。単純に、お互い七武海が統べる有名な海賊団の所属だったからかもしれないが。
「まぁあの人の話は置いておいて。ローがドフラミンゴの部下だったのは知らなかったし、あの日ドフラミンゴがミニオン島にいたことも初耳だったけど、今まであの島で会ったこともなかったローがヴォルフのおじいちゃん家に現れたタイミングを考えても、無関係ではないんだろうなぁとは思ったよ」
両親が死んだ"海賊同士の争い"に何らか巻き込まれていたのだろうということは子供の頃から何となく察してはいた。さすがにそれがドンキホーテファミリーで、しかもそこに元々所属していたとは思いもしなかったが。
「あの日、ドフラミンゴが海賊から奪う予定だったオペオペの実を、恩人が先に奪って俺に食べさせた。オペオペの実を食べた俺を探していたドフラミンゴから、あの人は命がけで逃がしてくれたんだ」
「…………」
「お前の両親は、俺を探しているドフラミンゴと偶然遭遇しちまったんだろうな」
「あーそれは運が悪かったね……」
そういうことか、と妙に納得する。ドフラミンゴ相手に普通の駐在海兵の両親が勝てるわけがない。
「俺のせいと言えば俺のせいかもしれない。しかもお前がじいさんの家の近くで倒れてた日から俺はそれを知っていた」
「そっか……でもやっぱりローのせいではないでしょ」
両親は海軍だ。海賊と戦うのが仕事だ。常に危険とは隣合わせの状態で、それがたまたまローが来たタイミングだったというだけの話だ。どんな事情があれ、悪いのはローではなく、実際に両親を手にかけたドフラミンゴであることには違いない。
「それで、ローはドフラミンゴに復讐したくて今回のこと企てたの?」
昼間に話を聞いた時からずっと聞きたかった。最初からずっと、四皇が目標とは言っていたが、それには少し遠回りに感じた。わざわざ四皇の中からカイドウを選んだ理由もわからないし、戦力を削るためというのもわからなくもないが、それでも何となく勝率が低すぎて不自然に感じた。
無論、四皇を倒すこともハートの海賊団の今後のために考えていたはずなので嘘ではないのだろうが、少なくとも現時点で、ローにとって重要なのはカイドウよりドフラミンゴの方なのではないだろうか。そして、それに巻き込みたくなくて仲間たちを遠ざけたのではないか。
「ローが私達を巻き込みたくないのはわかるけど、ローが仲間の事大切にしてくれるのと同じように、私たちだってローのこと大切に思ってるんだからね」
「…………」
ローはばつが悪そうに帽子を下げる。いつもの癖だ。何年一緒に過ごしてきたと思っているのか。シノに限らず、べポもシャチもペンギンも何か危ないことをしようとしていることくらい気づいていた。ただ三人は少しだけ聞き分けが良くて、でも心配していたから、聞き分けの悪いシノを送り出したのだ。
「……復讐じゃない。これは恩人の、コラさんの本懐を遂げるためだ」
コラさんというのが恩人の名前のようだ。スワロー島を出る時に聞いた言葉。恩人の本懐を遂げたい。それを聞いた時はあまり深く聞くべきではないと思いスルーしていたが、それがドフラミンゴを倒すことだったのか。13年越しに謎が解けた。
「俺自身はドフラミンゴなんてどうでもいい。恩人の仇ではあるが、まぁお前と一緒だ」
シノにとってドフラミンゴは親の仇ではあるし、憎くないかと言われれば憎いが、だがそれだけだ。わざわざ今の幸せを壊してまで親の仇を取りたいとは思わない。
「あの人は生きている間、ずっと兄であるドフラミンゴを止めようとしていた。だからあの人に代わって、ドフラミンゴを討つ溜めだけに生きてきた。俺はあの人から、命も心も貰ったんだ」
ドフラミンゴの弟。恐らくローがドンキホーテファミリーにいる時に出会ったのだろう。その弟は、ドフラミンゴを止めるためにファミリーにいた。そして、ローと出会った。政府によって家族を失い絶望していたローにどれだけの愛情を注いでくれたのか。シノが出会った時の彼は、少しつんつんはしていたが、真っ直ぐで優しい人間だった。その恩人が大切にしてくれていたことは十分わかる。
「あの人は俺が自由になることを望んでいた。だが、俺が自由になるのは、あの人の想いを遂げた時なんだ。あの人に命を繋いでもらった俺がやらなきゃならない、やらなきゃ俺は本当の意味で自由にはなれない」
決して恩人の本意ではないだろう。その人はきっとドフラミンゴと関わることなく、病気に追い詰められることもない、そんな人生をローに送って欲しかったのだろう。それこそ、スワロー島で平和に生きていくというのも一つの選択だったはずだ。しかし、恩人がローにそう願ったように、ローが恩人の願いを叶えたいと思うのもまた自由だ。それだけ、お互いを大切に思っていたのだ。
「……なんでお前が泣くんだよ」
気付けばシノはぽろぽろと涙を流していた。
「……ごめん、……話してくれてありがとう」
ローがシノの頭に腕を回し、彼に寄りかかる形になる。勝手に泣いたのに、心配してくれているのだろう。やはり彼は昔から変わらない優しい人間だ。
「……ドレスローザについたら、ローはローがやりたいようにやって。私は基本的にローの指示に従う」
ローのやりたい事に、出来るだけ協力はする。麦わらの一味だけに手伝わせて、仲間であるハートの海賊団が誰も手伝わないわけにはいかない。
「だけど、私は絶対ローを死なせないから。ローが死にそうになったら邪魔してでも止めるよ」
「お前それ全然指示に従う気ねェだろ!?」
「そうだね、ローの前に私が死んじゃうかもね」
「……俺より一秒でも長生きするんじゃなかったのか」
「あれ、覚えてたんだ」
シノには仲間たちとの約束がある。ハートの海賊団はローがいてこそ、ハートの海賊団たりえるのだ。ローがいなくなったら、ハートの海賊団は解散だ。何が何でも守るのがクルーの仕事であり、仲間達との約束だ。
「……勝手にしろ」
「まぁもし本当に死んじゃってもあと追うから安心して!」
「それはやめろ」
ローは冗談だと思っているだろうが、実際問題、ローが死にそうになったらシノの力では助け出せる可能性は低いだろう。実質二人とも死ぬ確率はかなり高いだろうが、だからと言って隠れて見過ごせるほど冷静な人間ではない。
ただ、そんなことをしたら、それこそ送り出してくれたべポ達に申し訳が立たないので、出来るだけお互いしぶとく生き残れる道を極力選ぶしかない。
「まぁ俺だって出来るだけ直接やり合う気はねェよ。あくまで最終的にあいつを討てれば良いんだ。麦わら屋に話した作戦の通り、遠回りであいつをやれればそれがベストだ」
「じゃあ死ぬ気はないのね?」
「……今の所はない」
中途半端な回答だが致し方ない。最初から差し違えるつもりでないなら良い。ただ、上手くことが運ぶとは思えないので、結果的にやり合う方を選びそうな気はするが、そうなったらそうなっただ。
「なんかいろいろ聞いたら安心してきた……」
「お前な、安心できる要素ねェだろ。ドフラミンゴと戦うことになるんだぞ」
「13年の付き合いで、やっと本心話して貰えたんだもん、ちょっとは頼ってくれたってことでしょ」
「勝手に追いかけておいて何言ってやがる」
「置いていかないって約束破った方が悪いでしょ」
「…………」
今日一日、凄く疲れた。数カ月ぶりにローと会え、久々に慌ただしく走り、戦い、いろいろな事実を知れた。ローとゆっくり会話ができて安心したせいか一気に眠気が襲う。明日はきっとドレスローザへ上陸する。今日以上に忙しくなることだろう。絶対に役割を果たさなければならない。今はゆっくり休んでおくべきだ。ローのぬくもりを感じながら、シノはそっと目を閉じた。
Tobe continued...
1/1ページ