海賊同盟
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パンクハザード、第一第二研究所跡、麦わらの一味避難所。
現在、麦わらの一味は三手に分かれている。胴体を探しに行った侍の手伝いに行ったサンジチーム。ナミ入りフランキーを取り返しに行ったルフィチーム。そして、子供たちと共にここの避難所に待機しているウソップ達。シノはこの待機組となっていた。待っている間、一緒に雑談をしていたロビン、ウソップ、チョッパーとは少し打ち解けてきた気がする。皆気さくで話しやすい人ばかりだった。
「あ、ルフィ達帰って来たぞー」
ウソップの言葉にちらりと避難所の入り口の方を見た。吹雪の中、ルフィ、ナミ入りのフランキー、フランキー入りの何故か死にかけのチョッパー、そしてローが一緒に戻ってきた。研究所での用事が済んだのだろうか。再会できたことに改めてホッとする。
「みんな~!!トラ男のところと海賊同盟組むことになったぞ~!!」
「「ええ~~~!!?ハートの海賊団と同盟を組む~~!?」」
帰ってきて早々のルフィの唐突な報告に、その場にいた一同(チョッパーとウソップ)が叫びだす。麦わらの一味内で大きな作戦会議という名のルフィを問いただす会が始まってしまった。もちろんシノにとっても初耳の話だったので、とりあえずローのもとに駆け寄った。
「同盟って何の話?」
「四皇を引きずり降ろす件だ、こいつらと組めばやれるかもしれねェ」
「まぁ確かにちょっと一緒にいただけで凄く強いのは分かったけど」
シャボンディ諸島で見た時とは比べ物にならないくらい強くなっていると感じる。懸賞金に恥じない怪物級の強さを誇るクルーが複数いることは確かだ。ハートの海賊団も十分強いと思ってはいるが、四皇と相対するには確かに賢明な判断ではあるのかもしれない。特に、麦わらの一味は裏切るようなメンツではないこともわかる。同盟を組むにはかなり良い相手なのだろう。他のクルーたちも、ローが決めたことであれば思うところはあれど反対することはない。何より、元々ローが一人でやろうとしていたことを彼らが手伝ってくれるのであれば、シノとしてもかなり心強い。
「それに人の指示を無視して勝手にこの危険区域に飛び込んできたバカもいるからな。まずはここをどうにか安全に乗り切らないといけなくなっちまった」
「その件に関しましては、何の申し開きも出来ないくらいに、本当に申し訳ないんですけど、――でも絶対居た方がいいと思ったから。足は引っ張らないよ」
「……わかってる」
恐らくシノ達の意図は十分伝わっている。そもそも追いかけてくる可能性があることはある程度想像できていただろう。対面した時の表情が物語っていた。
「大丈夫、自分の命は自分で守るから!……極力」
「そこは本当に何とかしろ、……極力」
ため息まじりで帽子を深くかぶりなおすロー。よっぽど危険なのだろうが、それでも、帰れとは言われなかった。言ったところで帰らないシノの性格と、仲間たちの心配を理解しているからこそ、言えないのだろう。
ローの許可も貰ったことで、大分心が軽くなった。ここ数カ月、仲間達の期待に応えられるか、準備をしながらずっと不安だった。実際、会えない可能性もあると思っていたので、久々にローの横に立てたことが嬉しくて、麦わらの一味のやり取りを見守りながら、数カ月ぶりの笑みがこぼれた。
「何にやにやしてんだ」
「え?キャプテンの黒コートカッコいいなぁって」
「…………」
気が緩んで、ついいつものノリになってしまった。久々に会ったローがカッコよく見えたので仕方がない。背が高くスラリとしたスタイルのローに、黒のロングコートが似合わないはずがない。この姿を他のクルー達にも見せてあげたいくらいだ。ローは一瞬白い目で何か言いたげにシノを見てきたが、何も言わずに麦わらの一味に向き直った。
「海賊の同盟には"裏切り"は付き物よ。人を信じすぎるあなたには不向きかもしれない」
ロビンは海賊というものをよくわかっている。普通であれば、海賊の同盟なんて信用ならないものだ。特に今のルフィは、二年前にローに命を救われているからといってすぐに信用してしまうそうな状況だ。もちろん、ローが裏切るわけがないとシノにはわかるが、心配するクルー達の気持ちもわかる。
「え?お前裏切るのか?」
「いや?」
「だよな!海賊同盟なんて面白そうだろー!トラ男はいいやつだと思ってるけど、もし違ったとしても、心配すんな!俺には2年間修業したお前らがついているからよ!」
どんと豪快に笑いながらあけすけにそんなことを言うルフィ。これが海賊の船長の器というやつなのだろうか。船長にそんなことを言われて断れるクルー達はなかなかいないだろう。こうして、シノらハートの海賊団と麦わらの一味はさくっと同盟を組むこととなった。最悪の世代のルーキー二人による海賊同盟は、世の中に知れ渡ったら、かなり話題になるだろう。二人の顔写真が新聞の一面に並ぶのが目に浮かぶ。特にここには海軍もいたので、これからやること次第では、すぐに知れ渡ることになるだろう。
「あ、そうだ。キャプテン、みんなの人格戻してあげて」
「……”シャンブルズ”」
とりあえず同盟最初のミッションとして、その場にいたフランキーとチョッパーの体を入れ替える。サンジがこの場にいないナミだけは相変わらずたらいまわしで、今度はサンジの体へ入っていった。
「早くナミちゃんの体のナミちゃんと話してみたいよ」
「あたしも早く自分の体に戻りたい……ちょっと何とかしてよアンタ!」
「体がねェと無理だ」
ナミの嘆きをスパっと斬り捨てるロー。サンジ達は今どこまで行っているのか。元の体に戻せるのはまだ先になりそうだ。落ち込むナミを宥めるシノ。
次の問題としてすぐ横にいた大きな子供たちを見る。チョッパーが言うには薬漬けにされて巨大化の実験をされているらしい。茶ひげも殺されかけていたところを見ると、Mに騙されて利用されていたのは確実だ。ここにいるM側の人間はほとんどが被害者だろう。尤も、元が海賊か犯罪者達のはずなので、同情するのもおかしな話だが。
「人の巨大化って昔から世界政府が研究してる、んだっけ?」
「あぁ。これを成功させてシーザーは政府やベガバンクの鼻を明かそうってハラだろうが、そうそう上手くはいかねェよ……本気で助けてェのか?」
「えぇ、見ず知らずの子供たちだけど、この子達の安全を確認できるまでは、私は絶対この島を出ない!」
「ナミちゃん……」
サンジ姿なので何かしっくりは来ないが、彼女が心を痛めていることはわかる。
ローの話に出てきたシーザーというのがMの本当の名前なのだろう。巨大な兵士を作り出すための実験に、この子供たちは巻き込まれたようだ。もっとも、シーザーは政府に協力するためにこの実験をしているわけではないようなので、他の誰かからの依頼なのかもしれない。どちらにしても、物騒な話だ。
「……じゃあお前一人残るつもりか?」
「仲間置いてきゃしねェよ。ナミやチョッパーがそうしてェんだから、俺もそうする。あとサンジが侍をくっつけたがってた。お前俺たちと組むんなら協力しろよ?」
「!?」
大真面目に、笑顔でそう言い放つルフィの言葉に戸惑うロー。シノも思わず吹き出しそうになってしまった。ルフィの考える同盟とローの考える同盟はかなりずれがある。ローとしては同じ目的のために共闘する所謂ビジネスパートナー的なことを考えていたのだろう。ハートの海賊団の仲間達は別の場所に向かわせておいて、彼らと組もうとしているのがその証拠だ。しかし、ルフィのそれはもはや仲間や友達の考え方に近いのかもしれない。しかも、自分の意見は曲げないときた。これはもはや海賊同盟といえるのだろうか。
「だが、お前の仲間の要求は……同盟に全く関係が……いやわかった、時間もねェ。侍の方はお前らで何とかしろ。ガキ共に投与された薬のことは調べておく。船医はどいつだ」
恐らく言っても無駄だと察したのだろう。切り替えが早いのはローの良い所だ。ため息をついて、次の作戦を練る。そもそも、この数ヶ月パンクハザードに滞在していて子供たちのことを知らないはずがない。ローも逃がす算段くらい考えていたはずだ。
ローは船医をつれて、子供たちの薬について調べるのに研究所へ戻ろうと考えているようだ。船医と言えば。ロー以外の全員の視線が、倒れているチョッパーに集まる。
無言でチョッパーをローの頭の上に結び付けるウソップ。チョッパーもそれが当たり前化のようにおとなしく乗っている。
「わりぃな、おれ今動けねェからよろしく頼む!!」
「キャプテン可愛い~~~!!!!痛っっ!?」
ゴン、と無言で鬼哭の柄で頭を殴られた。
結局チョッパーはローの武器である鬼哭にぶら下げられることとなった。頭の上では目立ちすぎるという至極真っ当な理由もあり。
「さっきの二人組の刺客で分かる通り、シーザーはお前たちを消し去りガキ共を奪い返すつもりだ」
4年前の大事件で犯罪者となった元政府の科学者。立ち入り禁止のこの島で怪しげな実験をしている張本人。それがシーザー・クラウン。向こうもこちらを全力で殺しに来るであろう。対峙しない選択肢はない。
「懸賞金3億ベリー、"ガスガスの実"自然系の能力者。覇気を纏えない者は決して近づくな。ただの科学者じゃない」
「こっちで覇気使えんのはおれとゾロとサンジ…あとお前だろ」
「……まぁ十分だ、俺は一足先に研究所へ戻る」
「俺たちは、そのMを誘拐すりゃいいんだな?」
覇気の話をする時、ローはシノをチラリと見た。シノの名前を上げなかったのは、そのMことシーザーと対峙させたくないのだろう。とはいえ、シノも現状、そちらの作戦に混ざるしかない。
「とりえあえず私もそっちについていけば良いんだよね」
「あぁ、堂々と研究所には入れねェからな」
「了解!」
子どもたちの薬の件を調べるにあたり、まだ大っぴらにローまで暴れるわけにはいかない。ようやく会えたというのに、また別行動となるのは残念だがやむを得ない。チョッパーも一緒に行くようなので、一人行動ではないという点だけ良しとする。
「俺の計画はシーザークラウンを捕獲したらその時にゆっくり全員に話す。ただし、シーザーの誘拐に成功した時点で事態がおのずと大きく動き出す。そうなるともう…引き返せねェ。考え直せるのは今だけだが?」
「大丈夫だお前らと組むよ!!」
「――なら、俺もお前たちの希望を飲むとする。残りの仲間もしっかり説得しておけ」
「ああ、わかった!!」
取引は成立したらしい。大分ローが折れたようにも見えたが、それだけ利も多いと判断したのだろう。麦わらの一味はかなりの戦力になる。ロー(と勝手についてきたシノ)だけで事に及ぶよりも勝率は格段に上がる。そうとなればシノとしても全力で麦わらの一味に協力しなければ、と気合を入れなおした。
「じゃあキャプテン、また後でね」
「……シノ、」
「ん?」
「ここは大丈夫だとは思うが、あまり目立つ行動はするな」
「……?わかった」
「可能であれば麦わらの一味のフリをしてろ」
「それは……無理があるんじゃない?」
元々隠密行動と聞いていた。捕獲任務なら目立たないに越したことはない。麦わらの一味にそれが可能かは置いておいて。しかし、彼らの仲間のフリをするというのはなかなか難しい。ローに何かがあれば優先的に庇ってしまう自信がある。恐らくローの仲間であると知られたくない理由があるのだろう。すぐバレる気はするが、彼がそういうのであれば、シノはできる限り従うまでだ。力強く頷き、研究所へ戻っていくローの背中を見送った。
「改めまして、シノです。ハートの海賊団の船員やってます。どちらかというとサポートの方が得意だけど、一応戦闘要員として頭数に入れて頂ければ」
「おう、よろしくな!!」
「ちょうどゾロとブルックも向こう行ってて剣士いなかったしちょうどいいな」
腰に下げた刀を見せつつ深くお辞儀をする。賞金首の剣士たちと比べられるとレベルがあまりにも違い過ぎて確実に見劣りするのだが、出来る限りの力は尽くすつもりだ。
「子供たちの護衛が必要だからな、こっちは俺に任せとけ!」
「あ、あたしも!」
「じゃあ私とルフィとフランキーとシノちゃんがシーザー探しね」
「よし、行くぞ、捕まれ!!」
「え?」
ルフィの言葉に反応して、ロビンから手を差し出されたので思わず捕まる。すると急に膨らんだルフィにフランキーとロビンが飛び乗った。当然、ロビンに捕まっていたシノも乗ることになった。仕組みは全くわからないが、これでシーザーがいそうな所へ飛んでいくらしい。というかもう飛んでいた。振り落とされないようロビンに抱き着く。
「ごめんなさいね、こういう船長なの」
「シャボンディであった時からなんか凄い斬新だなとは思ってたけど……それで、これどうやって降りるの?」
「さぁ?」
予想通り、人間オークションの時と同様、自由落下というやつだ。ドーンっと勢いよく軍艦に突っ込む。ただし、ロビンが突っ込む前に能力を活かしてシノも連れて飛んでくれたので、何とか怪我一つせずに降りることができた。いろいろとめちゃくちゃな一味のようだが、慣れるしかない。
降り立ったのは、海軍とシーザーの部下であろうケンタウロス化した人間たちの戦っている場所のど真ん中。これはなかなか大変なことになりそうだ。
「マスター!!出てこ~~い!!お前をぶっ飛ばして誘拐してやるぞ~~!!!!」
「ルフィ、それ内密にね」
「がははは、いい近道だった」
戦場のど真ん中で目的を大声で叫ぶルフィ。早速大いに目立ってしまったことを心の中でローに謝罪する。
「さて来たはいいけど、Mはどこだ?」
「まさか外にはいないでしょ、研究所の中に入りましょう」
「じゃあとりあえず研究所のドアの方目指そうか~」
目立ってしまったものはしょうがない。各々目の前の敵を倒していく。戦っている様子から察するに、ルフィの体はゴムのように伸縮が出来るようだ。2年越しに能力の答え合わせができた。戻ったらペンギンに教えてあげよう。
ロビンの方は任意の場所に手を生やす事が出来るようだ。悪魔の実というのは多種多様だ。身近にローくらいしか見た事がなかったので、能力のタイプがあまりにも違いすぎて面白い。
戦場をよく見ると、先ほど会ったスモーカーとその部下の女子もいる。ルフィ達が来るまで雑談している時にウソップに聞いたのだが、彼女はたしぎというらしい。ルフィと何か会話しているようだが、周りがうるさくて聞き取れない。確か先ほど、スモーカーとたしぎの人格をローが入れ替えていた気がするので、戦力的には落ちているはずだ。極力これ以上は目立たないよう、研究所方面に向かいつつ、海軍でもケンタウロス達でも関係なく、斬りかかってくる相手に刀で相手をする。
「おーい、シノ、ちょっとどいてろー!!」
「はーい」
フランキーの呼びかけに横へずれる。今度は何をするのだろうか。すると、フランキーからレーザービームが放たれた。あっという間に、研究所のドアまでの道が出来た。ドアにも完全に穴が開いている。
「がはははは!!扉破ったぞ~!!突入だー!!!!」
「うはー!!仕事早ェなぁフランキー!!」
「なんかもう規格外だね……」
これで悪魔の実を食べていないというのだから、末恐ろしい。しかしあのビームには見覚えがあった。バーソロミュー・くまの偽物もとい、パシフィスタ。政府の要請により作られたベガパンクによる生物兵器。あれから放たれていたビームに近い気がする。フランキーも改造人間なのだろうか。
「よーし、いくぞー!!」
「おー!!」
「みんな、待って!!」
研究所へ駆けていこうとした矢先、ロビンの声に3人揃って振り返る。そこにはCCと書かれた船があった。シーザークラウンの物なのだろうが問題はそこではない。赤いスライム状の物体が船の帆に大量に纏わりついている。それはぼたぼた垂れていき、いくつかの個体に分かれた。それぞれがまた生き物のように動いているように見える。
「えぇ!?なんだあれ?」
「生きてんのか……?」
「さっぱりわからない、何かしら?」
分かれたのは一瞬だけで、またそれらが合体して大きくなっていく。ここは元々ベガパンクの、そして今はシーザークラウンの研究所らしいので、何があってもおかしくはない。パシフィスタではないがそういった生物兵器かもしれない。
「毒ガスがどうのって言ってるな」
「この距離でよく聞こえるね!?」
「あら、海兵達が燃やそうとしているわ」
「それまずくない!?」
「なんでだ?」
「ものによるけど可燃性のガスもいろいろあるし、正体がわからないのにそんなことしたら……」
言い切る前に、大きな音を立てて船が爆発した。爆風と炎が大きく広がっている。幸い海の上だったので、これ以上燃え広がることはない。
「お前らァ!!!!」
スモーカーの叫ぶ声が響く。船に乗っていた海兵達は、スモーカーの部下だったのだろう。爆風も大きかったのでその勢いで上手く海に逃げ込めていれば良いが。
唖然として見ていた4人の元にも、赤いものが降ってきた。
「空から……!?」
「触れないように気をつけろ!!」
「研究所内に早く入ろう!」
「えぇ、そうね」
海軍も研究所側の人間も関係なく騒ぎ出す。それなりのサイズ感なので雨とは違い避けられるが、とにかく数が多い。とりあえず屋根のある研究所内に逃げ込むのが得策だ。また走り出そうとした時だった。
「シュロロロロ……いいこだ、3年も閉じ込めて悪かったな……!」
「あ!マスター!なぜ外に!!」
「あれがシーザークラウン!?」
何故か壊れた軍艦のてっぺんに立っている男。研究所員たちがマスターと呼んでいたので、あの男がシーザークラウンだ。長めの黒髪、白く緩いコートのようなものを羽織っている。いかにもマッドサイエンティストといった風貌だ。イメージとしては、メガネもかけていて欲しかったが。
「お前がシーザー・クラウンで間違いねェな!?」
「お前かァー!!マスターってのは!!」
「いかにもそうだ。海賊麦わらの一味と海軍G-5」
スモーカー入りのたしぎとルフィが凄む。スモーカーも部下がやられて頭に来ているのだろう。シーザーは聞いてもいないのに、勝手にあの赤い物体について語りだした。やはりシーザーが作り出したもののようだ。湖の向こうにあったものが、苦手な湖を越えるために自分の欠片を飛ばし、こちらで合流しようとしているらしい。全て合体したら相当な大きさになりそうだ。
「捕まえたァ~~!!!」
「えええ~!?!?!?」
「あれ、ルフィ君いつの間に」
「ルフィだからなぁ」
すぐ横にいたはずのルフィがいつの間にかいなくなっていた。気づけば軍艦の上に移動し、自然系の能力者であるシーザーを覇気を使って掴んでいる。熱く語っていたシーザーも全く気付かなかったようで、動揺している。しかし、掴むことが出来たとして、ここからどうするのか。まさかこんなにすぐに遭遇するとは思っていなかったので、何も考えていなかった。
「武装色の覇気は実態を捉える力。海楼石のように相手の能力を奪えるわけじゃない……」
「気絶させることが出来ればいいけど……ガスガスの実がどんなものかわからないしね……」
ルフィとシーザーの戦いが繰り広げられる。毒が効かないらしいルフィの方が優勢になるかと思いきや、さすがにシーザーも強い。ガスの能力を生かしルフィを爆発させる。とてもじゃないが手を出せるものではない。赤い物体はシーザーの言うことを聞くらしく、ルフィにまとわりつき、大爆発が起きた。
「シュロロロロロ……!」
「わー危なかった、すげー爆発」
「え!?」
どうやらあの爆発の中でも無事逃げていたらしい。さすがのロビンとフランキーも心配していたようで、ホッとしている。改めてシーザーを吹っ飛ばし捕まえたルフィ。
「こいつ入れとくもんねぇかな!!」
「タルでもねェかな……」
「何回も爆発してるから入れ物って言われてもねぇ……」
きょろきょろとあたりを見回すが残骸ばかりで入れられるものはない。軍艦の残骸にもしかしたら海楼石の鎖が転がっているかもしれない。シノは軍艦の方に走って探しに行く。木片を蹴り飛ばし、それらしきものが無いか探す。よく考えたら、先ほどのスモーカーかたしぎに聞いた方が早い気がしてきた。くるりと振り返り、彼らを探そうとした時だった。
「ルフィ!?!?」
ロビンの声にルフィの方を見ると、何故か倒れている。毒ガスすら効かなかったルフィが見ていない間に何にやられたのか。攻撃される音はしなかったので爆発や殴られた等物理的なやられ方ではないはずだ。
「ルフィ君!?ロビンさん何があったの!?」
「わからない……何かされたようには見えなかったけど急に苦しみだして……」
確実にガスガスの実の何らかの能力だ。ルフィが完全に気絶したのを確認して立ち上がるシーザー。
「あ~~舐められたもんだぜ……」
「とりあえず皆あいつに近付かないように……!」
「シュロロロロ……遅いなァ?」
「!?」
「シノちゃん!!」
ガス化して移動したようだ。ルフィの目の前にいたはずなのに、軍艦のそばにいたシノの所まで流れるようにやってきた。まずい。咄嗟に息を吸い込み、止めようとする。皮膚に触れるだけで効くタイプではどうしようもないが、呼吸をしなければしばらくは何とかなるかもしれない。そう思ったのだが、……吸えなかった。急に海の中に放り込まれたように、息が出来なくなった。肺活量には自信がある方だが、それはちゃんと事前に吸えた場合だ。これ以上はもたない。ロビンが何か叫んでいるように見えたが、意識が朦朧としてわからなかった。シノはそのまま意識を手放し、その場に倒れこんだ。
Tobe continued...
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