上陸と遭遇
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パンクハザード。
元々は世界政府が管理していた島であり、かの有名なベガパンクが研究所を構えていたという。しかし、4年前に起きた大きな事故により、現在は使われていない島……ということになっている。
半分は活火山のある熱い島、もう半分は雪山。一体どんな生態系をしているのか、全く意味がわからないが、偉大なる航路ではどんな島があってもおかしくない。そんな島に、シノは上陸した。
ここに、我らがハートの海賊団の船長がいるはず。そう意気込んで来たものの、早くもしんどくなってきた。活火山か雪山か悩んだ結果、雪山出身のシノとしては、まだ雪山の方がマシに見えた為、コートを着込みそちら側に上陸したのが数時間前の出来事だった。
歩き彷徨い数時間、少なくとも無人島ではないことをようやく確認できた。何者かの気配に、岩の影に隠れ、様子を見る。島の真ん中に位置する湖の辺りから声が聞こえてきた。上半身は人間だが、下半身は動物の体。元からそういう生物……のようには見えない。――つまり、ローがこの島にいる可能性が濃厚になってきた。とりあえず無駄足ではなかったことを確信し、ホッとした。とはいえ、あの人間たちが敵か味方かわからない状態なので、油断は出来ない。
ケンタウロスのような体の人間たちは、武器を所持しており、どうやら湖へ向けて攻撃しているようだ。どちらも敵か、どちらかは味方になりうる存在か。シノは一人なので慎重に判断しなければならない。どちらにしろもう少し覗き込まないと何も判断できない。岩場から出ようとした時だった。
「あの、お嬢さん」
「きゃああああ!?!?」
とんと急に肩に手を置かれ思わず叫んでしまった。目の前の状況に集中し過ぎて背後からの気配に全く気が付かなかった。慌てて刀を抜き振り返る。
「パンツ、見せてもらっていいですか?」
「ほ、骨ーーーー!?!?」
叫んですぐにハッとして慌てて口を塞ぐ。ちらりと湖側を見るも、向こうもどんぱちやってくれているおかげで聞こえていなかったようだ。立派な王冠帽子を被り、よく分からない派手なもふもふを肩にかけている。骸骨に思わず驚いてしまったが、よくよく見てみれば、その姿には見覚えがあった。
「あ、ソウルキングだ!!」
「おや、あなた確かシャボンディ諸島でお会いしましたね」
2年前、直接会話こそしていないが、確か麦わらの一味と一緒に人間オークション会場で戦っているのを見たことがある。手配書でも確認した通り、正真正銘麦わらの一味のクルーだ。何故このタイミングでこの島に麦わらの一味の一人がここにいるのか。彼がここにいるということは、その他のクルーもいる可能性が高い。
「私、ブルックと申します。以後お見知り置きを」
「あ、私、シノです。ハートの海賊団って、トラファルガー・ロー船長の船のクルーやってます」
お互い丁寧に挨拶をして深々とお辞儀をする。紳士的な人のようだが、先ほどの発言を考えると紳士なのか変態なのか現時点では判断ができない。
「って違う違う、誰かがあのケンタウロスに襲われて……ってあれ、それこそ麦わらの一味じゃない!?」
慌てて改めて覗き込む。黄色いバナナボートに乗っているのは、麦わらのルフィ、ゾロ、ウソップ、ロビンの4名で間違い無いだろう。ちょうど水面を撃たれ、ボートがひっくり返っていた。この寒い中で水に落ちたら普通、大変なことになる。しかし、そんなことよりも。
「麦わらのルフィもニコ・ロビンも能力者だよね?」
「そうですね、残りのお二方は泳げるはずですが、対岸に敵がいるとなるとちょっとまずいですね」
「とりあえずお手伝いしますね」
なんだかわからないが、味方をするなら知っている人の方が断然良い。少なくとも敵ではないと思われるので、ブルックに助太刀をすることにした。麦わらのルフィはローが一度助けた命だ。ここで無視するわけにはいかない。
どうやらブルックも剣士らしい。杖だと思っていたものからスッと刀身を抜き、何かをした。と同時に、ケンタウロス達の銃が暴発する。何が起きたのかはさっぱりわからないが、さすがクルー全員が懸賞首の海賊団はレベルが高そうだ。
ブルックがケンタウロス達と戦っているうちに、シノは湖のほとりに近付き、リュックに念のため入れていたロープを投げる。
「ルフィくんたち、こっちこっち!!」
「お前は、シャボンディ諸島の時の……」
しー、と指を手に当ててこっそり誘導する。能力者以外もいたことで、シノが海に入らずとも何とか4人を岸へ上げることが出来た。水で濡れた体でこの寒さでは凍えてしまう。4人ともコートすら着ていないところを見ると、火山島側から上陸してきて、こちらの雪山を知らずに来てしまったのだろう。
「お前、あの時のー!!久しぶりだなー!!」
「その前に、とりあえず一枚しかないけどせめてタオルで拭いて!私、雪山育ちだからコート貸そうか!?」
「あぁ、助かる。タオルだけちょっと借りるぞ」
「そうね、コートは大丈夫。私たち、運がいいわ……彼らとの出会いに感謝しなくちゃ」
彼ら?そう思い、麦わらの一味の視線を追う。ブルックが相手をしていた武器を構えたケンタウロス達だ。こちらの人数よりは多いが、パっと見る限り大した戦力ではないだろう。水から上がってしまえば彼らが負ける相手ではないはずだ。
「「「暖かそうな服!!!」」」
「うぉう!?あいつらコート狙ってねぇか!?」
「思い出したぞ、あいつ……最悪の世代のルーキーだ…!!4億の海賊、麦わらのルフィだ!!!」
4億の追い剥ぎ集団に遭遇してしまったことに絶望したのか、全員青ざめている。正直シノも向こうの立場だったら同じリアクションをしていただろう。シノは、可哀想なケンタウロス達に心の中でそっと手を合わせた。
「いやーあったけェな〜!!!」
結局、ケンタウロス達のコートを追い剥ぎした麦わらの一味。タオルで肌についた水分を取り、暖かいコートに身を包み少し落ち着いたようだ。
「悪い、助かったぜ〜」
「いえいえ、改めまして、ハートの海賊団のシノと申します」
「おぉ、女ヶ島以来だな!!あいつらも一緒か!?」
ちゃんと会ってあいつにお礼言いたかったんだよーと笑うルフィ。2年前、マリンフォードの頂上決戦の時に、瀕死状態のルフィを回収して治療をしたハートの海賊団。シャボンディ諸島では軽く会話したが、女ヶ島にいた時はほぼ瀕死状態か混乱状態だったため、会話はままならなかったが、一応シノがいたことは認識していたらしい。
「んー……ローは多分いると思うんだよね……話せば長いんだけど、私もローを探しにここに来たんだ」
「何だかよくわからないが、とりあえず移動しながら話そうぜ」
「わー私も乗せてもらえると助かるー」
正直一人行動は不安もあったので、しばらくでも一緒にいられるのであれば助かる。少なくともローと合流するまでは一緒にいた方が安心だろう。どうやら、先ほどのケンタウロス集団のボスらしき人間を勝手にワニタウロスと呼び、彼の背に乗り島の施設の方へ走らせるようとしているようだ。数時間歩き続けて疲れていたので、乗れるのであればありがたい。
麦わらの一味。二年前の頂上戦争以降ずっと姿を消していた彼らが最近になってまた集結するというニュースは世界中に広まっていた。新世界に入るだろうとは思っていたが、まさかこんなにすぐ会うことになるとは。
とりあえず、ルフィがシノらハートの海賊団との関係をどこまで説明しているか分からないので、改めて2年前の出来事を説明した。
「そうか……うちの船長が世話になったな」
「お礼ならうちのキャプテンに言って。医者なんだ。それにしてもゾロくん、久しぶり。本当にまた会うことになるとはね」
「あぁ、世の中狭ェなぁ」
実際、もう会うこともないだろうくらいに思っていたのだが。本当に狭いものだ。というかそもそも何故この島に彼らはいるのだろうか。普通にログを辿っていては来られないはずなのだが。
「それで、シノちゃんは何でここにいたの?」
「うちのキャプテン、単独行動大好き人間なんだけど、今回もどっか行っちゃって、さすがに一人じゃ心配だったから代表して私が探しにきたんだ」
ぼんやりごまかしてはいるが、嘘ではない。実際それ以上説明のしようがないのでしょうがない。
一方の麦わらの一味は、たまたま近くを航行中に緊急信号が流れてきて、「侍に襲われた」という言葉を信じ、この島に乗り込んできたらしい。侍を探すために上陸したものの、船番をしていた仲間が誘拐されたらしく、仲間も探しているそうだ。緊急信号の信ぴょう性はかなり低いので、普通の海賊は無視するのだが、さすがは麦わらの一味だ。もしかしたら"侍"という言葉に興味を持ったのかもしれない。
「そういやトラファルガー・ローって剣士だったよな。侍と間違えられた説もあるか?」
「侍……にはどう考えても見えないと思うけど……それより……」
シノはチラリとルフィの体にくっついた下半身を見る。湖から引き上げた時から、突っ込むべきか悩んでいたが、面倒だったので放置していた。何故そうなったのかはよく分からないが、着ているものは見たことがある。
「ルフィくんにくっ付いてるその下半身、それが侍じゃない?着物着てるし」
「えええええ!?!?こいつがぁ!?!?」
「で、その緊急信号を出した人を襲ったっていう、その下半身だけの侍を斬ったのは、うちのキャプテンだと思う」
「ややこしいな!?」
体が斬れているのに普通に動けているのであれば、十中八九ローの仕業だ。着物だけで侍と断定は出来ないが、侍は基本的に着物を着ている。可能性としては高いだろう。一体ローは何をしているのか。
そんなことを話しているとどこからか、大きな音がした。何かが崩れるような音。ここからそう遠くない場所だと思われる。
「すげー音がした、サンジ達かな……」
「おい、ワニタウロス、本当にうちの仲間達のこと知らねぇのか?」
「黙れ、俺は何も口を割らん!」
「いいよ、じゃあもっと速く走れ!!」
そう言いつつも、ちゃんと走り続けてくれるワニタウロスは、殴られ実質脅されているとは言えど良い人かもしれない。逃げられない事もなかっただろう。そもそも手配書で見たことがある気がするので、元は海賊のはずだ。
そうこうしているうちに戦っているであろう音が近づいてくる。
「なんかこのへん残骸だらけだね」
「これ、軍艦じゃねェか」
「じゃあ海軍が来てんのか!?」
完全に崩壊した軍艦の残骸が散らばっている。先ほどの大きな音はこれが壊れた音だったようだ。どうやったらこんなに粉々に壊れるのか。残骸の合間から、ようやく人が見えてきた。倒れているのは正義と書かれた白いコート。海軍だ。
――そして、そこに立っているもう一人の黒いコートの人物。
「あそこ誰かいるぞ!!」
「……………麦わら屋」
「あれ〜〜!?おれだよおれ~~!!あん時ゃありがとなー!!」
シノが探していた人物。ハートの海賊団の船長、ローだ。本当にここにいた。とりあえず第一目的は達成だ。数か月ぶりに姿を見られ、ホッと胸を撫でおろす。
茶ひげの肩の上からぶんぶんと手を振るルフィ。ずっと2年前の礼を言いたかったようだ。
「あいつはシャボンディのヒューマンショップで会ったやつだな」
「トラファルガー・ローよ。本当に居たのね」
「うん……良かった」
先ほどの大きな音は、ローが軍艦を壊した音だったようだ。大分派手にやったようだが、怪我ひとつ無いように見える。そう簡単にやられるとは思っていないが、相変わらずの強さだ。
「そうそう!トラフォル……トラ男!白ひげの戦争からおれを逃がして傷も治してくれたんだ!あいつも命の恩人なんだ」
嬉しそうに笑うルフィ。海賊同士で敵対してもおかしくないのだが、ここまで笑顔で言ってもらえるのはなんだかこちらも嬉しくなる。
「キャプテーン!!」
「……!?」
ルフィの後ろについて、ワニタウロスから降りて駆け寄る。麦わらの一味に紛れてシノが現れたことに驚いたのか、ローの目が一瞬見開かれる。が、すぐに少し不機嫌そうな表情に戻った。自分で言うのも何だが、正直追いかけてきてもおかしく無いと思われていた可能性もある。
「……うちのクルーに関しては言いたいことがいろいろあるが……よく生きてたもんだな麦わら屋。だが、俺に恩を感じる必要はねェ。あれは俺の気まぐれだ」
「ししし!!そうだな、"ひとつなぎの大秘宝"を目指せば敵だけど……2年前のことはいろんなやつに恩がある。ジンベエの次にお前に会えるなんてラッキーだ!本当にありがとな!!」
「…………」
真っ直ぐに含みもなくお礼を言うルフィ。シャボンディ諸島で会った時も思ったが、海賊ではあるが、悪い人では無いのが十二分に伝わってくる。ローにもそれは伝わっているだろう。
「そーだ、ここ来る途中、お前の仲間拾ったんだ!!」
「……拾ってもらいました」
何故かルフィに紹介される形で、ぐいとローの前に押し出される。ルフィ自身も仲間を探しているところだから、ローもシノを探していると思っているのかもしれない。勝手に追いかけてきた手前、若干気まずいものもあるが、しょうがない。
「ハートの海賊団クルーを代表して、追いかけてきちゃいました」
「…………」
正直に宣言すると、ルフィに向いていたローの視線がシノへ向いた。いろいろと思うところがあるのだろう、何とも言えない表情をシノへ向けている。相も変わらず背の高いローを少し見上げる形で、何か声をかけられるのをひたすら待った。
「……お前、」
「スモーカーさんっ!!!!!!!!」
ようやく口が開かれたタイミングで背後から女性の大きな声が響く。かなりの人数が走ってくる音に思わず振り返ると、海兵達が走ってきているようだ。近くに散らばっている粉々になった軍艦に乗ってきた者たちだろう。
「おい、まずいぞ、ルフィ!海軍だ!!」
「ああ」
先ほど叫んでいた女性が呼んでいたのは、近くに倒れていた海軍、スモーカー中将のことであろう。アラバスタの英雄、新聞で読んだことがある。胸には四角く綺麗に穴が開いており、ローが取った事は間違いない。状況はさっぱりわからないが、この海軍たちと対立しているようだ。隠密行動と聞いていたはずなのだがどういうことか。
「あれ、ケムリン達じゃねェか!懐かしいな~!」
どうやらルフィ達と知り合いのようだ。のんきに海軍に向かって手を振るルフィ。そんなルフィを無視して、ローを睨む女性海兵からの殺気に、シノも腰の刀に手をかける。斬りかかってくるならこちらも容赦はしない。
「よくも!!!」
「キャプテン、私の後ろに!!って、あれ!?」
スッと、意気込んで刀を抜いたというのに、気づけばひょいと首根っこを掴まれ宙に浮いていた。その間にも、女性海兵が刀を構えてこちらへ走ってくる。真剣な表情の彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。ローの能力を知らなければ、スモーカーが死んだと思ってもおかしくはない。
「私がキャプテン助けに来たんだけど!!」
「おいおい…よせ、そういうドロ臭ェのは嫌いなんだ」
「無視!?」
気づけばローのROOMの中。あっという間に女性海兵とスモーカーの心が入れ替えられ、女性海兵が倒れた。恐らくこの場にいる誰もが何が起きたか理解できていないであろう。彼女には悪いが相手が悪かった。
そして、同じく何の役にも立てず、ただただ持ち上げられていたシノ。ローは一体何を考えているのか。暴れると持ちづらいかと思い、おとなしく持ち上げられておく。会えただけでもとりあえず良しとしなければ。
「懲りねェ女だ…そう深刻になるな」
「そりゃキャプテンの能力知らなければ普通死んだと思うでしょ」
ぼそりとつぶやくと、睨まれたのでスッと顔をそむけた。
「麦わら屋、こいつも連れて、研究所の裏へ回れ。お前らの探し物ならそこにある。また後で会うだろう」
「え、ちょっと待って!?」
パっとワニタウロスの背中に移動させられた。急に現れたシノにウソップが驚く。慌ててローの方を見るが、扉から建物の中に入ってしまった。また後で会う、と言っていたということは、研究所の裏とやらに回れば、会いに来てくれるのだろう。さすがにこのままシノのことを見捨てるような人間ではない。
「おぉ!?どうなってんだ!?」
「トラファルガー・ローの能力でしょうね」
「だいたいそんな感じで……もうちょっとお邪魔させて頂きます」
「大変だな、お前も………」
ウソップの言葉に、あははと苦笑する。勝手に追いかけたのを怒っているに違いないのであまり文句も言えない。とりあえずまずは会話が出来るまで、言われた通りに麦わらの一味に同行させてもらうしかない。
「大丈夫かなケムリン達、トラ男に敗けたのかな?」
「多分気絶してるだけだから大丈夫だと思うよ」
「そっか?ならいっか」
海軍と一体どういう関係なのか。祖父も海軍のはずなので、そこの関係等があるのだろうか。その割には去る時に撃たれそうになっていたが。何はともあれ、一行はローに指示された場所へ急ぐのであった。
Tobe continued...
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