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雄英高校一般入試
おなまえは?
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筆記試験を終えて、いよいよ実技試験。
その前にトイレだ、と思って待機部屋を出れば少し離れたところに見慣れた黒色が見えて思わずその人へと駆け寄った。
「イレイザー先生!」
「!…なんだ、お前か。」
「お久しぶりです!」
「あぁ、久しぶりだな。少し身長伸びたか?」
「最後に会ったの1年くらい前ですよね?なら5cm伸びてます!」
そう言って自慢げに胸を張れば、相手は少しだけ頬を緩めて私の頭を撫でる。
相変わらず無精髭とボサボサ髪…ちゃんとした格好をすればカッコイイのにと毎回思うが、これがこの人のスタイルらしい。
「合格出来そうか?」
「筆記は大丈夫だと思います。問題は実技ですけど…自信しかないです。」
「ほう…?それはさぞ腕を上げたんだろうな?」
「そ、そうですね!」
「目が泳いでるぞ。」
「イレイザー先生に教わっていた時よりは強くなったと思いたいですよ?けど最近…。」
「最近…?」
「光りすぎる原石がすぐ隣にいるから自信がなくなる時があって…。」
少し前にとうとう組手で黒星をつけられた爆豪君の事を思い出して眉を下げる。
こんなこと恩師でもあるイレイザー先生の前では言いたくなかったのだが仕方がない。
それよりも今は誰かにお前なら大丈夫だと言ってもらいたかったのだ。
「…そうか。」
「……え、それだけですか?」
「……そんな奴がいるなら俺も楽しみだな。」
「え、あ、そっちですか?」
「他に何があるんだ?」
「えぇ…いや、ほら…お前なら大丈夫だとかお前が1番強いよとか…。」
おそらくわざと分からないフリをしているのであろうイレイザー先生にモゴモゴと言葉を濁す。
相変わらず意地が悪いな、イレイザー先生は。
そんなことを思っていれば集合時間10分前の放送が校舎内に響き渡り、自分がトイレに行かなければいけないことを思い出した。
「トイレ行かなきゃ!」
「おい、女ならせめてお手洗いとかにしとけ。」
「便所よりはマシですもん!」
「全く…相変わらずだな。」
呆れたように息を吐くイレイザー先生を、それはこっちのセリフだと睨みつけて背を向ける。
そのままトイレのある方へと一歩踏み出した瞬間、後ろから伸びてきた手が私の頭の上まで来てポンポンと軽く跳ねた。
「名前、お前らしくしていろ。それがお前の目指すべきヒーローだ。」
「!イレイザー先生っ…?」
「ほら行け。…4月からまた厳しく鍛えてやるから楽しみにしておけよ。」
「ッ…はい!」
励ましの言葉なんて必要ない。
お前なら大丈夫だ、と言われているみたいな力強い言葉に思わず頬が緩む。
これだからイレイザー先生は嫌いになれない。
「あ、オールマイトさんからのメッセージ返すの忘れちゃってたや…。…まぁ、いっか。」
おそらく落ち込んでいるであろうオールマイトさんに心の中でごめんなさいと謝ってから、私は足早にトイレへと向かった。