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私たちに出来ること
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藍染との決戦が終わり、瀞霊廷が徐々に日常を取り戻し始めた今日この頃。
私は、人生で初めてのデートに来ている。
「おら。」
「…え、なに?」
「っ…手だよッ…!」
「へっ…ちょっ…!」
グイッ…と引っ張られた手は、そのまま彼の手に絡め取られる。
それに驚いて目を見開けば相手はいつもよりも真っ赤にした顔で行くぞ、と呟いた。
この阿散井恋次という男は幼馴染である朽木さんの事が好きなんだと思っていた。
そんな誤解が解けたのは今から半年程前のことで。
本来ならばやっと真の恋人同士として愛を育める筈の私達だったが、恋次は副隊長で私は三席。
藍染との決戦が迫っていたあの日々に、そんな甘い時間を過ごす余裕はなかった。
「(おかげ様で実は両想いだったっていう事実すら忘れかけてたよ私…。)」
「…飯、食うか。」
「あ、うん。」
「何が食いたいとか、あんのか。」
私の手を引きながら前だけを見て尋ねてくる恋次にどうしたものかと考える。
前まではこれが食べたい、と口にしていた彼が最初に私の意見を聞くなんて珍しい。
とりあえず、無難にお蕎麦とか?
そう思って顔を上げれば恋次の耳が真っ赤に染まっているのが見えて、ついクスクスと笑ってしまった。
「なに笑ってんだよッ…!」
「だって恋次が変なんだもんっ…。」
「変ってなんだ、変って!」
「いつもなら自分の食べたいもの提案するし、話す時も私の顔見てくれるでしょ?」
そう言って繋がれている手をクイクイと引けば、少し間を空けてから恋次が振り向く。
その顔がまだ微かに赤いものだから、私ってば意外と愛されているのかな…なんて嬉しくなった。
「恋次、何食べたい?」
「……蕎麦、温かいやつ。」
「私も蕎麦がいいなって思ってた。相変わらず趣味嗜好はよく合うね。」
「っ…あんま笑うなッ…。」
「は…?」
「今日は、ダメだッ…可愛過ぎるッ…。」
ギュッと私の手を強く握ったままその場にしゃがみ込む恋次に私の頬も熱くなる。
今…可愛いって言ったか、この男。
出会ってから何十年、今までそんなこと一言も言ったことないくせにっ…。
「れ、恋次…のばか。」
「は…?」
「そんなのっ…急に言わないでよっ…!」
恥ずかしいじゃん、と呟いて誤魔化すように空を見上げる。
今日は雲ひとつない綺麗な青空だ。
「(ていうか今日の恋次本当におかしいっ…!)」
「(クソッ…こんなんじゃマジで愛想つかされちまうじゃねェか俺ッ…!)」
その場から動き出すまでに暫くかかりました。
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