↓↓
秋雨前線
おなまえは?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ピピピピッ…と鳴るアラーム音に目を覚ます。
外からはシトシトと雨の降る音がして、そんな外をジッと見つめるその人に思わずビクリと肩を震わせた。
「…おや、お目覚めですか?」
「あ、はい…おはよう、ございます…。」
「おはようございます。」
パチパチと目を瞬いても消えないその人は、顔の部分がモヤモヤと黒い何かに覆われている。
まさか強盗だろうか?
こんな朝早くに?
そう思って口を開くものの声が出ず、パクパクと口を開閉していれば後ろから伸びてきた冷たい手が私の首元をスルリとなぞった。
「うぁっ…!?」
「…色気のねェ声だな。」
「!」
「黒霧、帰るぞ。」
「この方はそのままで良いのですか?」
「…別に良い。」
チラリと向けられた2人の視線に何だか冷たいものを感じてブルリと身体を震わせる。
昨日はいつもよりも近くに感じていたのに。
寝る時に着ていたグレーのスウェットではなく、いつもの黒いパーカーと黒いズボンに身を包んだその人はすっかりいつも通りだ。
「あ、の…!」
「…弔。」
「え…?」
「死柄木 弔。」
「しがらき、とむら…?」
「…また来る。」
私の前にしゃがみこんで、私の頬をクイッと抓るその人に驚いて目を見開く。
それからいつものように立ち上がったその人と黒霧と呼ばれた人の前に現れた黒い渦にハッとして手を伸ばした。
「待って弔さんッ…!」
「!」
「あ、の…!こ、今度はお菓子もっとたくさん買っておきますからッ…!」
「…ココア、また作れ。」
「は、はいッ…!」
伸ばした手は空を切ったものの、その白い髪の毛の隙間から見えた視線は自分のソレと交わり頬が緩む。
“また作れ。”
いつもと違うその言葉が、寝起きの私の心をひどく浮足立たせた。
「しがらき、とむらさん…。」
シュルンと消えた、2人を飲み込んだ黒い渦。
なんだか夢を見ているみたいだ。
そんな事を考えながら起き上がりカーテンを開けば、さっきまで降っていた雨はほとんど止んでいた。
「あー…これは…、久しぶりにキたなぁ…。」
恋愛沙汰なんて何年ぶりだろうか。
しかも相手はよく分からない変な人。
頭ではやめておけと警鐘が鳴っているのに、心臓はバクバクと跳ねることを止めなかった。
「……仕事行こ。」
とりあえず仕事に行って、帰りにまた公園に寄ってみよう。
そんなことを考えながら支度を始める私は、その後その人が毎晩のように尋ねてくる未来をまだ知らない。
END.
4/4ページ