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謝るよりも
おなまえは?
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「名前ちゃん、何か良いことあった?」
「え・・・?」
「なんだか嬉しそうだったから。」
“違った?” と首を傾げるのは、あの日と同じモシャモシャ頭の彼・・・緑谷出久。
今はプロヒーロー“デク” として活躍し、最近は次世代の平和の象徴候補なんて言われている。
・・・なんて本人に言えば、アワアワしながら否定するのが分かっているから決して言わないけど。
「初めてデクと会った時のこと思い出してたの。」
「それって、あの電車の・・・?」
「そう。デクに初めて助けてもらった時の。」
「そっか・・・懐かしいね。」
そう言いながら少しだけ眉を寄せるのは、その初めての出会いの記憶にあの痴漢男がいるからだろう。
私としてはもう何とも思っていないのだが、デクは優しいから今でもこうして心配してくれる。
「でも僕は名前ちゃんのこと知ってたよ。」
「え・・・?」
「たまに学校の食堂で見かけてて・・・、その、綺麗な子だなって思ってたから・・・///。」
デクの恥ずかしそうな声に、今まで文字を連ねていた私の手が止まる。
あの日から何年も経っているが、デクは今までそんなこと一言も言ってくれなかった。
「・・・私も、知ってたよ?」
「えっ!?」
「当たり前でしょ、雄英高校ヒーロー科は良くも悪くも目立つんだから。」
「あ、そういう事かっ・・・。」
アハハ・・・と苦笑いを漏らす彼にクスクスと笑う。
本当は入学して少し経った放課後、幼なじみだという爆豪くんと話している横顔を見て・・・なんてカッコイイんだろうと思っていた。
顔のパーツ、というより・・・その時の表情。
心の中で燃やしている闘志が滲み出ていて、それが平凡な私にはキラキラと眩しかった。
「(で、デクが自分の事務所開くって聞いて働いてた有名ヒーロー事務所も辞めちゃったんだから・・・自分でも驚きだよ。)」
「名前ちゃん・・・?」
「!あ・・・ごめん、ボーッとしてた。」
「その、手伝おうかっ・・・?ぼ、僕の出来る範囲しか手伝えないけどっ・・・。」
「ふふ、大丈夫。さっきヴィラン退治から帰ってきたところなんだから休んでて?」
そう言って再び目の前の書類に視線を落とす。
デクの人気が上がるにつれてヴィラン退治の他にも色々な仕事が舞い込んでくる。
雄英高校の経営科でヒーローのプロデュース方法を学ばせるのはこういう時の為なのだろう。
「(デクはなぁ・・・カメラあると緊張しちゃうのが勿体ないよなぁ・・・せっかくカッコイイのに・・・。)」
「名前ちゃん。」
「ん?」
「これ、あげる。」
“こんな事しか出来なくてごめんねっ?”
そう言って彼が差し出したのは温かいミルクティー。
私がココアやコーヒーよりもミルクティーが好きだって知っている彼だからこそ出来る心遣い。
そんな彼がNo.1ヒーローになる瞬間を見る。
それが私の今の目標だ。