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謝るよりも
おなまえは?
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朝からぎゅうぎゅうの車内で小さく息を吐く。
満員電車なんて久しぶりだ。
「!(だから嫌だったんだよ満員電車・・・。)」
スリスリ・・・と私の太ももに何かが這う。
それは恐らく・・・人の手だ。
地元の高校ではなく、雄英高校に入ったのは将来ヒーロー事務所で働きたいと思ったからだ。
もちろん私の個性なんて何の役にも立たない平凡個性なのでヒーローを目指す訳じゃない。
・・・ただ、支えたいと思った。
人の為に自分を削り戦うヒーロー達を。
「(なんて言いながら・・・痴漢相手に何も言えないんだから先が思いやられるっ・・・。)」
入学してすぐ、今日と同じ時間の電車に乗った。
そして今日のように痴漢に遭った。
だけど声を上げることなんて出来なくて、目的の駅に着くまで我慢して・・・次の日から早めに家を出るようにしたのだ。
「ハァッ・・・ハァッ・・・。」
「っ・・・。(気持ち悪いっ・・・。)」
「可愛いなァっ・・・その制服は雄英高校だよねっ・・・?雄英みたいなエリート女子高生なんてオジサン興奮しちゃうよっ・・・。」
「ゃっ・・・!」
気持ち悪い手が私の前に回ってきて内ももを撫でる。
声を出して助けを求めたいのに、恐怖心のせいで喉が締まり思うように声が出ない。
あと3駅、耐えるしかない。
そう思って震える手を握りしめた瞬間、後ろに密着していた痴漢が苦しそうな声を上げて離れた。
「何してるんだっ・・・!」
「!?」
「だ、大丈夫っ・・・!?」
「あっ・・・。」
「早く気づけなくてごめんねっ・・・。」
痴漢の腕を捻りあげながら私の顔を覗き込んでくるその人にコクコクと頷く。
そのモシャモシャした髪を、私は見た事があった。
「はっ離せっ!!」
「暴れないでくださいっ!次の駅に着いたら貴方を駅員さんに引き渡しますっ!」
「冗談じゃねぇぞ!!その女が誘ってきたんだよ!短いスカート履いて男誘ってるーーー。」
「黙れ!!」
《!!》
ガっと痴漢の胸ぐらを掴むその子の声に、周りの人達も反応して振り向く。
だけどその子はそんな事も構わず痴漢を睨みつけた。
「この子は怖がってたじゃないかっ!!」
「っ・・・ヒーロー気取りか高校生ごときがっ!!」
「なっ・・・!」
「お前みたいなチビがヒーローになれる訳ーーー。」
“ない。” と言いかけたその人の手を掴む。
それに驚いてコチラを見たその人を思いっきり睨みながら、思いっきり息を吸い込んだ。
「この人痴漢ですっ・・・!!!」
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