↓↓
君に別れの口付けを。
おなまえは?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
いずくと会わなくなって1年以上経って、ヴィラン連合としての仕事の日になった。
ターゲットは平和の象徴・オールマイト。
死柄木の話ではオールマイトは最近弱り始めているらしい。
「…で、このデカいの何?」
「ソイツは脳無…対オールマイト戦に備えた俺の秘密兵器だ。」
「……気持ち悪い。」
脳ミソむき出しのデカいソイツに嫌悪感を顕にすれば、死柄木はニヤリと口角を吊り上げる。
脳無と呼ばれた奴は何も考えてないように立ち尽くしているし、今回の作戦は参加するべきじゃなかったとつくづく思った。
「で、私の役割は?」
「見張りだ。」
「は…?」
「アナタは上から記録しておいてもらえれば良いですよ。」
“戦闘には参加しなくて結構です。”
そう黒霧に言われ頷けば、死柄木がゆっくりと立ち上がった。
「さぁ…平和の象徴を殺しに行こう。」
雄英高校ヒーロー科。
全国最難関といわれるだけあって、生徒たちの個性もピカイチらしい。
「(ていうかヴィランどんどんやられていってるけど…死柄木の奴の作戦大丈夫なわけ?)」
本来ならオールマイトが引率している筈が、別の教師しかいなかった。
しかもその教師と生徒に連れてきたヴィランはどんどんやられていく。
どうにか教師を抑え込めば、今度はどこからともなくオールマイト登場…。
「(脳無も吹き飛ばされちゃったし、記録ばっかりで飽きたし、そろそろ手出してもいいんじゃない?)」
そう思ってフワリと地面に降り立ったのは死柄木と黒霧がオールマイトに向かって飛び出したのとほぼ同時だった。
「!!」
刹那、黒霧に向かって飛び出してきた1人の生徒。
その顔は、忘れもしない…彼だった。
「いず、くっ…?」
「っ・・・オールマイトから離れろっ!!!」
「!(早いっ・・・!)」
「2度はありませんよっ…!」
死柄木の手が黒霧を抜けていずくの顔に向かう。
壊される…!!
そう思った瞬間、その死柄木の手に銃弾が打ち込まれた。
「!?」
「(プロヒーローっ…!)ちっ…死柄木ィっ…!」
「…わかってる、ゲームオーバーだ…。」
「分かってるならさっさと黒霧と行って!ここは私が食い止める…!」
「!!っ…えっ…?」
ドサリと地面に倒れた彼と、目が合う。
彼の顔に浮かんでいるのは、困惑。
だけど、それは私だって同じだった。
「(さっきのありえない跳躍っ…あれは間違いなく、個性っ…。)」
「ど、どうしてっ…!?」
「おい名前、さっさとーーーー。」
刹那、私と死柄木の周りに打ち込まれる多数の銃弾。
それを防ぎつつ黒霧と死柄木を逃がそうとすれば、何かに吸い込まれるような風が私たちを襲った。
「今回は失敗だったけど…今度は殺すゾ、平和の象徴オールマイトっ…!」
フワリ…と消えた黒霧と死柄木を確認してから思いっきり地面を蹴る。
そして唖然とコチラを見つめるいずくの前へと降りれば、彼は驚いたように目をパチクリさせた。
「生徒が巻き込まれるっ…!13号っ!!」
「っ…!」
風が止み、一瞬だけ静まる空気。
その場にいる誰もが、私の次の行動に備えるために息を押し殺しているのがわかった。
「…個性、出たんだね。」
「!…どうして、君がっ…。」
「残念だよ、いずく…アナタだけは殺したくないのに…。」
周りに聞こえないような小さな声で呟いた一言に、いずくは悲しそうに眉を寄せた。
あぁ、神様はなんて残酷なのだろう。
こんなに大切な人に、私はきっともう巡り会えないというのに…。
「名前、さんっ…。」
「…大好きよ、いずく。」
「!!」
「…大好き…だったよ、いずく。」
それでも私は、ヒーローが嫌いだ。
そう呟いて指を鳴らせば、世界の時間が止まる。
私の個性 “時間操作” 。
止められる時間は僅か10秒。
そのたった10秒で、君の額に別れの口付けを落とそう。
END
(オマケあり→)