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キミが好き
おなまえは?
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デクに初めて出会ったのは雄英高校3年の時だった。
私の2つ年下であるデクは、入学してから無茶ばかりする生徒として私の祖母が頭を悩ませていた。
「えっ・・・!?名前先輩ってあのリカバリーガールのお孫さんなんですかっ!?」
「うん。個性はあそこまで万能じゃないけどね?」
「それは具体的にはどんな違いがっ!?」
「え・・・?」
キラキラした目で私を見上げてくる彼に、どうしかものかと眉を寄せる。
私の個性は祖母と同じ、相手の身体を活性化させることで治癒するものだ。
ただ違うのは・・・口付けを落とす場所。
祖母はどこか一箇所だけで良いのに対し、私は各部位ごとにしていく必要がある。
「先輩っ・・・?」
「・・・今度、君が怪我した時に教えてあげる。」
「た、楽しみにしてますっ!!」
「いや、そこは怪我しないように頑張ってよ。」
そう言ってクスクスと笑ったのはもう何年も前で。
私は高校卒業して医大に進学。
そしてインターンとして配属された病院でサイドキックをしていたデクと再会し・・・。
「(独立したデクの優秀な主治医としてテレビ取材まで来ちゃうんだから人生って読めないよね。)はい、これで終わり。」
「あ、ありがとうっ。」
「念の為、CT撮るからね。」
「うん。」
デクから離れてカルテの続きを入力する。
その間にデクはボロボロのヒーロースーツからサイドキックが持ってきた私服へと着替える。
この流れも、もう慣れたものだ。
そう思いながら手を動かしていると、ふと今朝から看護師達が騒いでいた雑誌の記事を思い出した。
主治医なら本人に聞いてみてくれ、と彼女達にお願いされていたのだった。
「そういえばデク、結婚するんだって?」
「け・・・こん・・・・・・って、はっ・・・////!?」
「なんかの雑誌に書いてあったって看護師の子たちが騒いでたから。」
「そ、そんな訳ないだろっ!?ていうか僕の恋人は名前ちゃんじゃないかっ////!!」
“ガセだって分かるでしょっ!!” と怒るデクに出来ればCTが終わるまでは興奮して欲しくないな・・・と小さく息を吐く。
まぁデクは二股を掛けられるほど器用な方じゃないし、ガセネタだろうとは思っていたけど・・・。
「も、もしかして今日名前ちゃんが機嫌が悪かったのってそのせいっ・・・?」
「・・・1割だけね。9割は怪我したことに対して。」
「!・・・馬鹿だなぁ、名前ちゃんは。」
「え・・・?」
何故か馬鹿呼ばわりされて顔をあげれば目の前に肌色が広がり、デクに抱きしめられたということに気がつく。
その温かさが心地よくて目を閉じれば、ドクドクと鳴る心臓の音が私の鼓膜を揺らした。
「初めて出会った時からずっと名前ちゃんの事だけを好きなんだから、結婚するのも名前ちゃんに決まってるじゃないか。」
「!・・・別に浮気してるとは思ってないよ。」
「なら、どうしてあんな事言ったの・・・。」
「確認しただけ。」
身長も私より大きくなって。
こうして抱きしめられる度に自分はこの人のモノなんだなという幸福感に満たされる。
だけど私はデレデレなんて出来ないから、こうしてたまに意地悪を言って確かめるのだ。
「デクが私の事ちゃんと好きでいてくれてるか。」
「好きに決まってるよ。・・・好きなんて言葉じゃ言い表せないくらい君が好き。」
そう言って降ってきた優しいキスを、私はゆっくりと目を閉じて受け入れた。