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謝るよりも
おなまえは?
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事務所に着けば、中から光が漏れていた。
僕が帰る時に全員帰った筈なのに・・・。
ふと脳内にヴィランかもしれないという考えが浮かんだが、それはないかと首を振った。
「(電気消し忘れたのかも。)」
そう思いながら扉を開ければ、中に居た人影が驚いたようにコチラを振り向いた。
「!?・・・で、デク・・・?」
「え・・・名前ちゃんっ・・・?」
「どうしたのっ・・・?こんな夜中に・・・。」
自分のデスクからパタパタと走って近づいてくる名前ちゃんに、幻だろうかと目を見開く。
お酒を飲みすぎて自分に都合のいい夢を見ている可能性だってある。
そう思って彼女に手を伸ばせば、相手は少し驚いてからその手をキュッと掴んだ。
「デク・・・?」
「・・・あったかい・・・から、本物っ・・・?」
「え?・・・あ、そっか。今日ウラビティ達とご飯行ってくるって言ってたもんね。お酒、結構飲んだの?」
「う、うん・・・。携帯忘れてっ・・・。」
「え、うそ。気が付かなかったや・・・。」
“デクの机の方かな?” と呟いて離れて行く彼女を見て、思わず彼女の腕を掴み抱き寄せる。
こんな事しちゃいけないのに・・・抱きしめた彼女から伝わってくる熱が気持ちよくて、僕は抱きしめている腕を少しだけ強めた。
「で、デクっ・・・////?」
「・・・もう少しこのままっ・・・ダメかなっ・・・?」
「えっ・・・うーんっ・・・。(デクってば完全に酔ってるよなぁ・・・。)」
「名前ちゃんっ・・・?」
「・・・なら、仕事しながらでもいい・・・?」
「・・・・・・うん。」
クルクル空回りする頭を無視して頷けば、名前ちゃんが僕を引っ張りながら移動する。
それに大人しくついて行けば、彼女がいつも使っているデスクの前の椅子に座らされた。
「私ここに座ってるから、何かあったら言ってね?」
「・・・仕事っ・・・?」
「うん。家に帰ってから思い出しちゃって。」
「・・・ごめんねっ・・・。」
僕のために毎日たくさんの仕事をこなしてくれる彼女に思わず出た言葉。
こんな情けない僕に、彼女はいつか愛想を尽かして辞めてしまうかもしれない。
そう思って彼女の背中におデコをくっつければ、その背中がクスクスという笑い声と一緒に揺れた。
「デクは謝り過ぎだね。」
「・・・?」
「痴漢から助けてくれた時も、もっと早く気づけなくてごめんねって・・・ちゃんと私の事助けてくれたのに謝ってた。」
「そう、だっけっ・・・?」
「・・・私はね、デクに謝られるよりありがとうって言ってもらいたいな。デクにありがとうって言ってもらえたら私はずっと頑張れるから。」
「・・・・・・名前ちゃん・・・。」
「ん?」
「いつも、ありがとう・・・僕は名前ちゃんが笑顔で出迎えてくれるから・・・だから事務所にちゃんと帰ろうって思って頑張れるんだ・・・。」
「!・・・デク?」
「傍にいてくれて、ありがとう・・・。これからも・・・ううん、これからは恋人として・・・僕の帰りを待ってて欲しい。」
「!・・・明日の朝、酔ってない状態で言ってくれたら恋人になってあげる。」
そう言って笑った彼女の顔を見ていたいのに、重い瞼がゆっくりと落ちてきてしまう。
明日の朝、君は本当に頷いてくれるのだろうか。
僕の恋人に、なってくれるのだろうか。
「おやすみ、出久。」
その言葉を合図に、僕の意識は深い眠りに落ちていった。
翌朝、目覚めた僕の顔を覗き込んだ名前ちゃんにキスをして告白したのはまた別の話。
END
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