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好きのうち
おなまえは?
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その人のことは雄英高校に入ってから知った。
去年の卒業生で、現在プロヒーローとして活躍している人の1人だと。
「イレイザーヘッド・・・?」
「あぁ、お前が職業体験にいく事務所にサイドキックとして働いている。アイツはお前と真逆だからな、良い勉強になるんじゃないか?」
「真逆・・・。」
昔から恵まれた身体だと思っていた。
見た目は普通よりは整っているし個性も強い。
記憶力もいいから勉強だって人より苦労しなかった。
そんな私と真逆と言われた人・・・そんな人に興味を持たないわけがなかった。
「あの、イレイザーヘッドさんですよねっ・・・?」
「!・・・あぁ。」
「はじめましてっ、雄英高校の職業体験でお世話になる苗字 名前ですっ!」
「・・・名乗るなら本名じゃなくてヒーロー名だって教わんなかったのか?」
「!あっ・・・すみません!!」
急いで頭を下げればフイッと顔を背けるその人に、最初は無愛想な人だと思った。
ヒーローは人気商売だというのに愛想も振りまかないし無気力だし・・・なにより野心がなさそうだった。
「(なんでヒーローになったんだろう・・・。)」
そんな失礼な事を考えたこともあった。
けど、実際に行動を共にすると自分とは真逆と先生が言った意味がすぐに分かった。
個性を使って相手の動きを鈍らせ、肉弾戦で相手を確保していく。
個性に頼りきった戦闘をする私にとって、その姿はあまりにカッコよく見えてしまった。
「(あんな細い身体のなのに・・・。)」
ヴィランを倒していくイレイザーヘッドさんを真似して、学生時代は体術に力を入れた。
個性に頼りきらない戦闘を目指した。
「は・・・?警察・・・?」
「はい、誘われました!」
「・・・プロヒーローになんじゃねぇのか、お前欲しがってる事務所なんていくらでもーーー。」
「雄英にいる3年間、思ったんです。私はプロヒーローよりも警察のが向いてるって。」
「なに、言ってんだ・・・。お前はプロヒーローになるために生まれてきたようなもんだろ。いやそれより、何でそれをわざわざ俺に言いに来た?」
「私、イレイザーヘッドさんに初対面で怒られて・・・そんな人初めてだったので嬉しかったんです。」
なんて無理やりな言い訳をして誤魔化したけど、本当は1番に報告したかった。
本当はプロヒーローになってもよかった。
けど・・・イレイザーヘッドは警察と組むことが多いと聞いたから、私は警視庁からのその話に二つ返事で頷いたのだ。
「(まぁ今考えたら普通にプロヒーローになってた方が近づけた気もするけどね・・・。)」
「おい、何ニヤニヤしてんだ。」
「!すみません・・・。」
「・・・で、何が聞きたいんだ?」
温かいお茶を私に出しながらそう尋ねるイレイザーヘッドさんにお礼を言う。
珍しく結い上げている髪の毛のせいで、いつもよりしっかり見える顔に少しだけ頬が緩みそうになるが必死でこらえた。
「・・・あの、昨日のこと、なんですけどっ・・・。」
「・・・・・・。」
「そのっ・・・なにも、なかった・・・ですよねっ・・・?」
「・・・どう思う?」
「へ・・・?」
「何も、無かったと思うか?」
そう言ってニヤリと笑うその人に、これは拷問だろうかと眉を寄せて息を吐いた。