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好きのうち
おなまえは?
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聞きなれたアラーム音がどこか遠くから聞こえる。
なんだか体が重い。
そう思いながら重い瞼を持ち上げれば、見知らぬ家具が視界に入り、一気に意識が浮上した。
「どっ、どこっ・・・!?」
「うるさい・・・。」
「!?」
声がした方を見れば私の隣で眠っていたであろうその人が布団を深く被り直す。
その聞きなれた声と布団の隙間から見えるウェーブがかった黒髪に、私の血の気は一気に引いていった。
「っ・・・い、イレイザーヘッドっ・・・?」
「・・・アラーム・・・鳴ってるぞ・・・。」
「えっ・・・ろ、6時っ・・・!?」
未だに布団で目をつぶっているその人を横目に急いで布団から出る。
というかここ、もしかしなくてもイレイザーヘッドさんの自室だろうか。
え、もしかしてやらかした!?
いやそれよりも仕事間に合うのか私!
ズキズキする頭を抱えながら、優先すべきは仕事だろうと転がっていた自分のカバンを引っ掴んだ。
「駅なら出て右だ・・・。」
「っ・・・仕事終わったら連絡しますっ・・・!!」
「ん・・・。」
おそらく夢と現実の間を行き来しているであろうその人にそう叫んで、私はパタパタと部屋を後にした。
「・・・それ、たぶんヤッてません?」
「や、やっぱりっ・・・!?」
「課長、記憶ないんすか?」
「全然・・・。」
「男の30歳なんて狼ですよ?同じベッドで一晩過ごして何も無いわけないっすよ。」
“やらかしましたね、課長。” と呆れる部下に思いっきり肩を落とす。
まさか、あのイレイザーヘッドさん相手にやらかすなんて思わなかった。
「(お酒久しぶりだったしなぁ・・・。)」
「・・・で、相手は誰ですか?」
「え?」
「いや、課長が理性吹っ飛ばすくらい酔っ払える相手って俺は思いつかないから。よっぽど気を許してる相手なんだなぁって。」
「!・・・まぁ、尊敬はしてるよ。」
「男としては?」
「・・・どう、かな。と、そろそろ仕事に戻るよ!」
そう言って手に持っていた缶コーヒーを飲み切る。
良いところで話を区切られブーブーと文句を言う部下を置いて私はさっさとその場から離れた。
「(男として・・・かぁ・・・。)」
神野区の時にもオールマイトさんに言われたな。
“嫌よ嫌よも好きのうち” と。
・・・そんなこと、周りに言われなくても自分で嫌という程分かっているのに。
「(・・・とりあえず、仕事終わったら連絡して昨日の夜のこと聞こう・・・。)」
もしかしたら彼も覚えていないかもしれない。
だとしたらこんなに悩む事も無い。
そんな事を考えながら、私は小さく息を吐いた。